m-flo VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

m-flo『KYO』

■でも逆に、「なんじゃこりゃ感」がめっちゃある作品に仕上がったのも興味深いです。

VERBAL これは完成した際にLISAとも話したんですが、自分の中でもやはり、「あっ、こうなるんだ!!」って新しい発見や新しい自分を見出してくれるような楽曲じゃなきゃ満足できない面もあって。いわゆるコースでいったら一皿一皿の料理を作っていった感じで。「これがどうやったらうまく一つのコース料理になるんだろう?」的に、とりあえず各曲を作っていき、その帳尻合わせをこの2年間でしてきた感じなんです。どの曲がうちらのエキサイトスポットであり、どこがお客さんのエキサイトスポットであり、且つなんじゃこりゃって新鮮であり、他のアーティストに「自分もこういったことをやりたかったのに先を越された…」みたいな存在になれるか、いわゆるナルホド感を出したかったし、それが出せるまであえて出すのを我慢していた面もありました。

LISA 完成したものを聴いた時には正直、私は「<なんじゃこりゃと!? >と共に感動して涙が出てました。やはり振り返っちゃならない年月ではあったんでしょうが、この時ばかりは振り返ってもいいよねと、いろいろな想い出がフラッシュバックしたんですよね。ノスタルジーがありながらも未来のm-floも見れた気がしたし、私自身、復帰後にようやくこの作品をもって受け入れてもらえた感覚があったんです。おかげさまで、「もう、これからは前しかないよね!!」って気概になりました。実はこの空白の17年の間にもしっかりとお互いにドラマってあったよな…って。前を向くためにはやはり過去も振り返らなくてはならないし、認めなくちゃならない。それがこの作品では同居出来たかなって。

■でも、そこに往年感も含めノスタルジーさがないのも興味深いです。

☆Taku まずは今作の制作過程については、ノスタルジックとの決別から入ったんです。今回のアルバム自体、自分らにとっても5年ぶりでしたから。で、今作が作り上がるまでに空白の3年間があったんです。でもその期間に自分のm-floのノスタルジアのアレルギーが克服されて。正直振り向くのはイヤだったんです。でも、「過去にいい曲をLISAとも作ったよね?」とか。これまでは聴き返しても、「今の俺だったらこうするのに…」ってつい思っちゃったり、当時はあんなことやっちゃって…と、決して認めることはなかったんです。でも今回はそこで、「ノスタルジーでもいいじゃん」と思えるようになったというか。一周して新鮮だったり、新しく感じた部分も多々あったんでしょうね。そこまでに発表してきた曲以外は、全て去年の12月以降に出来た曲たちばかりですから、今作に収まっているのは。

■LISAさんもこれまでになかった新しい引き出しもけっこう開かれていますよね?

LISA 今回は私とVERBALが大感化された作品になりました。

VERBAL 曲自体、バンバン沢山作るのも特にツラくはないんです。だけど作っても作っても自分たちの納得できるものが全然生まれなかった。あの状況だけは、やはりキツかったですね。

■LISAさんも今作では何曲かでラップを披露されていますね。

LISA 日本一のラッパー(VERBAL)にレクチャーしていただき、その才能を引き出してもらいました。(笑) 先生がいいと違います。やはりレベルが他よりも高いので普通のリズム感とかワーディング、それも日本語と英語の行ったり来たりは、他のラッパーではここまでのことは出来ないし、このm-floにいて、常に本格的なラップに親しみを持ってきた私だからこそ出来たんだろうなって。リリックもたぶん私のことを考えたり、思ったりしながら(VERBALが)書いたんでしょう。そう考えると非常に可愛いし、愛しいですね、VERBALって。(笑)

■リリックはVERBALさんが書いているものが多いですが、ある意味「これをLISAさんがラップしたらどうなるだろうか?」や、「これをLISAさんがラップしたらキャラじゃない意外性も含め、面白いんじゃないか?」と、いろいろと想像しながらLISAさんに挑戦してもらった箇所も幾つかあったのでは?

VERBAL それは多分にありました。でも、それはある種、お客さんじゃなく☆Takuに向けていた部分も大きくて。LISAがこれを言ったら☆Takuはどんな反応をするだろう?驚くだろうか?意外に思うだろうか?そんな聴き手である☆Takuを想像しながら書いていました。(笑) しかも“PULSE”であれだけ崇高な歌声を聴かせているあの子が…。これって同一人物?って。(笑)

■今回のタイトルは『KYO』ですが、それはどこから?

VERBAL これまでは宇宙や未来がテーマだったんですが、最近は異次元やパラレルワールドにインスパイアされていて。今回の作品もいろいろなパラレルユニバースが混在している内容になるだろうと予想していたんです。そんな中、まずは「今日」というワードがパッと浮かんできて。そこから“そういえば、「きょう」っていろいろな漢字に当てはめられるな…”とズラズラと書き出していったんです。響、協、京、狂…って。そんな様々な「KYO」が詰まっていそうなアルバムだなって。アルファベットで「KYO」。このようなタイトルって今までの自分たちには無かったし、意表をつくから、「これけっこうイケんるんじゃない?」とプレゼンしたら、当初はLISAからブーイングが出て。(笑)

LISA 正直、私は当初全くピンときませんでした。でも今は逆に、あの時、あんなにVERBALをディスったことを今では猛反省しています。(笑) おかげさまで今では私が最も「KYO」という言葉をあちこちで使っているし、自分のもっとうとしての言葉になっているぐらい。やはり言葉のことは言葉のマスターに任せろってことだったんでしょう。(笑) フィールだけじゃなくキチンとインテリジェンスがある。それらの同居や共存も実にうちららしいですよね。そう考えるとm-floはやはりいいグループであり、素晴らしいグループだなって。

Interview & Text:池田スカオ和宏

PROFILE
98年にインターナショナルスクールの同級生だったVERBALと☆Taku Takahashi の2人で活動をスタート。後に、ヴォーカルとしてLISAが加入し、m-floとして本格的に始動。1999年7月に1stマキシシングル『the tripod e.p.』でメジャーデビュー、オリコン初登場でいきなり9位をマークした。2nd ALBUM『EXPO EXPO』に至っては80万枚のセールスを樹立し、これまでのCD累計販売数は400万枚、代表曲“come again”は2500万再生を記録。2002年にLISAがソロ活動に専念するため、惜しまれながら脱退を決断。03年、VERBALと☆Takuの2人となったm-floは、さまざまなアーティストとコラボしていくという“loves”シリーズで日本の音楽史に旋風を巻き起こした。2008年、41組とのコラボレーションを実現した“loves”シリーズに終止符を打ち、新たな可能性を求め、プロデュースやリミックス、DJ、また自身のブランドや別ユニットなど個々の活動で活躍していた。2017年。日本を代表する最強のトライポッド「m-flo」が15年振りにLISA・VERBAL・☆Taku Takahashiのオリジナルメンバーで完全復活!!そして2019年。m-floメジャーデビュー20周年を迎え、再び日本のメインストリームに新風を吹き込む。
https://m-flo.com/

RELEASE
『KYO』

m-flo『KYO』

[オリジナルアルバム+Mix CD+DVD]
RZCD-86962〜3/B
¥5,500tax in)

m-flo『KYO』

[オリジナルアルバム+DVD]
RZCD-86964/B
¥4,400(tax in)

m-flo『KYO』

[オリジナルアルバム+Mix CD]
RZCD-86965〜6
¥3,850(tax in)

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11月6日 ON SALE