Little Boys VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

反抗的でハートフル、誠実でいてワイルドな私たちをぜひ見てほしい。

Little Boysはイタリア出身のローラ・“エル”・ベルトーネ(Vo&Gt)とセルジオ・“エッセ”・ピロッタ(Dr)によるロックデュオ。2022年にセルフタイトルのアルバム『Little Boys』でデビュー。そして日本好きであったことから日本語歌詞の楽曲“SATSUGAI”を制作し、その“SATSUGAI”を含むセカンドアルバム『Ricordati che devi morire(英題:Remember That You Have To Die)』を2023年にリリース。現在ヨーロッパツアーを終えたばかりのLittle Boysが、2024年3月、ついに初の日本ツアーを開催する。今回はそんなエルとエッセの二人に、音楽を始めたきっかけから日本ツアーに向けての意気込みなど、いろいろと話を訊いた。

■お二人それぞれが音楽を始めたきっかけと、Little Boysを結成した経緯を教えてください。

エル 私はピアノとクラシック音楽をやっていて、それが私の音楽人生の全ての始まりでした。幼少期の頃から詩を書いていたことも、作詞活動に影響しています。作詞と作曲がすごく好きなんです。私にとって歌詞と音楽はいつも一緒にいる存在です。

エッセ 僕は10代の頃、アメリカのバンドPrimus(プライマス)の音楽に出会ったことがきっかけで、最初はベースを始めました。そしていろいろなプロジェクトで音楽をやっているうちに、自分にはドラムの方が合っているなと思ってきて。でもいろんな楽器を演奏するのが好きだし、エレクトロニックな音楽をプロデュースすることも好きです。Little Boysの結成については、僕よりもエルの方が上手く話せると思います。(笑)

エル 私たちの出会いは、たまたま乗り合わせた日本行きの飛行機だったというのが不思議な偶然であり、運命だと思っています。私はいつも、偶然は必然であると思っていて。こういったことは毎日起こることではないですよね。私たち二人は同じ飛行機に乗って、席も隣同士で、同じものを探し求め、同じ苦労を味わって。これって素晴らしいことで、プロジェクトを重ねるごとに私たちの絆は深まっていきました。この日本への旅は、私たちにとって精神的な化学反応を起こさせるような神秘的な瞬間だったとも言えます。コロナ禍で私たちの精神は崩壊寸前でしたが、Little Boysというプロジェクトをきっかけにモチベーションを取り戻すことができました。心も新たに、新しい機材も用意して挑みました。

■音楽で影響を受けたアーティストやリスペクトしている人はいますか?

エル いろいろなミュージシャンに影響を受けているので、一人には絞れないのですが、Nirvana、David Sylvian、Jack White、David Bowie、John Lennon、それと、クラシック音楽を聴いてきました。あと、日本ではL’Arc~en~CielのHydeの大ファンです。

エッセ 僕もバンドだったら語りきれないけど、70年代と90年代のアメリカ、イギリスのロックバンドがすごく好きでした。でも、Warp Recordsのアーティストでエレクトロニック音楽に出会ってからは、自分の好きな音楽のテイストも変わって、詩的で活気のある音楽であれば、ジャンル問わずなんでも好きですね。

■お二人は日本好きとの事ですが、日本を好きになった理由と影響を受けたものを教えてください。

エル 私の日本に対する愛は日に日に増しています。アニメや食べ物、哲学、そして、少し前までは日本人の彼氏がいたので、愛も。これらの全てが、私の日本愛を高めていきました。当然ですよね!私たちヨーロッパ人にとって、日本は不思議で未知の国。私にとってはそのユニークなところが魅力的で大好きなんです。

エッセ 僕は映画や漫画から日本が好きになりました。侍文化や、アニメなら「呪術廻戦」「PSYCHO-PASS」「NARUTO」が好きです。あとは日本の哲学だったり、シンプルなアイデアだったりが自分と通ずるものがあるなと感じます。

■日本で好きな場所はありますか?

エル 東京の超高層ビルの最上階!

エッセ 僕は旅館のような、静かで温かくて癒される空間を日本で見つけられたらなと思います。

■日本食で好きな食べ物はありますか?

エル 私はお好み焼きと納豆です!

エッセ 僕はランチのお弁当が好きなんです。愛情がこもっている感じが。

■これから日本で行ってみたい場所や、やってみたいことなどはありますか?

エル 今回はツアーでしばらく東京に滞在しますが、その後は、京都、大阪、神戸に行きます。温泉で癒される予定です。楽しみすぎます!日本の友達やファンのみんなといろいろな経験をしたいです。美味しいものを食べたり、とにかく楽しみます!あと、実は今、自分のエッセイ本を執筆しているんです。音楽をやる前からずっと、私は“書く”ということに情熱を注いできました。その本をこの素晴らしい場所、日本の旅で完成させようと思っています。

エッセ 僕は北海道に行って季節を感じてみたいですね。やってみたいことは、いつものお気に入りの観光地を訪れた後は、目の前にいる人たちと会話したり、楽しい時間を過ごしたいです。

■逆に日本人にぜひおすすめしたいイタリアのいいところや誇れるものを教えてください。

エル まずは観光地からは離れて、本場イタリアのピザとスパゲッティ・アラ・カルボナーラを味わいましょう。イタリアのカルチャーとしてもう一つおすすめしたいのは、往年のシンガーソングライターです。Lucio Battisti、Fabrizio De André、Franco Battiato、Luigi Tencoのような、偉大なシンガーソングライターたちによる60年代から70年代にかけての音楽は、今でも貴重な傑作として残っています。ベネツィアは言うまでもありませんが、旅行にはもってこいの場所です。私たちでさえも驚かされるくらい魅力的な都市ですよ。

エッセ イタリアは、全ての都市において歴史の偉大さを感じることができます。ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマ、ナポリを訪れずには、イタリアに来たとは言えません。自然も素晴らしいのですが、それを維持することができていない今の現状はちょっと残念ですが……。あとは、家庭料理もおすすめです!音楽については、宝物のような名作たちに出会ってほしいですね。ぜひイタリア語を学んで、純宝石のような詩的な音楽を楽しんでほしいです。

■日本語の歌詞の楽曲“SATSUGAI”を作った理由と、なぜ「殺害」をテーマにしたのでしょうか?

エル 全ての人間は無限の可能性を秘めているので、自分自身の統合されたイメージを殺し、生まれ変わるということを比喩的に表現しています。これはある意味「殺害」であって、自分たちを差別化するためだけでなく、解放するためにも必要なことなんです。“SATSUGAI”の解放的な詩は、私のパーソナリティを成長させてくれました。日本人の友人に協力してもらって、抽象的な歌詞に仕上がりました。

エッセ 日本がわからないなりに作詞してみたエルの日本語を楽しんでもらえたらと。

■その“SATSUGAI”を含む最新アルバム『Ricordati che devi morire(英題:Remember That You Have To Die)』は、自身にとってどんな作品になりましたか?

エル この作品では、自由、苦しみ、愛、抑制されることなく考えること、人生に対する侮辱、遅かれ早かれ全てが終わるという無慈悲な現実、そして、それゆえに自分の意志を強く持つことを表現しています。

エッセ 僕にとっては、良い意味でただの2作目のアルバムです。それでしかないと思っています。これからも立ち止まることなく、常に新しい音楽をやることに貪欲なので。