マオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Ba)、ゆうや(Dr)
みんなとつながった状態でいられるようにと、ファンとの絆を描いた3曲
11月より3曲連続で配信シングルをリリースしてきたシドが、この3曲を1枚にまとめたシングル『ほうき星』をリリース。コロナ禍で会うことのできないファンとの絆をテーマに描いた“ほうき星”、“siren”、“声色”。この3曲へとつながることとなった自粛期間の想いから、来年1月14日に行われる配信ライブについても話してもらった。
■今回のシングル、制作はいつ頃からされていたのでしょうか?
ゆうや 10月の頭くらいからですね。もともと予定はなかったんですけど、こういう時代なので、ライブやなんかもできないことが多くなってきていて。いろいろ話し合う中で、10月のちょっと前くらいにこの話が出てきて、そこから制作がスタートしたという感じです。
■それまでの期間はどのような気持ちで過ごしていらっしゃいましたか?
マオ 不安じゃない人はいなかったと思うんですよ。その不安がどんどん広がっていく感じというのがまた初めての経験でもあって。正直戸惑いもあったんですけど、僕らは希望を見せていく立場だと思っていたので、そこはブレずにそのスタイルを貫き通そうと。そこから自分たちに何ができるかを模索しながら、ファンのみんなとつながった状態でいられるようにとやってきました。
■焦りとかはなかったですか?
マオ 僕は結構ポジティブなので、ものすごい時代になっていることはわかっているんですけど、そこまで重くは捉えていなかったというか、もちろん軽くも捉えていなかったですけどね。その中で「どうしたら勇気づけられるだろう?」ってことをずっと考えていました。ファンの人たちの中にも医療関係の人がいたり、飲食店や接客業の人もいたり、実際にそういう人たちから悩みの声も届いていたので、どうしようかということはずっと考えていました。
■ゆうやさんはいかがですか?
ゆうや これまでに経験したことのない事態なので、ニュースから流れてくることを信じるしかない状態だったんですよね。例えば、夏に湿気が多くなったら収まるんじゃないかと言われていた時期もあったから、「きっと一過性のもので終わるんだろうな」と思っていたらここまできてしまったし。それによって5月のライブが延期になったり、年間のスケジュールについて話し合いをする日々が続いて。その中で、今回のシングルのように予定になかったものだけど、自分たちができることをやっていこうという気持ちに徐々になれたし、それがまた希望につながっていく気がしたし。言ってしまえば、2020年はこれが日常じゃないですか。なので、これを日常として受け入れて、自分たちがやれることを発信していかなきゃって。そういう気持ちで過ごした1年、2020年だったなって、今振り返るとそういう気持ちです。
■Shinjiさんはいかがですか?
Shinji 普通にできていたことができないって大変なはずなのに、そういう日々がずっと続くと、人ってやっぱり慣れるんですよね。それがあたりまえになってしまうというか。それと同じで、ライブもあたりまえにできなくなってしまって、それはすごく寂しくて。だから、どうしたらできるようになるのかって、そういうことをずっと考える日々でしたね。なので、こうしてシングルを出せることになって、こういう表現の場があるというのは嬉しいことだなってあらためて思いました。
■明希さんはいかがでしょうか?
明希 僕らにとってあたりまえだったライブがこんなにもあっけなくできなくなってしまったというところにもどかしさもあれば、それをどこにぶつければいいかわからない苛立ちというか、そういう気持ちもやっぱりあるんです。それと同時に、ファンの方のケアやいろいろなリカバリーも考えなくちゃいけないし、結構大変な時間だったなって。それはもちろん世の中の人全員大変なんですけどね。でも、僕らはやっぱり音楽をやっているので「バンドは、音楽家はどうあるべきことが正解なんだろう?」って考えたりして。でも、考えていてもどうにもならないし、ファンもずっと待っていてくれているわけだし、この状況で何ができるかを探さなくちゃいけないなって。なので、今思うといろんなことをじっくり考える時間になりましたね。
■その時間を経て、このシングルが完成されたと。
マオ そうですね。不安な想いで過ごす中、どうしたら背中を押してあげられるだろうと考えて、“ほうき星”にいきつきました。
■歌詞も曲もとてもストレートな印象を受けました。
Shinji 元気を与えられたり、希望が見えるようなストレートなものが作りたかったんです。なので、ギターのアレンジにしても「そうくるか」というものよりは、「やっぱこうくるよね」みたいな、きて欲しかったフレーズを選んでみたりして。そういう直球で気持ちのいい曲作りを目指して作っていきました。
■それに対して“siren”は、怒りみたいなものが鋭い言葉で表現されていると思いました。
マオ “ほうき星“が希望の曲だとしたら、“siren”は現実や日常の不安みたいなものを書いた曲で、今回の出来事というのは、世界中を巻き込んだ出来事なので、そういう規模の歌詞を書きたいなという気持ちがあったんですね。なので、そういう言葉の選び方になっていったんじゃないかと思います。
■曲も今の混沌とした世界がそのまま表現されているかのようで。
明希 今回はそれぞれがどういうジャンルの曲を作るかということがカッチリ決まっていたので、その中で僕はヘヴィーで妖艶な世界観のものを作ろうと思って。今の時期を暗い時期と表現していいかわからないんですけど、こういう時代にたまたまリンクしたような世界観になりましたね。あとは、バンドの佇まいみたいなものをしっかり伝えたいなと思って、そこから広げていったりもしました。
■結構綿密に練っていった感じですか?
明希 もともとこういうジャンルは好きなので、そんなに難航もせずに作れた感じではあります。レコーディングもそんなに時間はかからず、ドラムはほぼ一発だったんじゃないかってくらいのクオリティの高さでしたよ。
ゆうや 3曲ともそうなんですけど、今回はコンセプトがしっかり決まっていたので、入り込みやすかったんですよ。そういうところも演奏やレコーディングにしっかり出ているのかなって。