MADKID主催『colutte Presents Future Notes Fes SPECIAL』イベントレポート@神田明神ホール

豪華コラボとアニソンが作り上げた強固な一体感。

とりわけこの日のイベントは、オーディエンスの熱量が高かった。「盾の勇者の成り上がり」シリーズの主題歌を務めているMADKIDをはじめ、「蒼き鋼のアルペジオ」など、数々のアニメの主題歌を務めるナノ、声優としても活躍する富田美憂、大西亜玖璃、そして大のアニメ好きやオタクが集まっているREAL AKIBA BOYZ、REAL AKIBA JUNIORZといった、アニメとの深い出演者が集まったMADKID主催イベント『colutte Presents Future Notes Fes SPECIAL』。それぞれのファンがアニメを共通項に盛り上がり、どの出演者のステージもワンマン並の熱気とリラックスしたムードに満ち溢れていた公演であった。特に本稿でレポートする夜公演では、既に昼公演を終えていたこともあって、会場の盛り上がりと一体感はオープニングアクトのREAL AKIBA JUNIORZのステージより十二分である。“D.I.Y.”と“私は最強”をフレッシュに披露し、アクロバットパフォーマンスでは歓声があがったREAL AKIBA JUNIORZのステージ。2023年5月に結成したばかりだという彼らの初々しくもキラキラしたパフォーマンスがオープニングを盛り上げる。

一組目のアクトとして登場したのは富田美憂。“Broken Sky”のパワフルな歌声に会場も沸き、オーディエンスは一体感たっぷりの歓声とクラップを送る。富田はステージを左右に動いてはファンに目線を送ったりと、この日ならではの近い距離感を楽しんでいる様子だ。MCでは「ファンの人は知っていると思うんですけど、超がつく人見知りでして……。こういうフェスの時、写真撮ってくださいって言えないんですけど、今日はもう撮ったんです!すごくない!?」と喜々として報告する富田に大歓声が応えたりと、和気あいあいとしたやり取りが行われる。一転してしっとりと繊細な歌声を聞かせた“インソムニアマーメイド”を披露すると、“Present Moment”へ。伸び伸びと明るく歌い上げる富田はリラックスして楽しんでいる様子であった。

“Nevereverland”のイントロで登場した続いてのアクト、ナノは重低音の効いたリズムトラックを従えながら、心地いい低音の歌声で会場をロックに染め上げる。ハンドマイクに持ち替えて披露した“No pain,No game”ではパワーのある低音から高音のファルセットまで、シームレスに駆け上がるようなメロディで魅了。強かに背中を押すような“DREAMCATHER”の後の“FIGHT SONG”では、オーディエンスの歌声も相まってエネルギッシュなステージを展開した。その光景に「ナノのことを知らない人が多い中で一体になれて嬉しい」と感動の様子だ。そしてMADKIDよりYOU-TAを呼び込むと、2人で“SAVIOR OF SONG”へ。互いに呼応し合うようなパワフルなハーモニーを響かせ、オーディエンスにたっぷりの熱量を届けた。

ネクストアーティストとして名前が表示されるなり会場が大歓声に包まれた大西亜玖璃のステージは“Elder flower”でスタート。どこか懐かしさのあるメロディに乗せた歌声と、手振りがキュートだ。“NTMUエイリアン”を続けた後には、「今踊ってくれていました?はじめましてですか?」と前列のオーディエンスとコミュニケーションを取ったりと、会場の和やかな雰囲気を楽しんでいる様子。そして新曲“夢で逢えなくても”を初披露し、爽やかな風を吹かせると、“はじまるウェルカム”へ。集まったオーディエンスも振りを真似たりコールで参加したりと、会場には温かい空気が溢れる。曲終盤では、法被を着たMADKIDとREAL AKIBA BOYZの面々が盛り上げ役として登場。この日ならではの賑やかかつくだけた雰囲気がぬくもりを感じさせるステージとなった。

REAL AKIBA BOYZは、涼宮あつき、DRAGON、マロン、ムラトミ、ネス、ゾマやかじゃない!の6人で登場。それぞれのダンスを見せた“ばっか~の”でショーのような華やかな雰囲気を作り上げると、“チキチキバンバン”へ。息の合った賑やかなダンスパフォーマンスに、オーディエンスからは都度歓声が漏れる。昼公演とはセットリストを全て変えたという気合いをアピールしたMCでは、ネスが富田美憂のファンクラブに入会するほどの熱烈なファンであることが明かされるなど、この日ならではの話題でオーディエンスとの距離を縮める。表情豊かなダンスが楽しげな一方でソロダンスでは各々の得意分野が遺憾なく会場を魅了したPENICILLIN“ロマンス”、μ’s“僕らは今のなかで”と続けていく。特に“僕らは今のなかで”はオーディエンスのコールも完璧である。アニメとの親和性の高いオーディエンスが集まったこの日の客層にぴったりな選曲に、異様ともいえる熱気が立ち込めた。“ギミー!レボリューション”、“ようこそジャパリパークへ”、“君じゃなきゃダメみたい”、“シュガーソングとビターステップ”とアニソンとして名高い楽曲が続くと、楽し気なREAL AKIBA BOYZのパフォーマンスと、楽曲の知名度もあって高まる熱量が天井知らずの熱狂を生み出した。

ここまでどのアーティストもワンマンライブかのような盛り上がりを見せていたFuture Notes Fes。そのトリを飾ったのはMADKIDだ。SEをバックにクールに登場すると、“FAITH”でパワフルにスタート、ボーカル陣の3人の声質の違いが楽曲に表情を付ける。尚この日はラッパーのYUKIが喉の不調のため歌唱なしでの参加となったが、YOU-TAとLINがフォローに周ったり、普段より更にダンスに神経を尖らせたYUKIのパフォーマンスが見れたりといった特別感のあるステージでもあった。またこの日ならではの選曲として、富田美憂“OveR”のカバーも披露。大人びた空気でしっとりと歌い上げ、4者4様のボーカリゼーションを聞かせる。ボーカルとラップの掛け合いが疾走感を掻き立てる新曲”SIN”をパフォーマンスしたのちには、“RISE”で客席を巻き込んだ大合唱を展開した。

そして最後にはステージに出演者が集合し、“限界突破×サバイバー”で大団円。ボーイズグループ、声優、ダンサーと、珍しいラインナップとなった本公演だったが、アニメカルチャーが繋ぐ絆が一体感を生み出した熱い夜となった。

Text:村上麗奈

『colutte Presents Future Notes Fes SPECIAL』@神田明神ホール【夜の部】 セットリスト
REAL AKIBA JUNIORZ
01. D.I.Y.
02. 私は最強

富田美憂
01. Broken Sky
02. インソムニアマーメイド
03. Present Moment

ナノ
01. Nevereverland
02. No pain, No game
03. DREAMCATHER
04. FIGHT SONG
05. SAVIOR OF SONG

大西亜玖璃 
01. Elder flower
02. NTMUエイリアン
03. 夢で逢えなくても
04. はじまるウェルカム

REAL AKIBA BOYZ
01. ばっか〜の⇒チキチキバンバン
02. ロマンス⇒ラブライブ⇒俺つい⇒ジャパリ
03. 君じゃなきゃダメみたい⇒シュガビタ

MADKID
01. FAITH
02. OveR
03. SIN
04. RISE

全員
01. 「限界突破×サバイバー」