FABLED NUMBER VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

FABLED NUMBER『ELEXGAME』

N’Eita(Vo&Gt)

俺が言いたいことはこの7曲にすべて詰まっている

前作『Millionaire』から1年、FABLED NUMBERがミニアルバム『ELEXGAME』をリリースする。ディレクターにSxunを迎え初となる今作。バンドを続けるうえで、避けることのできない迷いとしっかり向き合ったからこその7曲には、彼らの想いが深く、潔く詰まっている。果たしてFABLED NUMBERとは?――そんな根本的なところから始まり、そしてたどり着いたこのアルバムについて、ここに至るまでの様々な経緯を交えながらN’Eita(Vo&Gt)に話してもらった。

■『Millionaire』のリリースから1年振りとなりますね。

N’Eita ちょうど1年ですね。まるまる1年。

■ 今作からディレクターとしてSxunさんが加入されましたが、どういった経緯でのことか教えてください。

N’Eita 『Millionaire』が完成して、もちろん作品としては手応えもあってという中で、ギターのマコト(Mako-Albert/Gt)や、メンバーと今後の話をしたんです。『Millionaire』には自分たちの想いをきっちり込めてはいたけど、これからどうしていけばいいかっていう漠然とした想いというか、悩んでいる部分というのはどの段階でもあって。そんな中、Sxunくんが以前やっていたバンドをひと段落して、次のキャリアとしてやっていくっていうことになって。

■はい。

N’Eita  『Millionaire』の曲をマコトに全部送り終えたとき、「この作品で本当にFABLED NUMBERが表現できているのか?」みたいなことをSxunくんが言っていたっていうのを、マコトから聞いたんですよ。それまでSxunくんのライブは何回も観ていたけど、直接会って話す機会はなくて。だったら1回会って話してみたいっていうところから始まって。

■『Millionaire』ができた後、これからどうしていこうっていう想いは、具体的にはどういうものだったんですか?

N’Eita FABLED NUMBERとはそもそもどういうバンドなんや?というか、自信を持ってこれが俺たちだっていうのが、もうなんなのかわからなくなっていて。サウンドやライブパフォーマンスの一部分を切り取ったらそれがあるのかもしれないけど、果たしてそれは一貫してそうなんか?と。例えばSxunくんがおったバンドって、すっごいイカしたバンドやと思うんやけど、あんだけのクセをずっと貫き通すその力がやっぱりすごいと思うんですよ。そういうこともあって、話を聞けるんやったら聞きたいと思って会ったら、ほんまに長い時間話をしてくれて。それで、話し終わったとき、やっぱりいまのままじゃあかんと。

■なるほど。

N’Eita FABLED NUBERは、ほんまはこういうバンドやねんって、言い訳ではないけどそういう想いがいつもあって、それが『Millionaire』を出した後にもあって、音源を出したときにそれがあるってあかんやないですか。そもそも『Millionaire』が俺たちのやりたかったことなんかっていう想いがあること自体が問題やし、実際のところ、何が問題かもわからんし、もうとっちらかっている状態で。

■そうだったんですね。

N’Eita 『dance,dance,dance』をシングル1発目で出して、友だちが撮ったようなMVをバーンて出して「お、なんやこのバンド?」って、FABLED NUMBERってスタートはそういう印象やったやんって。マニアックでクセがあって、それがFABLED NUMBERの印象で、いまって別に誰かにやらせとったらいいようなことをやってへんか?他のヤツらにもできるようなことはそういうヤツらにやらせといたらええやん、ほんまにやりたいことだけを研ぎ澄ませてマニアックにやっていった方がええやんって、そういう話を聞いて。「ああ、そうやな…」と。

■自分でもそういう気持ちがあった、と?

N’Eita 好かれようとか、こういうことしたら嫌われるとか、それはあったかもなって。例えば日本語で歌ってみるとか、テンポ感も落としといた方がいいかなとか、EDMが好きやから、それをやりまくっとくかとか。でもそういうことやなくて。ほんまのところでFABLED NUMBERとは一体どこにあるのか、俺たちのマニアックさとは一体何なのか、そういうものをしっかりとしたうえで、突き刺さるところに突き刺した方がもっと良くなるんじゃないの?って。そういう話をして、これはもうSxunくんに入ってやってもらった方が絶対に俺たちのためやなって。

■そこで一緒にやることを決めたわけですか。

N’Eita 実際に話をするまでは、ここまでのことは考えていなくて。これまで俺とタイちゃん(N’Taichi/Ba&Cho)で、バンドを大きくは進めていて、楽曲に関してはタイちゃんがずっと大きく進めてきていたんやけど、大きく舵を切ることができひんかったのは、そういう部分でもあったと思うので、これはもうしっかり入ってもらって、トータル的にオールを持って、チームをちゃんと作ろうって。

■Sxunさんに「FABLED NUMBERってそうじゃないでしょ?!」って言われたときの気持ちというのは図星だったというか、すぐに受け入れられたんでしょうか?

N’Eita もう、そうじゃないでしょう、って。(笑) なんかね、ふとしたときに「あ、これで一歩上がれるかもしれへん」ってきっかけがいろいろあって。まるで自分たちに羽根が生えてこのまま広がっていくんやないかって思ってしまうときがあるんですよ。でもほんまに研ぎ澄ますべきものは、そんなところではなかったんですよね。

■やっていくうちにわからなくなっていったという感じですか?

N’Eita いろんなことが頭をよぎったというか、もっといろんな人に好きになってもらえるかもしれないとか、結構器用にいろんなこともできたし、そこがまたなんかあったりして。

■確かにそこが武器であり、魅力だとわたしも思っていましたし。

N’Eita そうそう。例えば3ピースで、僕たちはこれしかできません、この歌しかうたえません、みたいなんが逆にうらやましくなってた。俺らいろんなことができるから、いろいろやったんやけど、結局向かうところがバラバラになって、単純にただの自己満足になっていた部分はあったやろうし。表現が悪いかもしれんけど、Mr.Childrenとかスピッツ、いまだと(Official)髭男(dism)とか、sumikaとか、これが一般の人が聴ける音楽ですよって…。「そういうのやないやん、俺たち、そうやろ?エイタ?…」「…おお、そうや」って。(笑) 俺たちはマニアックにやってなんぼなんよって。

■はいはい。(笑)

N’Eita 結局ふらふらしてて、ふらふらしながらも音楽としては結構ちゃんと表現できたりもしていたから、自分たちとしては納得していたけど、それじゃあかんなってことに気づいて。でも大きな結果が出ていたら、何の問題もなかったんですよ。そんなんそれでもうOKやないですか。