竹内唯人 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

竹内唯人『XX』

20歳の竹内唯人の集大成『XX』。作り上げて見つけたやりたい音楽。

2021年7月にメジャーデビューした竹内唯人が、初のアルバム『XX』をリリース。20歳である今、思うことをGRPのトラックに載せ大切に閉じ込めた“XX”をはじめ、同世代の$HOR1 WINBOYやVILLSHANAを迎えた“YOZORA (feat.VILLSHANA & $HOR1 WINBOY)”や、変態紳士クラブGeGがプロデュースした“I Believe Myself (Prod. GeG)”など、様々なクリエイターとの化学反応の結晶を見ることができる。アルバムの制作過程や、20歳になり初のアルバムリリースという節目を迎えた今の気持ちなど、たっぷりと話を訊いた。

■初めてのアルバム『XX』が完成した今の気持ちを教えてください。

竹内 まず率直に嬉しいですね。やっとアルバムっていう言葉で出せるのがすごい嬉しくて。前回『THE FIRST』っていうEPを出した時から、早くアルバムを出したいと思っていたんですけど、やっと出せるし、やっとCDとしての販売もできるので、やっとだなって思います。

■タイトルにも『XX』ってあるように、今の竹内さんが詰まっていると思うんですけど、ご自身では自分のどういう部分が詰まっていると思いますか?

竹内 20歳として“XX”っていう楽曲が一番自分が言いたかったことだったり、今の自分じゃないと書けない歌詞が書けたと思っています。

■1曲目のメジャーデビュー曲“After The Rain”に続いて、2曲目の“Land of Dreams”は今までにないくらい疾走感がある曲ですね。

竹内 良い曲ですよね。これは地元の音楽をやっていない友達に聴かせると「カッコいいけど唯人っぽくなくて、新しいね」っていう反応もあって。だけど、アーティストとかやっている人たちに聴いてもらうと「これヤバイね!」「すごいいいね!」って言ってくれる人が多いんです。

■アレンジには辻村有記さんが参加していますが、辻村さんにお願いした決め手みたいなものはあるんですか?

竹内 最初にタイアップのお話をいただいたんです。その時にアルバムを作りたいっていう話もしていたので、「カッコいいトラックメーカーさんを探したい」ってなって。今までだったらUTAさんにお願いしていたので、またお願いしようかとも思ったんですけど、もう少しチャレンジしようと思って。そうしたら、ディレクターさんに辻村有記さんっていう方がいると教えてもらったので、今回お願いすることになりました。疾走感が欲しかったので「スピード感のある曲をお願いします」って言ったら、デモ段階で完成形と同じくらいのものが出来上がってきたんです。しかも上がってくるのがめちゃくちゃ早くてびっくりしました。初めて聴いた時は、「僕に歌えるかな……?」っていう心配と、今まで僕が触れたことがないような音楽だったので、とにかく必死に覚えるところから始まって。レコーディングも上手くいきましたけど、結構大変でした。でも細かいところまでしっかりと指導してくれたのでやりやすかったです。この曲はレコーディングしながらすごい勉強になりました。

■歌詞の量も多いですよね。

竹内 そうなんです。これライブの時は歌わずに飛び跳ねようかなと思って。(笑) 1曲歌ったら疲れちゃうので、大事なところだけ歌おうかな……。(笑) でもこの曲は絶対ライブに持ってこいですよね。フェスの夜の部とかで歌いたいです。

■3曲目の“YOZORA (feat.VILLSHANA & $HOR1 WINBOY)”は、$HOR1 WINBOYさんとVILLSHANAさんと作ったんですね。以前も$HOR1 WINBOYさんと“MIRAI (feat. $HOR1 WINBOY)”を作った時に「また作りたい」っていう話もされていましたけど、そこにVILLSHANAさんが加わるっていうのはどういう流れがあったんですか?

竹内 “MIRAI (feat. $HOR1 WINBOY)”で$HOR1とバズったじゃないですか。“caffè e llatte (feat. $HOR1 WINBOY)”でVILLくんと$HOR1がバズったんですよ。だから「3人でやったらヤバイんじゃない?」っていうところから始まっていて。でも、元々この曲はEPとかアルバムとかに収録するつもりじゃなかったんです。8月に大阪のイベントに出た時に、「せっかくコロナ禍で感染が怖い中でも来場してくれる人たちがいるなら、その人たちに元気になってもらえるような曲を作ろうよ」っていう話になって。その時に一緒に作ったのがこの曲だったんです。だから本当は、その日限りの曲だったんですよ。でもすごくお客さんからの反応もよくて、カッコいい曲になったし、これは出した方がみんな喜ぶんじゃないかっていう話になって。曲の進行と歌詞もちょっとだけ変えてブリッジも足して、今回収録することにしました。

■最初はライブのためだけに作っていたんですね。“MIRAI (feat. $HOR1 WINBOY)”を$HOR1さんと作った時は、流れでどんどん作っていったっていう話をしていましたが、今回はどういう制作だったんですか?

竹内 今回もそんな感じです。スタジオに入って3人で作りました。

■MVも3人での和気あいあいとした雰囲気が伝わってきました。

竹内 もっとカッコつければよかったなって思いましたけどね。あまりにも楽しみ過ぎてあんまりカメラを見てないし……。(笑)

■VILLSHANAさんとの出会いはどこだったんですか?

竹内 YouTubeチャンネル「blackboard」で僕と$HOR1が歌う収録の前に、“caffè e llatte (feat. $HOR1 WINBOY)”を$HOR1とVILLくんが撮っていたんです。その時がはじめましてでしたね。その時にすでに「一緒に曲作ろう」って挨拶みたいな感じで言っていて。(笑)

■はじめましての時点で既に3人だったんですね。挨拶代わりにやろうって言ってすぐに実現するのがすごいです。

竹内 本当にすぐでしたね。やろうって決まってから本当に早くて。あとはMATZくんのトラック待ちみたいな状況でした。

■「MIRAIにつながった その先にいこう」っていう歌詞がいいですね。

竹内 ここはエモいですよね。

■歌詞も3人で書いたんですか?

竹内 そうですね。自分のところは自分で書きました。

■4曲目“エンドロール”はバラードです。I Don’t Like Mondays.のSHUKIさんが参加していますが、これはどういう経緯だったんですか?

竹内 元々僕は全然知らなかったんです。普段僕は自分が好きになったアーティストの古い曲とかをずっとリピートして聴いているので、あまり別のジャンルの曲を聴いてみようとか思わないので。「“Last Scene”のトラックをもう少しアレンジしてもらわない?」っていう話になった時にスタッフの方が探してくれて、それでSHUKIさんにお願いすることにしました。トラックも生音でギターを入れてもらったりして。「SHUKIさんはどんな音楽やっているんだろう?」って思って聴いてみたら、すごいオシャレなバンドでした。僕が今まで全然聴いたことがない、やったことがないジャンルの人とコラボするのもいいなと思いましたね。

■その後に“エンドロール”の作曲も頼むっていう流れだったんですか?

竹内 そうですね。僕は恋愛の曲の歌詞を書くのが苦手なので、歌詞も任せた方が良い楽曲になると思ってお願いしました。

■この2曲は歌のニュアンスがすごく分かりやすいですよね。レコーディングの時にディレクションはあったんですか?

竹内 ありました。その上で「自由にやっていいよ」っていう話をされました。

■6曲目“Roar”と8曲目“XX”はGRPさんとの曲です。これはどういった経緯で?

竹内 韻マンっていう仲がいいラッパーがいるんですけど、韻マンのアルバム曲をGRPさんが作っていて。「ヤバイ人がいるから紹介したいんだよね」って韻マンに言われて、スタジオに行ったら、「今曲作るか!」って言われたんですよ。「どんなのが作りたい?」って言われたんですけど、たまたまその時によく聴いていた曲がジャスティンビーバーの“STAY”だったので、「“STAY”みたいな感じの曲で」って言ったら“STAY”っぽいんですけど、全然違う曲を作るんですよ。しかも目の前で10分くらいで作ってしまって。「この人ヤバイ!」って本当に思いましたし、「この人と一緒に作らないと駄目だ」って思いました。それで大阪まで行って、1泊2日で2曲録りました。めっちゃスピード感ありましたね。

■早い!全部スピード感ある制作なんですね。“Roar”のメロディは今までにあまりない感じですよね。

竹内 これ完全にトランスフォーマーのエンディングじゃないですか?(笑) もうフックが洋楽だし。一番アルバムの中で自信があるのがGRPさんの作った2曲ですね。

■歌詞は曲ができあがってきてから乗せたんですか?

竹内 そうです。

■“Roar”の歌詞はすごく勇ましい印象を受けました。

竹内 これは自分の背中を押すじゃないですけど、自分が一歩後ろに下がって自分を見ながら書いた楽曲で。せっかくだったらこのトラックに載せて、いつもにはない攻撃的な感じで作ろうかと思って書きました。

■「こういう歌詞にしよう」っていうのも、曲からインスピレーションを受けて思いついたんですか?

竹内 そうですね。

■もう一曲のGRPさんが書かれている“XX”ですが、これはアルバムを象徴するような一曲ですね。

竹内 これが自分のナンバーワンですね。

■歌詞も自分のことについて書こうと?

竹内 そうですね。せっかく20歳でアルバムを出せるし、20歳って人生の節目だと思っているので。今まで思ってきたこととか、やってきたことを考えたら、ばーって歌詞が出てきて。

■歌詞を書くのも早かったんですか?

竹内 この曲はめっちゃ早かったです。2時間かからないくらいで書けました。韻を踏もうとしなくてもいっぱい踏めたし。