ラストアイドル VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ラストアイドル『何人(なんびと)も』

殺陣に挑戦した前代未聞のダンスが完成!満身創痍のメンバーが壮絶な舞台裏を振り返る

ラストアイドルの新たな挑戦は「殺陣」。これまでも数々の斬新なパフォーマンスに挑戦してきたラストアイドルが、3ヶ月がかりで習得した殺陣をダンスに取り入れた作品が、9枚目のシングルとなる『何人(なんびと)も』だ。本作では「銀魂」や「進撃の巨人」の実写映画でアクション監督も務めた殺陣師・田渕景也が指導を行ない、過去2作に続いてバブリーダンスの仕掛け人として知られるakaneが振付を担当。ただ単に殺陣の要素を取り入れただけではなく、曲中で刀をぶつけ合う立ち回りも行なわれる前代未聞のパフォーマンスが完成した。21名の選抜メンバーの中から、阿部菜々実、長月翠、西村歩乃果、安田愛里の4人に、無傷ではいられなかったという壮絶な練習を振り返ってもらった。

■(取材日時点では)まだ振り付けは完成前ということで、MV撮影の動画を少しだけ見させてもらったんですけど、想像していた以上に刀を振り回していてビックリしました。やってみていかがでしたか?

西村 サビの中で殺陣の立ち回りをやるんですけど、それが新鮮でした。ただ、なかなかタイミングが合わなかったり、焦って間違えちゃったりして、そういうところは普通のダンスと違って難しかったです。

阿部 殺陣にはカウントがないので、曲の中でタイミングを揃えるのが難しいんです。あと、みんな役があって敵と戦ったんですけど、こんなMVは他にないと思うので完成が楽しみです。

■何か設定があったんですか?

長月 カセットテープを持って逃げているんですけど、それを追手に奪われて、7人の女子校生侍たちが取り返しに行くみたいなストーリーです。

阿部 それぞれ戦う敵が決まっていて、私はラスボスみたいな敵が相手だったんです。ラスボスは火の使い手だったので、火に囲まれながら戦いました。

長月 私が戦った敵は座頭市みたいな、目が見えないけど音だけでこっちの動きがわかるんです。私、あんまり殺陣が得意じゃないので、すごい緊張してやりました。

西村 私は敵が2人いたんですよ。中国拳法の使い手で、ひとりは青竜刀で、もうひとりは爪で戦ってくるんです。普通の刀なら練習で慣れていたんですけど、青竜刀は大きいし、当たったときに「バイン!」みたいな音が鳴るから怖くて…。爪も刀よりも距離感が近いので怖くて、両方とも不慣れな相手だったので大変でした。

安田 私はいちばんノーマルでした。篠原望ちゃんと小澤愛実ちゃんと3人で敵を狩るっていう役です。

■めちゃくちゃ面白そうですね!練習の過程は番組(テレビ朝日系『ラスアイ、よろしく!』)でも放送されていましたけど、かなり大変だったんじゃないですか?

阿部 最初の方は本当にキツかったです。練習があった日は、お箸を持つ時に反対の手で支えないとご飯が食べられないくらい筋肉痛になりました。

長月 私はもともと殺陣が好きで、舞台とかも観に行っていたので、「今回は誰よりもがんばるぞ!」って意気込んでいたんですけど、思いのほか体がついていかなくて。今は女性でも殺陣をやっている方がいっぱいいますけど、みなさんすごい努力をしているんだなって、身にしみて感じました。

■みなさんは学生時代に運動部の経験とかあるんですか?

安田 ここ2人(安田と西村)はあります。

西村 私はソフトテニスを6年やっていました。

■その経験は役立ちましたか?

西村 たぶん役立ったんじゃないかなと思います。でも、殺陣をやる前は自信があったんですけど、やってみたら(A〜Cの3段階でクラス分けした)テストの結果がBで、ちょっとショックを受けちゃって。そこからがんばって這い上がりました。

安田 私も6年くらいバスケットボールをしていたんですけど、あんまり役には立たなかったです。(笑)

■テニスの方が動きの近さはありますよね。(笑) 素振りとかもやっていたんですか?

長月 私はテストで「Cに限りなく近いB」と言われて、めちゃくちゃ悔しくて。次の練習までに毎日1500回素振りしたんですよ。でも、その練習で田渕先生から「本当に振ってきたか?」って言われちゃって…。あとから気づいたんですけど、疲れている時に素振りすると形が崩れちゃうんです。それからは量より質を重視して、1日30回とか、調子がいい日は200回とか、日によって変えるようにしました。

■200回でも相当な量ですけどね。そういう自主練は家でやっていたんですか?

長月 家でやっていました。天井に何回もぶつけちゃって、穴が空くかと思いました。(笑)

西村 私も家とか、公園とか、あとはスタジオを借りてやったりとか。

■公園で素振りしていて、変な目で見られませんでしたか?

西村 公園は他のメンバーと一緒にやっていたので、上手く紛れ込めていたと思います。(笑)

■その光景に出会いたかったです。(笑) それだけ練習していたら、手にマメができたりもしたんじゃないですか?

阿部 小指で底の部分を支えるので、最初の方は皮が剥けて痛かったんですけど、最近は皮膚が厚くなったのか大丈夫になりました。足の裏も皮膚が剥けちゃって、そっちの方がツラかったかもしれないです。あと、練習していると、どうしても当てちゃうし、当たっちゃうんです。知らない間に指にあざができて、あとから痛くなったりもしました。

長月 私も二の腕らへんにずっとあざができていて。やっている時は、全然気づかないんですよ。練習が終わって鏡を見たら真っ青になっていて…。そういうことは何回かありました。

西村 私も小指が痛くて、常にテーピングをしていました。あと、練習中に一回「バーン」ってなって、すごい腫れちゃったんです。私の場合はぶつけた瞬間から痛くて、その日は練習に集中できなくて、結構しんどかったです。

■安田さんも怪我はありましたか?

安田 私はありがたいことに、手の皮も足の皮も分厚くて。(笑) 練習終わりにカメラが来て、「怪我してないですか?」とか言われるんですけど、全然大丈夫だったから、逆に練習していないように見えちゃって。(笑) あと、だんだん筋肉がついてきたのか、二の腕がもりっとしてきちゃったので、太くならないように家に帰ってからずっとほぐしていました。

■殺陣への挑戦を経て、活動に対する気持ちの変化はありましたか?

阿部 もともとアクションに興味があって、やりたいなと思っていたんですけど、やっぱり見るのとやるのでは全然難しさが違うなと思いました。でも、やるからには上手になりたいし、MVのストーリーも感動的なので、それが見ている方に伝わればいいなと思います。

長月 私も自分でやってみて、役者さんに対する見方が変わったというか。努力しないで何かに挑戦することはできないと改めて感じました。あと、挑戦することは楽しいんだなって。今まではマイナスな気持ちで入っていた部分もあったんですけど、今回はプラスから入れたので、今後はなんでもプラスからがんばろうって思いました。

安田 私も今回の挑戦は絶対に自分にとってプラスになると思っていたので、ポジティブな感情で臨んだんですけど、最初のうちは全然できなさすぎて、やっぱり私は何をやってもダメなんだと思っちゃって…。でも、今がいちばん下だったら、あとは上がるしかないなと切り替えて、そこからはポジティブな気持ちに戻れました。それに最初の方は個人での基礎練習が多かったんですけど、最近は初披露に向けてみんなで作り上げているところで、それがすごく楽しいんです。ラストアイドルは一致団結した時に強さを発揮するグループだと思うので、殺陣企画ができてよかったなと思います。

西村 私は今まで恵まれた立ち位置にいることが多かったんですけど、(オーディションで立ち位置が決まった前作)『愛を知る』の時に2列目の7番になっちゃって、実力の差で落ちてしまったのが悔しかったんです。だから次のシングルでは絶対にがんばろうって、もうみなぎっていたんですよ。それで今回は3番になれて、がんばってよかったなと思いました。なんていうか、今まではアイドル活動に対して、あんまり本気じゃなかったんだと思うんです。

■急にすごいこと言いますね。

西村 ポジションはどこでもよかったというか、アイドルであることに意味があるみたいな。ちょっと達観していたところがあったんですよ。でも、これじゃダメだなと思って。見ている人にはわかるじゃないですか。それで一回、知人から「アイドルなめてるよね」って言われたことがあって。

■えー!!!

西村 もちろんなめているつもりはないんですけど、そう見えちゃっているんだなと思って。そういうこともあって、本気でがんばろうと思って殺陣に挑めたので、自分の中では前作と今作では気持ちが大きく変わったなと思います。

■そうだったんですね。西村さんは年上メンバーだから、ガツガツ前に出にくい部分もあるのかなと思うんです。

西村 年下の子を立たせてあげる役回りが多いので、自分が目立とうっていう意識は弱かったかもしれないです。でも、たまには目立ちたいなっていう気持ちが今回で芽生えてしまって。(笑) それに私は最年長なので、この企画が最後くらいの気持ちでやらなきゃダメだなと思ったんです。