ラストアイドル VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ラストアイドル『Break a leg!』

全496バトルで選抜17名が決定!試練を乗り越えたメンバーが過酷なサバイブを振り返る

今年8月から9月にかけて行われた「ラスアイサバイブ」で、32名のメンバーが全496試合の総当りバトルを繰り広げていたラストアイドルが、その上位17名を選抜メンバーとするシングル『Break a leg!』をリリース。ひとり3分半という持ち時間の中でパフォーマンスを競い、視聴者および審査員の投票によって勝敗が決まるという1vs1のガチンコ対決を経て、メンバーはどのような成長を遂げたのか。見事首位で2作ぶりのセンター復帰を果たした阿部菜々実、苦しんだ末に選抜の座を掴んだ米田みいなと町田穂花、そして下剋上で初選抜を射止めた木﨑千聖と下間花梨の5人に、過酷なサバイブ期間と感動のMV撮影を振り返ってもらった。

■「ラスアイサバイブ」は各31試合、最低1コーラスの歌唱パフォーマンスを行うというルールでしたけど、やってみていかがでしたか?

阿部 もう一回やれと言われたら、絶対に断ろうと思うくらいキツかったです。そもそもメンバー同士で対戦するのが嫌だったし、31曲を用意することも大変だったし、衣装の準備とかもあったし。よくやったなと自分でも思います。

■準備期間はどのくらいあったんですか?

米田 1カ月もなかったよね?

町田 2週間とかで。

阿部 だいたい土日に試合があって、平日の間に次の土日で何をするか考えていました。

■対戦で使う曲はどうやって選んだんですか?

米田 私はYouTubeとかで探しました。たとえば、盛り上がる系の曲を歌っていなかったら、「アイドル」「盛り上がる曲」とかで検索して、「これいいじゃん!」っていう感じで曲を覚えて。

町田 私はもともとハロプロさんが好きで、メンバーの中ではアイドルに詳しい方だったので、曲数的にはポンポンと思い浮かんだんですけど、誰との対戦でどの曲をぶつけるかとか、選ぶのは難しかったです。

■モーニング娘。の“シャボン玉”を歌った人は負けないというジンクスもできていましたよね。

町田 阿部さん、山本愛梨さん、下間、橋本(桃呼)、高木(美穂)の5人が歌って、全員勝っていて。それで最終日に私が歌ったんですけど……無事に勝ててよかったです。

■そこまで無敗だと、逆にプレッシャーがかかりそうですよね。(笑) 下間さんは対戦曲をどうやって選んだんですか?

下間 最初に話を聞いた時に、お母さんとカラオケに行って、3時間くらいひたすら歌うっていうのを3日間くらい繰り返したんです。それで200曲くらい歌って、お母さんと一緒に点数分けして、90点以上だった曲の中から選びました。あとは歌いやすさとか、緊張しても歌えるかどうかも考えました。

町田 わかる!めっちゃわかる!

■木﨑さんは今回いちばんの下剋上を果たしましたけど、どんな感じで臨んだんですか?

木﨑 私もハロプロさんが好きで、メンバーのバースデーイベントで歌われた曲から選ぶことが多かったです。たぶんバースデーイベントってメンバー自身が曲を決めているから、いい曲がずらっと並んでいるんですよ。あとは家族にも協力してもらいました。特にお姉ちゃんが積極的にどんどん曲の候補を送ってきてくれたので。(笑)

■お姉さんが影のプロデューサーだったんですね。(笑) 阿部さんは大人っぽい曲も多かった印象ですけど、どうやって曲を決めていたんですか?

阿部 こんなに曲数を披露できる機会はないので、自分のファンの方にも楽しんでもらえたらなと思って、今までやったことがないジャンルの曲とか、いろんな年代の曲とかを歌おうと思っていました。たとえば1日3試合ある日だったら、1試合目にハロプロさんの曲を歌ったら、2試合目は48さんの曲を歌うとか。

■阿部さんは今までセンターを務めることが多くて、挑まれる立場だったと思うんですけど、プレッシャーはありましたか?

阿部 前作の“君は何キャラット?”でセンターじゃなくなったんですけど、それですごい気持ちが楽になったんです。それもあって、今回は「絶対1番になりたい」っていう気持ちではなかったんですけど、このサバイブを告知するVTRで、「これが最後かもしれない」と強調されていたので、気合いを入れてやらなきゃ後悔すると思って。だから順位や勝敗は気にしないけど、全力でがんばろうっていう気持ちでした。

■前作でセンターを外れたことは、今回のバトルにも影響を与えていたんですか?

阿部 それまで4作続けてセンターをやらせていただいたんですけど、その時は目の前のことに精一杯すぎて、本当にヤバかったんです。それが前作で少し離れたところから自分を見ることができて、あまり取り繕わずに、そのままの自分でいいんだなと思えたし、周りからも「楽しそう」と言われるようになったので、どこの立ち位置でも気負わずに、メンバーみんなで補い合いながらやっていけばいいんだなって、ちょっと気持ちが軽くなりました。

米田 ちょっと休めてよかったね。

阿部 うん。

■一方で木﨑さんと下間さんは今回が初選抜で、特に木﨑さんは何度も下剋上してフロントのポジションを勝ち取りましたけど、バトルで選抜が決まる今回はチャンスだと捉えていたんですか?

木﨑 最初にお話を聞いた時は「どうせ今回も無理だろうな……」って、諦めていた部分もあったんです。でも、せっかく与えていただいたチャンスだし、私は昔からパフォーマンスすることが好きだったので、精一杯自分をアピールして楽しもうとは思っていました。

■最初は「下剋上してやるぞ!」みたいな気持ちではなかった?

木﨑 そうですね。もともと2期生の暫定メンバーだったけど、(入れ替えバトルで負けて)アンダーになっちゃって、(全員選抜だった)“大人サバイバー”や“青春トレイン”でも目立った位置に行くことはできなくて、“愛を知る”も選抜に入れなくて。(視聴者投票があった)“君は何キャラット?”でも「投票したよ」っていう声をたくさんいただいて嬉しかったけど、立ち位置は最後列で。だから「ダメ元でやるしかない!」みたいな感じでした。

■それがやっていくうちに結果がついてきて。

木﨑 最初の2日間で6試合あったんですけど、まさかの全勝で「夢かな?」と思って。でも、それだけ支えてくださった方がいるんだと気づけたし、だんだん「選抜に入りたい」っていう思いから、「もっと前に行きたい」っていう気持ちに変わってきたんです。ずっと自分に自信がなかったけど、このサバイブを通して、ちょっと自分に自信を持つことができたかなと思います。

■下間さんも初選抜ですけど、どんな気持ちで臨んでいたんですか?

下間 私もずっと選抜じゃなくて、どんどん選抜メンバーとの差が開いている気がしていて。そんな時に今回の話を聞いたので、最初は「投票だから、結局人気で決まるんでしょ……」と思っていたんです。私、今までも結局ダメだった時が怖くて、いつも100%の努力ができなかったんですよ。たぶん、どこかで言い訳できる余地を残しておきたかったんだと思うんですけど。

■「私、本気出してないし」みたいな?

下間 まさにそんな感じでした。それで最初の対戦相手が小澤愛実さんだったんですけど、1期生でラスアイの中心メンバーだし、絶対に負けると思ったんです。実際に負けちゃったんですけど、私は9対1くらいの差があると思っていたので、(下間950票-小澤1031票という視聴者投票)結果を聞いて、「え……?」と思ったんです。それで2戦目も“君は何キャラット?”で2番手だった畑美紗起ちゃんが相手で、また9対1で負けても仕方ないと思っていたんですけど、今度は勝つことができて。その時に「もしかしたら、今までが覆せるかもしれない」と思ったんです。

■それで見事に初選抜を射止めて。

下間 最初は「入れるわけないし」と思っていたのが、「入れるかもしれない」、「入れたらラッキー」、「いや、絶対入る!」って、どんどん気持ちが大きくなっていって。最終的には木﨑ちゃんと一緒で、「もうちょっと前に行けたらいいな」って。もう最後の方は目がキラキラしていたと思います。(笑)

■めちゃくちゃいい話じゃないですか。町田さんは残り2日の時点で選抜圏外の順位だったのが、最終日に逆転して。心境はいかがでしたか?

町田 このサバイブを通して、パフォーマンスをすることが嫌いになってしまった期間があって。空白の2週間というか、メンバーにも連絡せず、SNSにも浮上せず、スタッフさんに「もう辞めたいです……」って連絡していたんです。それで最後の対戦相手が、めちゃめちゃ波に乗っているちぃちゃん(木﨑)に決まった時に、本当にヤバいなと思って。それまでに圏内に入らなきゃと思っていたから、どんどん焦って、それがパフォーマンスにも出ちゃって、結局最後の試合で選抜に入れるかどうかになってしまって。でも、最後の最後で勝つことができて、選抜に入ることもできて、本当によかったです。

■追い込まれて火がついたところもあったんですか?

町田 私、本当に追い込まれないと何もできない性格で。(苦笑) 選抜の中では後ろの順位(16位)になりましたけど、なんとか入ることができてよかったです。

■米田さんはダンスパフォーマンスの時間を入れたり、2曲歌ってみたり、いろいろ作戦を練っていた印象があるんですけど、どうでしたか?

米田 最初はバトルのやり方がわからなくて、1番だけ歌う作戦を考えていったんです。それで7曲くらいでやりくりしようと思っていたんですけど……。

町田 少なくない?(笑)

米田 そうしたら3分半フルで歌っている子が多くて、しかも曲も毎回違っていて。それで焦って、なんかしなきゃなと思って。あと、最初は自分の歌いたい曲を歌っちゃっていたんです。私はちょっと暗めな曲が好きなんですけど、見ている方たちはアイドルのファンじゃないですか。だから、相手がアイドルな曲を歌っちゃうと、全然勝てないんですよね。自分だけが楽しんで「はい、選抜落ちました。ありがとう!」みたいな感じは絶対にダメだなと思って。それからはアイドルの曲を歌いながら振り付けを入れたりしつつ、ちょいちょい自分の好きな曲も歌う作戦に変えました。

■そういう一人ひとりの作戦まで知ると、また見方が変わりますよね。この期間を通して、自分の武器を見つめ直すこともあったんじゃないですか?

下間 私はダンスが苦手で、歌も自分の声があんまり好きじゃなくて。だからライブでも積極的に声を出せなかったんですけど、今回は視聴者の方々が「花梨ちゃん、こんなに歌が上手かったんだ」みたいなコメントを書いてくださって、対戦したメンバーからも歌を褒めてもらえることが多くて。もっと自信を持って声を出さなきゃいけないなって、自分を奮い立たせるきっかけになりました。

■ちょっと意地悪な質問になっちゃいますけど、ダンスが苦手で、歌も好きじゃなくて、なんでアイドルになろうと思ったんですか?

下間 もともとアイドルはめちゃくちゃ好きで、テレビを見ながら一緒に踊ったりしていたんですけど、初めて自分がステージに立った時に、できなさすぎて怖くなっちゃったんですよね。でも、ひとりで配信している時とかは、緊張していないから普通に歌えるんです。だからファンの方々からは「もっと存在感出してよ」とか言われるんですけど、それに対しても「無理だから……」みたいな感じになっちゃっていて。

町田 切れてる。(笑)

下間 ずっとその繰り返しでした。ファンに褒められて、次はがんばろうと思っても、結局ステージに立つと自信がなくなっちゃって。でも今回、またこうやって上がりました。(笑)

■いい復活のきっかけになったんですね。選抜が決まるまでの話で2〜3時間はしゃべれるんですけど、時間が足りなくなるので新曲の話も聞かせてください。“Break a leg!”はステージに立つ人に向けて「幸運を祈る」的な意味ということで、曲をもらってどう思いましたか?

阿部 私は最初、「意外だな」と思いました。こんなにバトルをたくさんしたので、「燃えてるぞ!」みたいな曲が来るのかなと思っていたから、爽やかな応援ソングだったので。(笑) でも、このバトルをやった私たちだからこそ説得力があるものにできるというか、さらに伝えられるものがあるんじゃないかなって思いました。

■メッセージ性の強い歌詞になっていますけど、特に響いたフレーズはありましたか?

木﨑 私は「信じた道 一直線に/向かえばいい」っていう歌詞です。私は自分に自信がなくて、優柔不断で、周りに流されちゃうことが多かったんですけど、自分が行きたいと思った道を信じて進んでもいいんだよって、背中を押してもらった気持ちになりました。

下間 私はセリフ部分の一言一言が心に響くというか、勇気をもらえるなと思って。いちばん好きなのは「タイムじゃない」なんですけど、私と木﨑ちゃんは時間をかけてやっと選抜になれたから、ここまで諦めなくて本当によかったなって。

阿部 そのセリフ部分にある「カッコ悪くたって気にしないよ」が私は好きで。「カッコ悪くてもいい」じゃなくて、「気にしない」なんですよ。だいたいのことは、自分が思っているほど他人は気にしていないじゃないですか。私はすぐ気にしちゃうタイプで、カッコ悪い姿を見せたくないとか、ちゃんとしなきゃっていう思いが強いので、そこの歌詞が響きました。あと、そこの部分は私がしゃがみこんで、みんなが慰めてくれるような振り付けになっていて、すごく感情が入ります。

■米田さんと町田さんはいかがですか?

米田 私は「競争は得意じゃないけど 走らなきゃいけない」。

■まさにラストアイドルのことですね!

米田 もう本当に競争とか嫌なんですよ……。バトルとかしたくないけど、しなきゃいけない。だから、その歌詞を聴いて「そうだよね、やんなきゃいけないよね、がんばらなきゃいけないよね」って。すごく好きな部分です。

町田 私は「誰かを追いかけたって 意味なんかないんだ/だって 目指してる方向が 全く違うだろう」の部分です。意味ないとまでは思わないですけど、目指す方向は人それぞれだから、それに囚われなくてもいいんじゃないかなって。サバイブ期間中の自分に言いたいです。(笑)

■闇落ちしていた時の自分に?(笑)

町田 そうですね。本当に病んでいたので。(笑)