柏木ひなた VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

デビュー曲“From Bow To Toe”と共に「頭からつま先まで」語る、ソロシンガー柏木ひなたの音楽履歴書。

柏木ひなたが6月28日にソロデビュー曲となる“From Bow To Toe”をリリース。2022年12月に12年在籍した私立恵比寿中学を卒業し、ソロミュージシャンとしての道を歩み始めた柏木ひなた。今までの感謝やソロへの意気込みを詰め込んだというデビュー曲“From Bow To Toe”は、どこか懐かしさのあるミュージカル風の仕上がりとなった。今回のインタビューでは「柏木ひなたの音楽履歴書」をテーマに、今後の活動の目標や歌に懸ける覚悟と熱意から「あなたの歌声はどんな味がすると思う?」といった珍問まで幅広く語ってもらった。

■ソロデビューおめでとうございます。先日は私立恵比寿中学の安本彩花さんとの“kyo-do?”ダンス動画が公開されていましたね。エビ中さんとは今でも仲良しでいらっしゃいますか?

柏木 事務所も一緒なので普通に喋っていますね。遊びに行ったりも全然していて。12年も一緒にいたから、みんなもデビューを楽しみにしてくれています。

■12年は長いですよね。干支ひとまわりじゃないですか!ソロ活動自体は以前からやっていたんですよね?

柏木 はい。ただ、歌のソロっていうのはあんまり無くて。今回グループも卒業してソロで歌っていくっていうのは、自分の中でも大きな決断だったと思います。

■グループとソロの一番大きな違いって何ですか?

柏木 ココ(横)に人がいないっていうことですかね。(笑) 今までは取材の時でも誰かしら一緒にいたので、そういうことも含めて、全てひとりでやらなきゃいけないというのが全然違います。今は打ち合わせや、曲の制作会議にも参加させていただいて、一緒に曲を決めるところから始めたんですけど、そういうこともソロならではですね。もともと責任を感じやすいタイプではあったんですけど、ひとりになったからこそ、「もう誰も助けてくれない、自分でやらなきゃ……」となっています。でも「全部自分次第なんだな」と改めて思いました。

■やはりひとりになるのは大きいことですよね。さて今回のインタビューは「柏木ひなたの音楽履歴書」というイメージで、たくさん音楽の話をしていきたいと思っています。早速最初の質問です。覚えている限りで一番最初に好きになった曲はなんですか?

柏木 え~っ?!(笑) うーん……『オシャレ魔女 ラブandベリー』の曲かな。多分あのゲームの歌を一番最初に歌っていました。それが確か小学校1年生くらいの時ですね。

■ラブベリ流行りましたよね!すごく懐かしいです。音楽を好きになったきっかけの曲はなんですか?

柏木 ちゃんと「音楽」を認識したのは小学校3年生くらいの頃で、安室奈美恵さんの曲を聴いたのが最初ですね。そこからダンスを始めたりして、洋楽も聴くようになりました。洋楽はダンスの先生の影響でブリトニー・スピアーズやジャネット・ジャクソン、マイケル・ジャクソンなどを聴くことが多かったです。

■柏木さんの年齢からすると少し古めの曲もありますね。安室奈美恵さんも「20代」ってイメージがあるけど、ストライクなのはもうちょっと上の世代じゃないですか?

柏木 そうかもしれません。私が好きになったのは『BEST FICTION』(2008)っていうアルバムが出た時で、この作品を車の中で聴いて衝撃を受けました。昔は「何かになりたい」とか「こういう人になりたい」っていう夢は特に無かったのですが、そこで初めて「歌って踊れるようになりたい」と思ったんです。

■憧れの人なんですね!ところで柏木さんが「自分って歌上手いじゃん!」って思ったきっかけってありますか?

柏木 自分ではあんまり思った事ないんですけど、人から「上手いね」って言われるようになって、気にしたり、より気をつけるようになったというか……。「自分って歌で注目されることが多いんだな」というのは、私立恵比寿中学の活動の途中くらいから気づき始めました。歌うことを「もっと自由に、楽しくやりたい」と思って歌声が変わったのは、私立恵比寿中学のアルバム『エビクラシー』(2017)の頃です。メンバーひとりひとりをフィーチャーした曲が収録されたアルバムで、私は元JUDY AND MARYのギタリストのTAKUYAさんが作ってくださった“紅の詩”という曲を歌ったんですけど、それをきっかけに歌のことを言われる機会が増えました。

■この作品が柏木さんの「転換点」なんでしょうか?

柏木 2017年頃のエビ中はメンバーが亡くなったり、いろいろなことが重なって、みんながすごく辛い時期だったのですが、「それでも前を向かなきゃいけない」、「音楽を届けなきゃいけない」と思った時にできたのが『エビクラシー』でした。自分のパフォーマンスに対しての変化もそのくらいの時期が一番大きく、ただ歌うんじゃなくて、歌いながら楽しさも届けるということを考えられるようになりました。

■「きっかけ」の「答え」がハッキリと出てくるのがカッコいいです。歴史ですね。初めて自分のお金で買った曲はなんですか?

柏木 小学生の頃に買った安室奈美恵さんの『181920』(1998)です。この作品は小室哲哉さんプロデュースの曲が中心になっているんですけど、「小室さんのプロデュース楽曲という存在」をそこで初めて知って「なんじゃこの楽曲は?!」となりました。(笑) もうゾクゾク感がすごくて。『BEST FICTION』の時とは歌い方も違って、それがまた……「音楽ってホントに幅広くて深いんだなぁ」って小学生ながらに思いましたね。

■小学生でそれに気付けるのはヤバい才能ですよ。その頃の柏木さんにとって、アルバムって高かったでしょう?

柏木 高かったと思います。(笑) 小学生にとっての1,000円、2,000円ってすごく大きいじゃないですか。でも、「どうしても買いたい!」と親に言いました。私はそれまであんまり何かにハマることがなかったので、親は多分びっくりしていたと思います。ただ、親は「好きなことだったら頑張りなさい」と昔から言ってくれていたので、当時の自分にとって大金ではあったんですけど、躊躇なく買いました。(笑)

■話は変わるのですが、柏木さんはギターもちょっとやっていらっしゃいましたよね?

柏木 ギターも何故か「やろう!」と思っちゃったんです。(笑)

■唐突にギターとかをやりたくなる時期ってありますよね。(笑)

柏木 その時期はみんな「楽器やりたい!」みたいな感じで、私もアコースティックギターをやってみたんですけど、コードの押さえ方を覚える以前に手が小さくて指が届かないんです。(笑) 歌詞に振ってあるものを目で見て覚えたので、「このコードを弾いて」とか言われたらできないんですけど、1回だけ頑張りました。

■他にできる楽器は?

柏木 初っ端だけドラムを齧っています。カッコよくて一時期やっていました。もう多分忘れてると思いますが、できればちゃんと長続きさせたいな……。やっぱりいろいろな楽器に触れたいなと思っていて、ベースもカッコいいと思いますし、ピアノを弾けるようになったらどれだけカッコいいことか。でも一番ちゃんとやりたいのはドラムですね。

■小湊美和さんもお好きなんですよね?安室さんと小湊さん、お二人から学んだことは?

柏木 お二人は全然違うタイプなんですが、安室さんに関してはパフォーマンス面です。歌と踊りの両方をMCなしで2時間やり続けるのは相当な体力が必要なので、いつまでも尊敬しています。引退されても音楽は鳴り続けているので、弱った時にいつも元気をくれるのは安室さんですね。

■尊敬する人と憧れの人、という感じがして素敵です。

柏木 小湊さんは、私が太陽とシスコムーンが大好きなこともあり、ソロコンにも来ていただいて、公私ともに仲良くさせていただいています。小湊さんの歌声はグループの中でも特殊なんですよね。もともと民謡をやっていたというのがあるのですが、発声や声の艶、声の質が本当にすごくて。私にはどうしてもできないし、こうなりたいけどなれない。そして、どこまでも音が出るんですよ。それは歌う人間にとって「すごく欲しい」ものなんです。歌がすごい方に一緒に歌っていただいたり、教えてもらったり、褒めていただいたりすると、すごく自分の力になると思うので、いつまでも大好きだし尊敬しています。

■小湊さんと柏木さんは先輩、後輩みたいな感じですね。

柏木 でも多分ハロプロにいたらここまで仲良くなれてはいないだろうし、一緒に歌うこともできなかったと思います。でも、太陽とシスコムーンと一緒にステージに立っているハロプロのメンバーたちを見ると、「羨ましいな……」と思うんですよ。自分のライブと日程が被ってしまって、太陽とシスコムーンのライブに行けなかったことがあって、楽屋で隠れて大泣きしたこともあります。(笑) それも同じ神奈川県内でライブしていたんですよ!

■あーそれは悲しいですね。予定が被ってしまった時の悔しさはどうしようもないですもんね……。それじゃあ柏木さんもいつか民謡に挑戦してみたり……?

柏木 ……頑張ります。(笑)

■柏木さんはどんなタイプの音楽が好きですか?

柏木 テンポは速めな感じで、踊れるような、ノリのいい曲が好きです。曲調が明るめでも暗めでも関係なく、ついつい体がノっちゃうような音楽がすごく好きですね。あと、ベースの音が好きなので、めっちゃベースの音を聴いちゃうんですよ。でも結局「強い曲」を聴くことが多いです。それこそ洋楽とか。たぶん「気が強い音楽」が好きなんだと思います。(笑)