琴音 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

琴音『君は生きてますか』

琴音が歌う「君は生きてますか」の言葉に込めた想いの背景。

9月22日にミニアルバム『君は生きてますか』を発売する琴音。表題曲の“君は生きてますか”は、月9ドラマ「ナイト・ドクター」オリジナルナンバーとして使用され、配信音源としても先行リリースされていた楽曲だ。他にも、さだまさしの“防人の詩”のカバーなど、本作には琴音の歌声の魅力へどっぷりと浸れる曲たちばかりを並べている。この作品に込めた琴音の想いをここへ紐解きたい。

■ミニアルバム『君は生きてますか』の中へ収録した“夜音”を聴いていて想像を巡らせたのですが、もしかして琴音さんって、夜中になるほど元気が満ちていく人ですか?

琴音 夜が深くなるほどテンションがアガることはあります。私は陽射しが苦手なんですよ…。楽曲制作などに集中する時も夜の方がはかどるので、いろんな意味で夜の方が好きです。

■ブログにも「朝が苦手」と書いていましたよね。

琴音 朝はご飯が食べられないくらい本当に弱いんです…。私の場合、朝食を食べると逆に具合が悪くなることもあって、朝は食べない方が元気だったりします。(笑) しかも時間が経つにつれて元気になっていくから、夜はすごく食べるんですけどね。

■朝が弱いと午前中の授業とかも結構大変じゃないですか?

琴音 大変です…。朝、起きるのも大変だし、学校に行くまでも大変なんです。でも学校へ行くと、朝から元気な子もいるので、そういう環境の中にいると少しずつ元気になっていきます。(笑) ただ、入学して以降コロナ禍でリモートでの授業も多いので、その時は大変ですけどね…。

■琴音さんは2年制の音楽系専門学校へ通っているんですよね?

琴音 そうです。来年の3月には卒業します。

■コロナ禍の中で学生生活を送った最初の世代になる人ですね。ということは、学校行事なんかも…?

琴音 中止になったイベントは多いです。例年だと学校内の設備としてあるスタジオやホールを使っての音楽イベントもあるはずだったので、そういう場を通して他の学科の人たちとも交流を深めたりする機会になっていたそうですけど、それがことごとく無くなってしまったし、リモート授業になって学校へ通う機会も減ってしまったし…。せっかく人脈を作ろうと思っていたのに、それが出来なかったのはすごく残念ですね。

■そもそも学校に行けない…となってしまっては、出会いの機会も減ってしまいますもんね。

琴音 そうなんです。もちろん同じ学科の人たちとは接していますけど。私が音楽系の専門学校に入った理由は、技術や知識を学ぶこともありますけど、同じ意識を持った人たちと知り合うことで得る刺激や、そこで広がる人脈を求めてという理由もあったから、それを広げられない環境なのが残念だなと思って…。

■地元では同じ志を持った音楽仲間と繋がる機会は少なかったんですか?

琴音 もちろん身近にも音楽に興味のある子はいたし、音楽活動をやっている人たちもいましたけど、みんな趣味の領域を出ないというか。本気で音楽を仕事にしたいと思っているような人たちはなかなかいなくて…。高校の一学年下に一人だけそういう人もいましたけど、その子くらいですね。みんな学生時代の想い出として音楽活動をやっていたから、私としては同じような志を持っている人たちと触れたくて、そういう環境を求めた面はありました。

■琴音さんの場合、プロとして活動しながらプロを目指す人たちと一緒に学んでいるという環境ですよね。

琴音 そうなりますね。でも、みんなの活動している姿を見ているだけでも刺激を受けるし、モチベーションも上がります。卒業したらこの環境がなくなると思うと、正直寂しさはありますね。

■ここからは新作の話をいろいろお聞きしたいと思います。琴音さんが歌う楽曲を通して感じたのが、自分の弱さを認めながらも、その上で心に光を求めていく歌詞の内容が多い印象でした。ネガティブな自分も認めた上で未来へと進む姿は、普段の琴音さんにも共通する気持ちなのでしょうか?

琴音 自分で書いた歌詞は自分の気持ちを投影しているので、理解した上で歌っているのは当然ですけど、他の方が書いてくださった楽曲の場合は、自分の気持ちと重なりあうかを考えることもあります。その歌詞を自分の気持ちに寄せて理解していくより、私自身がそれぞれの楽曲に記された歌詞の中へと入り込んでいく意識で歌っています。だから、必ずしも自分と一致するとは限らないかもしれません。

■表題曲にもなった“君は生きてますか”を聴いた時の印象を教えてください。

琴音 最初に歌詞がのる前のサウンドとメロディーだけの音源を聴いた時に感じたのは、包み込んでくれそうな楽曲という印象でした。その後、歌詞をいただいたんですけど、最初に題名だけを読んだ時は、すごいタイトルだな…と思いました。(笑) ただ、歌詞についてはドラマ「ナイト・ドクター」のあらすじも聞いた上で内容を受け止めたので、言葉は重いけど「この想いが聴いた人の心の支えや元気になってくれたらいいな」という気持ちを持って捉えてもいました。歌詞の内容は、ドラマの世界観も色濃く投影されているので、そこも意識はしましたけどね。でもそれ以上に、自分なりに「ここの言葉はこういう意味かな?」など、じっくり時間をかけながら歌詞を読解していきました。その作業にすごく時間を費やしました。

■歌う以上はしっかりと歌詞の世界観を理解したかったわけですね。

琴音 ドラマの中でこの曲が流れる機会を通して、この曲や琴音と初めて出会う人たちも多くなると思ったし、何より歌詞に込めたテーマが重いじゃないですか。だからこそ、聴いた人たちに想いをしっかり伝える上でも、まずは自分自身がしっかりと理解しなきゃいけないという想いから、歌詞はかなり読み込みました。

■曲の冒頭から「君は生きてますか」と歌いかけますが、楽曲を受け止める側としても、その言葉の衝撃度はかなり強かったです。

琴音 人の生き死にを書いた言葉で歌が始まるので、いきなり言葉の重みを感じると同時に、強く耳が惹かれますよね。自分自身がその言葉の持つパワーへ引き寄せられたように、「言葉の持つ力によって、人の心を惹きつけていくってすごいな」と感じました。歌う時も、サビへと向かって感情が上がっていき、サビで一番その感情がピークになるような表現が出来たと思っています。

■“君は生きてますか”は重く深いテーマを歌っていますが、カバー曲として収録された、さだまさしさんの“防人の詩”もかなり重いテーマですよね。

琴音 “防人の詩”は戦争をテーマにされた歌ですからね。自分は映像などを通してしか戦争のことは知りません。でも、先に触れた“君は生きてますか”の曲の中へ記された「生き死に」の部分にも重なる想いを感じ取ったので、それをどう表現していくかを考えながらこの曲も歌いました。