MADKID VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

MADKID『BOUNDARY』

KAƵUKI 最初作り始めは「テーマ何にしよう?」って思っていたんですけど、特にそれも決めずに「名前から言ってみようかな?」みたいな流れでしたね。(笑) 「キングなのにお金がないみたいなのもギャップがあるな」とか、そういう感じで。そのまま日常を言った感じですかね。しかもLINの家に行った時、僕とYOU-TAはお酒を飲みながらレコーディングしたんです。(笑)

YOU-TA HIPHOPにはありますからね、ガム噛みながらレコーディングするとか。他の曲だったら絶対にできない。

KAƵUKI  最終的にLINの家で録ったものが使われましたけど、その後に一応ちゃんとスタジオに入って録ったりもしたんです。でもやっぱりちょっと違うんですよね、雰囲気が。更にいいものをやってやろうって思ったら、それが空回りになったりとかして。結局LINの家にいてリラックスして、しかもお酒もちょっと入ってる状態のやつが一番良かったなっていうので、差し替えて。すごく楽しかったですね。

YUKI 僕は「周りのみんながどんなことを書いてくるんだろう?」って気になっていて。SHINちゃんは別のレコーディングしてた時に作っていたので、きっとこんな感じでくるんだろうなって思っていたんですけど、YOU-TAとかKAƵUKIって気合が入ってる時は隠してくるんですよ。(笑) 「まだ書いてないから」みたいな雰囲気を出していて。僕は正直、僕とLINちゃんは元々ラップやってるし、やろうと思えばいろんなことができるから、みんなに合わせていけるなと思っていて。でも今回はほぼフリーで、何も考えずに「こういうワードだけ」っていうのを2、3個適当にメモに書いておいて、LINの家に行く電車の中で「こういう感じがいいかな?」っていうのだけ考えて、みんなのを聴いてから作り始めました。最後はLINちゃんが締めてくれるので、僕ができるのはギミックを足しながらやることかなって。でもこのやり方は初めてだったかもしれないです。フリースタイルまではいかないですけど、いつもは忠実に書いて作っているので。

LIN YUKIが録ってる時に俺ら寿司食ってたよね、うちの親父が買ってきたやつ。寿司食ってる時にたまにシャウトが聴こえてきてたね。(笑)

■(笑) みなさんにとって制作の思い出も大きい曲なんですね。変わって“Blooming”はすごくしとやかな楽曲ですね。

LIN これは僕が自分のパート部分だけで、ほとんどYUKIが歌詞を書いています。

YUKI 前のEPに収録されていた“With you”もそうだったんですけど、サウンド周りの作りが洋ものっぽくて、日本語の歌詞を当てはめる時のアプローチが難しかったです。あとビートがあんまりなくて、ラップの場所を決めるのが一番難しかった曲ですね。YOU-TAとLINちゃんと3人で集まって、元々あるメロディをなくしたり足したりして作っていったんですけど、結局3、4時間経っても歌詞の入りもあんまり書けなくて。それも家で書いたんですけど、「花」っていうのを題材に書けないかなと思って書き始めました。“With you”は英語が多くて、それはそれですごい良かったんですけど、ここでまた英語をいっぱい入れちゃったら、同じ感じになるのかなって思って、今回は日本語をとにかく入れようと思いました。あと、1Aはビートがほぼないんですけど、ラップパートの扱いになっているんです。正直僕だったら嫌だなっていうところをLINに任せました。(笑) Bメロにもラップが入っていたり、結構ラップの分量が多くて。でもボーカルの見せ所はちゃんとあるっていう感じで、結果的にすごくよくなったかなと思います。Dメロの歌詞とかも、好きな歌詞が書けたなっていう。それこそ“Interstella Luv”を聴いた時に、「結構日本語いいな」って思っていて。昔から日本語の魅力っていうのは考えていたんですけど、自分で歌詞にするのが苦手で。今回はそこにチャレンジできたかなと思います。

LIN 俺は結構静かな曲も好きなので、ラップを乗せるのは楽しかったですね。でも最後までYUKIに、「俺はどこやればいいんだっけ?」って言っていた気がします。(笑) わかんなくなっちゃって。レコーディングも歌モノなので、一番時間がかかりましたね。

■ボーカルのみなさんはいかがでしたか?

KAƵUKI アルバムで新しくレコーディングした曲の中では唯一のバラード曲だと思うんですけど、難しかったです。それこそ最近はロックサウンドの激しい曲をやっていましたし、そういうのは勢いで歌って、いい声といいテイクが出たらっていうところがあるんですけど、やっぱりバラードってそういうことではないので。それこそさっきYOU-TAの歌割りの話もありましたけど、結構入れ替わる歌割りというか、3人登場してきて掛け合うみたいなのが面白くなった曲かなと思います。

SHIN プリプロを録る段階は音数が少なくて難しかったんですけど、繊細に歌って的確に音を当てようと思いながら歌ったり、あとはすごく感情が入れやすい楽曲でもあったので、自分的にはすごく楽しく本番のレコーディングはできました。

■“No border”はQ-MHzによる楽曲ですね。今までのMADKIDにはあまりなかった明るい曲調かなと感じました。

YOU-TA 僕ら、ライブの最後にみんなで手を挙げて歌えるような曲ってあんまりなくて。曲で僕らのメッセージを届けているんですけど、結構一方通行っていうか、「みんなで最後に歌って気持ちよく終われる楽曲が欲しいよね」ってずっと思っていたんです。ダンスボーカルグループってどうしても踊るから、それで表現の幅が狭くなっちゃったりするんですけど、今回はみんなで歌いやすい楽曲をリクエストしました。なので、ここから1番ライブでやる曲になっていくんじゃないかな。今まで伝えてきたメッセージを汲み取りつつ、もっと前向きな歌詞を書いて頂いたっていう感じです。

LIN 俺らは創作料理みたいな感じだけど、ちゃんとしたプロの料理屋、シェフが作ったみたいな感じだよね。

SHIN レコーディングは楽しかったです。(Q-MHzの)田代さんに褒めていただけたのがすごく嬉しかったです。

YUKI 歌詞を書いてもらったのも初めてで。昔からそういうのがあってもいいんじゃないかなって思ってはいたんですけど、僕たちの色がなくなっちゃうんじゃないかっていう不安もあって。でも良いものは良いというか、結局歌うのが僕たちであればちゃんとMADKIDになるんだなって思いました。

■そしてFLOWのカバー曲“Sign”も収録されていますね。どうしてカバー曲の収録を決めたんですか?

YOU-TA 僕らが行こうとしている道ってあんまり前例がないと思うんです。アニメシーンで成りあがっていきたいっていうのを掲げて、アニサマに出場させていただいてっていう。その中でもFLOWさんは理想とする先輩でもあるし、僕らみんなFLOW世代だしっていうので、今まで他の曲のカバーとかもやらせてもらっていて。それで今回アルバムを作るってなった時に、「オフィシャルでFLOWさんにお願いして許可が取れたらやろう」っていうことになりました。すごく前向きな歌詞だしこの曲がいいということで、“Sign”を入れることになりました。

■ライブでもカバー曲を披露されていましたけど、和気あいあいとした雰囲気が普段のパフォーマンスとはまた違って新鮮でした。

KAƵUKI 全員で盛り上がった瞬間でしたね。“No border”も“Sign”も、ライブで自由にみんなで楽しむっていう感じになるんじゃないかなと思います。

■どの新曲も様々なチャレンジのある、バラエティに富んだ曲だなと思います。改めてどういうアルバムになったと感じていますか?

SHIN 今の自分たちだからこそできる曲が収録できたかなと思います。“Play”もそうですけど、アニソンのカバーとか、Q-MHzさんに作ってもらった曲も、今の自分たちだからこそできることかなと。これからアニサマもありますけど、それをきっかけで知ってくれた人たちも楽しめる1枚になっていますし、アニメ以外でも僕たちのことを知ってもらえる1枚になると思うので、沢山の方たちに聴いてもらいたいです。

■9月からはツアーも始まりますね。

YUKI 今年初めてツアーを回ることになっているので、どの公演も全力でやって、満足していただければいいなっていう思いは変わらずに持っています。アニサマ含め、いろんな活動をしていくので、そういうので知ってくれた人がMADKIDの音楽に触れる機会にできたらいいなと思います。

■初のアニサマ出演もあり、アルバムリリースもあり、今年の夏は濃い夏になりそうですね。

YOU-TA 幸せですね。コロナ禍もそうですけど、独立する前とかって、当時は笑いごとにならないくらい大変だったんですよ。独立して2年が経ちますけど、ようやくいろいろ整ってきたというか。なにもないところから始めて、こうしてコロムビアさんとまた一緒にやれたりとか、8月にはアメリカのイベントにも出て、アルバムもあって、アニサマもあって、9月にはツアーもあって、この先もいろいろと決まっていたりしますし。でもそれぞれ一人ひとりが抱えている課題とか、越えていかなきゃいけない壁とかもあるので、変わらずに一歩ずつ歩んで行くっていうのが今一番大事なのかなって思っています。あと、みんな音楽に対して裏表なくまっすぐ向き合っているので、そういうところがもっと多くの人に伝わってくれたら嬉しいなと思います。そのきっかけのためのツアーでもあるし、今回のアルバムもライブ映像が収録されていて、これだけバラエティに富んだ曲と映像があれば、僕たちのことはある程度分かると思うので、ぜひチェックして遊びにきてくれたら嬉しいです。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
2ラッパー3ボーカルで構成される5人組ダンス&ボーカルグループ。2018年メジャーデビュー。2019年2月にリリースしたシングル『RISE」』TV アニメ「盾の勇者の成り上がり」オープニングテーマに起用され、YouTubeでの総再生回数は約25700万回に及ぶ。2020年9月に所属事務所を独立し、現在はメンバー自ら設立した事務所に所属して活動している。2022 年 8 月 27 日には Animelo Summer Live 2022 -Sparkle- に出演する。9月から5大都市でライブツアーを開催。9月23日には同ツアーファイナル公演として東京・LIQUIDOROOMにてワンマンライブを開催。
https://columbia.jp/madkid/

RELEASE
『BOUNDARY』

Type-A(CD+DVD)
COZP-1936/7
¥4,000(tax in)

Type-B(CD)
COCP-41819
¥3,000(tax in)

日本コロムビア
8月24日 ON SALE