新体制で進化するSKE48、12人で歌う恋の駆け引き。
SKE48が3月12日に34thシングル『Tick tack zack』をリリース。結成16周年を迎え、新体制が発表されたSKE48。今作は恋の駆け引きを描いた、サビのフレーズが印象的な1曲となっている。今回のインタビューでは佐藤佳穂と、初選抜の伊藤実希、森本くるみに、新体制となったSKE48の雰囲気や、カップリング曲を含めた楽曲について、MV撮影の際の裏話など話を訊いた。
■まずは伊藤さん、森本さん、初選抜おめでとうございます。選抜メンバーに選ばれたことをまず誰に伝えましたか?
伊藤 私は母ですね。スタッフさんに「選抜メンバーに選ばれたよ」と伝えられてから、数日後に話しました。
■なぜ数日後に?
伊藤 だってまだ本当かどうか自分の中で実感がなかったし、夢の可能性もあるから、一旦自分の中でとどめておこうという期間があったんです。(笑) でも意外とすぐにミュージックビデオの撮影があって、しかも東京で3日間くらい撮影日があったので、その間は家からいなくなるから、さすがに言わないわけにもいかず……。「これは夢じゃなくて現実だ」と思って、東京に行く前日の日付が変わるくらいの時間に、「お母さん、言いたいことがあるんだけど……」みたいな感じで言ったんです。
■お母さまはどんな反応でしたか?
伊藤 その時お母さんは寝る直前でもう布団の中にいたんですけど、「結構大事な話だからいい?」と起こして話したら、布団の中で涙目になっていました。
■森本さんはいかがですか?
森本 今回は選抜メンバー発表前日に「明日ファンクラブの取材があります」というメールが来て、行ってみたらカメラマンさんとスタッフさんがいて、その時に「選抜メンバーに選ばれました!」と伝えられたんです。そして「正式発表前なので誰にも言っちゃいけないけど、両親には言ってもいいよ」と言われたので、すぐにお父さんとお母さんに電話しました。
■それぞれに個性が出ていますね。(笑) ところで伊藤さんは2024~2025年、なかなか激動の1年になったんじゃないでしょうか?フルマラソンを走って、『SASUKE』に出て、年明けにリーダーに任命されて……。この1年間で一番印象的なシーンはなんですか?
伊藤 やっぱり『SASUKE』の反響はすごかったです。私自身、小さい頃から『SASUKE』を見ていて、憧れの番組だったので、見ていた側から出る側になる瞬間を味わいました。しかも出演権を自分で勝ち取ったんですよ。『SASUKE』のアイドル予選会で1位になって、それで出場権をいただいた形なので、自分の力で掴み取って、出たい番組に出られたということは、すごく大きかったです。そして『SASUKE』のアイドル予選会は本当に人生で1番辛かった競技と言いますか、メンタルも体力も削られていく競技がある中での1位だったので、すごく達成感もありましたし、本当に嬉しかったです。
■伊藤さんはめっちゃスポーツできるんですよね。
伊藤 小~中学校の6年間バスケをやっていたのと、習い事でスイミングをやっていて、4泳法全部泳げます。あと、高校ではSKE48に入るまで、陸上で400mと800mを専門にやっていました。
■水もいけるし、陸もいけるし、すごいなぁ……。苦手なスポーツとかはあるんですか?
伊藤 器械体操は得意じゃないんです。私、すごくビビりなんですよ。「これで失敗したら首折れるな……」とか想像しちゃうとダメで。気持ち的な意味で苦手です。
■そして森本さんも去年正規メンバーに昇格して、いろんなことがあった年でしたよね?
森本 そうですね。研究生の頃にたくさん公演に出演させていただいて、やっと昇格できた……という年だったので、すごく嬉しかったです。
■森本さんのSNSを拝見したんですけど、アイドルとは思えないような写真が見えたような気がして……。(笑) 溶接用のマスクをしていませんでしたか?
森本 していましたね。(笑) あれはラジオ番組のYouTubeの方で、溶接を体験した時に同期の原優寧ちゃんに撮ってもらった写真なんですけど、あまりにもアイドルとは思えないものになったので、ちょっとこれはファンの方にも見てほしいなと思って載せました。(笑)
■溶接体験はいかがでしたか?
森本 すごく楽しかったです!溶接って火花が飛び散るイメージがあったんですけど、私たちがやったのはレーザーでした。同期や両親に「レーザー溶接やるんだよ」と話したら「くるみには絶対ムリ!」と言われたし、同期からは「怖くてできなかった」と聞いていたので、「そんなに怖いのか……」と思っていたんですけど、実際には全然怖くなくて、ノリノリでした。そういう新しい体験もできたので、2024年は楽しかったです。
■いやぁ、度胸がありますね。(笑) そして佐藤さんの2024年といえば、1stソロライブの話題は欠かせないと思います。どんなライブになりましたか?
佐藤 そうですね。自分を振り返るというよりは、「これからのこと」に重きを置いたセットリストを組んだので、ファンの方と27歳のスタートになる日に、「これから一緒にいろんな景色を見ていこう」という気持ちを込めて、それをファンの方たちが見届けに来てくれて、会場も満杯にしてくださって。すごく愛を感じる27歳のスタートだったなと思います。
■ソロならではのいつもと違うことはありましたか?
佐藤 リハーサルで声が結構嗄れてしまって、それがすごく大変でした。やっぱりひとりで1日歌い切るというのは大変でもありつつ、すごく楽しくて。難しい課題もあったのですが、自分の糧にできた部分もあったので、楽しいだけというよりは、自分の成長にも繋がるコンサートだったと思います。
■思ってもみなかった違いがあったりしますよね。そう、佐藤さんといえばコスメがお好きということで、伊藤さんと森本さんにメイクをするとしたら、どんな感じにプロデュースしてみたいですか?
佐藤 え~っ、そうですね。もう二人とも十分すぎるぐらい輝いているんですけど、みきちゃんはくノ一みたいな感じかな。(笑) 強さもありつつ、ちょっと和風な感じで、日本の伝統が後ろに透けて見えるものにしたいです。あと、(伊藤は)耳が大きいんですよ。そこがすごく好きなので、大きい耳が好きな子には絶対刺さると思います。
■確かにお耳が大きい!可愛いです。
佐藤 くるみにはウサギの垂れ耳とかつけたいな~。(笑) ふわふわで、顔にヒゲとか描いたり。結構コスプレ系も好きなので、溶接だけじゃなくてそういうのも見てみたいな。
■確かに似合いそうですね、うさぎさん。(笑) さて、ニューシングルの話に移っていきますが、まず『Tick tack zack』というタイトルはどういう意味ですか?
佐藤 「Tick tack」は時計の「チクタク」を表現していて、時計を連想するタイトルになっています。恋愛するときは時間を早く感じたり、遅く感じたりするじゃないですか。そういった恋の駆け引きを歌った曲で、そこに「zack」がつき、「Tick tack zack」という言葉を何回も繰り返すことで、中毒性ある曲になり、ファンの方の耳にもすごく残るんじゃないかなと思います。
■その思惑通り、音源を聴いたときから曲のサビが頭から離れません。(笑) みなさんそれぞれが思うこの曲の注目ポイントを教えてください。
伊藤 2番の後にダンスブレイクというか、音がバキバキになる所があるのですが、私はそこの、曲の雰囲気が一気にバっと変わるところが好きです。そこでは私たちもマイクを口につけず、ダンスに集中するところなので、耳でも目でも楽しんでいただきたいです。
佐藤 私はバックサウンドが好きで、今回の曲にはネジを巻いてる音なんかも入ってるんです。ダンスは軽やかに見えるし、曲自体も3分で、あっという間のはずなのですが、すごく体力を使うし、時間が長く感じる曲でもあって。そういったところで、パフォーマンスと曲調のバランスの歯車が噛み合ってるのを感じたりもします。曲調だけではなく、今回は「ティックタックダンス」という時計を表した振り付けがたくさんあり、メンバーの指で時計を表現したり、全体で見た時に振り子に見える動きもあったりするので、推しメンだけをピンポイントで見るのもいいですし、12人全員を引きで見ていただいても、別の楽しみ方があると思います。
森本 初めて音源をいただいた時は、ほんとに耳に残る歌詞とリズムだったので、再生を繰り返しました。ダンスもすごくて、イントロやサビは強弱がしっかりした振り付け、A・Bメロはとても歌詞に合った振り付けをしていただき、耳も飽きないし、目で見てもほんとに飽きない、満足感たっぷりな3分の音楽とパフォーマンスになっています。
■MVの撮影やレコーディングで大変だったことはなんですか?
佐藤 私自身のことじゃないんですけど、ダンスシーンを撮影する時間がすごく長くて、監督さんも気を遣って「まだカメラセッティング中だから座ってていいよ」って言ってくださったのですが、初選抜の4人だけがずっと立っていたんです。(笑) 「座っていいんだよ」って言っても何も喋らず、めっちゃ緊張して、気を張ってるのかなと思いました。私自身は初選抜の時、「座っていいよ」って言われたら、先輩と一緒に座ってたんです。そのことを思い出して懐かしくなったり、初選抜のときの大変で騒がしい気持ちが蘇ったりしました。
伊藤 やっぱり初選抜っていうのは最初で最後の経験なので、このシングルでしか味わえないことがたくさんあると思います。この貴重な時間を今、とにかく「今」を大事にして、全ての物事に全力で活動していきたいです。
森本 初めて選抜に選んでいただいたと聞いたとき、「大人しかったり、静かそうに見られてると思うけど、ホントは違うよね」「心は熱く燃えてて根性あるよね」と言っていただいたんです。そんなところまで常にそばで見てくださっているスタッフさんがいるのも、すごくありがたい環境だと思ってます。これまでのMV撮影は先輩がパフォーマンス中にしてることだったり、リハーサル中にしてることだったり、言動だったりを見て学ぶことに精一杯で、学びの時間みたいな感覚があり、あんまり緊張していなかったんですけど、今回は選抜入りが発表された時にいただいた言葉を胸に刻みながら、「初選抜だからいいや」みたいに思うことは絶対に嫌だと思いました。SKE48のメンバーのひとりであることを再認識して、もっとSKE48 を盛り上げられるように頑張らなきゃっていう気持でMVを撮りました。
■このMV撮影、大変だっただろうなと思いながら見ていました。全員のシーンでは本物の水を使っているそうですね。でも、個人的には個別シーンが気になったんですよ。みなさんすごく可愛かったんですけど、それぞれどういったイメージになっているのでしょうか?
森本 私はソロシーンではストレートのポニーテールをぎゅっと縛って、パンツスタイルで撮影し、全速力で走りました。衣装はひとりひとりの個性を活かしたものになっていて、どんな衣装になるか当日までわからなかったのですが、自分の中では「きっとスポーツだろうな!」と思っていたので、スタッフさんと一致した部分になりました。
佐藤 私はドレッサーの前でメイクしてるカットだったんですけど、ずっと「化粧品のプロデュースをしたい」と言っていたので、そういった気持ちも汲み取っていただけたんじゃないかなと思ってます。今回は私ひとりだけ暗いところで撮影していて、やっぱり大人でお姉さんメンバーでもあるので、若い世代の中でも私のカラーを活かせるように考えながら撮影していました。