『2024 TEMPEST CONCERT [T-OUR : TEMPEST Voyage] in JAPAN』ライブレポート@Zepp DiverCity

完璧主義なパフォーマンスと輝く笑顔で魅せる東京の夜。

12月の冷たい風から隔離され、開演時間を迎え照明が落ちた会場。TEMPESTが12月15日(日)、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で『2024 TEMPEST CONCERT [T-OUR : TEMPEST Voyage] in JAPAN』東京公演を行った。スクリーンに刹那的な映像が映し出される中、脈動するリズムが熱を高めていく。観客たちが息を呑んで見つめる中、爆発する銀河を背負ってTEMPESTのメンバーがステージへと姿を現した。TEMPESTは2022年にデビューした韓国発の6人組グローバルグループ。2024年4月にはミニアルバム『BANG!』で日本デビュー、日本オリジナル曲“Baddest Behavior”を発表した。彼らの来日公演が行われるのは約1年振りとなり、開催発表の際には6人が日本語でコメントを贈る動画も公開。ライブに先立って12月11日(水)にはJAPAN 2ndミニアルバム『BUBBLE GUM』もリリースされ、ライブへの期待を高めていた。

逆光の中から現れた6人はシックな黒い衣装を身に纏い、“Baddest Behavior”でビートに乗ってステージを強く踏みしめる。背景映像を駆使した華やかな演出が駆使されたこの日の公演。“Dragon(飛上)”では燃え盛る炎の前で静と動を演じ、クラシカルな時計を背にした“Young & Wild”は6人が腕を絡め合い、指先で柔らかにステージへ触れる。ロゴマークの入った旗を掲げて情熱あふれる3曲を終えたTEMPESTは、ここで頬を綻ばせ、東京のiE(TEMPESTのファンの総称)へ挨拶。完璧主義なパフォーマンスとは対照的に喋る時には緊張感が解け、終始和やかな雰囲気だ。MCはほとんど日本語で行われ、特に日本語が堪能なヒョンソプがメンバーのコメントを通訳する場面もあった。

続いて6人は「次のステージも一緒に楽しんでくれますよね?!」の言葉とともに、テレの低い声が空気を震わせる“BANG!”、夜景の中を駆け抜けて行く“Vroom Vroom”をドロップ。あまりの熱量に、歌い終えれば「暑い暑い」、「暑すぎて夏になった気がします」と汗を拭う。ヒョクに「(先ほどのパフォーマンスが)すごくカッコよかった」と褒められて喜ぶテレは、ウンチャンからも称賛の声を求めるが、ウンチャンは話を振られると思っていなかったようで、その戸惑いの様子と「可愛かったよ」、「カッコよくしたんだけど?」のやりとりが観客の笑いを誘う。ここでiEの歓声に呼ばれたLEWがひとり、白衣の裾を翻して“Dr. Frankenstein”をパフォーマンス。そのまま“MANIAC:Freaky Lab”に流れ込むと、鎖に繋がれて登場した6人が拘束から解放されて鋭く躍動する。この2曲はコンペティション番組『ROAD TO KINGDOM : ACE OF ACE』で披露されたもので、LEWいわく「このコンサートのために新しいヴァージョンを作った」とのことだった。

短いトークを終えると、赤いリボンで結ばれたハンビンとヒョクが指や視線を絡ませ合い、壮大な風景の中で“Rise”を歌う。リボンは時にふたりを支え、時に歩みを引き止めて、音楽の世界観を深めて行く。ラストでステージへ倒れ込んだふたりのもとへ降り注ぐのは、“LIGHTHOUSE”のイントロだ。歓声の中に肩を並べる6人は輝く海を背に重力から解き放たれ、指先から飛沫が上がるように錯覚させる。その爽やかさから一変、“EYE OF THE TEMPEST”では、ウサギやトランプが舞うゴシックな景色の中、重厚なサウンドを激しく表現。立て続けに披露した“Can’t Stop Shining”は、柔らかなスカーフがひらめき、ハンビンのチャーミングな仕草に魅了されれば、ふとひとり離れて立つウンチャンの佇まいに見惚れる。

ここからはハンビンが「一生懸命準備した」と語る、お楽しみのカバーステージへ。1曲目に選ばれたのは嵐の名曲“ONE LOVE”だ。日本で待つiEのための選曲ということで、メンバーの笑顔もひときわ輝く。カバー2曲目はなにわ男子の“初心LOVE”。曲のキメどころとなる「ねぇ、今もだよ」のセリフはテレが甘く囁き、大歓声が沸き起こった。転換を挟み、白い衣装に着替えたTEMPESTは、リリースされたばかりの新曲“Bubble Gum”で再登場。鏡写しをイメージしたユニークな振り付けや細やかな足さばきで、6人はまた新しい表情を見せる。コール&レスポンスを楽しみながらの“DIVE”でステージはマリンブルーに染まり、青い海の底から浮上する泡、そして泳ぐような振付が相まって、会場がゆっくり落下していく感覚を与えた。パフォーマンスはそのまま“Taste The Feeling”に流れ込み、メンバーは頬をつつき合ったり、手を取り合ったり、背中に乗ったりとおどけて笑う。

次の曲“Slow Motion”は、LEWがこの日のために振付を考案したそう。撮影現場をイメージしたパフォーマンスではガンマイクが掲げられ、カチンコを鳴らしたり、採寸をしたりとせわしなく動き回る6人。台本を投げ捨てて踊り始めれば、縦横のフォーメーションをめまぐるしく変化させながら、爪先を柔らかにステージへ滑らせる。ここからは、間もなく訪れる聖夜に向けて少し早いスペシャルステージがスタート。可愛らしいカチューシャをつけた6人は、燃える暖炉の前のソファへ腰かけ、定番のクリスマスソング“Last Christmas”を歌う。続く“Raise Me Up”にもクリスマス仕様のリミックスが施され、メンバーはクリスマスツリーに飾り付けをしながらマイクを取る。ラストにはヒョクのハイトーンが鈴の音をかき消すほど高らかに響いた。「時間が過ぎるのは本当に早いですね」との言葉の通り、ライブはあっという間にラストスパートへ。サイケデリックな照明が煌めく中、新体操のリボンやスケートボード、スカーフのジャグリングで魅せる“Bad News”、サーカス小屋とネオン看板を背景にした“Freak Show”のファンキーなダンスで一気に畳みかけて、TEMPESTはステージを後にする。

アンコールではラフなファッションに着替え、iEの顔を見渡しながら日本語のバラード“Broken Record”を噛み締めるように歌う6人。それぞれが歌声を響かせるこの曲は、コーラス部分でペンライトが揺れる光景を想いながら作られたのだという。ここでTEMPESTがiEへ向けてひとりひとりメッセージを贈る。2公演のJAPANツアーを終えて6人が語るのは、海を越えて応援するiEへの愛と感謝の言葉だった。ハンビンは手紙も用意して、日本語で想いを伝える。2曲目のアンコール“Dangerous”を終えても興奮冷めやらぬ会場に、6人は歓声を受けながら“Bubble Gum”と“Bad News”を披露。羽織っていたジャケットやカチューシャを客席へ投げ、全てを出し切って『T-OUR』のフィナーレを飾った。「今日のコンサートは終わりますが、TEMPESTの歩みは止まりません。来年必ず、みなさんに会いに戻ってきます!」約束の言葉を残し、「メリークリスマス!」、「あけおめ、ことよろ!」と気の早い挨拶でiEを笑わせながらステージを去って行った6人。耽美で華麗なパフォーマンスと耳に心地よい楽曲の数々、それを歌う魅力あふれるメンバーが巻き起こす「大嵐」は、まだ始まったばかりだ。

Text:安藤さやか

『2024 TEMPEST CONCERT [T-OUR : TEMPEST Voyage] in JAPAN』Zepp DiverCity セットリスト
01.Baddest Behavior
02.Dragon(飛上)
03.Young & Wild
04.BANG!
05.Vroom Vroom
06.Dr. Frankenstein + MANIAC:Freaky Lab
07.Rise + LIGHTHOUSE -Japanese ver.-
08.EYE OF THE TEMPEST + Can’t Stop Shining
09.ONE LOVE(嵐) + 初心LOVE(なにわ男子)
10.Bubble Gum
11.DIVE
12.Taste The Feeling
13.Slow Motion -Japanese ver.-
14.Last Christmas(Backstreet Boys)
15.Raise Me Up(Christmas Remix ver.)
16.Bad News
17.Freak Show

ENCORE
01.Broken Record
02.Dangerous

W ENCORE
01.Bubble Gum
02.Bad News