MADKID VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

MADKID『BOUNDARY』

ニューアルバム『BOUNDARY』で見せる制作における成長と音楽を楽しむ気持ち。

MADKIDが8月24日に2ndアルバム『BOUNDARY』をリリース。事務所独立後初のリリースとなった“REBOOT”から最新シングル“Bring Back”までを含めた、ここ2年の活動を総括するような内容の今作。新たに新曲4曲も収録されているが、リードトラックの“Fight It Out”はこれまで以上に激しいダンスチューンになっており、全員がラップに挑戦した“Play (feat Hylen)”、Q-MHzが制作し、ほぼ初めて作詞を外部に任せた“No border”など、それぞれに新たな挑戦が詰まっている。2人のラッパーと3人のボーカリストという編成だけでなく、メンバーが制作にも深く関わるからこその魅力と音楽への思いを感じることができる楽曲が揃うアルバムだ。今回のインタビューでは、YOU-TA、YUKI、KAƵUKI、LIN、SHIN、のメンバー5人に、“REBOOT”リリースの2年前から今に至るまでを振り返ってもらいながら、新たな挑戦をした新曲制作の裏側についてもたっぷりと語ってもらった。

■今回のアルバム『BOUNDARY』のタイトルの由来を教えてください。

SHIN 前作の“Bring Back”を通して、海外の方だったり、アニメのファンの人たちに知ってもらう機会ができたので、今回もいろんな境界線をどんどん突破して、『BOUNDARY』を通していろんな人たちに知ってもらう機会を増やしたいなという気持ちを込めて、付けさせていただきました。

■アルバムの収録曲で言うと、“REBOOT”は事務所を独立して初めての曲でもあり、ターニングポイントだったと思いますし、そこから歴史を追うように楽曲が収録されています。この2年程のことを振り返ってみてどうですか?

KAƵUKI  “REBOOT”からの約2年間のベストアルバムみたいな感じなんですけど、個人的に言ったら、このアルバムを通していろんな歌い方だったり声の使い方ができて、成長も感じ取れるアルバムになったのかなと思います。“REBOOT”は今聴くと懐かしさもあって、「この時はこんな感じで歌っていたんだ」って感じますね。それが今の形になっていっている部分もあれば、更にそこから進化していっている部分もあるっていうのを、感じ取れる1枚かなと思います。

YUKI 僕の場合は、その時々でその時のベストな自分を出しているので、成長というよりも懐かしさみたいな感じですね。独立してからの楽曲の作り方になってからは、自由に楽曲に対してアプローチができるようになっているので、そういう意味では前に比べて成長はあるんじゃないかなと思います。

■LINさんは作詞・作曲であったり、編曲であったり、制作にもよりしっかり関わるようになった時期のアルバムでもあるんじゃないかと思いますが、いかがですか?

LIN そうですね。自分のことに対して頓着がある方ではないので、こういう機会がないと今より前の自分と比べるっていうこともなくて。なので一旦アルバムにまとめてみて、頑張ったなと思います。(笑) あれじゃないですか、俺はそのタイプじゃなかったですけど、夏休みの宿題を1日1ページやって、30日経って30ページ集まった時の気持ちというか。(笑) 俺、宿題やったことないので味わったことないんですけど、そういう感じを今回味わえたなと思います。(笑) だから、いろいろやったなと思います。ここまで来てやっとそう思いました。

■リードトラック“Fight It Out”は、先日のワンマンライブのアンコールで初披露でしたね。いかがでしたか?

SHIN めちゃくちゃ緊張したというか、変な感じがしました。初披露の時っていつも変な感じがするんですけど……。(笑) 今ではリリースイベントで毎回のようにやっているんですけど、あれは疲れますね、すごく振りが激しいので。でもがっつり攻めるパフォーマンスは自分的には好きなので、すごく楽しいです。

KAƵUKI  僕はワンマンのちょっと前に、例の流行り病に罹って。(笑) 勿論治ってはいたものの、万全の体調とまではいかなくて。だからあの日はとにかくキツかったんですよ。もうアンコールでやっていた時の感覚があんまり残っていなくて、朦朧としながら……。なおかつ初披露でめちゃくちゃ激しい曲なので、よく倒れずにやったなっていう。(笑) 今回はまた新しい振り付けの方にお願いしているので、新しい見せ方が出来た曲じゃないかと思います。

■歌詞も曲調も勢いがありますが、これは最初から勢いがある曲を作ろうと?

LIN そうですね。僕らの楽曲で“Never going back”っていう曲があって、ああいう感じのを作って欲しいと言われて。「今やるんだったらどうしようかな?」と考えながら作っていきました。“RISE”とか、“FAITH”とか、“Bring Back”とか、MADKIDと言えばっていう曲調を引き継いでいきたいと思っていたんですけど、そこは上手く出せたんじゃないかなって思います。結構全部の楽曲がそうなんですけど、プリプロの段階で自分がどういう風にライブするかっていうのを考えながらやっているので、ワンマンライブの時の初披露は楽しみでした。「表題曲にしますよ」って言ってくれた時は本当に嬉しかったです。

YUKI 僕は自分のラップ詞だけ作詞に参加したんですけど、音源がLINちゃんから送られてきて……まぁすごいですよね。(笑) 本当に冗談抜きに、このスタンスでやれるのがすごいなって。僕はK-POPとかも含め、いろんなダンスボーカルグループが好きですけど、ここまで楽曲制作に携わっているグループってあんまり見たことないですし。毎回デモが送られてきた時に一旦真っ白になりますね。今回の“Fight It Out”に関してだけ言うと、僕がLINちゃんの前のラップパートなんですけど、シャウトの部分があって、これをどうやって繋げようかなって思って、家でずっと叫んでできたのがこれなんです。でも楽しかったですね。さっきの話じゃないですけど、成長ってそういうところにあって、新しいものを同じように作り続けるのって逆に苦なんですよね、自分の進化を感じられないから。でもこれはサウンドがすごい熱かったので、声の乗せ方とかの感じを研究しました。去年作って録った曲なんですけど、早くライブで披露したいなってずっと思っていた曲です。

■LINさんからはYUKIさんのラップの部分だけが空白になって送られてくるっていうことですか?

YUKI そうです。

LIN ほとんど毎回そうですね。だから日本でラップしている人で一番大変なんじゃないですか?(笑)

YUKI マジで完成されているので……。僕の部分をなくしても聴けるくらいなので。(笑)

■以前もおっしゃっていましたよね。(笑)

YUKI “Interstella Luv”の時が一番そうだったんですよ!「これは僕がいてもいいのか?」っていう。しかも面白いのが、毎回結構いいところをくれるんですよ、曲の変わり目とかの。だから起き上がれますね。あとは「同じようなラップをしていたら展開的に面白くないな」とか、そういうことは長くやっているからこそ考えるようになりましたね。

■LINさんはYUKIさんのラップの場所はどういう風に決めているんですか?

LIN この曲に関してはある程度尺をとってラップしたいなって思っていたので、1番が終わって遊べる2番で8小節ずつ自分たちでやろうかなって思って。でも作っているうちに、ここはYUKIにラップさせてあげようかなっていうのは、自分が歌詞を書く前になんとなくありますね。

■ちなみにラップ以外の歌割りはどうされているんですか?

LIN それはずっとYOU-TAに任せています。

YOU-TA 僕は思った通りに決めている感じですね。僕らってみんな声が全然似ていないので、役割をしっかりつけて、例えばここはKAƵUKIの良い声に任せるとか、サビは僕が力強く歌うとか。まっすぐ届けたい詞があるんだったらSHINとか。キャラクターがすごく立っているので、そんなに難しくないというか、変なことはしないっていう感じで王道に作っています。

■“Play”は1人ずつのラップがあって個性が出ている曲だなと感じました。フィーチャリングではHylenさんを迎えていますね。

LIN この曲はやりたかったことをやったっていう感じです。「全員でラップやろうぜ!」って言っていて。最初は「ボーナストラックとかでいいです」って言っていたんですけど、「ちゃんと収録します」ってなったので、「じゃ、ちゃんとやんなきゃな」っていう。(笑) あとは俺がずっと一緒にやってきてリスペクトのあるトラックメイカー・プロデューサーのHylenを呼んで。編曲だったらフィーチャリングって書かないんですけど、今回は俺以外の4人がラップしているところはみんな俺がトラックを作っていて、俺のところはHylenが作っているんです。2曲がくっついているみたいな感じになっているので、フィーチャリングにしてあります。本当に自由にやらせてもらった曲です。

■制作はどういう順序で行ったんですか?

LIN みんながラップしているところのワンループを作って、自由に遊ぶっていうテーマをみんなに渡して、2週間後くらいに俺の家に来てもらって録って、一旦録ってから順番を考えようみたいな感じで。

■歌詞は自分のところをみんながそれぞれ書いたっていう感じですよね?

LIN そうですね。一緒に書いたのは繰り返すようなところだけです。

■みなさんそれぞれどういうきっかけから歌詞を書いていったんですか?

SHIN めちゃくちゃプレッシャーだったんですけど……。とりあえず宮崎弁を使おうっていうのはあって。あとは自分が考えていることを書いていきました。僕自身は今までラップをあまり聴いてこなかったので、ラップの親といったらLINとYUKIの2人なんですけど、すごい頭を回して、結構時間をかけて書きました。それでLINの家に行って、考えてきたことをばっと録ってみて、YUKIとLINが少しずつフロウを変えてくれてまとまったっていう感じです。あと自分の中ですごく嬉しかったのが、みんなで歌っているところの「I’m tege fly shit」の「tege」って宮崎弁なんですよ。そこをLINが使ってくれたのがすごく嬉しくて。「このMADKIDの中に宮崎がいる!」っていう。

YOU-TA 宮崎がいる。(笑)

SHIN それがすごく嬉しいなって思います。

LIN ここの4人からしたら方言ってやっぱり使えないので。羨ましいですよね。

SHIN すごい楽しかったです。みんなで遊びながら作るというか、本当に自由にLINの部屋に集まって、男臭かったなぁって思います。(笑) あんまり青春してこなかったので、みんなで集まってひとつのことをわいわい話しながら曲を作るのってすごくいいなって。その後みんなでラーメン食べに行ったりとか。そういうのも含めてすごく楽しかったです。

LIN 自分は意識したことと言えば、言いたいことを言うっていうか、本当にそれだけですね。ほとんどうちで録ったボーカルがそのまま使われているので、一番飾りっけがない5人が出ているかなって思います。

YOU-TA 僕はそうですね……。

LIN 一番こだわってたよね。

YOU-TA 一番こだわったね。MADKIDの2人のラップを日本で一番上手く歌える自信があるくらい2人のラップが好きなんですけど、今回初めてラッパーとして名乗りを上げさせていただいたということで。(笑) 僕のルーツはHIPHOPなので、自分が聴いてきたちゃんとしたHIPHOPをやりたいなと思って。TERIYAKI BOYZが大好きなのでそれっぽくしながらも、ビート自体すごいカッコいいので、それにも馴染むような感じで。本当にあの瞬間は僕たちもHIPHOPクルーみたいになっていましたね。だから今回だけじゃなくて、またそういう機会があってもいいなって思いました。LINが作ってくれたものにみんなでエッセンスを足していくっていうやり方は、今後もやっていきたいと思いました。

KAƵUKI  僕はいい意味でも悪い意味でも適当に作りました。(笑) お風呂に入りながら10分、15分で作った感じです。

YOU-TA これぞHIPHOPだな。

LIN HIPHOPのクルーってこういう人、1人はいるよね。(笑)

YOU-TA プレイっていうお題を持ってきて、領収書って言葉は出てこないですよね。リアルだなぁ。(笑)