オメでたい頭でなにより VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

オメでたい頭でなにより

赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(Gt / Vo)、324(Gt)、mao(Ba)、ミト充(Dr)

バンドの成長とリアルな想い
すべてを本気でつめ込んだ1stフルアルバムリリース

オメでたい頭でなによりが1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』をリリース。ラウドでキャッチーなサウンドにユーモアを混ぜ込み、ドラマティックな仕上がりとなった今作――そこにはバンドの成長はもちろん彼らの本気とリアルがつめ込まれていた。人との出会い、人との歩みとともにたどり着いたこの1枚について、結成から現在に至るまでの話も交えながらメンバー全員に訊いた。

■1stフルアルバム、どんな1枚になりましたか?

mao 一言で言うと、楽しく、幸せに騒げる底抜けに自由な1枚になったと思います。

ぽにきんぐだむ 飽きない、飽きのこないアルバムになりました。

赤飯 まさに、名は体を表す、ですね。

ミト充 自分たちから枝分かれしていったその先が全部つまっています。

324 バンドの名に恥じないよう、バンドのイメージ、中身、そういうものすべてを総括するバラエティに富んだ1枚。ひとつのライブを観終えたかのようなものになったかなと思います。

赤飯 その中にもちゃんとドラマがあって、一言で言うとドラマティックなアルバムということです。

■たしかに、ドラマティックだし、バンドのいまがつまった1枚だと思いました。どういう1枚にするか考えてらっしゃったんですか?

赤飯 まったく考えていませんでしたね。

ぽにきんぐだむ ただ、いままでライブになかった曲調のものや、そういうピースを入れようっていうのはありましたね。

赤飯 我々のいままでのライブって頭から最後まで全力で走り抜ける、言ったらずっとロースを食わされてる、カルビ食わされてるみたいなものやったんですよ。だから箸休め的なセクションも必要だねって、そこを今回のアルバムでしっかり補っていこうって。だからゆったり手拍子できる曲とかあったらいいなってところから、9曲目(“終わらない恋からの脱出(妄想LIVE Ver.)”)が生まれたりして。

■いままではあまりそういう部分は意識されていなかったんですか?

赤飯 いままではずっと「バンドがやりたい!」っていう自分の欲求だけが前面に出ていたと思うんですよ。それが、バンドをやっていく中で意識がどんどん変わっていって、もちろんその欲求も目の前の人に笑ってもらいたいっていう前提があってのことなんですけど、その人たちのために何ができるかなって、そういう意識にだんだん変わっていったんです。

■なるほど。

赤飯 結局バンドって目の前の人ありきやし、聴いてくれる人がいるからこそ成り立っている関係やないですか。そう思うとやっぱりこの人たちのために何ができるかって、それがいまは僕の中の軸になっているんですよね。それは別にファンに対してだけじゃなくて、もっと不特定多数のもやもやした気持ちを抱えている人、そういう人たちがしんどい時にうちらが何かしら手を差し伸べられるような、そういうものを提示していきたいって想いがどんどん強くなって。それがうちらがやるべきこと、バンドとしてアーティストとしてやるべき使命じゃないかって、そういう意識に変わってきたんです。

■ライブをやっていく中でそういう気持ちになっていったと?

赤飯 ライブをやっていく中で気づかせてもらった感じです。それが僕の内面の成長だと思うし、ちゃんと曲にも反映されてきているんで、人と成りがそのまま曲になっていくんだなっていまあらためて感じていますね。

■最初はそういう気持ちはあまりなかったんですか?

赤飯 最初はもう「音楽やりたいー!」って、ただそれだけでしたから。「なんか重たい音楽やろー!かっこいいしー!」って。(笑)

ぽにきんぐだむ そこからだんだんと自我が芽生えてきた感じでね。

mao 自我が芽生えて言葉がしゃべれるようになった。

赤飯 だから歌詞が書けるようになりました。(笑)最初はずっと「おんぎゃー!」ってシャウトしていたんですけど、言葉を覚えたんで、これは言葉を覚えた1枚目ということで、僕の成長ストーリーですね。バンドとともに僕は成長していってるな、と。

■もちろんみなさんも感じていると思いますが、いかがですか?

mao 成長はもちろん、人が成り立ちを作っているんだなっていうのはあらためて思いましたね。フェスにしても、取材にしても、こっちが負の感情を出さない限り、絶対にプラスで接してくれるから、そういうのの積み重ねでどんどんうまくいってるんじゃないかなって。そうやって成長していってるんじゃないかなって思います。

■自分が投げたものがかえってきて、またそれを相手にかえして、みたいな?

赤飯 相手は自分を映す鏡って言いますからね。

mao そういう意味でやっぱり人が作っているんだなって。

赤飯 ほんと、結成した頃に比べたらすごく成長したと思いますよ。

■はじめましてなので、結成からのお話もお訊きしていいですか?

赤飯 それはですね、僕がボロ雑巾みたいになって道に横たわってるところに手を差し伸べてもらいました。

mao まぁ簡単に言うとそうなんですけど。

ミト充 ちょっと端折りすぎだよね。

mao もともとは赤飯のサポートを4人でやっていて、いろいろ苦節あって、赤飯がシュンとしていたところを、気が合ったんでバンドやろうよってことになって。そこから半年くらい話し合って、どういうことをやりたいとか、赤飯の本質とかを考えながらしっかり地を固めつつ結成に至りました。

■赤飯さんがシュンとしていたというのは?

ぽにきんぐだむ やりたいことをやらせてもらえなかったり、やっていることに対しての反応だったり、周りの環境とか、すべてがマイナスに働いていたというか、ね。

324 いまとは真逆だよね。さらには自分でやっていることにも疑問を感じつつだったから。

赤飯 世の中って闇があるじゃないですか。五里霧中みたいになっていたんです。そこでボロ雑巾のようになっていたところに、こいつらが手を差し伸べてくれたわけです。

ミト充 みんなわかっていたんですよ。赤飯のポテンシャルはみんな信じていたから、つぶしちゃうのは絶対にもったいないって。

ぽにきんぐだむ 僕らバンドとしては新人ではあるんですけど、そこそこ各々の音楽歴は長いんで、それなりにみんな苦労しているんです。もちろん悔しい想いもしてきてるし、いろんな裏切られ方もしてきていて。だから赤飯を見て、それぞれが思うところもあったし、赤飯の可能性というのをすごく感じていたから、この5人でもう一度だけ力を合わせたら、このバンドは絶対成功するぞって思ったんですよね。

■すごい決意のもとだったんですね。

324 ですね。赤飯がもうほんとにシュンとなっていて、意見も何も言えない状態だったんですよ。

ぽにきんぐだむ 何に対しても「みんながそう思うんやったらそうだと思う」、みたいなね。

324 そういう時期が半年くらいあって、そこで楽曲や方向性、どういうことをやりたいのかとか、赤飯がほんとはどういう人間性なのかっていう部分を話し合って。僕らそういう腹を割って話すことを「切腹」って言ってるんですけど、その切腹にとことん時間をかけて。

赤飯 半年かけて腹を割っていって、バンド名とコンセプトが決まってからはすっごい早かったね!一気にスピードが上がって。

ぽにきんぐだむ 3ヵ月後にはフェスに出てましたからね。

324 赤飯の迷いも一気になくなりましたから。

赤飯 自分たちの進む道が見えたからでしょうね。あー、「これをやればいいんや」って。結成3ヵ月でいきなりフェスに出させてもらうっていうのも、普通に考えたらありえないじゃないですか。例えば大人の仕込みがあってっていうのだったらわかりますけど、うちらは完全に一から自分たちでやって、そこに行けたんですよ。それって結局は人とのつながりであったり、いままで自分たちが培ってきたものが、そこで一気に発揮できたからだと思うんです。