22/7 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

それぞれひとりひとりが違う解釈でもいいので、“後でわかること”を考えてもらえたら嬉しい。

2ndアルバム『旅人算』が、オリコンデイリーアルバムランキングで初登場1位を獲得した22/7(ナナブンノニジュウニ)が、2024年第1弾となる12th Single『後でわかること』を5月1日にリリース。22/7(通称:ナナニジ)は、秋元康×Sony Music×ANIPLEXがタッグを組んだデジタル声優アイドルプロジェクト。今作の表題曲“後でわかること”に加えて、全形態共通カップリング曲の“春雷の頃”、そして完全生産限定盤A・Bには“もう少し生きてみないか?”、初回生産限定盤には“無関心ヒーロー”、通常盤には“世界中で歌おうぜ”と、それぞれ異なるカップリング曲が収録される。今回は神木みかみ役の涼花萌、瀬良穂乃花役の望月りの、氷室みず姫役の月城咲舞、織原純佳役の椎名桜月の4人に、今作に収録のそれぞれの楽曲について詳しく話を訊いた。

■VANITYMIXの取材としては、1stアルバム『11という名の永遠の素数』以来、久しぶりの取材になりますが、自己紹介と一緒に、最近ハマっているものや、注目しているものを教えてください。

涼花 神木みかみ役の涼花萌です。私とみかみちゃんは二人とも同じ京都出身で、鳥が大好きです。みかみちゃんははんなりしていて日本舞踊の家元の子です。そして私が最近ハマっていることはアサイーを朝食べることです。

椎名 織原純佳役の椎名桜月です。山梨県出身でアニメ鑑賞と歌を歌うことが好きです。織原純佳ちゃんは本が好きで、私が昔、人見知りだった時代にそれをモチーフに作っていただいたキャラクターなんですが、私自身はグループに加入してもう3年が経って、最近ではめちゃくちゃうるさいキャラになっています。(笑) 私は最近、駅とかで売っている量り売りの小さなクロワッサンにハマっています。

月城 月城咲舞です。氷室みず姫役です。みず姫ちゃんはダンスがすごく好きで、イケメンプリンスみたいなキャラクターだったんですけど、「22/7 計算中」という番組内でバカがバレてしまって……。今はキャラを守ろうと頑張っています。(笑) 私は福岡県出身で、私もダンスが大好きです。最近は散歩にハマっていて、少し前は桜が綺麗だったので今年は散歩しながら5回くらいお花見しました。

望月 瀬良穂乃花役の望月りのです。私はチアダンスが得意で、趣味は絵を描くことです。あと瀬良穂乃花ちゃんと私の共通の特技がありまして、飛行機のエンジンと同じdb(デシベル)の声量を出すことができます。最近ハマっていることは、いろんなコンビニのおにぎりを食べることです。

■ありがとうございます。それでは今作12枚目のシングル『後でわかること』について、いろいろとお話を聞いていければと思います。まずは表題曲の“後でわかること”ですが、この曲を初めて聴いた時の感想はいかがでしたか?

涼花 最初に曲を聴いた時、「すごく可愛い!」と思いました。サビに「水族館」という言葉が出てくるんですけど、私は水族館が大好きなんです。昔はペンギンやアシカショーの飼育員さんになりたかったくらいなので、「水族館の歌なんだ!」って思ってテンションがあがりました。それに最後まで曲を聴いてみたら、別れた恋人たちの大切だった時間のことを歌っていて、私はちょうど失恋した人の気持ちが知りたいと思っていたので、この曲に出会えてすごく嬉しかったです。

椎名 前作のアルバムリード曲に続いて、表題曲で恋愛ソングを歌うというのが、今までのナナニジでは珍しかったのですごくびっくりしました。先日ダンスビデオが公開されたんですけど、それと色味が一緒で、海っぽいというか、初夏のような、爽やかなイメージの曲だなと思いました。サビのメロディーやリズムがすごく乗れる感じで、ライブでもみんなで盛り上がれる楽しい曲になるんじゃないかなとワクワクしました。あと、この曲の歌詞は抽象的な言葉を使っている部分と、直接的な言葉を使っている部分があって、後でわかることではあるけど、結局はひとりひとり個人の価値観を歌っている曲なんだなって思いました。「渋谷の街は恋人たちの水槽」とか、「ガラス窓のない空」などの比喩表現がたくさん使われていて、普段聞き慣れない言葉というか、ちょっと気になって惹かれるような言葉が使われているんですけど、「僕が永遠に愛し続けられる人よ」みたいに、その一文を見ただけでその情景が思い浮かぶような表現もあって、一曲の中でも若干ちぐはぐしているように感じられるところもあって面白い曲だなって思いました。

月城 私はまずこのタイトルを見た時に、「わかるー!」ってすごく共感しました。私はいろいろなことに挑戦するのが好きで、とりあえずやってみて楽しければ続けて、つまらなかったら辞めればいいので、まずはやってみて自分に合うかどうかは後でわかることだと思うからです。(笑) でもその気持ちを人に伝えるのってなかなか難しいんですよね。でもこの曲を聴いて、そうやって後でわかることって恋愛にも通じるところがあるんだなって知れたので、みなさんにもこの曲を聴いてもらって、恋愛や挑戦だけじゃなくても、それぞれひとりひとりが違う解釈でもいいので、“後でわかること”を考えてもらえたら嬉しいなって思いました。

望月 この曲は明るい曲調とは裏腹に、歌詞が結構深いなと思いました。恋愛のことにかかわらず、後になってわかることって結構多いと思うんです。私の経験で言うと、私は昔チアダンスをやっていて、その時はすごく辛くて「辞めたい」って思うことも多かったんですけど、実際に辞めてチアダンスから離れてみたら、あの日々はすごく尊い時間だったんだなって、後になってからわかったので。でもそうやって後になって思うんだとしたら、今は目の前にあることが「しんどいな」って思っても、「今を大切に生きよう」ってこの曲を聴いて思いました。あとは、歌詞の中でカップルを魚に例えているのがすごく面白いなって思いました。

■なるほど。今、月城さんと望月さんのお話にもあったように、「大切な事は後になってから気づく」という内容の曲ですが、涼花さんと椎名さんも後になってから気がついた大切なことなどは何かありますか?

涼花 今の話を聞いていて、私はこの曲の2サビの「君以外いないって 今になってわかる 僕が永遠に愛し続けられる人よ」っていう歌詞が一番好きだったんですけど、私も歌っているその前の「その頃の僕たちは自由ばかり求めていた どこにでも行けるなんて 夢のような勘違いしてた」という歌詞を見て、私は学生時代にナナニジに入って、それからもう7年ぐらいナナニジとして活動しているので、青春は学生の時とナナニジしか知らないので、きっとナナニジを卒業してここを出た後の数年後とかに、「ここがどんなに幸せだったんだろう」っていうのがわかるんだろうなって思いました。

椎名 その時に辛かったこととか、逆に今楽しいと思っていることでも、後になったら「もっとこうしておけば良かった」って思うかもしれないし、誰もが後悔をしたくないと思って選択をして生きていく一方で、一度も後悔したことがない人っていないと思うんです。楽な方に逃げちゃったり、逆に挑戦出来る性格の人もいるのかもしれないけど、この曲は恋愛ソングではありながら、恋愛に限らず、自分の進路だったり、未来だったりに、意地を張らずに素直になることが大事だという曲なので、この“後でわかること”を聴いて、みなさんも今をどうやって生きるかの選択をしてくれたらいいなと思います。

■ちなみにこの曲は、街を水槽に見立てて心の水族館を描いた作品になっていますが、なんで水槽なんだと思いますか?

椎名 渋谷のスクランブル交差点の人混みが交差する感じと、魚群の交差する感じを重ね合わせたりしたのかな……?ナナニジ自体が渋谷と関連が深いグループでもあるので、そういうところからモチーフにしているのかもしれないです。渋谷のスクランブル交差点って日本の人たちだけじゃなくて、海外の人たちからしてもわかりやすいスポットだと思うので、イメージしやすいと思ってモチーフにしたのかなって思います。

月城 この“後でわかること”のダンスビデオの背景も水族館の魚が泳ぐ映像になっているんですけど、魚って泳ぐ方向がみんなバラバラでそれぞれ行く方向が違うので、渋谷のスクランブル交差点もみんな目的地が違ってバラバラの方向に進んでいく感じが共通点なのかなって思いました。

涼花 私は水族館で魚の大群が泳いでいるのをボーっと見ているのがすごく好きで、その時間はなにもかも忘れられるので、きっと大切な人を失ったことに気づいて、傷心してなんにも考えられなくなって、スクランブル交差点の人たちが魚に見えたんだろうなって。(笑)

■なるほど。(笑) 傷心してボーっとスクランブル交差点を見ていたら人が水槽の魚に見えてきてしまったと……。切ないですね。

望月 水族館の水槽の中っていろいろな種類のお魚がたくさんいるので、いろいろなカップルがいて、いろいろな恋愛があって、というのを表現しているのかなって。

■確かに水槽の中っていろいろな種類のお魚がいますもんね。動物園の檻の中だったら、同じ種類の動物しかいませんからね。(笑) もうひとつ気になるのは、歌詞にある「一人歩くSaturday」なんですが、なぜ土曜日だったのでしょうか?

月城 はい!私が考察するに、このカップルは平日は仕事で会えないので、二人で毎週末の土曜日に必ずデートをする約束をしていて、毎週土曜日は一緒にいたけど別れてしまって、よくデートしていた渋谷を今は寂しく一人きりで巡っているんだと思います。

椎名 休日って何をしてもいいじゃないですか。一人でお買い物に行ってもいいし、友達と遊んでもいいし、家の片付けをやってもいいし。何をしても自由にしていい休日の土曜日なのに、それでも思い出してしまうほど大切な人だったのかな?と……。平日は学校だったり、仕事だったり、忙しくしている人が多いと思うので、土曜日になるとふと思い出してしまうのかな。後になってみたら「素敵な時間だったな」と思い出してしまうくらい、未練があるのかなとも思います。

■「一人歩くSaturday」ですけど、きっと別れる前は二人で歩いていたんでしょうね。

椎名 そうですね。しかも心の水族館ですから、実際に行っているわけではなくて、心で思い浮かべているだけですからね、きっと。切ない……。

■では2曲目の“春雷の頃”ですが、こちらも初めて聴いた時の感想をそれぞれ教えてください。

涼花 私はこの曲を聴いた時に、少し和っぽい感じの曲だったので、えまっちゃ(月城咲舞)が、竹藪の中で剣道をしているのが浮かんできて……。ライブで初披露する時には、えまっちゃ一人で剣を振り回しているところから始まったらいいなって勝手に思っています。(笑)

月城 えっ?!ソロで???

涼花 ソロで歌いだしてほしいと思います。(笑)

■歌詞にはなにもリンクしていないですけどね……。(笑)

月城 私は自分のTik Tokとかで、ダンス動画に剣道を取り入れたりしていて、家族に「新しい曲はこんな曲なんだ」って聴かせた時にも、「この曲のダンス動画は雨の中で剣を振り回したらいいんじゃない?」って言われたので、めっちゃシンクロしているんですけど。(笑) でも私もそういう動画を撮ってみたいなって気持ちもあります。

■なるほど。じゃあTik Tokに上がるのを期待しておきますね。(笑) 椎名さんはいかがですか?

椎名 私は今回のシングルの収録曲の中では、この曲が一番好きなんです。曲のメロディの後ろで鳴っている音に日本っぽさを感じさせる和音が入っているのも良くて。初めて聴いた人にも馴染みがあるというか、スッと入ってきて覚えやすい曲なのかなと思います。あと歌詞が文学的というか、すごく日本が持っている美しさみたいなものを感じます。表現が難しいんですけど、大切にとっておきたいスノードームの中身みたいな気持ちで大切に聴いています。パフォーマンスもまだ先ですけど、ナナニジが出せる美しさみたいな部分を魅せられる曲になってくれるんじゃないかなと思います。

月城 私は最初にタイトルを見た時に、「雷」という文字が入っていて、私の絵文字が雷なのですごく親近感がありました。曲を聴いてみたら、私もこの曲が一番好きだなと思いました。今までナナニジでダンスをやってきて、切ない表情で踊ることが結構多かったのですが、この曲にもすごく切なさを感じるので、それを上手く表現できればいいなと思います。あと、最後の「ゴロゴロとゴロゴロと雷が鳴ってた」のところは私が言っているので、毎回ライブでもいろいろな「ゴロゴロ」をお伝えできればと思います。(笑)

望月 私はこんなに美しく情景を描く曲はすごいなと思いました。遠くで雷が鳴っていたり、相手の肩が震えていたりとか、この曲の主人公たちの一つ一つの仕草や様子をこんなに繊細に歌にして表現するなんて……と思いました。雷が鳴っていて、雨が降りそうで、そんな中でキスをしているなんて、ロマンチックすぎませんか!?

椎名 しかもプラタナスの木ってすごく大きい木で、雨が降り出しそうだからってその木の下で雨宿りしようとして、そこでキスされたっていうね。

月城 雷と雨に追われながらしたキスはどんな気持ちだったんでしょう……?

■不安な気持ちを雨雲に例えるのも素晴らしい描写ですよね。ちなみにみなさんは何か雷にまつわるエピソードなどはありますか?

望月 メンバーの相川奈央ちゃんは大きな音が苦手なので、きっと雷も嫌いなんだろうなって思います。

椎名 予想なのね。(笑) 前に福岡でライブがあった時、ライブが終わった後に望月さんたちと一緒にパフェを食べに行ったんですけど、その帰りに雨が降ってきたので、みんなでわーって走って一旦私の部屋に逃げ帰って来て、しばらく深夜までみんなで話をしていたんですけど、もう遅くなってみんな自分の部屋に帰ったのに、望月さんひとりだけが「雷怖いから」って渋って、全然自分の部屋に戻らなかったんです。でもお風呂にも入りたかったので、お互いの部屋でお風呂に入った方が効率的だから、「一旦部屋に戻ってお風呂入ってからまた話そう」って話になったんです。それでお風呂から出たらめっちゃ雷が鳴っていて、私も雷が得意じゃないから心細くなって望月さんに何回も電話したんですけど全然出てくれなくて……。次の日の朝に会ったら「ごめん!気づかずに寝てた」って言われたんです。あんなに怖がっていたのにすんなり寝れちゃうんだ……って思いました。(笑)