すれ違うだけの淡い夏の恋、半袖の天使たちが歌う19thシングル。
HKT48の19thシングル『半袖天使』が7月23日(水)にリリース。今作は街ですれ違う名も知らぬ少女に惹かれる少年の心を歌った甘酸っぱい青春ソングで、4期生の地頭江音々が加入から9年を経て初のセンターを務める。インタビューでは地頭江音々、市村愛里、江口心々華、豊永阿紀、梁瀬鈴雅の6人に今作へ込めた想いや、レコーディングの裏話、夏の思い出を訊いた。
■まず気になったことなのですが、今作の衣装はとても「本物の制服感」がありますよね。胸のリボンの色にはそれぞれ意味があるのでしょうか?
豊永 1色3人ずつになっていて、センターの音々ちゃんだけが赤色なんです。
市村 色については衣装さんが「この子にはこの色が似合いそう」ということで選んで決めてくださっています。このスカートは本物の学生服のスカートなので、重めの生地になっています。
■だから「本物の制服」という印象が強いのですね、納得です。さて、地頭江さん、初センターおめでとうございます。センターに選ばれたことはイベントで発表されましたが、メンバーにもその場でのサプライズ発表だったのでしょうか?
地頭江 ファンのみなさまにはイベントで発表されたのですが、メンバーは1ヶ月ほど前に全員集まって、発表されたイベント内容の概要と一緒に選抜メンバーとセンターが発表されました。その時の空気は強く印象に残っています。というのも、今まではコロナ禍だったこともあり、個別で「これが次の選抜メンバーです」という形で連絡を受けることが続いていまして、今いるメンバーの多くが「メンバー全員が同じ場に揃っている中での選抜発表」というものを経験したことがないんです。ただ、今回は「改めてアイドルグループとしてのやり方をやろう」ということで、全員集まっての選抜発表が行われました。ですので、選抜にまた入れたことで喜んでいるメンバーと、選抜から落ちてしまって呆然としているメンバーとがいて、とても重い空気になっていて……。
■その空気は想像ができます。
地頭江 同じ空間に「選ばれた人間」と「選ばれなかった人間」がいて、どう声をかければいいかわからなくなっていたのですが、そんな時に阿紀ちゃんが「14周年でもシングルでも選抜メンバーが選ばれるけど、結局はHKT48全体でやることだから、みんなで頑張っていこうね」と声をかけてくれて、その言葉でみんな我に返りました。あれはすごい時間だったと思います。
■その言葉の通り、HKT48はみんなで作るものですからね。センターに選ばれたことはご家族にはどのように伝えましたか?
地頭江 LINEで送りました。うちは三姉妹なのですが、三姉妹と母だけの家族グループがあるので、まずはそこで伝えて、パパには個別で。(笑) パパは7月生まれなので「誕生日プレゼントを貰えたみたいで嬉しい!」と言ってくれて、すごく嬉しかったです。
■一番喜んでくれたのはどなたでしたか?
地頭江 もちろん家族もそうですが、やはりファンのみなさんだと思います。センターが発表されたタイミングでも、私のファンの女の子の悲鳴が聞こえまして、お見送りの時も感動して涙でお顔がぐちゃぐちゃになっていたり、私に言葉をかけようとしながらも言葉が出て来なかったりする方がいらっしゃって……。でも喜んでいただいていることが表情でわかり、とてもグッと来ました。
■ファンの方は本当に胸がいっぱいになっていると思います。今作を通して、センターとして意識して行いたいことはなんですか?
地頭江 メンバー内での発表があってから、みなさんに発表されるまで、いろいろなことを考えたのですが、私は9年目で初めてのセンターで、しかも私は選抜から落ちてから復帰までに3~4年かかったり、握手会などでたくさんの方が会いに来てくださるまでにも4~5年かかったりと、ひとつひとつのことに長い時間がかかってきました。ですが、長く続けてきたことや、長く努力をしてきたことが、今回のこの結果に繋がることを証明できたのではないかなと思っています。長く続けること、長くいることに意味があるとメンバーが感じてくれていたら嬉しいです。
■その言葉を聞くと、ファンのみなさんも「頑張ろう!」という気持ちになれると思います。今回選抜入りしたみなさんは、今作をどのように作っていきたいですか?
豊永 楽曲としては、本当にもう「ザ・夏曲」ですよね。今までのHKT48にももちろん夏曲はたくさんあって、バリエーションもあるのですが、今作は曲調が大人っぽくなっています。より自分の切なさのようなところが引き出される楽曲にもなると思うのですが、「夏」と「切なさ」の相性はとても良くて、特にHKT48が夏に味わうライブや野外イベントは、毎年思い出深いものになるので、そこのキーアイテムというか、戦える武器になると感じています。“12秒”や、“早送りカレンダー”のように、「夏といえばコレで戦うよね!」という曲になっていくのではないでしょうか。
市村 “半袖天使”はライブでもすごく盛り上がるだろうなという曲ですし、やっぱりライブはメンバーだけで作るものではなく、ファンのみなさまと一緒に作るものなので、この楽曲も私たちのパフォーマンスとファンの方のコールで成長していくと思っています。そして、HKT48の仲の良さや明るさ、元気さ、今まで積み重ねてきたものを入れつつも、この曲はとても爽やかな曲でもあり、ダイナミックさもあると感じているので、みんなで新しい色を加えていけるように作っていきたいです。
江口 私はこの曲を初めて聴いた時に「可愛い!」と思いました。HKT48らしさがあり、曲調も切ない感じがあるけど、ポップな感じでもあって、聴いていて元気が出るというか、笑顔になれる曲だと感じたので、メンバーみんなで“半袖天使”のHKT48らしさをたくさん出して、たくさんの方にこの曲を聴いて笑顔になってもらえればと思います。
梁瀬 HKT48は秋元先生が書いてくださる素敵な歌詞を歌っているのですが、その楽曲をどう作っていくか、どう育てていくかは、私たちメンバーとファンの方によって決まっていくのではないかなと思っています。私は今回が3作目の選抜メンバー入りになるのですが、ザ・HKT48という明るくて楽しい楽曲を歌えるということで、この曲がライブで流れたら気持ちが盛り上がるほどの楽曲に育てていけるように、全メンバーで今回のシングルを盛り上げていきたいなと思います。
■やっぱり曲は育てていくものなんですね。そんな生まれたてホヤホヤの新曲を初めて聴いた時の感想や、好きなところを教えてください。
地頭江 私、今年で25歳になるんですよ。制服の曲で、自分がセンターでいいのかな……?って。(笑) 制服という歳でもないですし、天使というガラでもないので、少し戸惑ったのですが、今までのHKT48の夏曲は、「昼間の太陽、海」というイメージだったことに対し、“半袖の天使”は、夏の夕暮れのようなイメージがあり、歌詞は学生視点ですが、少し大人っぽくてエモーショナルな感じがあると思いました。
豊永 全く違う感想になるのですが、「青春アニメのオープニングっぽい」と感じたんです。AメロやBメロのメロディラインが、今までにない感じというか、アニメのオープニングのようで。しかもこの健全さというか、透き通った若さのようなものが、朝に放送しているアニメ感に繋がるのではないかなと思います。でも歌詞をよく読むと、ちょっと大人っぽいんですよね。たまに出てくる大人なメロディラインに、音々ちゃんがセンターを務める意味があるなと思います。それが総じて今のHKT48だと感じています。
市村 まず最初に、タイトルの“半袖天使”という4文字を見て不思議に思ったんです。(笑) このタイトルって、ありそうでないですよね。私だったら「片思い天使」みたいなタイトルをつけると思うのですが、「半袖」で「夏」を表現しながら、助詞も抜いて“半袖天使”というタイトルを選ぶあたりが、やっぱり秋元先生だな、私は凡人なんだなと思います。もともとHKT48の楽曲はタイトルが独特なので、そういうところもあって嬉しいです。
江口 初めて聴いた時は「可愛い!」と思いましたし、“早送りカレンダー”と雰囲気が似てるなと思いまして。歌詞を見ると制服の高校生のことを歌っていて、私は今高校3年生なので、自分にはぴったりだなと感じたんです。
地頭江 あははは~。(笑)
■地頭江さん、目を逸らさないでください。(笑)
江口 高校3年生の私が出せる「自分らしさ」を存分に見せられる楽曲なのかもしれないと思い、すごく嬉しく感じました。聴いてくださる中には高校生の方も大人の方もたくさんいらっしゃいますが、共感できる部分がたくさんある歌詞なので、楽しんでいただけたらいいなと思っています。
梁瀬 初めて歌詞を見た時は、「ザ・HKT48の曲が来た!」と思って嬉しく思ったのですが、今まで私が歌った曲は“バケツを被れ!”と、“僕はやっと君を心配できる”で、秋元先生がファンの方々に伝えたいことを歌で伝えてくれているような感覚があり、私たちもその曲を歌うことによって、ファンの方に想いを伝えていっていると感じていました。でも、今回の楽曲は、フィクションというか、私たちが「半袖の天使」に恋をしなければいけないということで、そこに難しさを感じたんです。半袖の天使になりきって、恋をして、ファンの方にも恋をする。その純粋さとドキドキ感を味わってもらうために、私たちは恋をしなければいけないので、そこを極めていきたいなと思いました。
■難しいところですよね。自分たちも半袖の天使になる必要がありますし、半袖の天使に想いを寄せる「僕」にもならなければいけないし。この主人公の「僕」はどんな人だと思いますか?私は男子校の学生だと思いました。
豊永 私は共学のどこのグループにも属していないけど、隅にいるタイプでもない、誰とでもうまくやれる感じの子だと思いました。あと、受験生ではないと思います。受験生は退屈な一日を送らないので。(笑)
■確かに。でも初夏ならギリギリですよね。もう大人になっているかもしれませんよ?
地頭江 「僕」が高校生だとしたら、「女子高生」と表現はしないと思います。そのあたりを見ると私は大人に感じますね。
豊永 それなら、大学生くらいでしょうか。自分が高校に通っていたら、夏服になってもなんとも思わない気がするので。大学生や大人になると「みんないつから夏服着る?」という読み合いもありますしね。(笑)
■大学生くらい、それも19歳くらいだと丁度いいのかもしれませんね。ちょうど19枚目のシングルですし。(笑)
地頭江 ホントだ!ちょうど19枚目ですね、私たちも気づいていませんでした。(笑)
■ちょうど大学生は夏休みも長くて退屈ですからね。(笑) “半袖天使”を歌う上で大切にしたことはなんですか?
梁瀬 ファンの方はやはり大人の方が多いので、学生時代の青春を思い出し、心をキュンキュンさせてほしくて、私たちが半袖の天使になりきって、大人になっても愛と純粋さを失わないように、私たちがその気持ちを思い出させられるように、キラキラした恋をしている感じで歌いました。それを受け止めてほしいです。
江口 私は高校生なので、自分にとても合っている曲だと思いました。大人ぶらず、素の自分で歌いました。あんまり背伸びしていない感じですが、自分らしさを出すように、可愛く元気にHKT48らしく、明るく楽曲を作れるように歌いました。
市村 私はいただいた歌割りの部分のキーが、曲の中でも一番低いのではないかというくらい低かったのですが、曲自体は明るいので、低いまま歌ってしまうと雰囲気が変わってしまうと思い、キーは低いのですが、明るく楽しく歌うことを意識しました。歌い方もいつもとは少し変えていますので、これからもいろいろと挑戦していきたいと思います。この歌詞は「学生」の歌詞で、私は年齢的に20歳も超えて大人なのですが、この曲を歌って踊っている時は、学生の頃を思い出しながら、学生になりきって表現できたらと思っています。
豊永 ここ最近の2作は、メッセージ性が強い楽曲だったので、言葉の裏にある想いを込めながら歌っていたのですが、今回の楽曲は受け取り方がいかようにもなるというか、リスナー様に委ねる方が届くと思っています。ですので、深く考えすぎずに、でも原色の明るさの曲ではないので、キラキラした気持ちで、歌詞のまま素直に歌った印象があります。特に歌割りは10代のふたりと一緒だったので、だからといって若い声にしようというわけではなく、晴れやかな空をイメージして歌ってみました。みんなの歌声が集まったらまた全然違うと思うのですが、自分では素直に歌えたと思います。
地頭江 歌詞を見て最初に目に入ったのが、「大人になったって 愛と純粋さ 失いたくない」という歌詞でした。私は結構、カッコつけちゃうタイプなんですよ。弱みを見せたくないというか、特に後輩には「悩んでいそう」「心配そう」と思われたくなくて、カッコつけてしまうし、自分の中でも自分にそう言い聞かせていたんです。でも、この歌詞を読んで、「大人になって自分の気持ちに素直に向き合うことってなかったな」と思い、普通に歌ってみようと考えました。今まではいただいた歌割りに対して、「ここはこうやって歌った方がカッコいいかな?」、「自分はこういう役割だから、こういう歌詞をいただいたのだろうな」と深読みをしがちだったのですが、今回は思ったまま、感じたままに歌っています。