reGretGirl VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

平部雅洋(Vo&Gt)

不器用に「踊り続ける」未練たっぷりな失恋ソング。

reGretGirlが新曲『ラストダンス』を8月12日にリリース。ストリングスや鍵盤の音色の中、終わっていく恋に未練たっぷりに「踊り続ける」男の姿を描いた今作は、reGretGirlの真骨頂であり、新たな挑戦にもなっている。今回のインタビューでは音作りのこだわりから、新曲制作のいきさつ、秋から始まるツアーにまつわることまでを、平部雅洋に幅広く話を訊いた。

■reGretGirlと言えばその名前の由来にもなっている「かつて自分を振った女の子を見返してやろう」というエピソードですが、干支を一回りして、今もその気持ちはあるのでしょうか?

平部 いやいや、未だに未練があったら一人の人間として怖いでしょ。(笑) 別に見返したつもりもないですけど、あれはあくまでも初期衝動なので、あの時、僕にきっかけをくれて本当にありがとうとは思っています。

■そうですよね。未だに未練があったら確かに怖いですね。(笑) まずはスリーピースバンドとしてのこだわりを教えてほしいです。

平部 逆に3人だからこそ、スリーピースバンドだからこそのこだわりみたいなものはあまり考えないようにしています。ただ、マインドは「そこ」にあるというか、結局どれんだけサポートメンバーが入っても、音源で3人以上の音が鳴っていても、やっぱりこのギター、ボーカル、ベース、ドラムというのは、この3人でしかできないことなので。、そこの軸はしっかり据え置きながら、そこに色を足してもらうという感覚でやっています。根幹はスリーピースという精神でやっているつもりなので、スリーピースツアーも、一度僕らがいつも着ている派手な部分を降ろして、今一度強くなった姿をあらためて見てもらおうという想いがあります。

■その「派手な部分」を着始めた時期はあるのでしょうか?

平部 やっぱりメジャーデビューのタイミングあたりかな。元々そういうものに憧れはあったというか、別に「3人の音でやっていかないといけない」というこだわりは無かったので。サポートメンバーを入れてやってみようかと考えたり、音源の幅がどんどん広がってきて、3人だけの表現では難しくなってきたりもして、じわじわとというか。明確に「今日からやっていこう」という感じではなく、探り探りでしたね。

■サウンドのバランスイメージはどう考えていらっしゃいますか?

平部 やっぱり僕らは「歌」を聴かせるバンドだと常々思っているので、チームとしての方向性としては、僕の歌や歌詞が入ってきやすい曲作りを考えながらやっています。他のバンドも結構そういう方が多いかもしれないですけど、我々はやっぱりこの僕の歌というものを軸に置いて作っていくことが多いと思います。

■なるほど。ちなみに3人のパワーバランスはどんな感じですか?

平部 僕らは結構、3人とも意見を出してる方です。足並みが揃っているというか。そんなに誰かが暴走しているわけでもないし、逆に言うと誰かがしっかりとリーダーシップを取れているのかと言ったら、ちょっと微妙なところではあるかもしれないですけど。でもそれが良さというか、お互いをしっかり思いあって接しているので、僕的にはすごく居心地がよくて、かなり助かっています。

■ファンの男女比はどんな感じなのでしょうか?私がライブに伺った時には半々くらいに見えましたが。

平部 バンドを始めた頃は、圧倒的に女性が多かったんですけど、でも最近は男性も多いですね。僕らは男性目線の視点で歌うことが多いので、男性のお客さんも多いなと思うようになってきました。先日の東名阪クアトロツアーの名古屋公演では、歓声の中にかなり野太い声が混じっていて、男の子が増えて来たなと感じました。

■ファンの方によく言われるコメントはありますか?

平部 圧倒的に多いのは「自分が失恋した時に、いっぱい救われました」みたいなことが多いです。曲は恋愛をモチーフにしたものが多いんですが、ライブ自体は「僕の人生とあなたの人生がここで交わる瞬間」というものなので、恋愛だけじゃなくて、いろんな辛いことや、嬉しいことをわかち合えたらいいなと思っています。それがちゃんと伝わっていると思うのですが、お客さんから「reGretGirlがこう言ってくれるから、明日も頑張っていこうと思いました」みたいなことを言っていただけることが最近は増えました。

■MCも熱いですもんね。

平部 そうですね。意外と熱いんです。(笑) 僕は失恋の歌ばっかり歌っているので、暗いヤツだと思われそうなんですけど、フェスとかライブに行くと、「結構陽気な人やん!」という、いい意味でのギャップがあると思います。僕は明るくて熱いヤツなので、それがこれからもっと伝わっていけばいいなと思っています。(笑)

■関西バンドならではな部分もありますね。(笑) 失恋の歌をよく書くバンドであることは間違いないですが、個人的には「演奏が良いバンド」というイメージが強いんです。演奏面のこだわりを教えてください。

平部 僕たちはミュージシャンの中で「バンドマン」と呼ばれる部類の人間なのですが、バンドマンというのはライブが大好きなんですよ。それで、やっぱり良い音源を作るのはもちろんなんですけど、いい曲といいライブをやるという二刀流じゃないとダメだと思うので、もちろん良い曲ができたら、それに伴うライブができないとダメだなと。もちろん10年以上も経って、いろんなところで叩かれて叩かれて、やっと固まってきたという感じではあります。そういう積み重ねは、特にライブでは本当に生で出てくるので、そういう意味では、やっとここ1、2年でしっかりと自分たちもそれなりに満足できるライブができるようになってきたなと思います。

■「叩かれて叩かれて」ですか?なにか大きな衝撃を受けたことはありますか?

平部 SPARK!!SOUND!!SHOW!!という、激しくて全然ジャンルが違うミクスチャーロックバンドがすごく好きなんですけど、そのバンドのライブで、4人のメンバーが同期で音源を流しながら、全員楽器を持たずにステージの前に並んでいる時間があったんです。(笑) それでもちゃんとフロアが沸いているから、「会場の雰囲気を一気に自分たちの方に持っていけるんだ」と、ちょっと目から鱗でした。そこで僕もギターを降ろして歌う曲を作ろうと思いました。それがここ2年くらいで衝撃的なことでした。

■ギターを降ろす曲を作るのって、結構勇気がいりませんか?

平部 そうですね。バンドを始めた時だったら、もう1ミリもそんな発想はなかったです。でも、別に1曲ぐらいなら僕がギターを降ろして、あとはもう音源を同期で出して、僕が立ち回ったらいいや、というふうに気付けたんです。実際にそれを始めると、ライブ全体のクオリティも一段上がった感じがします。

■その感じ、わかります。ライブレポートでもハイライトとして「ギターを降ろし~」と書きますからね。(笑) ところで恋愛の歌が多いということは、平部さん自身は恋多き人なのでしょうか?

平部 もちろん全部が実体験ではないですよ。(笑) でも、その時に感じた感情というのは変わらず今も持っているので、それを混ぜながら書いています。そんなに年がら年中恋愛をしているわけじゃないですよ。(笑) もしそういうタイプだったら、もっと違う曲を作っていたかもしれないですね。これが僕のやり方で、だからこそ、こうとしか書けない歌詞がこれなのかなと思っています。

■一方で付き合う人は違っても、自分は自分じゃないですか?

平部 でも僕は、自分から告白した人以外と付き合ったことがないんです。人から言われて付き合った経験がないので、好きになる人に共通点があるんじゃないかなと思います。だから、僕は僕としてこの歌詞のこの視点がずっと同じでいられるみたいなところがあるのかもしれないです。

■他の人の体験談を書くこともあるんですか?

平部 全くやったことないわけじゃないですけど、ほぼないかもしれないです。それで言うと、最近“サブマリンユース”という曲を、初めてアニメのタイアップ曲の書き下ろし作品としてリリースさせていただいたんですが、原作を読んでから歌詞を書いたので、ちょっと今までとは違うというか。僕の中でもいい経験をさせていただきました。やっぱり原作を読んで書くというので、主人公の気持ちになって考えることもあったし。歌詞を書く段階でいつも自分の引き出しを引き出すんですが、今回は原作を読んだことで、新しい引き出しを引き出せたのはもちろん、今までの引き出しのさらに奥に手が届いたというか、自分が知っている言葉なのに、原作を読んだからこそ、やっとここに出せたみたいな表現がありました。

■やっぱり「言葉」にこだわっているところが強いんですかね?

平部 そうですね。歌詞を書くのは結構大変で、練って練って出て来たものを、チーム全体で相談しながら作ることで、ここ1、2年ぐらいの曲はもう1歩先に行けるようになってきた感じがします。

■いいですね。reGretGirlはどういうバンドと呼ばれたいですか?

平部 やっぱバンドによってなんとなく曲のイメージがあると思うんです。例えば、僕はback numberがすごく好きなんですが、やっぱりback numberと聞いたらバラードのイメージがあるじゃないですか。それで、僕は10-FEETもめっちゃ好きなんですが、10-FEETにはバラードのイメージが無いですよね。その中で、ちゃんとノれる曲もできるし、バラードも聴かせられるという両方が自分たちなのかなと思っています。“ホワイトアウト”という軽快な曲と、“デイドリーム”というバラードの2軸が僕の中で昔からあるので、これを上手く印象付けられたらないいと思っています。

■なるほど。どこを一番褒められたいですか?

平部 何を褒められても嬉しいですけど、一番嬉しいのはメロディかもしれません。それこそ歌詞については言ってもらえることがすごく多いんですが、実はメロディもかなりこだわってやっていて。やっぱり僕たちはミュージシャンなので、音楽の中で一番大事で一番最初に入って来る「メロディ」というのは、褒められると嬉しいですね。極端なことを言いますけど、メロディがすごく良かったら、別に歌詞がシンプルだったとしてもいい曲になると思うんですよ。逆に歌詞が詩的でも、メロディが単調だったりすると、なかなか刺さらなかったりします。だから、音楽の持っている力というのは、やっぱりメロディに一番あるんだなと思っていて。なので、メロディを褒められるのが一番嬉しいです。

■そして新曲の“ラストダンス”ですが、どこから着想して作られた曲ですか?

平部 1年以上前から、サビのメロディは最初にできていて、デモは結構前に作っていたんです。それで、定期的にチームで「次はこの曲はどうやっていこう」みたいな会議をするんですけど、その当時、「いいね」と言われたのがこの“ラストダンス”のメロディでした。最初は全然“ラストダンス”というタイトルでもなかったし、サビのメロディだけがあって、そこに全然違うAメロとBメロがあったんですが、長い時間をかけて揉んでいくうちに、このBメロができました。このBメロのフレーズができた時に、「これはいいのができたな」と思いました。

■Bメロは確かに良かったんですよ。サビがふたつあるような感じもして。

平部 そうです。僕はサビはもちろんなんですけど、Bメロも印象づけたいというのがどの曲でもあって。それで今回このBメロができたので、この曲はこれしかないと思いました。このメロディができたから、“ラストダンス”というワードが生まれたというか、僕の中でBメロとリズムの感じがダンスっぽいなと思い、すっごくノリのいい感じになって出てきたので、ここができたから“ラストダンス”になったと思っています。それで、このメロに合う言葉を、ハメました。

■曲調がおどけているのは、自虐的な部分があるのでしょうか?

平部 それはこの曲以外でもあります。reGretGirlは歌詞が重くても曲が軽快なのが一個の武器だと思っているんです。今できるバランスを最大限研ぎ澄ましたような感じですね。

■確かに、他の曲でもそういう傾向がありますよね。この“ラストダンス”というタイトルが好きなのですが、どうして曲の最後にしか出て来ないのでしょうか?

平部 このタイトルは僕の中でなんとなく決まっていて、ガーっと歌詞を書いていった時、「ラストダンス」が最後にしか出てこなかったんですよね。これが最後の踊りにならないようにしたいって、ああだこうだ言っている時間が長い方がこの主人公らしいというか、最後の最後にもう終わりそうになっているけど、このダンスをまだ続けようとしているんだと思います。

■面白いですね。サウンドの方もずっとアレンジが変わり続ける感じがして面白かったです。サウンドで特にこだわったところも教えてください。

平部 “ラストダンス”という名前がついたこともあって、ノれる曲として作りたいという想いがありました。僕はストリングスや鍵盤が入ったりする曲がすごく好きで、そういうキラーチューンがずっと欲しかったんです。今までは自分たち3人の音をアレンジャーさんに投げて、それを具現化してもらうことが多かったんですけど、ここ最近は、自分でもしっかりとストリングスを打ち込んで、全体像がしっかり見えるようにしていて。それをアレンジャーさんにさらにブラッシュアップしてもらうという形を取っています。

■なるほど。

平部 そういう意味では、今までは自分が予想していないところから出てくる良いものもあったのが、今回は自分の予想をさらに体現してくれました。最初から自分の理想があったところに近づけてくれたので、すごく納得のいくものができました。自分でしっかり作り上げることの良さといいますか。その上で、僕には無かったコーラスワークの提案を貰って、さらにこの曲の良さが出てきたりして。自分ら3人ももちろんこだわってやっているんですけど、そこ以外の部分というのが、この“ラストダンス”は特に出てくれたと思っています。

■ライブでみなさんがクラップしてくれたら嬉しいですよね。

平部 ライブで盛り上がれる曲を、と考えた時、こんなにクラップを入れたのは初めてというぐらい、今回は入れさせてもらったので、もうこれは僕らがやらずに、多分お客さんがやってくれるだろうと言わんばかりにバンバンバンバン入れました。(笑)

■是非一緒にやりたいです。改めて、このカップルはどういうカップルなのでしょうか?

平部 これは男側からするとあるあるじゃないかなと思っているんですけど、女性とお付き合いしていて、心当たりがないのに彼女が不機嫌や……みたいな経験は誰しもあるんじゃないかなと。この主人公は特に不器用なので、結局はそれを解明できないまま、そのまま没落していく感じです。