SUM41『THE LAST JAPAN TOUR 2024』ライブレポート@KT Zepp Yokohama

ライブ・アンセム乱れ打ちのラスト・ジャパン・ツアー!

SUM41が『PUNK SPRING 2024』初日のヘッドライナー(3月16日・幕張メッセ)を含めて、3月14日の北海道・Zepp Sapporo公演を皮切りに3月23日の大阪・インテックス大阪公演の計7本(※3月19日・Zepp Nagoya公演はデリック・ウィブリーの喉の不調により急遽中止)に及ぶ『THE LAST JAPAN TOUR 2024』を開催した。ご存知の通り、2023年5月9日にバンドはSNSにて「解散」を発表。日本でSUM41のライブはこれで見納めとなる。それもあり、本日3月18日のKT Zepp Yokohama公演は満員御礼のソールドアウトを記録。

トップを切ったのは今ツアーに帯同しているNECK DEEPだ。「コンニチハ!」とベン・バーロウ(Vo)が挨拶し、今年1月に出たセルフタイトルを冠した5thアルバムから“Dumbstruck Dumbf××k”でスタート。爽快な歌メロにキラキラのポップ・パンクで突っ走り、続いて同作から“Sort Yourself Out”を披露。初期NEW FOUND GLORYを彷彿させる切れ味鋭い演奏にフロアも沸き上がる。彼らはUK出身だが、00年代初頭のUSポップ・パンクを継承したピュアな音を鳴らす。その直球ぶりが何とも清々しい。ラスト曲“STFU”では観客も手を左右に振り、ピースフルな景色を作り上げ、全7曲をノンストップで駆け抜けた。音源と変わらぬ、いや、それ以上にハイエナジーな歌声と演奏に観客を終始焚きつけていた。 

そして19時50分に場内は暗転、AC/DCの“T.N.T.”がSEで流れた後、デイヴ・バクシュ(Gt)、ジェイソン・マクキャスリン(Gt)、GOBのトム・タッカー(Gt)、フランク・ズーモ(Dr)、最後にデリック・ウィブリー(Vo&Gt)が拍手しながら姿を見せると、SUM41は“Motivation”でショウを開始。ステージ上はスモークが噴出し、ノリのいい曲調にフロアも即反応。「エブリバディ、ハンズアップ!」とデリックも1曲目から積極的に盛り上げていく。“The Hell Song”に入ると、サビで観客は大騒ぎする有様だ。“Over My Head(Better Off Dead)”では最初から「オイ!オイ!」とコールが起き、観客も前のめりになって楽曲に参加する。そこにメタル調のリフを配した“No Reason”が続くと、大量のダイバーが発生!序盤の時点で完全にSUM41の空気に染め上げていた。

“Out For Blood”においてはデイヴのメタル調のピロピロ・ギターも飛び出し、次の“Underclass Hero”では会場に複数の風船が投げ込まれ、華やかなパーティー感を演出する。それからバラード風の“Some Day”を挟み、発売前のラスト作にあたるダブルアルバム『Heaven :x: Hell』収録曲を2曲投下。親密な歌メロに高揚感を刺激される“Landmines”を経て、疾走ナンバー“Waiting On A Twist Of Fate”をプレイ。ポップなサビに加え、デイヴの男臭いコーラスをフックに起伏に富むアレンジで魅了する。ライブで抜群に映える1曲だった。

中盤に差し掛かり、メタルモード全開の“We’re All To Blame”を披露。ヘヴィでありながら開放感溢れるダイナミズムを備え、後半は歌詞を大合唱する光景が広がった。そして、“Walking Disaster”ではケータイの光で会場全体が明るくなり、メロウ〜アップテンポに切り替わる展開ではダイバーが増え、お祭り感は膨れ上がるばかりだ。デリックがアコギに持ち替えると、ここで“With Me”を披露。トムは鍵盤を弾き、フランクはシェイカーを振り、しっとりしたアプローチで聴かせる。“Makes No Difference”に入ると、デリックはフロアを分けてシンガロングを誘発し、場の一体感を高めていく。それから“My Direction”、“No Brains”、“All Messed Up”をメドレー形式に繋ぎ合わせた後、フランクのドラムソロへと突入。PINK FLOYDの“Another Brick In The Wall”を織り込みつつ、“Fake My Own Death”、QUEENの“We Will Rock You”と畳み掛け、凄まじい熱狂を生み出していた。

ショウも終盤を迎え、“Fat Lip”ではダイバーが再び急増し、会場の温度は上昇。“Still Waiting”においては最初から歌詞を歌い上げる人たちで溢れ、SUM41がいかに多くのファンにとって人生のサウンドトラックになっているのかがよくわかった。本編を終えてもアンコールを求める声は鳴り止まず、メンバーもその声に押されてすぐさまステージに登場。爽快なメロディがたまらない“Summer”、ラストはノリのいい“In Too Deep”で締め括り、フロア全体がジャンプする壮観な景色を作り上げた。

ライブを終えても「解散」の二文字を受け入れられない自分がいた。アンセム・ソングを数多く持つ彼らだけに、これらの曲を生で聴くことができないなんて想像が付かない。今日のパフォーマンスを観て、SUM41のステージングに陰りを感じた人はゼロに近いのではないか。「もっとやれるのに!」と心の中で叫ばずにはいられなかった。今日のパフォーマンスを胸に刻みながら、これからも彼らが残した作品を聴き続けたい。

Text:荒金良介
Photo:岸田哲平
©PUNKSPRING All Rights Reserved

『THE LAST JAPAN TOUR 2024』@KT Zepp Yokohama セットリスト
01. Motivation
02. The Hell Song
03. Over My Head (Better Off Dead)
04. No Reason
05. Out for Blood
06. Underclass Hero
07. Some Say
08. Landmines
09. Waiting on a Twist of Fate
10. We’re All to Blame
11. Walking Disaster
12. With Me
13. Makes No Difference
14. My Direction / No Brains / All Messed Up
15. Drum Solo
16. Fake My Own Death(With Another Brick In The Wall Intro)
17. We Will Rock You(Queen cover)
18. Fat Lip
19. Still Waiting
20. Summer
21. In Too Deep