竹内唯人 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■“絆”のようなバラード曲は、これまで多かったラップの曲とは歌い方が全然違うじゃないですか。“絆”を歌っていく段階で、歌の表現について考えたこともありますか？

竹内　今までの曲はオートチューンをかけている曲が多いんですけど、オートチューンをかけていると、しっかりピッチに当てにいかなくてもオートチューンが引っ張ってくれるんですよね。そういう歌い方に慣れちゃっていたので、“絆”のレコーディングの時は難しかったです。確実にピッチを当てにいかないといけないし、息の量とか語尾の落とし方とかも意識しなきゃいけなくて。

■オートチューンをかける場合、音の外し方によっては反対の音程にズレることもある分、歌いにくいという方も多いですが、竹内さんの場合はそうでもないんですか？

竹内　最初の頃はそうだったかもしれないです。でも最近は自分のオートチューンの設定も大体決まっているので、そこまで意識しないで歌えるようになってきました。あと自分の場合、言い方はあれですけど、オートチューンの時は少し気を抜いて歌える感じがするんです。“MIRAI feat. $HOR1 WINBOY”もリズムと音を聴けば、もう勝手に言葉が出てくるくらい歌っていましたから。今まではオートチューンに頼りすぎていたので、これからはちゃんとバラードも練習しないとって思います。(笑)

■今のモチベーションとしては、オートチューンをしっかりかける曲よりも、自分の素に近い声を聴かせたいという気持ちが大きいですか？

竹内　その気持ちはあります。今制作している楽曲にもミッドバラード曲があるんですけど、その曲もオートチューンの影響はあまり受けないような曲で。でも一緒に作るアーティストや楽曲の雰囲気によっては、これからももちろんオートチューンも使うし、場合によってそれは使い分けたいですね。

■今までの楽曲の表題曲だけを取っても、ヒップホップの曲もあればバラード曲もあって、声の処理の方法も含めて振れ幅が大きいですよね。

竹内　なので、ライブの進行的にもメリハリがつけられそうだなと思います。このチームに来るまでにいろんなことができて本当に良かったなと思います。今から「ラップみたいなのってどうなの？」ってなっていたら、また違う結果になっていただろうし。

■例えばラッパーの人であれば、「絶対に自分はラップで勝負する」という人もいるわけじゃないですか。でも竹内さんとしてはジャンルを絞る感じではなく、「今の竹内唯人が歌うべき曲を歌う」みたいな心持ちなんですか？

竹内　友達のラッパーとかを見ていても「俺は絶対ラップでやってやる！」みたいなのって、すごい大事なことだとは思うんですけど、「自分のエゴなんじゃないか」という気持ちもあったりするんです。“絆”をリリースするまでにいろいろと自分のやりたい曲をやってきましたけど、そういうのは結局竹内唯人のファンにしか届かないし、しかも「竹内唯人のファンは実はラップじゃなくてバラードを待っていた」みたいな。(笑)　もちろん自分が作った音楽で勝ち上がっていくのもカッコいいんですけど、今は自分の色を残しつつも、待ってくれている人たちと新しいファンに向けた曲を慎重に考えていかなきゃいけないなと思っています。もちろん自分が好きなことをやるのは大事なんですけど、「ラップとかヒップポップをやりたい」みたいな気持ちを発散するのは、自分の曲じゃなくても、韻マンの曲に参加させてもらうとかの方がいいんだろうなって。(笑)　自分でやりたい放題の曲を作るのはちゃんと売れてからで。もしすごいヒット曲ができて、アルバムを出すってなったら、その時は自分の好きなメンバーを集めてそういう曲を作りたいですね。

■まずは求められているものを第一に考えるということですね。移籍後第二弾シングルまでリリースして、これまで話していただいたような考えの変化もいろいろとあったと思います。改めてこれからどんな目標やアーティスト像を思い描いているのかも聞かせてください。

竹内　これは以前から変わらないんですけど、Zeppツアーをやりたいです。あと、アーティスト像でいうと、ライブの現場に足を運んでくれる人たちの竹内唯人の印象と、テレビとかラジオで話している竹内唯人の印象を分けられるといいギャップになるのかなと思っていて。もちろんカッコいいアーティストでいたいですけど、今の僕らの世代って、ひとつの強みに絞って勝ち抜くって結構難しいことじゃないですか。なので、逆にそれを利用して、ギャップとかを見せられるといいなと思っています。いろんなところで竹内唯人を目にしたり、耳にしてもらって、ライブに来た時にはカッコいい曲もバラードもあるし、それこそ韻マンとか$HOR1 WINBOYとわいわいする曲とかもあるしっていう、ギャップを楽しんでもらえるようになりたいです。

Interview & Text：村上麗奈

PROFILE
2001年生まれ、東京出身。2019年にABEMAの恋愛リアリティショー「オオカミちゃんには騙されない」に出演し、スタイリッシュなヴィジュアルと気さくなキャラクターとのギャップが同世代から人気を集める。同年10月にLINE RECORDSよりデジタルシングル『Only Me』でアーティストデビュー。その後も配信リリースを重ね、2020年2月リリースの3rdシングル『ニビイロ』が、テレビ朝日ドラマ「鈍色の箱の中で」の主題歌に抜擢され、Spotifyのバイラルチャート5位に連日ランクイン。また、2021年4月にリリースした『MIRAI feat. $HOR1 WINBOY』がTikTok で話題となり、2021年7月にはメジャー1stデジタルシングル『After the rain』、2021年12月1日には自身初となるミニアルバム『XX』、2022年はデジタルシングル3作品をリリースし、同年12月には初のソロライブを開催。そして2023年、ユニバーサルミュージックへ移籍し、3月より2ヵ月連続配信リリースが決定。バラエティ番組での活躍も目立つなど、活動の幅を広げている。
https://www.universal-music.co.jp/takeuchi-yuito/

RELEASE
『絆』