“絆”は竹内唯人を全く知らない人まで届いているなと感じられた。
竹内唯人がレーベル移籍後第一弾、第二弾シングル“Fly”、“絆”を2ヵ月連続でリリース。昨年12月にはワンマンライブを開催し、最近ではメディア露出も増えてきている。そんな様々な経験や環境の変化をきっかけに、自身のアーティスト像についての考えも変化してきているという。
今回はそんな竹内唯人にインタビューを決行。自身のアーティスト活動の変化について、連続リリース曲“Fly”、“絆”に込めた思いについて語ってもらった。
■竹内さんに取材するのは約1年ぶりですが、この1年でレーベルの移籍をはじめ、様々な変化があったかと思います。今はどんな思いがありますか?
竹内 まさかユニバーサルミュージックからリリースできる日が来るとは思わなかったです。レーベルの移籍ももちろん大きかったですけど、最近バラエティ番組にも出させていただいたり、お仕事の幅が広がってきていて、そういうところでも頑張りたいなと思っています。
■今まで以上に活動の幅も広がっていて、刺激もありますか?
竹内 刺激しかないです。メディアでの露出が増えるとファンの人たちもすごく嬉しそうですし、反応も増えるので、それはめっちゃ嬉しいなと思います。曲のリリース以外にも喜んでもらえる場所が増えて嬉しいです。
■これまでは友人のラッパーと曲を作ったり、SNSで気になったトラックメイカーに声をかけたりといったことも積極的にされていましたが、それは最近も続けているんですか?
竹内 最近はあまりやっていないんですけど、今後はまたやる予定はあります。そういう動きも含めて、今年はめっちゃ楽しみですね。“Fly”と“絆”はJ-POPに少し寄っている感じの曲なので、これまでのラップっぽい曲とはちょっとテイストが違うんですけど、ファンの人たちからは、今までみたいに韻マンとか$HOR1 WINBOYと一緒に曲を作って欲しいという声もあって、その声にも応えたいなと思っています。
■“Fly”と“絆”が「J-POPに少し寄った」というのは、聴いていても思ったんですが、意図的だったんですか?
竹内 そうですね。事務所も移籍して、「求められている竹内唯人の音楽はどんなものか?」ということをチームで話し合ったんです。もちろん“MIRAI feat. $HOR1 WINBOY”みたいな曲は若い人たちにもすごくハマると思うんですけど、“ニビイロ”を出した時に一気に幅が広がった感覚があって。最初の“Only Me”からのリリースをあらためていろいろと聴いてみた結果、「もしかしたら“ニビイロ”のようなバラードが求められているのでは」ということになって、そこからJ-POP感のある新曲を作っていこうと決まりました。その流れでできた“絆”をリリースしたら、ファンの人たちの反応がめちゃくちゃ良かったんです。求められているものが分かるチームのみなさんもすごいなと思いましたね。
■“Fly”と“絆”はどちらもCarlos K.さんとの楽曲ですが、これまでCarlos K.さんとのかかわりはあったんですか?
竹内 今までは特になかったんですけど、idomっていうアーティストがドラマの主題歌を歌った時、その曲をCarlos K.さんが作ったというのを知っていて。「まさか自分にも作っていただけるとは……」という感じでした。楽曲を作る時は“Fly”も“絆”もすごく早いペースでいただいて。以前に取材してもらった時に、「自分で1から100まで全部やりたい気持ちはあるけど、いろんな人とやって勉強したい」という話をしたと思うんです。今回もそういう思いから、Carlos K.さんと一緒にやらせてもらって。“Fly”に関しては自分でメロディを変えたり、歌詞を書いたりしましたけど、“絆”はほとんどお任せしました。出来上がったものを聴いて、「さすがだな!」と思いました。
■“Fly”の歌詞には「MIRAI」というフレーズが入っていますね。これはどんな思いで書いたんですか?
竹内 “MIRAI feat. $HOR1 WINBOY”がバズった時よりは話題性は少なくなっていると思うんですけど、今でもイベントとかフェスとかライブで歌うと「この曲を歌っているのはこの人だったんだ!」みたいな反応が多いんです。“MIRAI feat. $HOR1 WINBOY”はヒット曲で、自分では飽きるくらい歌っているけど「お客さんとかファンの人たちはやっぱり聴きたいんだな」って。なので、これからも大事にしたい曲ですし、今、自分は新しい一歩を踏み出しましたけど、過去もちゃんと大事にしたい。そういう意味も含めて「MIRAI」を強調して歌詞にも入れました。ファンの人たちの反応も良かったです。「あの“MIRAI”だよね?」みたいな。
■今ライブのお話も出ましたが、竹内さんは12月に初のワンマンライブを行われましたが、ライブはいかがでしたか?
竹内 新しい事務所に入った時に、契約書とかよりも先に「ワンマンライブやろう!」って言ってくださって。それがとにかく嬉しかったんです。「お客さんが入る、入らないじゃなくて、とにかく竹内唯人のライブをしよう」と。そこから1ヵ月と少しですぐに準備をして、当日はあっという間に終わっちゃいましたね。今までフェスで30分の尺をいただいて、5、6曲歌う時は結構時間が長く感じていたんですけど、ワンマンライブは30分くらいの感覚で1時間半ちょっとがすぐに終わっちゃって。最後に“XX”を歌いながら、いろんな人の顔が「ばーっ」て頭の中に浮かんできて、すごい感動して号泣しちゃいました。いつどの曲を歌ったかとか、お客さんの顔も今でも鮮明に覚えています。お客さんはまだギリギリ声が出せない時期だったんですけど、声が出せて規模がもっと大きくなった状態でライブをやったら、きっと鳥肌立ちっぱなしなんだろうなと思います。超楽しかったです。
■コロナ禍でのデビューだったのもあって、最初の取材の頃は「配信ライブの方がしっくりくる」とおっしゃっていたじゃないですか。そこから考えると大きな変化ですよね。
竹内 そうですね。1人に3000円、4000円を払うのって、決して安くないじゃないですか。2日くらいご飯食べれる額だし。(笑) それなのに自分のためにお金を出して観に来てくれるのとか、すごく嬉しいなと感じました。自分が思っている以上にたくさんのチームが一緒に動いてくれて、一緒に戦ってくれているということも今まで実感することがなかったので、改めて「自分は1人ではなにもできないんだな」と思いました。ただ、その時は満杯のキャパではできなかったので、今度は手伝ってくれたディスクガレージさんとかにもちゃんと恩返しできるくらいのキャパでやって、ちゃんと恩返しをしたいなと思っています。今はいろんな人に恩返しをしたい気持ちがすごくあります。
■以前GeGさんと制作した曲のお話を伺った時に、「大きい会場と六畳一間の2択であれば、六畳一間をイメージした音像がいい」というお話もされていましたが、ワンマンライブを経験したことによって、そういった感覚にも変化がありましたか?
竹内 そうですね。全てにおいて大きい場所のことを考えるようになったかもしれないです。「ずっと応援してくれている人たちだけじゃなくて、これから新しくファンになってもらえる人たちにもアピールしていかなきゃいけない」とも考えるようになったし。正直、これまではリリースを待ってくれているファンの人たちにまず聴いてもらって、その人が友達に聴かせてくれるのが一番早いんじゃないかなと思っていたんですよ。でも浅はかでしたね……。(笑) やっぱり曲の力もすごく大事ですけど、プロモーション活動を一緒に頑張ってくれるチームも大事なんだなと最近すごく感じています。それで言うと“絆”はすごく良い曲だと思っていて、ファンの人たちの反応も良かったし、竹内唯人を全然知らない人たちにまで届いているなと感じられました。もっともっと頑張りたいですね。
■レコーディングの時の心構えにも変化はありましたか?
竹内 “Fly”の時は、新しいチームでの一発目の曲だったので緊張したんですけど、意外とスラスラとできて。あまり時間はかからなかったんですよね。
■“Fly”と”絆”が出来上がって、ライブでの光景も思い浮かべたりもしますか?
竹内 “Fly”はぜひライブの一発目に歌いたいですね。僕はモチベーションを上げるために清水翔太さんとか、ONE OK ROCKのライブ映像を観ることがあるんですけど、清水翔太さんの日本武道館でのライブは、ちょうど“FLY”っていう曲から始まるんですよね。それがすごく良くて、その曲と自分の“Fly”の曲の雰囲気が少し似ているので、自分ももし大きい舞台に立ったら“Fly”を最初に歌いたいなと思います。“絆”はトラックなしで、ピアノの伴奏のみで歌ってみたいなと。バラードって、トラックに縛られずに自分のペースで歌う方が歌いやすいじゃないですか。ゆっくり一文字一文字、気持ちを込めて歌いたいです。
■“絆”の中で気に入っている歌詞はありますか?
竹内 大サビ前の「先が見えなくなっても 未来が怖くても 少しずつで良い 一緒に歩こう 今この瞬間 目の前にいる僕が 君がそれが世界なんだ」のフレーズがすごく好きです。最後のサビに向けて気持ちも歌声もあがっていく感じが好きで。レコーディングの時もすごく胸が苦しくなるような歌い方をしたんですけど、それが難しかったですね。でもすごく気に入っている部分です。