SUPER BEAVER アリーナツアー『都会のラクダSP ~愛の大砲、二夜連続~』ライブレポート@さいたまスーパーアリーナ 11月7日(日)

SUPER BEAVER アリーナツアー『都会のラクダSP ~愛の大砲、二夜連続~』

SUPER BEAVERと同時代に生きる幸福を噛みしめた感動のアリーナツアーファイナル!

「あなたは わたしの光です」(“時代”)の歌詞に収斂するような史上最高のパフォーマンスであった。2020年のコロナ禍でも攻め続けたバンドが、観客一人ひとりの「楽しい」を全力で守り抜き、最大級の光を作り上げたショウとなった。過去は今日という日のために、そして、今日はさらなる明るい未来に繋げるために。SUPER BEAVERは自らの生き様でそれを証明してくれた。

SUPER BEAVER バンド最大キャパによるアリーナツアー『都会のラクダSP 〜愛の大砲、二夜連続〜』は、日本ガイシホール、大阪城ホール、さいたまスーパーアリーナと2デイズずつ、計6公演を開催。その最終日にあたるスーパーアリーナは、暗転するや藤原”33才”広明(Dr)の抜けのいいドラムが鳴り響き、上杉研太(B)、柳沢亮太(G)と音が重なり、ステージにゆっくりと現れる渋谷龍太(Vo)。スモークが噴き上がる中、“ハイライト”でスタートダッシュを切ると、観客は総立ち状態で拳を激しく突き上げていた。間髪入れずに“突破口”に進むと、ドラムを筆頭にバンドグルーヴは一気に加速していく。僕はステージ正面の二階席で観ており、ステージまでの距離が遠いなと感じていたけれど、演奏が始まればライブハウスと変わらぬ熱量を肌で感じるほどだった。また、曲中に「ちゃんと見えてますよ!」と渋谷は広いアリーナに対する目配せの言葉も忘れない。

次の“27”に入る前には「1対1で音楽やろうぜ!」と呼びかける。以前から口にしていた言葉だが、2020年のコロナ禍で有観客/無観客生配信ライブなど新たなトライを試み、どんな形でも届けることを止めなかった彼ら。今日の「1対1」という言葉には特別な重みを感じずにはいられない。SUPER BEAVERとあなた。その両者の思いが溶け合い、会場には巨大なエネルギーが渦巻いていた。「今日WOWOWで生中継してる。母ちゃん元気ですか?息子が映ってますよ!」と渋谷は親密に話しかけ、TVで観ているあなたにも音楽を届ける意識でライブに臨んでいたに違いない。暗中模索で駆け抜けた昨年の活動が、今年着実に活きている。

「4人で成り立つステージをやるつもりはない。一緒に音楽をやりませんか?」と言い放ち、“美しい日”へ。すると観客もクラップ&ジャンプで応え、その祝祭感にアリーナは激しく揺れる。”証明”では花道の先端で渋谷が歌い、場はさらに活気付くばかりだった。“青い春”を経て、ステージ上に8つの炎が燃え盛る演出の中で“mob”をプレイ。オルタナロック風味のギターとキャッチーなコーラスを配したミドルテンポの楽曲は、ショウにいい差し色をもたしていた。中盤には”正攻法”、”らしさ”と気骨溢れるロックモード全開の演奏を叩きつけた後、スクリーンに歌詞付きで”愛しい人”を披露するシーンも印象的だった。

2020年でなければ出会えなかった人もいる。その一方で、2020年にあなたと会えなかったことが辛かった。渋谷はそう振り返り、「あなたのことを心の底から大事にしたい」と告げた後、”人として”を披露。これがSUPER BEAVERという人間そのものを鳴らす奥深い曲調で胸に沁み入った。それから”名前を呼ぶよ”、”東京流星群”と立て続けにプレイし、アリーナが狭く感じてしまうほどの熱気を生み出していく。「今日を迎えられたことを嬉しく思う」と上杉が言うと、「楽しいよね?こっちもほんとに楽しい!」と藤原は無邪気にコメント。「今日は(コロナ禍以降で初めて)1万人以上、誇らしく思う」と柳沢は告げ、「まさか17年やって、ここに立てるなんて……」と渋谷は感慨深げに語っていた。

そして、ここからラストスパートだ。”予感”では各楽器の絡みが気持ちよく、開放感溢れるパワーを大放出。さらに「会いに行こうよ 会いたい自分に」から「会いに行くんだ 会いたいあなたに」と場面が切り替わる歌詞にも毎回ハッとさせられる。あなたに会うために、なりたい自分像を追い求める。まるでSUPER BEAVERの歩みを物語るような1曲だ。その後にストレートに愛を告白する”アイラヴユー”、パンキッシュな勢いで駆け抜ける”さよなら絶望”で締め括り、本編終了。 

アンコールでSUPER BEAVERが再びステージに現れると、渋谷はオフマイクで切実に語りかけ、「あなたは光です」と前置きして”時代”をアカペラで歌い出す。そこに重なるコーラスワークも効果的で、さざ波が大きな波に変わるように楽曲のスケール感は飛躍的に高まっていく。また、童謡に通じるシンプルなメロディを観客全員に行き届かせる楽曲の底力にも鳥肌を覚えた。一人ひとりの命の輝きが時代を作る。時代とはあなた自身なのだ。そう力強く歌うこの曲は、コロナ禍における応援歌のように響いた。いや、時代を超越した「みんなのうた」的な普遍性さえも感じた。いい意味でSUPER BEAVERの手を離れ、自分の歌として受け止めたくなる名曲だった。彼らと同じ時代に生きていることが何よりも幸せである。そんなクサいセリフも平気で言えてしまうくらい、心を揺さぶられたアリーナ公演であった。

Text:荒金良介
Photo:青木カズロー

http://super-beaver.com/

アリーナツアー『都会のラクダSP ~愛の大砲、二夜連続~』11月7日(日)セットリスト
01. ハイライト
02. 突破口
03. 27
04. 美しい日
05. 証明
06. 青い春
07. mob
08. 正攻法
09. らしさ
10. 愛しい人
11. 人として
12. 名前を呼ぶよ
13. 東京流星群
14. 予感
15. アイラヴユー
16. さよなら絶望
<アンコール>
17. 時代