THE BEAT GARDEN『ONE MAN LIVE「THE NEST 2021」』ライブレポート@渋谷CLUB QUATTRO 12月28日(火)

THE BEAT GARDEN『ONE MAN LIVE 2021「THE NEST 2021」』ライブレポート@渋谷CLUB QUATTRO

THE BEAT GARDEN、3人体制初の有観客ワンマンで伝えたBeemerへの想い

昨年末12月28日、THE BEAT GARDENのワンマンライブ『THE NEST 2021』東京公演が、渋谷CLUB QUATTROにて開催された。今回は一部のライブをレポートする。2021年の夏におこなわれた、DJ SATORUの卒業を控えた4人体制でのツアー以来、約4ヵ月振りの有観客ライブとなったこの日。THE BEAT GARDENを続けられている嬉しさと、多くのBeemer(ファンの総称)を目の前に歌えた楽しさ、再会の喜びが溢れた公演となった。

幾度となくオーディエンスと目を合わせ、意思疎通できる喜びを噛みしめていたように見えた3人。ステージ前方に置かれたモニタースピーカーの間から身を乗り出し、フロアを見渡しながら1曲目に披露されたのは“Never End”。「この道は続いていく」の歌詞に新たな体制で続けていく覚悟が表れているようであり、この日のライブの序章のようでもあった。続いてUの切ない歌いだしで“花火”へ。時折目を閉じ気持ちを込めるように歌い、最後は3人で向かい合ってハーモニーを奏でた。「楽しんでいますか?元気?」とUが呼びかけると、会場のBeemerは拍手で応える。「伝わるよ。初めての人もそうじゃない人も最後まで楽しんでいってください」と“answer”でダンスフロアに染め上げる。コールアンドレスポンスができずとも手を挙げ意思疎通をはかり、十分に気持ちが伝わり合っているのをメンバーもBeemerも確認しているように笑みをこぼす。MASATOのワイルドな歌声、REIのクールな歌いっぷりや、Uの感情のこもった声がそれまでの2曲とは色を変え、ボーカリストとしても魅力が溢れる。サポートDJとして参加するkowta2のDJさばきも会場に熱を加え、3人とオーディエンスは一体となって盛り上がった。

「改めて」と自己紹介をした3人。「今日のために美容院に行きましたとか、メッセージを見るのが嬉しくて。今日はみんなを幸せにして帰らないとなと思っています」と挨拶したのはREI。「REIさんのMC好きなんですよ」とバトンタッチしたMASATOが「大掃除とか溜まってるんじゃないですか?仕事終わりの人もいるんでしょう?そんな中でみんな、暇ですね」と茶化すと、すかさずUが「失礼だね」と突っ込み、笑いを誘う。衣装を忘れたというサポートDJ、kowta2を紹介がてらいじってからUは「ライブ自体久々なんじゃないですか?会いに来てくれてありがとう!」と笑顔で感謝を伝えた。和やかな雰囲気のMCとパフォーマーとしての振舞い、どちらにもBeemerへの思いが溢れる温かい空間だ。

「自分たちの曲と好きな曲をマッシュアップしてメドレー形式でお届けします」と“THE BEAT GARDEN Original Mash Up Tokyo ver.”へ。“Fly Me High”から藤井風の“きらり”、久保田利伸の“LA・LA・LA LOVE SONG”から“夏の終わり 友達の終わり”へと次々と展開していく。“Konayuki”から続くYOASOBIの“夜に駆ける”では、終盤にある転調の直前の落ちサビが歌われ、転調すると同時に“Snow White Girl”へとドラマチックに繋がった。Dish//の“猫”、BTSの“Dynamite”など、アレンジが加わって披露されるカバーは初めて聴くような新鮮さもあり、THE BEAT GARDENの名曲とヒット曲のカバーが同時に聴ける贅沢な構成であった。「相手を想う気持ちが熱くなりすぎて、どうやって伝えたら良いんだろう、どうやって触れたらいいんだろうってもどかしく思う瞬間を切り取った曲です。好きな人、大切な人を思い浮かべてくれたら」と演奏したのは、新曲“ROMANCE”。都会的なトラックがお洒落に情景を想起させ、もどかしい距離感のふたりが描かれる。優しく歌うAメロBメロに対して、サビは歌詞に没入するように力強く歌い上げた。

「会えない間にどんな1年を過ごしていましたか?」と口を開いたU。「きっといろんなことがあったんじゃないかと思います。僕らも今年は別れと出会いの1年でした。未だにたくさん「受け入れられない」とか「寂しい」とかメッセージが届き続けています」伝わっているかを確認するように、ゆっくりと言葉を区切りながら話す。「でも、それでいいと思う。苦しいことを無理に受け入れなくていいと思います。素直に届けてくれてありがとう。そういう関係でいられることがすごく嬉しいです。僕も今年はいろいろあって、報われないなって思ったこともあった。でも1回きりの人生で、音楽を辞めようとは思わなかったし、前を向いて歩いていこうって思ったのはみんなのおかげです。あなた一人が、あなた一人ひとりがそこにいてくれるから、今日も、今日までも歌うことができています。THE BEAT GARDENを続けさせてくれて、本当にありがとうございます」と改めてファンへの感謝の気持ちを伝えた。「あなただけのことを思って精一杯歌います」と“みんなへ”に繋げ、Beemerへの気持ちを歌に乗せる。厳しい情勢を抜け、メンバーとの分かれ道で手を振った彼らの1年。支え続けたBeemerとの思い出を、Beemerへの思いを大切に歌った。

そして“スタートボタン”へ。サビで手を挙げ、オーディエンスと笑顔で顔を見合わせる。続けて披露された“ぬくもり”では、MASATOの歌うAメロでUとREIが向かい合ってコーラスを重ね、小さくハイタッチをする場面も。Beemerとの関係性だけでなく、メンバー同士の信頼も感じられた。ライブの最後を飾ったのは“Sky Drive”。声を出すことができない分、存分に躍らせようと言わんばかりの選曲だ。この日一番の低音がフロアに響く。靴がステージからはみ出るほどに身を乗り出した3人は、オーディエンスと対話するように目を合わせながら歌唱した。歌い終えた彼らは「一緒に嬉しい未来まで行きましょう。ありがとうございました」と、これからも一緒に歩むことを約束。3人で踏み出す未来への意気込みを言葉で、そしてパフォーマンスで伝えた。

Text:村上麗奈
Photo:Yuto Fukada

https://thebeatgarden.com/

THE BEAT GARDEN『ONE MAN LIVE「THE NEST 2021」』一部セットリスト
01. Never End
02. 花火
03. answer
04. THE BEAT GARDEN Original Mash Up Tokyo Ver./Fly Me High/きらり/FIRE/LA.LA.LA.LOVE SONG/夏の終わり 友達の終わり/猫/夏の終わり 友達の終わり/Dynamite/konayuki/夜に駆ける/Snow White Girl/紅蓮華/Fly Me High
05. ROMANCE
06. みんなへ
07. スタートボタン
08. ぬくもり
09. Sky Drive