海蔵亮太 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

海蔵亮太『誰そ彼』

■“誰そ彼”や“繋がってる…”のような、時代の変遷に左右されない曲たちがある一方、“サイコパスのうた”は、まさに今の時代での現象を皮肉った歌じゃないですか。

海蔵 これは飛び道具みたいな楽曲です。(笑)

■“サイコパスのうた”は、ネットで誹謗中傷する人たちを揶揄した歌ですが、これは自らの体験を元にしているのでしょうか?

海蔵 自分の経験は一切入っていないんです。でも自分の気持ちも入れつつ、今のSNSについてなど一つの意見や考え方を、音楽を通して表現した形になります。

■“サイコパスのうた”に綴った心情は、聴いていて「わかるなぁ…」という感覚もありました。

海蔵 こういう人たちが世の中にはいるんだという面では、僕も書きながら勉強させていただいた感覚はありました。聴いた人たちの中からも「よく言った!」という声も返ってきたし、「ちょっとヤバいシンガーかな?と思って他の楽曲を聴いたら、バラードやメッセージ性のある曲を歌う人だったから、そのギャップに驚いた」という人がいたりなど、様々な反響の声もいただいています。もちろん、今までずっと応援してきてくれたファンの方たちも、この曲には驚かれていましたね。(笑) でも、その気持ちは僕もすごくわかります。もし自分がファンの立場で、この“サイコパスのうた”を聴いたら、「えっ?一体何があったの…?」「コロナ禍でどうにかなってしまった…?」と、驚いていたと思います。(笑)

■でも、“サイコパスのうた”に記した想いは、皮肉な面もありますが、今のSNSの有り方についてしっかりメッセージしている楽曲でもありますからね。

海蔵 総じて言いたいのが、「いくらSNSだからと言って、相手に何を言ってもいいわけじゃない」こと。「人を傷つけるコメントを書き込むのは辞めよう」というか、音楽もそうだけど、言葉も相手に勇気や力を与えられる反面、逆に人を傷つけることもある。時には言葉の暴力によって傷付き、命を絶ってしまう人たちだっている。だからこそ、自分の行動や言動にも責任を持って欲しい気持ちはあります。

■今回のシングル、とても強烈な楽曲ばかりを収録していますね。

海蔵 “誰そ彼”や“繋がってる…”で切ない想いに浸っていた人が、“サイコパスのうた”でサイコパスになり、最後にはキリンジさんのカバー曲“エイリアンズ”を通してモンスターになるみたいな。(笑) 「恋愛って人をこんな風にも変えるんだな…」という一つの物語として聴いていただくのも楽しみ方の一つかも知れません。

■そのストーリー展開いいですね!(笑) 海蔵さんにとってカバー曲を形にしていくのも一つのスタイルだとおっしゃっていましたが、今回キリンジさんの“エイリアンズ”を選んだ理由を教えてください。

海蔵 以前から楽曲を聴いたことはあったんですけど、今回カバーしたきっかけは、「この曲をカバーしたら海蔵に似合うんじゃないか」と推薦を受けてでした。自分に関しては、僕が好きでカバーしたい楽曲よりも、自分以外の人に「これが似合うと思う」と言われた曲をカバーした方が、すごくハマりよく歌えることが多いんです。それまで自分が知らなかった名曲に出会えたり、知ってはいたけど、より深く楽曲の魅力に気付けたり。その経験が、最終的には自分のオリジナル曲にも活かされているので、僕は歌の参考書みたいな感覚でカバー曲を歌うことも楽しんでいます。

■11月には東京と名古屋を舞台に、新たなワンマン公演も決定しましたね。今回のシングルのTYPE-A盤のDVDの中にも、6月に行なったライブの模様を収録していますが、有観客は――

海蔵 あの時が1年半ぶりの有観客ライブになりました。やはりお客さんを目の前にしたライブっていいですよね。今回も有観客での開催になりますけど、現状のコロナの感染状況の数字を見ていると、僕らも直前まで11月の公演がどういう形で行なえるのかはわからない状況です。ライブには、その時にしか生まれない音楽や、その場にいた人たちがいるからこそ生まれる空気があるので、僕らとしてはぜひ有観客でライブをやりたい気持ちを強く持っています。だからこそ、みなさんにもワクチンを接種してもらい、おうち時間を大切にしていただきたいなと思っています。これは僕に限らず、ライブ活動を行なっているアーティストの方々ならみなさん思っていることですからね。

■表現の場が奪われることほど悲しいことはないですからね。

海蔵 そうなんです。アーティストにとってライブというのは、アスリートたちによるオリンピックみたいなもの。それまで培い、積み重ねてきた想いを発表する場と一緒なので、ぜひアーティストのみんなにもオリンピックをさせてください!僕らもみなさんが安心して来られるように、準備は徹底してやっていきますから。

■秋のライブも普通に開催できることを願っています。最後にひと言、読者にメッセージをお願いします。

海蔵 今もまだ逢いたくても気軽に逢える環境にはなっていません。逢おうと思えば逢えるのかも知れませんが、「何かあったら」ということで、未だに遠慮している人たちも多いと思います。“誰そ彼”には「離れていてもあなたのことを想っています」という思いを記してあるので、今、大切に想う人がいる方はもちろん、過去にそういう人がいた方にも、すごく刺さる歌になりました。ぜひ寝る前に“誰そ彼”を聴いて、ちょっと涙を流してください。きっと心のデトックスになり、次の日を元気に迎えられると思います。

Interview & Text:長澤智典

PROFILE
1990年生まれ、愛知県出身。カラオケ世界大会(KWC)において2016年、2017年の2年連続で世界チャンピオンに輝き、数々のカラオケ歌番組でも賞を総ナメにしてきた大注目のヴォーカリスト。並外れた歌唱力と表現力を武器に、2018年6月、シングル『愛のカタチ』でメジャーデビュー。2019年1月、1stアルバム『Communication』をリリースし、2月に初の東名阪ツアーを開催。この年の12月には、「第61回輝く!日本レコード大賞」新人賞を受賞。2020年6月、2ndシングル『素敵な人よ』をリリース。11月、大竹しのぶとのデュオによるシングル『ありがとうって気づいていてね』をリリース。2021年2月、2ndアルバム『僕が歌う理由(わけ)』をリリース。5月には配信シングル『サイコパスのうた』をリリース。
https://www.ryota-kaizo.com

RELEASE
『誰そ彼』

TYPE-A(CD+DVD)
CRCP-10466
¥3,850(tax in)

TYPE-B(CD)
CRCP-10467
¥1,200(tax in)

CROWN GOLD
8月25日 ON SALE

LIVE
海蔵亮太 LIVE 2021 「Restart」
・2021年11月23日(火・祝)渋谷・duo MUSIC EXCHANGE
開場/16:15 開演/17:00
・2021年11月29日(月)名古屋・ボトムライン
開場/18:15 開演/19:00

ネットサイン会
海蔵亮太「誰そ彼」インターネットサイン会
https://limista.jp/projects/2161