ICEx VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

『インストール』は、その人の深読み次第で、いろんな風に解釈の広がっていく歌。

通算6枚目、7月23日にICExが6thシングル『インストール』をリリース。本作は、彼らが提示する「レトロトイポップ」という音楽スタイルをさらに進化させた楽曲に仕上がった。3Typeに分けた作品のカップリング曲には、“青と白”、“ALPHA”、“Jerry Besns”と異なる楽曲を収録。中でも“青と白”は、志賀李玖が主演しているドラマ「六月のタイムマシン」のオープニング主題歌としても起用されている。さらに初回限定盤Aには、「ICEx アウトドア」と題し、メンバーらがアウトドアに挑戦した模様を映像収録。初回限定盤Bには、『ICEx SecondConcert Tour 2025 “ROUTE-8”』の中からライブ映像をピックアップ。さらに、ツアードキュメント映像も収録される。この作品の魅力を、メンバーを代表して、阿久根温世、志賀李玖、千田波空斗、中村旺太郎の4人が語ってくれた。

■みなさん連日忙しく動いていますよね。例えばですが「こんな機能を身体にインストールできたらいいな」と思うことはありませんか?

中村 10分で体力を回復できる「瞬間急速回復機能」が欲しいです。その機能があったら、長丁場の現場でもすぐに自分の体力を回復できるから、ぜひインストールしたいですね。

千田 自分は「何でも直せる機能」が欲しいです。この機能があったら、自分の体調もすぐに直せますし、街中で壊れたものがあれば、それだってすぐに直せちゃいますからね。あと、もう一つ欲しい機能があります。それは「植物を増やす能力」です。

中村 彼は観葉植物を育てているんで。

千田 癒しを求めて観葉植物を育てているので、そういう機能もインストールできたら嬉しいなと思って。(笑)

志賀 僕は「頭の中で、まとまった文章を瞬間で作れる機能」が欲しいです。この職業柄、人前に出て話をする機会が多いから、そういう時に自分の考えていることをすぐにまとめて話せたらいいなと思って。

■こういう取材を繰り返しているうちに、自然にまとめ方も上手くなったりしませんか?

志賀 答えを重ねることで、自分の中でどんどん整理されて話しやすくはなりますね。ただ、緊張しちゃうと自分の話したいことをしっかり話せずに、後で後悔することも多いから、伝えたいことを一瞬で綺麗にまとめて話せたらいいなと思います。それと、唐突に来た質問に即座に言葉を返していくことも、そこまで得意ではないから、そういうところもしっかり対応できるようになりたいです。

阿久根 僕は「寝たい時はしっかり寝れる機能」が欲しいです。僕の寝付きが悪いのもありますけど、いつも深夜の3時〜4時頃まで寝られずに起きてしまうので……。しかも「眠いな」という感覚がありながらも、寝る前にお風呂に入ると逆に眠気が覚めてしまい、朝方までずっと起きてしまうということもよくあります。だからこそ「寝たいと思った時に眠れる機能があると、体調の面でもベストなコンディションを作れるな」と思うことがあります。

千田 やっぱり睡眠はしっかり取っておかないとね。次の日に響いちゃうから。

■志賀さんは、ドラマ「六月のタイムマシン」では主役を担っていますが、ドラマの撮影は朝早くから遅い時間にまでになることもありますよね?

志賀 朝早いことは多いですけど、自分はいつでも、どこでも寝られるタイプだから、そんなに心配はしていません。むしろ、いつもは気心知れた仲間たちと一緒に活動をしているけど、ドラマの撮影だと、みんなから離れて一人で現場に行くから、ちょっと心細いですけどね。でも、今回は八神(遼介)も一緒だから、安心感はありますけど。

■最新シングルのタイトルが『インストール』ですが、この曲は感情を持たないと言われるロボットに、「初恋」というプログラムがインストールされたら……という内容でした。みなさんはこの歌詞を読んだ時、どんな印象を持ちましたか?

阿久根 ロボットを人に例えたらの話になりますが、人が恋愛をしていく中で、なかなか上手くいかず、感情的に揺らいでしまうことってあるじゃないですか。それってロボットに例えたらバグ的なもので、僕はそう捉えながら表現をしました。曲調や歌唱面の話になりますが、この曲では3人のメンバーがラップに挑戦しています。僕もその中の一人としてチャレンジしました。自分自身、初めての挑戦というのもありましたけど、しっかりとリズムに乗って滑舌よく伝えていくのは、思っていた以上に難しかったです。曲調が全体的にポップでキャッチーで明るいからこそ、ラップの部分でカッコよさを見せて、上手くギャップも出せました。

中村 ロボットからしたら、まだ感情がまっさらなわけじゃないですか。すべての体験が初めてになる分、受け入れられることもあれば、ロボットにとって相手の行動が理解不能だったら、排除する可能性だって出てきますよね。

千田 確かにね。ロボットが初めて恋愛をする人として捉えたら、「好き」という感情自体がわからなくて、謎だらけのことになるから、初めて恋をした時の人間と同じような態度を示すのかも知れないですよね。例えばを繋ぐこと一つを取っても、「この人とは手を繋ぐ?」、「それはどうしてだろう?」から始まって、いろんな思いを巡らせていって、ときには他の人たちから教わり、一つ一つ学びながら反応を学習したり、その上で最終的にいい恋が生まれたらいいなと思います。

■ロボットにそれを教える人次第で、相手(ロボット)の学びにもいろんな経験の蓄積が出ていって、教えた相手次第では、その人の色に染まっていく可能性だってありますよね。

千田 そうですね。教える人が悪い人だったら怖いですよね……。でも教える人がとても愛情の深い人でいい恋愛を教えてあげたら、ロボットもいい恋愛をしていけるんじゃないかな。もし僕が同じ立場だったらどうするだろうなぁ……。僕は何事もそうだけど、迷っている人がいたら教えてあげたくなる性格なので。それこそ「手を繋ぎたくても手を繋げない」というウブな人がいたら、その姿がすごくかわいく見えてしまうあまり、「どうやったら手を繋げるか」を教えてあげたくなる。何も知らない人とかに教えながら、その目的を達成するまで導けたら、僕自身はすごく嬉しい気持ちになるんだろうなと想像します。

中村 そう考えたら、ロボットも人間もゼロから学んで成長していく面では何ら変わらないのかも知れないですよね。“インストール”の歌詞では、ロボットが恋をしていますけど、実はロボットに置き換えているだけで、人のことを言っているんじゃないかな?そんな風に僕はこの歌詞を受け止めました。“インストール”の歌詞は、その人の深読み次第でいろんな風に解釈の広がっていく歌だと思います。

千田 “インストール”の歌詞の中でロボットがバグってしまい、「会いたい 痛い 痛い どっか壊れちゃったみたい」となっていく様が書かれているんですけど、普通の人でも、思ったようにいかなくて気持ちがバグってしまうこともあるから、人もロボットも変わらないのかなと思ってしまいますよね。

志賀 確かに。僕はこの歌詞をロボットと人という関係で捉えていたけど、波空斗(千田)や旺太郎(中村)が言ってたように、ロボットを人に当てはめて捉えてもリアリティを感じるというか、解釈は一緒だなと、2人の言葉を聞いて気づかされました。

千田 そこが“インストール”の面白いところですね。

■“インストール”に限らず、歌い踊っていく中で、歌詞の解釈が変わっていくことも多いのでしょうか?

千田 最初は自分なりに解釈した思いで歌い、パフォーマンスをしていくのが主だけど、取材などを通して、メンバーみんなのとらえ方を聞くことで、より解釈が深まり、それが自然に反映していくことが多いかもしれません。

中村 そうですね。活動を始めて間もない頃は、みんなで「こういう解釈で表現していこう」としてきた面があったけど、経験を重ねていく中で、「これはどういう意味を持った歌詞なのか、何を伝えようとしているのか、どういう感情で歌うと良いのか」など、それぞれが解釈を深めていくようになった面はあるかなと思っています。例えば、カップリング曲に収録した“青と白”。この曲は李玖(志賀)が主演のドラマ、「六月のタイムマシン」の主題歌で、歌詞もその内容に寄り添っているんですけど、ドラマを抜きにして歌詞の意味を捉える人だっているわけじゃないですか。そうすると、ドラマとは関係ない視点での解釈だって当たり前に生まれていくと思うんです。自分なりに歌詞を読み解く面白さって、そういうところにあるのかなと自分は思っています。むしろ、その人なりに歌詞をどう解釈していくのかが、楽曲を聴く上での楽しさですからね。

千田 自分はドラマを観ているから、歌詞とドラマをリンクさせて歌っていますけど、あのドラマ、すごく面白いよね。

■志賀さんはドラマの主人公ですから、やはり“青と白”をドラマと結びつけて表現していますか?

志賀 ドラマのために作った曲でもあるから、もちろんドラマ寄りの印象で楽曲を受け止めていますけど、ICExとしてパフォーマンスをしていると、ドラマの曲という意識ではなく、ICExのメンバーのことを当てはめてしまうというか。“青と白”はすごく夏の青春を感じさせる曲じゃないですか。歌詞にも青春を感じさせるワードがたくさん散りばめられているから、ICExとしてパフォーマンスをしている時には、この曲をICExのメンバーたちを映し出した青春の歌として捉えています。

■本作には“青と色”、“ALPHA”、“Jerry Besns”と、盤ごとに異なるカップリング曲を収録していますが、それぞれの曲調が……。

中村 全く違いますよね。“青と色”は青春を感じさせる曲なら、“ALPHA”は激しい曲調だし、“Jerry Besns”はゆったりとしているから、表題曲の“インストール”を含め、今回のシングルを聴くことで、いろいろなICExを楽しめます。

千田 もし、この4曲だけでライブをやるとなったら、すごく面白い内容になると思います。1曲ごとに気持ちを切り替えていくのはもちろん、ダンスも歌声の表情も、歌う時の顔の表情も全部違います。それくらい刺激的な曲たちばかりが今回は出揃ったなと感じています。

中村 今回のシングル作品は、結果的にICExとして表現していく音楽性の振り幅も広げてくれました。僕らも成長し続けてきた自分たちの力を遺憾なく発揮していけたなと思っているし、自分たちにも良い刺激を与えてくれたシングル作品になりました。中でも“ALPHA”は、ICExにとって初めて挑戦する曲調で、自分の中の欲望をさらけ出すような楽曲に触れたのは初めてだったので、この曲をどうライブでパフォーマンスしていくのか、僕らも楽しみにしています。

■初回生産限定盤AのBlu-rayに収録された『ICEx Second Concert Tour 2025“ROUTE-8”』では、前ツアーのライブ映像をピックアップした形で味わえます。

阿久根 「ROUTE-8」と題した、ICExにとって通算2度目となるツアーは、メンバー1人1人にフォーカスしたブロックを組み入れた内容で、1人1人の特技や武器となる姿をみなさんに見せるという、新しい演出でやってみたライブだったんです。ファンの方々からも「すごく良かった」、「楽しかったよ」と言ってもらえたのが本当に嬉しくて。あの時の経験は、間違いなく今後にも繋がっていくと思います。「ROUTE-8」ツアーの話にはなってしまうんですけど、あの時のライブでは、自分はビートボックスを初披露するなど、それぞれもそうだし、グループとしても初めて見せる面がいろいろとありました。今回の映像では、その中からピックアップした形ですけど、あの時の臨場感を味わってもらえたら嬉しく思います。

志賀 しかもメイキング映像も収録されているので、COOLer(ICExのファンネーム)のみんなも、準備運動中の様子など、普段の活動では見られない僕らの日常の姿をいろいろと見られるので、すごく貴重な映像にもなっています。

千田 「ROUTE-8」の時の演出が、1人1人をピックアップしていくということだったから、それぞれが自分に課題を課して、どう見せていこうかを考えて実践しました。普段は緊張しないメンバーでも、あの時は緊張した姿を見せていたように、この映像でしか見られないメンバーの姿もいろいろ見えてくるし、とてもいいメイキング映像になっています。