オメでたい頭でなにより VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■往年の名曲を自分たちなりにアレンジして、発見などもありましたか?

324 ありましたね。まず、歌詞がいい。時代を越えて受け継がれるものって大体歌詞がすごくよくて、節回しがよくて、もちろんそれのメロディもよくて。自分たちの楽曲ももちろんすごくいいとは思うんですけど、違う人が作った曲に自分らのサウンドを乗せてっていうのは、新たな発見の宝庫でしたね。曲のどこを自分らなりに解釈して、どこを活かすのかっていうのがだいぶ勉強になったところではあります。

■赤飯さんはいかがですか?

赤飯 “うしろゆびさされ組”は……泣けますね。

■(笑)

赤飯 『ハイスクール!奇面組』の再放送で夏休みに聴いていた曲なんですけど、それから20何年を経て、泣き曲に変わっているっていう。「当時の小学生の夏休みを疑似体験できる」みたいな感覚もあって。それだけじゃなくて、アイドルとしてのうしろゆびさされ組のポテンシャルの高さというか。

324 オタトークになってる。(笑)

赤飯 その視点でもすごいシナジーを発揮して、泣き曲になっていて。当時は無自覚だった、子供特有の根拠のない自信とか、未来への希望みたいなものがそこにはあって。それが鼻先をかすめていくんですよ。言葉にできない価値がそこにはあるなと。

■そういった思い出が詰まった曲をカバーするっていうのは、どういう感覚になるんでしょうか?

赤飯 今の話の続きをすると、“恋愛レボリューション21”の落ちサビからラスサビを録っているあたりで、一回涙が止まらなくなったんですよ。この曲が出た当時、僕はめちゃくちゃモーオタをやっていて。「何事においてもまずモーニング娘」。っていう感じで、オーストラリアに交換留学に行っている時も、「何月何日の何時からはこの番組」っていうのを全部リストアップして、おかんに「絶対に録画しといて!」って言っていたくらいなので。それだけ情熱を注いでいたこの曲を、今自分のバンドで正式にカバーをさせていただいている。その状況が妙に泣けてきて。落ちサビの歌詞で「この星は美しい 2人出会った地球」っていう歌詞があるんですけど、モーニング娘。と自分が出会ったこの星は美しいみたいな感覚になって、もうめっちゃエモくなっちゃって。「よかったな!俺!」っていう。

■カバーを通してオメでたらしさを見つめ直す機会にもなりましたか?

赤飯 なりましたね。今後どういう曲作りをしていけばどうなるのかっていう面での勉強もできたし、とにかく今回ので理想がはっきりしたので。すごく意味のある1枚になりました。

■今までも童謡のオマージュも含め、積極的にカバーなどをしているバンドだと思うんですが、カバーすることへの考えみたいなのを改めてお聞きできればと思います。いかがですか?

324 今回は目的があってカバーしているので、「カバーをすることとは」みたいなところではなかったのかなとは思います。でもギターを始めたり、音楽を始めたりするのって、最初は誰だって誰かの真似から入るわけで、原点のひとつではあるんだなっていう気はしましたね。オリジナル曲を作る時も「この曲のこういう要素がカッコいいから自分らでもやってみたい」からスタートするのって、きっと多くあるので、結局やっていることは違うようで似ていることだから、共通項はあるのかなという感じはしました。

■カバーする側である一方、みなさんの曲がカバーされることもあると思うんですけど、それはいかがですか?

赤飯 軽音楽部の子とかで、たまにうちらのコピーバンドをやってくれていたりするんですよ。その動画とか見たりするんですけど、軒並みみんな困っているので。(笑)

324 難しそうだなあって。(笑)

赤飯 「大変なのにやってくれてありがとう」っていう半面、「BPM下げてもええんやで」とか思います。難易度を下げるっていったらあれやけど、分かりやすくやれるものとかは意識してもいいのかなっていう気はしますね。

■あとはカバーでもラウドロックの要素を入れることが多いと思うんですけど、改めて「お二人にとってのラウドがどういう存在か」みたいなのをお訊きしてみたいなと。

赤飯 シャウトとかしていると、強くなった気持ちになるんですよね。気持ちがいいし、漲る感じがあるし、そもそも高校の時からずっと好きなので、どうしても自分の中から外せない部分ではあって。そこは大事にしたいなっていう思いで鳴らしています。でもそれだけじゃなくて、エンタメ成分も自分の中でずっとあるものだし、ポップな部分もそうだし、結果、好きなものを全部実直にやっていたらそうなってしまっているっていう感覚なんですよね。だから見る人が見たら鬱陶しいと思われてしまうことも理解できるし、そもそも眼中にすら入っていないという認識です。そういう負い目はありつつも、これが自分のスタイルで、変える気もそもそもないです。好きなものは好きなので、自分の納得できる形でやり続けたいです。

324 俺は激しめな音楽しかできない気がするから。

赤飯 ああ、そうなの?

324 ギターを主体にした歪んだものとか、エモーショナルになれる曲作りとかしかできない気がするんですよ。芸達者ではあるんですけど、それが血の通ったものではなくて、一番太い血管が流れてるのはラウドとかエモとかなので。そこに一番血流を多く回した方が気持ちいいなっていう。生き方ですね。

赤飯 なるほどね。

■ありがとうございます。4月にはリクエストライブがありますが、意気込みはいかがですか?

赤飯 意気込みですか?「どんなセトリになってもお前ら文句言うなよ!」です。

324 それ意気込みなの?意気込みって「頑張るぞ!」みたいなやつじゃないの?

赤飯 じゃあ「どんなセトリになっても文句言うなよ!頑張るぞ!」。

324 僕は「文句言わずに頑張るぞ!」です。

赤飯 5月には普段やらないようなキャバレーみたいなところでやるので。いつもと違う感じになりそうで楽しみですね。

324 そのライブはカバー曲オンリーなので、今回のアルバムの曲と、他にもできたらと思っています。

■カバーアルバムの制作を経て、これから再びライブなどに向けて進んでいくところだと思いますが、これからの展望など教えてください。

赤飯 「変わらずに理想を追い求める」です。僕は常に理想を追い求めるだけなので。躓きそうになったら、みんなに助けてもらいながら売れたいぞっていう感じですね。

324 でも楽しんでやりたいよね。あれやんなきゃ、これやんなんきゃ、じゃなくて、やらなきゃいけないことはあるにせよ、ひとつひとつに楽しみを見出したいですね。

赤飯 確かに。そうじゃないとモチベが続かんからね。have toじゃなくてwant toで動きたいよね。

324 え、なに?全然分からへん。

赤飯 えー!ほんとに?やらなければならないじゃなくて、やりたいで動きたいよね。

324 ……とおっしゃっています。

■(笑) 最後に読者にメッセージなどあればお願いします。

赤飯 「メッセージください」って言われた時って、なんて言えばいいんやろな……?

324 Love&peace。

赤飯 Love&peaceだよなぁ。なんかさ、「アルバム買ってください!」とか、「ライブ来てください!」とか見ると、「だろうね」って思う。(笑)

■同じレーベルのBAND-MAIDの小鳩ミクさんがソロでやっているcluppoさんは、まさに「世界平和」っておっしゃっていましたよ。鳩ですし。

赤飯 いいっすね!それ。

324 ちゃんと鳩で裏打ちされてる。俺らが「世界平和」って言っても「ははーん」としかならないもんな。

赤飯 鳩で裏打ちするっていう手法があったんやなぁ。

324 俺らだったら鯛に裏打ちされた何か……。

赤飯 「腐っても鯛」しか出てこないな。「僕らも腐らずに頑張るので、みなさんも前向きに腐らずに歩いていきましょう!」とかだと駄目?

324 「腐ったなりの美味さもあるよね」とか。

赤飯 発酵もそうやもんなぁ。……「腐った旨味もありますよ」とか。

324 いよいよわけわからん。「最後になにかメッセージありますか」からの「腐った旨味もありますよ!」って、俺らにしかわからん、導入が。(笑)

赤飯 でもまあ、それはそれでいいですね。

324 もう今の一連の流れを全部文字に起こしてもらって。(笑)

赤飯 文字起こしソフトとかで手抜いてくださいね。(笑)

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
2016 年8 月29 日始動。赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(Gt&Vo)、324(Gt)、mao(Ba)、ミト充(Dr)の5人からなる5人組ロックバンド。2018年4月、『鯛獲る』でポニーキャニオンからメジャーデビュー。同年10月には、初のTVアニメタイアップ『火ノ丸相撲』のED『日出ズル場所』をリリース。2019年1月、初のフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』をリリース。2020年4月、セカンドフルアルバム『オメでたい頭でなにより2』をリリース。
https://www.omedeta.band/

RELEASE
『オメでたカバー横丁〜一番街〜』

配信カバーアルバム
https://lnk.to/omedeta_coveryokocho

ポニーキャニオン
3月30日 ON SALE