Furui Riho『Oneman Live 2023 -Introduction-』ライブレポート@恵比寿LIQUIDROOM

等身大のメッセージと挑戦を届けた自身最大規模ワンマンライブ。

Furui Rihoが5月7日(日)、『Oneman Live 2023 -Introduction-』を開催した。会場は自身最大キャパとなる恵比寿LIQUIDROOMであったが、チケットは見事ソールドアウト。開演前より会場には高揚感が漂っており、今のFurui Rihoへの期待が伺えた。定刻過ぎ、会場が暗転し、多くの歓声に導かれるようにしてFurui Rihoがステージに登場、1曲目に披露したのは“I’m free”だ。R&Bを彷彿とさせるグルーヴ感を強く感じさせつつも、ソウルフルなだけでない、絶妙な抜け感がある柔らかな歌声が穏やかな空気を作り上げる。1サビを歌い終えて「東京~!」と呼びかけると、オーディエンスも大きな歓声で反応。のっけから温まった会場の雰囲気からは親密感と一体感が感じられた。Furui Riho本人も早速ステージを右に左と歩き回りながらオーディエンスと目を合わせたり手を挙げさせたりと、フランクな様子で会場とのコミュニケーションを図っていた。

サポートドラムによる力強い繋ぎから“青信号”になだれ込むと、レーザー照明が飛び交い、クールな印象に。手拍子を煽りながら披露した“We Are”ではポップネスが炸裂し、波に乗るような曲調の緩急がオーディエンスの身体を揺らす。コール&レスポンスを入れたりと、全身で音楽を楽しみながら会場に一体感を作り上げていく。「みんな最高かよ、やばいね。今日ゴールデンウィーク最終日、雨の中来てくれて本当にありがとう!」そう伝え“Candle light”を披露。照明の色も相まって夕焼けを彷彿とさせる情緒的なステージと軽やかな歌声は、日々の喧噪を忘れて音楽に身をゆだねることを促しているようだ。

「ここに立った瞬間、泣きそうになっちゃった」とフロアを見渡し感慨深げな表情を見せたFurui Riho。「入口側が詰まっているみたいだから、少しずつ前に詰めてあげて」と、ぎっしりと集まったオーディエンスを思いやる言葉も。「前のライブタイトルは『Beginnings』だったけど、今回は『Introduction』。いつ始まるの?って感じだけど。(笑) この景色を見ると、ちゃんと進んでいるなって思います。明日から仕事の人もいると思います、嫌だよね~。そんな時に聴いて欲しい曲を」と、続いて披露したのはライブでのみ披露している未リリースの楽曲“Do What Makes you Happy”。直接背中を押すような優しくもあっけらかんとしたリリックは、ライブでより効力を発揮するメッセージだろう。「意外と近くに幸せは落っこちているかも」という肩の力を抜いたメッセージに救われるオーディエンスも多かったはずだ。

「ここからはFurui Riho、挑戦のコーナーです!」と、ライブ中盤、ワンマンライブでは恒例となっているという挑戦のコーナーへ。今回の挑戦はキーボードの弾き語り。彼女が今まで影響を受けてきた楽曲を何曲か披露する。「緊張する……!」と口にしながら、しっとりと弾き始め、朗々と歌ったのはなんと“だんご3三兄弟”。意外な選曲と大胆なアレンジにフロアも大盛り上がりである。更にJ-popから、aikoの“カブトムシ”、宇多田ヒカルの“Can You Keep A Secret?”と、Furui Rihoの音楽の歴史を辿る豪華なカバーが続く。それからゴスペルに出会った際のエピソードを話し披露した“Oh Happy Day”では手拍子も起き、ミニー・リパートンの“Lovin’ you”のハイトーンボイスを歌い終えると、客席からは割れんばかりの大きな拍手が。弾き語りゆえのじっくりと向き合うような演奏、ソウルフルな歌声、豪華な選曲がライブ本編とは異なる熱さを生み出した。

そしてまたもや弾き語りで自身のオリジナル曲“嫌い”へ。歌詞で描かれている、コンプレックスに落ち込む自身の思いに向き合うように、そして曲の後半はバンド編成での演奏になると、そのコンプレックスに打ち勝った力強さを反映するように力強く歌い上げた。ライブ終盤は“ABCでガッチャン”、“ウソモホント”、“Rebirth”と、パーティソングを連続で披露。日常の一コマを一緒に楽しもうと語りかけるような音楽を次々と届ける。最後は圧巻のハイトーン&ロングトーンを響かせ、清々しく本編を終えた。

アンコールでは華やかなレーザーが彩った“Sins”からスタート。新曲“Super Star”の後、「明日また会いましょう 次はあの場所で」の歌い出しがライブ終わりにふさわしい“Purpose”では、ミラーボールが星を散らし会場を華やかに彩る。力強いメッセージを届け、楽しく生きるパワーを分け与えるような温かいステージ。どんな日にも励みになるだろうが、ゴールデンウィーク最後の夜には特段ぴったりなステージであった。

Text:村上麗奈
Photo:tatsuki nakata

https://www.riho-music.com/

『Oneman Live 2023 -Introduction-』@恵比寿LIQUIDROOM
01. I’m free
02. 青信号
03. We Are
04. Candle light
05. Do What Makes you Happy
06. でこぼこ
07. Friands
08. 弾き語り(だんご3兄弟・カブトムシ・Can You Keep A Secret?・Oh Happy Day・Lovin’ you)
09. 嫌い
10. ピンクの髪
11. ABCでガッチャン
12. ウソモホント
13. Rebirth

ENCORE
01. Sign
02. Super Star
03. Purpose