会場と作り上げた一体感で彩った祝祭のようなツアーファイナル。
7月4日(木)、WiennersがSpotify O-WESTにて『何様大行進2024』のツアーファイナルを行った。新体制になってから初のワンマンツアーとなった今回のツアー。そのファイナル公演は、今年春に開催された『TOKYO HOLI』と本ツアーを経た進化をひしひしと感じる公演となった。ハイテンションなSEとともに、アサミサエ、∴560∵、そして本ツアーのサポートメンバーの森田龍之助が登場し、最後に玉屋2060%が姿を現す。登場するなり玉屋は会場を煽りまくっており、早速会場は燃え盛るような熱さだ。
燃えたぎるフロアに1曲目に届けたのは“GOD SAVE THE MUSIC”。イントロからフロアでは大合唱が巻き起こり、息はぴったりだ。2023年夏より3人体制になって以来、公演ごとにサポートドラマーを呼びライブを行っているWienners。長いことともに活動してきたバンドメンバー以外と楽曲の共有を行うことで、各ドラマーの個性をきっかけにしてそれまでのサウンド感やリズムをわずかずつ変え、結果的に楽曲全体の雰囲気が新鮮なものとなっているのが印象的だ。なだれ込むように“TRADITIONAL”へ続くと、メンバーも笑顔でオーディエンスを見やりながら演奏する。続く“レスキューレンジャー”も含め、フロアとステージが阿吽の呼吸を作り上げながら対話しているようだ。特にバンド感たっぷりの“レスキューレンジャー”では絡み合うようにダイナミックに昂る演奏が会場を煽り、その熱量に呼応するように玉屋はフロアにダイブ。更に会場を熱気に染め上げた。
短いMCののちに披露した“TOP SPEED”では、メンバー間での阿吽の呼吸を見せつけていく。疾走感のある演奏とともにメンバー3人のボーカルとコーラスがスピーディーに掛け合うと、“YA! YA! YA!”へと続く。高揚感を煽る∴560∵のベース、ともに声を出すことを促すような玉屋とアサミサエのボーカル。フロアはそんな演奏に導かれた大合唱が溢れており、土着的かつ本能的な、祭りのような雰囲気が漂っていた。シンセサイザーの音色とベースのスラップ、玉屋とアサミサエによるリズミックなメロディとエキゾチックなサビが高揚感を掻き立てた“おおるないとじゃっぷせっしょん”は、まるでWienners流お祭り騒ぎといったところか。“Justice 4”、“天地創造”と続き、バンドの生々しい演奏の熱を感じさせながら、それぞれが太鼓やタンバリンを持ち出しながらフィジカルで楽しむ一体感を作っていく。
ここで、どこか同胞意識にも似たものを感じ取れる親密な空気になってきたフロアに向けて、キャッチーかつ異国的な“恋のバングラビート”をプレイ。彼らの技術が織りなす洗練された演奏と、ステージ上で飛んだり跳ねたり、ときにダイブしたりともみくちゃになりながら楽器を奏でる熱量のバランスが秀逸だ。かと思えば“BIG BANG”、“いろはにほへと”と2MCで披露し会場の熱をバウンスに変える。玉屋とアサミサエの声色のコントラストが心地良く響く中、バラエティ豊かなWiennersの手札が次々と切られていく。
“SHINOBI TOP SECRET”、“UNITY”が続けば、いよいよツアーもラストスパート。「UNITY UNITYとち狂った世界でも 全てはいつか一つになれるかな」と会場の全員で高らかに歌うラインは、すっかり強固な一体感に包まれた会場の中で合言葉のように響いた。そして“FAR EAST DISCO”、“HORO NOVA AZIO”へと続いていくと、最新曲“何様のラプソディ”へ。20曲目にして、この日一番の気迫が溢れるような演奏だ。“SOLAR KIDS”になだれ込み夏の到来を告げると、“Cult pop suicide”へ。アッパー曲を連続し、大盛り上がりの中本編を終えた。
アンコールに応え再登場したWiennersは、春に開催されたワンマンライブ『TOKYO HOLI』の数日後に行われた、本場インドのHOLI祭りに感化されて作ったという新曲“TOKYO HOLI”を初披露。そして秋に東京、大阪にてツーマンライブを開催することを発表すると、最後に“SUPER FUTURE”を演奏した。上空から新貨幣ならぬ玉屋の肖像が印刷された2060円札がばら撒かれ、玉屋はフロアにダイブし、余力を残さんとばかりにお祭り騒ぎ。土着的な楽曲群とパワフルな演奏、会場と作り上げた一体感で溢れた本公演は、まるで祝祭のようであった。
Text:村上麗奈
Photo:かい
Wienners『何様大行進2024』@Spotify O-WEST セットリスト
01. GOD SAVE THE MUSIC
02. TRADITIONAL
03. レスキューレンジャー
04. TOP SPEED
05. YA! YA! YA!
06. RAISE A RIOT
07. Kindergarten Speed Orchestra
08. MONSTER
09. DEAR MY OCEAN
10. おおるないとじゃっぷせっしょん
11. Justice 4
12. 天地創造
13. 恋のバングラビート
14. BIG BANG
15. いろはにほへと
16. SHINOBI TOP SECRET
17. UNITY
18. FAR EAST DISCO
19. HORO NOVA AZIO
20. 何様のラプソディ
21. SOLAR KIDS
22. Cult pop suicide
ENCORE
01. TOKYO HOLI
02. LOVE ME TENDER
03. SUPER FUTURE