■そうだったんですね。雷が鳴ると思い出すエピソードですね。(笑) 続いて完全生産限定盤に収録の“もう少し生きてみないか?”は、爽やかな曲調とは相まって辛辣な内容の歌詞ですが、こちらを初めて聴いた時の感想はいかがですか?
涼花 最初はイントロも爽やかな感じで、可愛い曲だなって思って聴いていたんですけど、歌が始まってみたら「カッターの刃先を……」って、「おや……???」と思いました。それで「おやおや???」と思っていたら、どうやら死にたいと思っている子だったみたいで……。それでそのまま2番まで聴いていって、話が進んでいく度に「やばい、この子を傷つけるタイプの人間は私だ……」って思って。私はすごく楽天主義者の人間なので、「まさにそれって人を傷つけていたのね、ごめんね……」って思いました。
椎名 私も初めて曲を聴いた時に、イントロを聴いて「絶対にラブソングだ!」って思っていたんですけど、「カッターの刃先を……」って始まって、「おや……???」ってなりましたね。(笑) そうはなったんですけど、ナナニジらしいというか、ナナニジだからこそ歌える曲をいただけたんだなと思いました。今までにも何曲かこういう「生きるのが辛い」というような曲があるんですけど、だいたいの曲が「それでも、もう少し生きよう」っていう事を伝えている曲だったりして。今回はもうタイトルから“もう少し生きてみないか?”っていう曲なので、すごくメ ッ セ ージ性も強いですし、スケールが大きく感じるんですけど、「もう少し◯◯してみないか?」みたいな感じで、もっと気軽な言葉を当てはめて、誰かを元気づけられるような曲になったらいいなと思います。こんなご時世なので、毎日嫌なことは数え切れないと思うんですけど、みんなで一緒に生きてみようって思ってもらえたら嬉しいです。あと、この曲はセリフパートがあって、詩さん、私、萌さんの順番で言っているんですけど、萌さんのセリフが来た瞬間、「あぁ、もう少し生きてみよう」って思えました。すごく救われました。(笑)
涼花 私は聴いた時にズッコケました……。(笑)
椎名 そこも含めてライブでの披露が楽しみな曲ですね。
■ライブではまた違った言い方になっているかもしれませんしね。注目ですね。(笑) 月城さんはいかがですか?
月城 私は曲を聴く時はいつも最初は歌詞を見ないで聴くんですけど、今回はタイトルを見てちょっと心構えはしていたんですけど、曲が始まったら「あ、なんか明るい曲でいいかも」って思ったんですけど、やっぱり歌が始まって「カッターの……」で、「おや……???」となりました。(笑) 私自身は生死についてこうやって思ったことは今まで一度もなかったので、最初は歌詞の気持ちが全然理解できなかったんですけど、レコーディングまでに歌の練習をしているうちに、人それぞれ感じ方とか価値観は違うので、こう感じてしまう人もいるんだと理解して、だったら私はこの主人公を助けてあげたいと思いました。でも人生は自分で変えるしかないと思うので、私はこの曲を歌うことで手を差し伸べてあげたいなと思いました。なので、これからはこの曲を心を込めて大事に歌っていきたいと思います。私も萌さんのセリフの「奇跡が待ってるかも……」のところが大好きで、「生きよう!」って思えました。(笑)
望月 私も曲調が明るいので、歌詞を見た時に「わぉ!」となりましたが、ナナニジらしい曲だなと思ったし、「ナナニジだからこそ歌える曲をありがとうございます」と思いました。私は性格は明るいんですけど、落ち込みやすいところもあって、この曲の歌詞がグサグサと刺さってきてすごく共感してしまいました。誰しも「消えたいな……」と思うことはあると思うんですが、消えちゃったら苦しいことからは逃げられると思うんですけど、楽しいことからも逃げることになっちゃう。私は楽しいことを感じられなくなることの方が悔しいので、今は「しんどいな」って思っている人も、この曲の萌さんのセリフを聴いて、「生きてみよう」って思ってくれたらいいなと思います。なので「萌さん!奇跡ちゃんで可愛くお願いします!(笑)」
■初回生産限定盤に収録の“無関心ヒーロー”ですが、こちらもまた世間に一石を投じるような曲で、歌詞の中には「ヒーローは僕らのことだ」とありますが、みなさんが思い描くヒーローはどんなヒーローが理想ですか?
望月 私はプリキュアがすごく好きで、去年やっていたプリキュアが「ひろがるスカイ!プリキュア」だったんですけど、まさにその主人公が「私はヒーローガールです!」って言っていて、「ヒーローガール」と「ひろがる」をかけているんです。(笑) その主人公のキュアスカイが私にとってはまさにヒーローで、みんなを守るためにたくさんトレーニングをしていて、プリキュアとして一人前になるために毎日すごい努力をしているんです。私はそんな子がヒーローだなって思います。
月城 私も椎名さんの影響で去年からアニメを観ているんですけど、一番ハマったのが「僕のヒーローアカデミア」という作品で、その中でオールマイトというキャラクターの存在がすごく大きくて、私は彼が一番ヒーローだなって感じます。オールマイト自身が見えないところで苦しんでいる人を助けることはできないけど、目の前にいて手を差し伸べて助けられる人なら全員助けたいという内容のセリフを言っていて、すごくカッコいいなと思いました。すべての人を助けたいとは思うけど、自分の上限を理解した上で「ここは絶対に行く!」という考え方に圧倒されました。私も小さい時にはボランティアをやっていて、世界中の貧しい子供たちのことも知ったんですけど、まずは日本で苦しんでいる子供たちを助けられたらいいなと思いました。
涼花 私はディズニーの「悪魔バスター★スター・バタフライ」のスターちゃんや、「スーパーマリオブラザース」のピーチ姫が思い浮かんだんですけど、二人ともプリンセスなので、「もっと身近な人でヒーローはいないかな?」って考えたら、ナナニジのメンバーのサリたん(天城サリー)が思い浮かんで、サリたんって困っている人がいたり、私が悩んでいる時とかに、必ず「どうしたー?」って声をかけてくれたりして、話を聞くだけじゃなくてちゃんと解決策まで考えてくれたり、慰めてくれたりもするので、私にとってはサリたんがヒーローだなって思いました。困っている時に電話するとすぐに出てくれるし、一人で寂しくて眠れない夜は遅い時間に電話しても相手してくれるし、本当に心が広いんです。
椎名 この曲にも関連するんですけど、この曲の主人公は傍観者になっていて、言葉を選ばずに言うと「人任せ」にしてしまっていて、「バイトテロ」とか、いろいろな問題が出てくるけど、ヒーローが現れるのをずっと待っていて、現れなかったことに対して「無責任」だと人任せに言ってしまっている曲なので、自分が良くないと思ったことは「良くない」と、自分自身が責任を持って言えるような、みんなの自分自身の心の中にヒーローがいたらいいなと感じました。
■すごくいい感じでまとめてくれましたね。(笑) 最後は通常盤に収録の“世界中で歌おうぜ”ですが、今作の収録曲の中では最高にハッピーな曲ですね。こちらはいかがですか?
涼花 この曲は私が大好きなサリたんと歌割りが一緒なんです!すごくハッピーでした!(笑)
椎名 もうこの曲を聴く時は、何も考えないでただただ笑顔になってくれたらいいなと思います。インストだけでも楽しいメロディーがたくさんなので、ランニングをする時とかのBGMみたいな感じで聴いてもらうのもおすすめです。(笑)
月城 この曲は「ぜったいアンコールで歌うやつじゃん!」って思いました。(笑) 最後の最後にみなさんと一丸になって歌える曲だと思うので、ライブで歌うのも楽しみです。
望月 今まで“世界の矛盾”で「終わりなき争いなど いつの時代も意味はない」とか、歌っていたグループとは思えないくらい、「歌っていれば誰もが笑顔で争うこともない」っていう歌詞もあって、その温度差とギャップがすごい曲ですよね。(笑) ライブでもすごく盛り上がると思うし、公式のコールとかも作って、会場みんなで楽しめる曲になったらいいなと思いました。
■最後に代表してひとり読者に向けてメッセージをお願いします。みんな涼花さんを見ていますが……?
涼花 えー!上手く言えるかなぁ。(笑) ここまで読んでくれてありがとうございます。2ndアルバムをリリースしてから10人体制になって、初めてのシングルになります。4人も卒業しちゃって寂しいと感じている人たちも多いと思いますけど、その4人のメンバーのことを元カノだと思って、“後でわかること”を聴いてもらえたら嬉しいです。
月城 そんなんでいいの?(笑)
涼花 でも、きっとみんな卒業したメンバーを愛おしいと思っている気持ちと、“後でわかること”の主人公の想いがリンクすると思うので、世界観に入り込めると思います。
椎名 その後は“世界中で歌おうぜ”を聴いてハッピーな気持ちになっていただけたら。(笑)
Interview & Text:土谷拓史
PROFILE
22/7(ナナブンノニジュウニ)は、アニプレックス、ソニー・ミュージックレコーズとともにタッグを組み、秋元康が総合プロデュースを手がけるデジタル声優アイドルグループ。応募総数10,325人から選ばれた少女たちのアイドルプロジェクトで、2016年に結成。「けいおん!」「たまこまーけっと」等で有名な堀口悠紀子氏をはじめ、アニメ界を代表するトップクリエイターが生み出したキャラクターの声優を務める。2017年9月、シングル『僕は存在していなかった』でメジャーデビュー。2020年1月から3月にかけてテレビアニメ「22/7」が放送された。2022年には後輩メンバーを加え、前作シングル『僕は今夜、出て行く』は、12万枚超の自己最高セールスを記録。2023年11月リリースの2ndアルバム『旅人算』も好調の中、活動も8年目に突入した。
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RELEASE
『後でわかること』
完全生産限定盤A(CD+BD+トレカ)
※完全盤Aアーティスト絵柄トレカ10種のうち1枚・完全盤Aキャラ絵柄トレカ9種のうち1枚
RCL-12830~31
¥7,000(tax in)
完全生産限定盤B(CD+BD+トレカ)
※完全盤Bアーティスト絵柄トレカ10種のうち1枚・完全盤Bキャラ絵柄トレカ9種のうち1枚
SRCL-12832~33
¥7,000(tax in)
初回生産限定盤(CD+BD)
SRCL-12834~35
¥1,850(tax in)
通常盤(CD)
SRCL-12836
¥1,250(tax in)
Sony Music Labels
5月1日 ON SALE