マジカルパンチライン VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

マジカルパンチライン

解散の危機を乗り越えたからこそ歌える、6人体制になったマジパンの初シングル

昨年4月にグループの発起人であり、リーダーを務めていた佐藤麗奈が卒業。その後、レコード会社との契約も切れ、メンバーですら解散を意識したほど逆風続きだったマジカル・パンチラインだが、2019年は一転して追い風が吹いている。2月にレコード会社を移籍してシングル『Melty Kiss』をリリースすると、2人の新メンバーが加入。6人体制になり初めてのシングル『今日がまだ蒼くても』を6月19日にリリースする。本作には困難を乗り越え、未来に向けて走り出した彼女たちの心情が重なる表題曲のほか、ファンとの関係を歌った“ぱーりないと!!”、メンバーの個性が歌詞に盛り込まれた自己紹介ソング“マジ☆マジ☆ランデブー”の3曲を収録。結成時からのメンバーである沖口優奈、浅野杏奈、清水ひまわり、小山リーナ、そして2月に加入した吉澤悠華、吉田優良里に、新生マジパンの原点となる本作への想いを語ってもらった。

■“今日がまだ蒼くても”は、完全に今のマジパンを歌った曲ですよね?

沖口 最初に曲をいただいたときは、そういう説明はなかったんですけど、歌詞を読み解いていくうちに、「なんか私たちに当てはまるな」って、徐々に気づき始めて。6人になってゼロからのスタートという意味では、まだまだ本当に蒼い状態なので、タイトルからしても重なる部分がある曲だなと思いました。

■たとえば「新しい出会いで立ち上がるの」は、新メンバーの2人が入ってきたことかなと思ったんですけど、自分たちのことだなと特に感じたフレーズは?

沖口 私は「三度季節が 巡り巡りほら」のところを歌っているんですけど、ちょうど結成から3年経ったところで、いまの6人体制になったんですよ。そのあとに続く「新しい夏の香り」も、これから6人では初めての夏を迎えるので、今までと違うマジパンの姿を見せられたらいいなと思っています。

浅野 そのあとの歌詞の「今日はまだまだ 蒼くてもきっと/ひとつまたひとつ たどり着きたい」も、マジパンらしいなと思っていて。「ひとつまたひとつ」には、この夏のイベントだったり、私たちが今の目標にしているZeppでのワンマンライブだったり、いろんなことが当てはまって、希望の歌でもあるなと思うんです。

■「三度季節が」は5人時代、4人時代、今の6人時代の三度っていうことでもありますよね。個人的には「選びそびれた過去」という歌詞が気になったんですけど、何を思い浮かべましたか?

浅野 マジパンは正直、解散ができたというか…。

■まぁ、絶好のタイミングがありましたよね。

浅野 そうですね。けっこういろんなタイミングで。でも、したくなくてもできるときと、するべきと思ってしなかったときと、選択肢がいっぱいあった過去があるからこそ歌える曲だなって。あそこでこういうことが起こらなければ、いいほうに進んだかもしれないとか、分かれ道があって、こっちに行けばよかったなって思うことが、去年にはいっぱいあったんです。そこをスタッフさんが汲み取って、歌詞に入れてくださったんじゃないかなって。

■「もう、やめたいです」と言ったこともあったんですか?

浅野 「やめたいです」はないですけど、「やめるべきなのか?」っていうのに悩んだことはありました。

■でも、口には出していない?

清水 出せなかったよね。

沖口 出せなかったけど、みんな「もしかしたらこのまま終わっていくんじゃないか?」という不安はあったと思うんです。それを言わなかったのは、歌詞にもある「君は隣で/今も まっすぐな目をしているから」だと思っていて。もしかしたら自分だけがネガティブになっているんじゃないか、みんなは前向きにがんばっているんだから、自分もがんばらないとっていう気持ちがあったのかなって。

■「まっすぐな目をして」は新メンバーのことかと思っていたんですけど、確かに「今も」って入っていますね。

沖口 でも、新メンバーの2人にも、まわりのスタッフさんにも支えられたなと実感していて。事務所の社長さんも含め、いろんな人たちが「いや、マジパンがんばっていこうよ!」っていう空気づくりをしてくれて、言葉にも出してくれて。それで、まだ諦めちゃダメなんだと思えたし、実際に新しいレコード会社さんにも移籍できることになって、新メンバーも入ってきて、がむしゃらにがんばってくれて。それに励まされて、まだまだがんばっていかないとっていう気持ちになれたんです。それは自分がネガティブになっていたからこそ感じる部分だったのかなと思います。

■4人とも本当はネガティブになっていた?

浅野 リーナはわりとポジティブだった気がする。

小山 あんまり深く考えない人なので。(笑) ネガティブになるというよりは、「やってやろう」っていう気持ちになる派なんです。

■その期間に4人で未来について話し合うことはなかったんですか?

小山 なかったです。

清水 話し合い自体、なかったよね。

沖口 その日のパフォーマンスを振り返るとかはたくさんあったんですけど、核心的なところは話さず。(笑)

■深いところまで話し合っていたら、解散していたかも?

沖口 きっとしていますね。(笑)

浅野 ここ2人(浅野と沖口)、どっちかがネガティブなこと言います。(笑)

沖口 「正直、どう思う?」とか言い出したら…。

浅野 終わりですね。(笑) ネガティブとポジティブ、3対1だから。

■あえて話し合わないほうがいいときもあるんですね。新メンバーの2人は、4人のテンションに置いていかれませんでしたか?

吉田 その過去を経験していないので、どうやって歌えばいいのかな?って、最初は思ったんですけど、「ああ 未来を指差して/今、走り出した」とかは、自分たちが今、本当にスタートしたっていうことと重なって。そのサビの部分は、特に自分たちに合っているところだなって思います。だから、とにかく前に進む感じで、明るい気持ちでいこう、みたいなことをスタッフさんとはお話していました。

吉澤 「ひとつまたひとつ たどり着きたい」のところは、(吉澤と吉田の)2人が歌っているんですけど、4人に追いつくために、ひとつひとつがんばっていきたいなと思って歌っていて。4人とは解釈の仕方が違うと思うんですけど、自分たちのなかでがんばっていこうって。

■自分たちの状況に置き換えて解釈したんですね。

沖口 私たちの物語を知っていたら、どうしてもその解釈になっちゃうと思うんですけど、たとえば部活している学生とか、もうすぐ高校卒業するとかでも、当てはめられる歌詞だと思うんです。人生のなかで挫けそうになったり、迷ったり、悲しかったり、別にアイドルじゃなくても、たくさんあるじゃないですか。そこで挫けていたら前には進めないので、この曲を聴いて、がんばろうって思ってもらえたらいいなって。そういう方の背中を押せる、心の支えになるような歌詞、曲調だと思うので。

浅野 本当に誰でも聴きやすいというか、音楽的にも私はベースとバイオリンがいい具合に絡み合っている感じが好きで。アイドルらしさを保ちつつも、すごく品がある曲だと思うんです。アイドルソングは元気すぎて苦手という方もいると思うんですよ。でも、そういうわけでもなく、クラシックに寄り過ぎているわけでもなく、ちょうどいいラインのJ-POPだなと思っているので。アイドルの曲だからといって、聴かず嫌いをしないでいただきたいです。5分足らずの曲なので、なんとなく聴いてみようくらいで、みなさんの人生の5分をいただけたらうれしいです。

■そういう意味では、過去最高に歌唱力が求められる曲だと思うんですけど、歌の面で今までと違う意識はありました?浅野さんはボーカルリーダーですよね?

浅野 あの、歌が好きっていう面でボーカルリーダーなんですけど、いちばん歌がうまいのは小山です。(笑) でも私、今までのレコーディングでは、正確に歌うことを意識していたんですけど、この曲はスタッフさんから「そういうんじゃなくて、ライブで歌うくらいの感覚でやってほしい」と言われたんです。だから、ちょっと気持ちを入れすぎて、音がブレてたりするんですけど、音源としても聴きやすく仕上がっていると思うし、ライブ映えする曲でもあるなと思います。