INORAN VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

INORAN『2019』

一人は嫌い、ファミリーができたことが表現欲求につながっている

LUNA SEAのギタリストであるINORANが、自身12枚目となるオリジナルソロアルバム『2019』を8月7日にリリースする。今年デビュー30周年を迎えるLUNA SEAのメンバーである一方、様々な音楽ユニットやプロデュースを手がけるなど、幅広く活動を展開し、いまだ精力的な動きを見せるINORAN。オリジナルソロアルバムとしては3年ぶりの作品となった今作は、元YELLOW FRIED CHICKENz、Fadeのジョン・アンダーダウンやマーロン・セクストンらの手がけた英詞をフィーチャーし、海外標準を感じさせるバラエティーに富んだ音構成で仕上がっている。タイトルも非常に印象的なこのアルバムに関し、INORANにインタビューを敢行、合わせて自身のソロ活動に対する思いなどを改めて語ってもらった。

■今回INORANさんがリリースされるニューアルバム『2019』ですが、タイトルに冠されるほど、2019年はご自身にとって、なんらか大きな節目に感じるものがあるのでしょうか?

INORAN いや、それほど大きなものはありませんが…。でもアルバムを出すときは、いつも自分自身の節目だと思っていますし、結果は後からついてくるものだと思っています。このタイトルにしたのは、もちろんLUNA SEAが30周年だということもあるけど、どちらかというと時代の流れが変わったな、と感じることのほうが大きいです。元号も平成から令和に、それもお祝いムードの中で変わったので。

■なるほど。

INORAN 元号の変化は、僕はまだ2回しか経験したことないですが、平成に変わったときとは全然違うし、時代背景ももちろん違う。だから、その時期の近辺にこのタイトルが浮かんだんですけど、昭和から平成に代わるときと比べると、本当に世の中のムードがいいですよね。今年はラグビーのワールドカップもあるし、来年はオリンピック/パラリンピックもあるし、ワクワクしている感じが目に見えてくるというか。合わせて、今までの「俺が、俺が」というだけの時代も終わって、強さも出てきたというか。こういう年、こんな風にいろんなことが重なる年はそうないだろうし、何年後かには「この年って、すごく節目だったな」と、みんなが思う年になるだろうと思って。タイトルとしていいなと考えたんですよね。

■ご自身でも、気分が上がっていくイメージや時の流れを感じたということですか?その様子に合わせて「よし、自分もやってやろう」みたいなアクティブな思いがパッと出てきたりもしたのでしょうか?

INORAN そうですね。自分にできることはやりたいですね。やれることには限りはないし、いつでもいける準備もある。逆にやめる準備もあるし。やっぱり一日一日一生懸命、いい日にしていきたい。そういう思いはあります。いろんな物事って、終わりが必ず来るんだけど、それを意識するというのも大事だし、この年になってから、なおさらそういうのを感じるようになったし。生きることは当然のことだと思うけど「だからこそ精いっぱい生きようよ」って。一瞬一瞬、情熱を燃やしていくというか。俺は音楽をやって、ミュージシャンをやっているわけだし、当然そういうものを曲とかライブとかに投下していきたいと思っています。

■以前にアルバムを出したタイミングとは、そういう思いもだいぶ違ってきている感じはありますか?

INORAN 確かに。でもその変化も徐々にですけど。いろんな人が待っていてくれた中でLUNA SEAが復活できたりとか、いまだにたくさんの人たちに応援してもらっているし。レーベルだってそうですよね。いままで10枚以上も出してもらっているし、本当に僕は恵まれていると思います。だから、もらったものはやっぱり音楽で返したいと当然思う。そんな風に徐々に変わっていったというか、本当に生かされているように思います。それと合わせて、責任も深く感じるようになっていますね。

■今作はオリジナルアルバムとしては前作から約3年ぶりというタイミングですが、この3年間空いたというのは、その間に他の活動などで様々な思いの違いなどもあったのでしょうか?

INORAN いや、オリジナルのフルアルバムは3年ぶりですが、その間にセルフカバーアルバムと、またその翌年にDVDの映像作品もあって、それには新曲を3曲入れていて。だから、3年空いたように見えても、実は作品としてはつながっているし、この期間が空いたそのインターバルで特別な思いがあるというわけではないですね。

■そうでしたか。一方で今回のアルバムを作るにあたって、先程、意識的なものとしてタイミングというお話がありましたが、そういうものも含めて、「こういうアルバムにしたい、こんなふうに聴いてもらえるアルバムにしたい」という、コンセプト的なものは何かあったのでしょうか?

INORAN まず単純に「ライブをやりたい」というところからですかね。たくさんライブをやりたいし、そのためにはお土産を持ってみんなのところに遊びに行きたい。ライブはライブで、もっといいライブにしたいというのもあるけどね。「じゃあ、こういう曲があったらいいよね」とか、そんな感じで、みんなライブに直結するような思いで曲を作りました。

■曲はいつくらいから作り始めたのでしょうか?

INORAN 今年の2月くらいから作り始めて、3月くらいからレコーディングをし始めたんです。曲作りは一気にやりました。

■その際にコンセプトの詳細みたいなものを先にバッと決めて、曲を集めてみたり?

INORAN いや、今はLUNA SEAの曲も作っているんですけど、実はLUNA SEAと時期が重なってしまいまして。2枚同時に、というのも恵まれたというか、ありがたいんですが、カオスな状態で…。何が生まれるかと自分を迷わせて、さらに迷わせて、っていう感じで作っていましたね。(笑)

■LUNA SEAの楽曲と一緒に作るとなると、なかなか大変そうですよね。今もカオスだったというお話もありましたが、お仕事としてはどうやって整理をつけておこなわれているのでしょうか?

INORAN でも、そういう整理みたいなことはスケジュールだけでしたかね。やることは一緒なので。だからプレイすることと一緒だし、そこはそんなに意識はしなかったです。