INORAN VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

INORAN『2019』

■そのころには自分としてはアーティストとしてのアイデンティティを意識するということはなかったのでしょうか?

INORAN 僕はギターを始めても、ギターソロに魅力を感じなかったりとか、最初からバッキングギターを弾いていたりとか、いわゆるみんなが思い描くギタリスト像からはズレていたんだと思うんです。(笑) ソロで歌うとか、ギターをフィーチャリングするとか、インストにするとか、そういう思いはなかったので、いわゆる一般的なギタリストとはズレていると思います。

■バンドとして活動したというキャリアがソロの前にすごく大きなキャリアとしてあり、その後ソロというキャリアが始まったわけですが、そのときは今後ずっとこうしていくのかなとか、こっちに注力していくのかな、みたいなことを考えたりは無かったのでしょうか?

INORAN 一枚目のときには全く考えていなくて、その次を出したのも3年後くらいだったし。本当にLUNA SEAが完全に無期限活動休止したその直後にも、全く考えていなかったですね、パーマネントな感じという風には。

■ちなみに、普通はあまり考えることはないかもしれないんですが、LUNA SEAを始めてから、将来的にソロになるということを考えたことはなかったですか?例えば、LUNA SEAがまだメジャーデビューする前とか。

INORAN それは全くなかったですね。バンド5人で、もちろん支えてくれる周りのスタッフとかも入れると5人だけではないですけど、あの頃は本当に並大抵ならぬ覚悟を決めてやっていたし、あの時代に武道館に行くには、東京ドームでやるには、ということを全身全霊で考えてやってきたので。ソロでやるという考えは全くなかったです。

■でも、それがまず一枚ソロアルバムを作り、その後も一年ずつに一枚出したりと、だんだんと続けていくうちに、そこからはやっぱりバンドの一員というよりは、INORANという名前でやっていくんだという自覚が芽生えきた、という感じですか?

INORAN そうですね。その無期限活動休止のときには、自分なりに覚悟を決めて、その休止に賛同したほうですし。なぜかというと、やっぱり30代では、もっとそれぞれみんな勉強しないといけないし、それぞれやっぱり力をつけたい、つけていこう!ということになったから。だから、自分の決意表明を示す意味でも、ソロ作品を作ったんです。そして、そこから先はそこに自分のファミリーができて、増えていくわけで。レコードレーベルの人だったり、自分の事務所のスタッフだったりとか。だからもうやめるわけにはいかない。そんなところで、自分のアイデンティティが形になっていたという感じです。自分のエゴとか、自分の表現欲求とかではないですね。

■そうだったんですね。なかなか一人で作っていくのも辛いな、というときはありませんでしたか?

INORAN 曲を生み出すこと自体には、辛いと思ったことはほぼないですね。0.001%くらい。(笑) それはなかったです。

■そうでしたか。ではある時点で、この活動はご自身の中で確立されていった感じでもあると?

INORAN まあ確立してきた、と表現するならばやりながら確立していった、という感じですね。本当にもうやりながら作っていきました。だから本当にLUNA SEAが活動休止になったときに、本当の自分自身の身の丈を知るんです。例えばLUNA SEAの打ち上げの関係者は1,500人とか来ていただいたんですが、それが自分がソロでやると数人しか残っていないんですよ。その差がものすごくエグいというか。(笑) でも、それで身の丈がわかる。本当に自分のパーティーを開いたときに「ああ、こういうものなんだ」って。でもその中でも、毎回来てくれる人、毎回必ずサポートしてくれる人がいて、今でもその人との付き合いはもちろんあるけど、多分自分の家族よりも僕の悩みを知っている人とかがいっぱいいます。(笑)

■それが、つまり新しくできたファミリーということですね。

INORAN まさしく。それをやっぱり大きく、というわけじゃないですけど、本当に自分と作ったものを喜び、楽しいことを一緒に共有できる場所を作っていきたいと思っているんです。僕にはそれが表現欲求につながると思うし、本当にそういう気持ちだと思います。

Interview & Text:桂伸也

PROFILE
LUNA SEAのギタリストとしてデビューし、活動を展開する一方で、1997年にソロとしての活動を開始。1stアルバム『想』では、世界的アーティストDJ KRUSHとタッグを組み、当時まだ日本ではメジャーではなかったHip Hopを取り入れた最先端の音楽を表現し、大きな注目を集める。また洋楽ファンからも支持の高かったFAKE?のメンバーとしての活動、FEEDER のTAKA等と結成した多国籍バンド Muddy Apesの活動や、香港ではGUN’S AND ROSESのオープニング・アクトを務めたり、LUNA SEAの河村隆一らと結成したTourbillonでは、日本武道館でデビューライブを飾る等精力的な音楽活動を展開。その他、2008年には映画「《a》symmetry」の音楽プロデュースや、日本最大級のファッションショー「KOBE COLLECTION」での楽曲提供及びモデル参加等、活動の場を広げている。
http://inoran.org/

RELEASE
『2019』

INORAN『2019』

完全生産限定盤-PERFECT BOX-(CD+DVD+LP)
NKCD-6868
¥10,800(tax in)

INORAN『2019』

通常盤 (CD)
KICS-3829
¥3,240(tax in)

キングレコード
8月7日 ON SALE

LIVE
INORAN TOUR 2019「 COWBOY PUNI-SHIT 」
8月21日(水)新宿BLAZE <FC限定>
8月24日(土)神戸VARIT. <FC限定>
8月25日(日)LIVE ROXY静岡
8月31日(土)金沢AZ
9月1日(日)長野CLUB JUNK BOX
9月13日(金)広島SECOND CRUTCH
9月14日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
9月16日(月・祝)福岡DRUM Be-1
9月20日(金)仙台darwin
9月22日(日)名古屋ElectricLadyLand
9月23日(月・祝)OSAKA MUSE
<B-DAY LIVE CODE929/2019>
9月29日(日)TSUTAYA O-EAST
[料金] ¥6,300(税込)/DRINK代別
[一般発売日] 2019年7月20日(土)
※FC限定公演は一般発売無し