ヨシキ(Vo&G)
誰ひとり置いて行かない4人が繰り出す新たなポジティブと優しさ。
ORCALANDが3rdミニアルバム『MAGIC×MAGIC』を7月8日にリリース。「あらゆるポジティブを生み出す」をバンドのテーマに掲げ、精力的に活動を続けているORCALAND。今作には、TVアニメ『うしろの正面カムイさん』OPテーマ“成仏Come true”や、松屋フーズ創業60周年記念オリジナルブランドソング“貴方をまつやさしい場所”も収められている。今回のインタビューでは、ヨシキと共にアルバム全曲を紐解いていく。
■ORCALANDですが、メンバーカラーがあるバンドは珍しいですよね。なんでこうなったんですか?
ヨシキ わかりやすいというか、自然とそうなったんです。アー写を見るとわかりやすいんですが、個々で髪色を染めていた時期があって。ベースのおとやんが結構いろんな色にするタイプで、次に京哉が金髪にして、僕が茶髪から赤に染めた時に、おとやんが緑髪だったので、「信号機」と言われるようになったんです。(笑) その時期から定着していった感じです。
■そして次第にMVで爪も染めるようになり……という感じですね。メンバーにテーマソングがあるバンドも珍しいですよね?
ヨシキ Wikipediaを見て喋っているでしょ?!(笑) これもテーマソングを作ることを目的としていたわけではなかったんです。
■まだドラムのこーてぃんさんだけは曲が無いんですよね?
ヨシキ そうですね。彼には頑張ってほしいです。僕の想像を掻き立てるようなキャラをもっと出していただければと思っています。
■ただ、ライブパフォーマンスを見ていると、こーてぃんさんがすごく目立つというか……。
ヨシキ そうです!濃いんです。濃すぎてどこから拾えばいいかわからないんです。
■そういうのありますよね。(笑) バンドのコンセプト「あらゆるポジティブを生み出すロックバンド」というのは、どこから出て来たのでしょうか?
ヨシキ ORCALANDというバンドを進めていくにあたって、それこそ事務所に所属する前から、「どういうテーマにしたいか」を決めていったんです。それで、最初は「誰ひとり置いていかないロックバンド」だったんです。観た人全員巻き込めるようなバンドということで。その次に『ジントリ』という企画をやった時に、コンセプトとして「僕らのことを知らなくても頭をカラッポにして楽しめるロックバンドにしたいよね」という目標ができて。じゃあその先にどんな感情を届けたいのかと考えた時、ライブが楽しみでプラス100の気持ちで遊びに来た人は120になって帰ってほしい、何か落ち込むことがあってマイナス100の状態でライブハウスに来た人は、終わった時にはマイナス99になって帰ってほしいなと思ったんです。「なんだかちょっと前向きになれたよね」みたいな感じです。だから、プラスを倍増させること、マイナスを少しでも減らすことを包括した「あらゆるポジティブを生み出すロックバンド」というのが言葉として一番ハマりました。自分たちの今までやってきたことと、やりたいことを言葉にした時に、そういうテーマだなと思いました。
■いいですね。そのコンセプトのために、具体的に何をされているんですか?
ヨシキ お客さんからの楽曲の感想とか、ORCALANDのライブを観てくれた人の感想と、ORCALANDの曲ごとのテーマを並べて、「結局ORCALANDというのは、こういうことを歌っている、こういうことを伝えたい」ということを頻繁にチームで話し合っています。今までいろんなテーマの歌詞や曲を書いてきましたが、Aメロでは暗いことを言っていた主人公が、最終的には前向きになっていくという曲が多かったんですよ。多分それが僕の人間性でもあり、バンドの進めたい方向なんだということを再確認しました。
■その言葉を聞いてすごく納得しました。ライブも拝見したのですが、グルーヴ感がすごいというのがまず思った感想でした。みっちみちにリハーサルをするんですか?
ヨシキ あんまりそういうわけではなくて。遠征が続く日だったら、その日のライブの繋ぎや、「なんか今日はこうじゃなかった?」というところを移動中に話して、「次の日のライブの繋ぎはこれをやってみよう」と決めたりします。ガチガチに決めているわけじゃないけど、自分たちの想像しているものをちゃんと共有する能力はあるのかもしれないです。
■その中でバンドサウンドの中核を担っているメンバーは?
ヨシキ それで言うといないかもしれません。うちは全員が全員でいて、その中でやっていて、誰に合わせようというのは、あんまり無いかもしれないです。
■グルーヴ感がいいバンドは大体そうなんですよね。誰が誰に合わせようというわけじゃないという。
ヨシキ 確かに。自分はヴォーカルで、作詞・作曲もしているんですけど、僕に合わせてくれている感じも、別に「みんなありがとうな」という感じでもないし。(笑) みんなでORCALANDをやろうとしているという感覚が、自分も含めて一番近いのかもしれません。
■とても納得しました。そして今作『MAGIC×MAGIC』ですが、難産でしたか?
ヨシキ う~ん。毎回難産なんですけど、今までに比べたらそうでもなかったかもしれないです。個々で考えたら大変だったとは思うんですけど、かなり納得して作れているというところがあるので、スムーズといえばスムーズでした。
■一番時間がかかった曲はどれでしょうか?
ヨシキ “成仏Come true”はタイアップ曲ということで、何度もテーマを変えて、一番ハマるテーマを模索して……という感じでした。“スラップ・マジシャン”と、“成仏Come true”の2曲が一番時間がかかっているかもしれないです。
■頭の2曲ですね。
ヨシキ 他の曲は元々あったデモの形を変える感じだったんですけど、“スラップ・マジシャン”と、“成仏Come true”は、デモが複数あった曲で、最終的な方向性に辿り着くまで、別の世界線がありました。
■その“スラップ・マジシャン”をライブで聴いたんですが、超カッコよかったです。中毒性もある曲で。
ヨシキ ですよね。この形にして本当によかったなと思いました。この曲自体、タイトルから作ったので、自分の中で一番スラップを活かせる曲を作ったんですが、「ライブで楽しめる曲にしよう」と思った時、今の原型となったデモが一番良かったので、完成のイメージが見えてからは作りやすかったですし、ライブでやるのも簡単だったわけじゃないですけど、想像していることをやるだけみたいな感じになったんです。
■確かにカッコ良かったです。それにしてもアルバムの特典にトレーディングカードが付くバンドは初めてな気がします。(笑)
ヨシキ これは2ndミニアルバムを出した時の特典の続きみたいな感じです。
■これはちゃんとゲームとしても遊べるんですか?
ヨシキ 遊べそうな感じにはなっています。遊んでいる人もいるかもしれません。(笑)
■それを聞いてから歌詞を見ると、ジャケ写もカードゲームのパッケージみたいで面白いです。それでカードが付いて、タイトルも“スラップ・マジシャン”だし、「粉砕!玉砕!大喝采!!」って、もうモロに『遊◯王』じゃないですか。(笑) 『遊◯王』派だったんですか?
ヨシキ 完全にそうです。(笑) うちのチームはやっぱり完全に世代ですからね。`97年組ですから。
■流行りましたもんね。私も好きでした。
ヨシキ だいぶ流行りましたよね。なんかこう、我々が放つものって、若干の「平成感」が隠し切れないじゃないですか。そこはあえて出していきたいなというのはあります。
■もうこれはストレートに平成でした。(笑) 歌詞はすごくORCALANDらしいなと思ったのですが、素直にベースを聴く曲として受け取って良いのでしょうか?
ヨシキ そうですね。この曲はベースが主役で作っているので、ナチュラルに聴いたら絶対そうなるよなとは思います。ただ、全体の方向性としては、ライブで聴いた時のノリの方を重視して作った曲かもしれません。
■ちなみに、世の中の「ベーシスト不要論」についてはどう思いますか?
ヨシキ そんな論があるんですか?!(笑) でも僕はこのミニアルバムを作る上で、ベースの重要性をより感じました。元々バンドをやっていたので不要だとは思っていないんですが、より重要だと思ったアルバムが、この『MAGIC×MAGIC』ですね。
■素敵だと思います。そしてこの次の曲がTVアニメ『うしろの正面カムイさん』のオープニング主題歌“成仏Come true”ですが、正直この作品がアニメ化できるとは思っていなかったです。(笑)
ヨシキ そうですよね、すごいことだと思います。(笑)
■でも、主題歌がORCALANDだと聞いた時、「なるほど」という感情もあったんですよ。
ヨシキ この作品がアニメ化するにあたって、「タイアップにこういう案件があるよ」と聞いて、そもそも「我々がこのタイアップにエントリーするか否か」という話し合いがあったんです。それで、この『カムイさん』という作品の面白さというか、人々の興味を惹きつけるホラーだとか、エロだとか、そういうところはあるんですけど、根本は「面白いことをやる作品」だと思って。それが広く見たらORCALANDにも通ずるところがあると思い、そしてこの「なんでもやっていい感」はまさにORCALANDっぽいなと思いました。上手いことハマった感じがしています。
■アニメのPVも観たのですが、映像のインパクトがすごくて……。
ヨシキ 僕はこの曲を書くにあたって、だいぶ原作を読んでいたので、もう感覚がだいぶ麻痺していて、「素晴らしい映像だな」みたいな感じになっていたんです。(笑) みんなが「マジかよ!」となっている中、自分は「全然あり得るんじゃん?」みたいになっていました。(笑)
■よくタイアップで「PV見た時に自分の曲が流れて感動した」という感想を聞きますが、いかがでしたか?
ヨシキ それはありました。シンプルに嬉しかったです。
■それはよかったです。この曲は原作のどんなところから着想を得て作られていったのでしょうか?
ヨシキ 全部なんですけど、一番考えたのは視点です。タイアップ曲を書くにあたって、作品全体を見るのか、主人公の視点を書くのか、いろんな視点があると思うんですが、今回は自分たちORCALANDらしい面白い視点で書きたいなと思って。結局“成仏Come true”は、主人公の視点ではなく、除霊される霊側の視点から書いたんです。なんというか、それがこの作品の核の部分だと僕が勝手に思っていて。除霊される怪異たちは、こう、嫌がりながらも、気持ちよい気分になっているというか……。
■だいぶ言葉を選ばないといけないインタビューになってきていますね。(笑)
ヨシキ ね!(笑) それで、それって音楽を聴いた後にもそういう気持ちになるんじゃないかな?と思ったんです。聴いて爽やかな気持ちになるとか、ノリノリな気持ちになるとか、聴いているうちにどんどんとハマっていくみたいなのって、音楽やライブにも通ずることなんじゃないかなと思って。そこを上手く綺麗な言葉で表現したいなと。
■でも結構ストレートになりましたね。
ヨシキ 「成仏」って、「願いが叶う」ということだと思うんです。怪異たちがなぜその怪異になっているのかというと、生前に未練があるからで、都市伝説も何か悪い出来事があったからこの世にはびこってしまっているわけです。それをより楽しいこと、気持ちいいことでかき消されたら、成仏しているということになるなと思ったんです。それで考えると、たとえばアニメとか漫画が好きな方で、自分の推しのキャラクターの欲しかったグッズが出て、成仏するみたいな、そういった表現がありますよね。その「願いが叶って嬉しい」に近いものが「成仏」だと思っていて。そこを拾い上げて、作品の「願いを叶えていく様」を、“成仏Come true”、つまり「Dream Come true」になぞらえて、このタイトルをつけて……みたいな。夢を叶えることがこの曲の本質として作り始めていった感じです。
■深いですね。
ヨシキ もともと原作が好きな方とか、タイアップ先の作品が好きな人には絶対に寄り添いたいし、それが自分の中でのマナーみたいなところがあるので。ただ、ORCALANDというバンドが進んでいくにあたって、ORCALANDから作品を知っていく人もいると思うんです。だからORCALANDの曲として聴いた時に、意味が通じないと嫌だなという気持ちがあるので、作品を知っている人たちにはもう「これやん!」となるけど、知らない人からしたら、「曲のテーマに沿った言葉選びやな」という範囲になるように収めたつもりです。
■確かにこの曲は何も知らない方でも楽しめそうですね。
ヨシキ このあいだワンマンライブをやった時に、タイアップの発表と一緒に初披露という形でやったんですけど、もう本当に初披露の時点でだいぶ盛り上がって。この曲のパワーをあらためて感じました。
■それは良かった。その次の“おてんとうさま”ですが、MVを見て気になったのはローソンっぽい服です。(笑) あれは本物なんですか?偽物なんですか?
ヨシキ パチモンです。(笑) ただ、彼は本当に元ローソンの店員だったりします。(笑) それを監督が知っていたので、ローソンっぽい服を持ってきました。
■そんなエピソードがあったんですね。(笑) これは聴いていてそのまんま楽しい曲だなと思いました。
ヨシキ そうですね、もうこれは「楽しい曲にしよう」と言って、それこそ作る時に頭を空っぽにしてから作った感じの曲でした。
■まず最初の「空気読めない/たまに声デカい/気付かれない程度に遅刻する」で笑いました。今だから言える、メンバーのちょっとした悪いところはありますか?
ヨシキ これでいうとそうですね。なんだろうな……でも基本的に僕の方がちょっと悪いので。(笑) この“おてんとうさま”の歌詞は、大体僕が該当するものとしてやっています。
■そしたら結構ヤバいじゃないですか!(笑)
ヨシキ まぁまぁ、常にこうじゃないとは思いつつも、「そんな時もあるよな」、「人からの評価はこんな感じだな」という気持ちで書いています。






