Official髭男dism『SHOKING NUTS TOUR』ライブレポート@日本武道館

結成10周年の集大成!魅せたOfficial髭男dismの世界。

2023年2月16日(木)、日本武道館にてOfficial髭男dism『SHOKING NUTS TOUR』のツアーファイナル公演が開催された。昨年10月末に行われるはずだった東京公演が延期になっていた本公演。会場はツアーグッズを身につけたオーディエンスで超満員。本公演は引き続き無歓声のルールを設けたライブとなっていた。

客電が暗転しステージがライトで彩られる中メンバーが登場し、オーディエンスは拍手で迎えると、ライブは“Pretender”からスタートした。イントロが響いた途端オーディエンスからは思わず歓声が漏れる。ミラーボールに赤、青、オレンジなどのライトが照らされ、会場中がキラキラと輝く中、藤原聡(Vo&Pf)の透き通った声でラブソングが響き渡る。オーディエンスは手拍子をしながら聴き入っていた。「お待たせしました日本武道館!ツアーファイナル!最後までよろしくお願いします!」と藤原が挨拶し、“I LOVE…”へ。楢﨑誠(Ba&Sax)はベースからキーボードに変え、メロディーを奏でる。両手を高く上げながら手拍子を煽る小笹大輔(Gt)に合わせてオーディエンスもそれに応えて手拍子を強くする。続く“Tell Me Baby”では、カラフルなライティングから始まり、藤原も手拍子をしながら身体を揺らし踊る。オーディエンスも藤原に合わせ身体を揺らし手拍子しながらリズムを刻む。まるで会場が一気にダンスホールへと化した。松浦匡希(Dr)もその光景を目の当たりにして満面の笑みでドラムを叩く。曲のラストにバンドメンバーを含めたセッションが披露されると、オーディエンスからは盛大な拍手が沸き起こった。

「みなさん、今日はありがとうございます!Official髭男dismです!ツアー最終日、去年10月に予定されていたけど、いろいろ重なって延期になりましたが、武道館をまたとるのは大変で、スタッフさんたちが頑張ってくれた。2019年に初めて武道館公演をやって、今回のツアーでは5回目!まだ声出しはOKしていませんが、ルールがある中で楽しんで貰えたらと思います!思わず笑ってしまうのはいいですよ!笑かしに来るメンバーがいるので……(笑) 楽しもう武道館!!」と話すと、藤原の透き通った高音ボイスで始まる“Second LINE”へ。オーディエンスはクラップでリズムに乗り、サビでは藤原が手を高く上げるとオーディエンスも同じように両手を高く掲げた。高音ロングボイスを聴かせた藤原にオーディエンスから拍手の雨が降り注ぐ。するとステージ後方には星空のような無数のライトが輝き“ビンテージ”のイントロが始まる。レトロなサウンドと共に柔らかく温かい藤原の歌声に聴き入るオーディエンス。ステージを彩る無数のライトがまるで本当の星空のようだ。そして藤原にスポットライトが当たり“LADY”へ。ゆっくりとピアノの音に合わせ歌い始める。高らかな高音ボイスに魅了されたオーディエンスは拍手喝采。藤原は深くお辞儀をして感謝を示した。

「懐かしい曲を聴いてもらいました。ツアーファイナルという事で、浮かれております。(笑) 今日はかくし芸があります」と、藤原が一旦バックステージに下がると、楢﨑がベースからアコースティックギターに持ち替えセンターへ。オーディエンスに着席を促すと「僕の数少ないレパートリーの中から1曲披露したいと思います。」と、山崎まさよしの“One more time, One more chance”を披露した。途中から松浦と小笹も演奏に参加すると曲に色がどんどん入っていく。歌い終わり「ありがとう!」と楢﨑が感謝を述べると藤原が再登場。「次の曲はまだ音源化されていない曲をやろうと思います。10周年ツアーなので、原点に帰ろうと思います!」と藤原。ピアノ演奏から始まり新曲“風船”を披露。「次の曲は軽くクラップして頂けると嬉しいです!」との楢﨑の掛け声で“Choral A”に移ると、オーディエンスはクラップしながらリズムに乗る。藤原はステージの後ろ側まで行き、オーディエンスとアイコンタクトを取りながら歌い、ステージ前に戻ってきて楢﨑と笑顔で踊る。楢崎は途中からサックスに持ち替え、バンドメンバーと一緒にサックスを披露した。

「1、2、1234!!」との藤原のカウントからアップテンポジャズのリズムで“夕暮れ沿い”を披露。楢﨑も前曲に引き続きサックスを吹き鳴らす。藤原はギターを掻き鳴らす小笹の隣に並んで歌い、続いて昨年冬に話題になったドラマ「silent」の主題歌“Subtitle”へ。ステージ後方に再び星空のように無数のライトが散りばめられると、「雪の結晶」という歌詞に合わせて上からはゆっくりと不規則に落ちるきらびやかなライトの筋。雪景色のような演出にオーディエンスもステージに釘付けになった。藤原が深くお辞儀をすると、流れ星のようなライトが一筋流れ、オーディエンスから思わず声が漏れた。ここで再び“かくし芸”コーナーに。「本当に学園祭で演奏した曲を弾いてもいいですか?」と小笹。ギターでクラシックの“カノン”をロック調に変えた“カノンロック”を演奏し、途中からは楢﨑のベース、松浦のドラムも加わり即興でセッション演奏がスタート。すると途中から後ろで見ていた藤原も前に出てきてピアノで加わり、スペシャルセッションにオーディエンスからは拍手喝采だ。後ろで休んでいたはずの藤原も加わったのを見た小笹は「曲の半分くらいでさとっちゃんもう戻ってきてたわ!(笑) 久しぶりに演奏出来てよかった!」と笑顔で話した。即興で演奏に加わり、どんな曲でも髭男色に染めていくメンバーを見た藤原は「さすがだわ!!(笑)」とメンバーを褒めた。

続いてはカラフルなライティングで始まった“parade”。バンド初期の曲を今のバンドメンバーたちとリアレンジしたという。昔からのオーディエンスは途中にあるクラップもバッチリと揃え、藤原も笑顔でステージを歩き回りながら歌声を響かせた。「後半戦もよろしくお願いします!」と藤原の言葉に続き“Anarchy”、TVアニメ「東京リベンジャーズ」OP主題歌で人気の“Cry Baby”と畳み掛ける。“Cry Baby”では赤いライトで照らされたステージで力強く歌い上げる藤原に、オーディエンスは拳を高く突き上げ盛り上がった。そしてそこからはしっとりとした藤原のピアノ演奏から始まる“115万キロのフィルム”へ。ラブソングに合わせてピンクの照明で彩られるステージ。最後は藤原にスポットライトが当たり、柔らかい歌声でラストを歌い上げると、「さぁ!ここからはラストスパートです!まだまだ元気はありますか!?」とオーディエンスに問いかけ、ライブの定番曲“異端なスター”へ移ると、オーディエンスはクラップをしながら左右に2ステップを踏みリズムに乗っていく。小笹と楢﨑も共にステージ後ろに行き、ステージ後ろのオーディエンスにも姿を見せていく。最後は藤原、楢﨑、小笹の3人が松浦の周りに集まり演奏する姿にオーディエンスが笑顔で拍手を送る。

続く“宿命”では、小笹が太鼓を叩くと手を挙げボルテージを上げるオーディエンス。「ありがとう!」と感謝を伝えガッツポーズをする藤原。「次の曲で最後になります!今日は本当にありがとうございました!次の曲がこのツアーの締めくくりになります。ここまでルールを守りながらのライブは楽しかった?俺たちもすごく楽しかった!色んなものを我慢してきたから、コロナ禍の中で生きるのって難しいなって思ったんだけど、それでも生き抜いたみんながいる。こうして明るい未来があるからこそ、生きてこれたんじゃないかなって思う。みんなと出会えて、暗闇を乗り越えて来られたこと、幸せに思う。これからも曲を沢山作ってライブを作って行こうと思います!今日はありがとうございました!Official髭男dismでした!」と10周年の締めくくりとなる挨拶をピアノを演奏しながら話した藤原。そのままラストは大人気TVアニメ「SPY×FAMILY」OP主題歌の“ミックスナッツ”を披露。オーディエンスの盛大な拍手が降り注ぐと、「またお会いしましょう!Official髭男dismでした!ありがとう!」と藤原。そのまま早く激しくなる曲に合わせて手拍子と両手を挙げ盛り上がるオーディエンス。楢﨑は最後「ピーナッツ」の歌詞に合わせてセンターでピーナッツポーズをとると、オーディエンスも同じくポーズをとっていた。「本当にありがとう!」と藤原が感謝を告げると銀テープが発射され、ボルテージが最高潮で本編が終了した。

大きな手拍子でアンコールを待つオーディエンス。メンバーが再登場して“Universe”を披露。手拍子を煽る藤原の演奏するピアノに合わせ、楢﨑が背中合わせでベースを引く姿に盛り上がる。藤原と小笹と楢﨑はステージで端まで歩いていき、オーディエンスに手を振る。「みなさんありがとうございます!本当に楽しい時間になりました!」と藤原が話し、バンドメンバー紹介へ。「今日はどうやら何かあった時のために待機していたバンドメンバーも来ているみたいで…」と、裏で待機していたサブのバンドメンバーたちもステージに呼び込み紹介する藤原。松浦と小笹も「武道館最高だぜ!!」と叫び、「呼び込んだバンドメンバーも含め、総勢12名でアンコールを始めたいと思います!本当に最後の最後の最後の最後の最後の最後までよろしくおねがいします!」との藤原の言葉に続き“Clap Clap”を演奏した。オーディエンスの盛大なクラップ音の中で気持ちよさそうに歌う藤原。センターに出てきて小笹がギターソロを披露すると熱気がさらに上がり、歌詞に合わせてクラップをするオーディエンスも笑顔で溢れていた。ラストの松浦のドラムロールと藤原の高音ロングボイスに拍手喝采だ。

「みなさん本当にありがとうございました。素晴らしい時間でした。声を出せないライブはこれで最後になると思う。声が出せないライブも楽しいと思わせてくれた。ライブがもしまた出来なくなることがあっても、みんなが僕たちの曲を聴いて頑張ってると思うと、とても支えになります。」と藤原が話すと、ミラーボールが上から降りてきて無数のライトが上下に動きながらステージを彩る。「ここでみなさんにやってもらいたい景色があります」と、藤原がスマートフォンのライトの点灯をオーディエンスにお願いすると、会場中がきらびやかな真っ白なライトで染まる。「最後の1拍、1音までよろしくお願いします!」と藤原。オーディエンスの光に包まれながら“破顔”を歌い、「必ずまた会おう!本当に導いてくれてありがとう!最後の曲です。またお会いしましょう!」との言葉に続き、TVアニメ「東京リベンジャーズ 聖夜決戦編」のOP主題歌で新曲の“ホワイトノイズ”を披露。炎の特効がステージ下から幾つも噴射され、会場全体に熱が伝わる。手を挙げ楢﨑、小笹はステージを移動しながら熱く演奏した。藤原は深々とお辞儀をして手を振り、メンバー全員ステージ前に並ぶと「Official髭男dismは、これからも爆走していきます!またお会い出来るライブを作っていこうと思います!ありがとうございました!」と藤原が挨拶をして、全員で手を繋いでお辞儀をして本公演は終了した。

結成10周年を迎えたOfficial髭男dism。その最中に世界的に流行した新型コロナウイルスでライブが出来ず、また出来るようになってからも試行錯誤し、ルールを守りながらもこうして10周年を迎えることが出来た。長いようで短かったと話した彼らだが、この10年で得たものはしっかりとこのライブで表現されていた。また10年、20年と経験を重ね、更なるOfficial髭男dismの進化をこの目で追いかけていきたいと感じたライブであった。

Text:隅内かな
Photo:TAKAHIRO TAKINAMI

https://higedan.com/

Official髭男dism『SHOKING NUTS TOUR』@日本武道館 セットリスト
01. Pretender
02. I LOVE…
03. Tell Me Baby
04. Second LINE
05. ビンテージ
06. LADY
07. 風船
08. Choral A
09. 夕暮れ沿い
10. Subtitle
11. parade
12. Anarchy
13. Cry Baby
14. 115万キロのフィルム
15. 異端なスター
16. 宿命
17. ミックスナッツ

ENCORE
01. Universe
02. Clap Clap
03. 破顔
04. ホワイトノイズ