■ちなみにUさん、この「X!Y!π!」は、なんで最後が「π」だったんですか?
U それは……いろいろと理由があって言えないんですが。(笑) KAIが「πは3.14159……とずっと続いていくので、恋がずっと続いていくってことですよね?」と、すごくピュアなまっすぐな目で言ってくれたので、「キミだけだ!わかってくれるのは……」って。(笑)
■なるほど。(笑) あと、最後の音はたて笛ですか?
U あれはKAIが吹いています。元々は口笛でやっていたんですけど、レコーディングで録ってみたら、息が入っちゃってボソボソと聴こえてしまったので、「どうしよっか?」と言っていたら、KAIが「家にリコーダーがあります」と言ってくれて。
KAI 家でリコーダーを吹いて、それを録音して送りました。
U そうしたらめっちゃ音が外れていて……。でも面白いからそのまま使いました。(笑)
■めっちゃインパクトがありました。(笑) そして3曲目の“ラブコメディ”ですが、こちらもまた絶妙な感じのゆるさが最高ですよね。この曲もUさんが作詞・作曲でしたが、この曲ができた背景は?
U 僕らも健全な男子5人組なので、「素で言うと、こうです!」と、書いていいものかどうか……。(笑) なんか「男の子ってこんなもんだよ!」ってね。(笑) まぁ平成感で言うと、“MajiでKoiする5秒前”という曲もありましたが、恋に落ちていく3秒前を描いてみました。この曲は、あのサビのフレーズから出てきたので、それを辿っていって、本当は下心がある男子の隠さない気持ちを書きました。でもちょっとカッコつけたくて、「地元では一途と言われているから」みたいなことも盛り込んで。(笑) KAIの世代はこういうことは言わないの?
KAI 僕らはそういうのは使わないですね。(笑)
U やっぱりそうなのか……。きっと平成世代の落とし文句ですよね。(笑) それをあるあるで詰め込んでみました。
■続いては6曲目の“ラベンダー”ですが、この曲は作詞がKAIさんで、作曲がUさんでしたが、曲と詞はどっちが先だったんですか?
U これは曲が先で、曲が出来て、それをKAIに渡して作詞してもらいました。
■KAIさんは、この曲はどんなイメージで作詞をされたんでしょうか?
KAI この曲は“ラベンダー”という曲名なんですが、“Happy Ender”にかけて、「Love Ender(ラブエンダー)」ということで、Uさんが曲と一緒にタイトルも持ってきてくれたんです。
■それで“ラベンダー”なんですね!なるほど。
KAI この曲は女の子の失恋の曲なんですけど、歌詞の中では強がっている部分が多くて、強がっている方が、素直に寂しいとか、悲しいと言うよりも切なさが出るかなと思って。「Love Ender(ラブエンダー)」という言葉をもらっていたので、1番の歌詞では「枯れてく私はラベンダー」というのを入れていて、ラベンダーは枯れていく時に色を残したまま枯れていくんです。それが、あなたを残したまま、あなたのことを好きな気持ちが抜け切らないまま枯れていってしまうという恋心を表していて。2番では「綺麗に飾られたカレンダー」となっているんですけど、それは、本当はあなたとの予定で埋まっていくはずだったカレンダーが、真っ白なキレイな状態のままだという対比というか、ギャップを表していて。その後のサビでグッと苦しくさせるような歌詞にしました。
■そんな愛の終わり「ラブエンダー」が、描かれているんですね。
U 本当に最上級の終わりを描いてくれました。「もう絶対に戻れない」というね……。でもこの歌詞の中の男の人は、「ごめんね」と先に言ったりとか、すごくいい人だからこそ本当に戻れないんだろうなというのがわかるし、最後の「好きでした」という言葉も、本当は言わなくてもいいけど、男心としてはそれもちょっとわかるというか……。そう言って突き放している感じが見え隠れする歌詞なので、すごく切なくなりますね。
KAI この曲は女の子の気持ちを書いているんですけど、男側からしても、こう見られたいなというか、ちょっとカッコよく見られたいという男心というか、願望も入れています。
■そして7曲目の“1分の1のラブソング”ですが、この曲が一番今までのTHE BEAT GARDENらしい楽曲ですよね。歌詞の「僕のはじめての最後のひと」という表現が、すごく印象深い素敵なラブソングでした。
U それをメンバーの誰かから言ってほしかったんだけどな……。(笑)
怜 それを自分で言っちゃったら意味ないじゃないですか。(笑)
U でも今言ってもらったみたいに、メロディは僕もすごく今までのTHE BEAT GARDENっぽいなと思っていて。過去の曲ですけど、“君は知らない”とか、そういった曲に通ずるものがあるなと感じています。平成感というところで言うと、「ネットの相性占い」とかも入れていて、今でもMBTIとかもありますけど、リリックビデオに出演してくれた高校生にも、今の子たちもやるのかどうかを確認しながら歌詞を書いたんです。(笑) 今までの歌詞と違うのは、ストレートにすごく大好きだということを、比喩を使わずに伝えているところで、今までは、いつもそれを避けてきたりしていて、「好き」と言わないでどれだけ好きを伝えるかを突き詰めてやってきたんですけど、今回もついついそういう言葉を使いそうになって、「違う違う……」と、自分の中でちゃんとレーンを引いて、そっちにいかないようにして書きました。それはこの5人になったからで、今までよりも素直な5人に見えると思うんです。それに似合うようにと、ストレートに書きました。
■「かき氷って本当はさ 全部同じ味なんだって」という歌詞もいいですよね。色だけで誘導されているんですね。(笑)
U そう言いますよね。(笑) ポイントは、女の子はいちご味を食べた方が可愛く見えるんですよ!絶対に。あざとい子はそれがわかっているんですよ。でも「ブルーハワイを食べちゃうような無垢な感じの年代の恋なんだよ」と言ってほしかったんですけど、誰も言ってくれないので、自分で説明しました。(笑)
昌斗 それも自分で言っちゃったら意味ないじゃないですか。(笑)
■なるほど。(笑) 続く“フレンズ”は、作詞がTHE BEAT GARDENとなっていましたが、どのように作詞していった感じですか?みなさんでそれぞれ歌詞を書いてきて合体させたんですか?
U この曲はKAIが軸になる歌詞を書いてきてくれて、その時点で「仲間の歌なんだろうな」というのはわかったので、それをテーマにして、みんなでLINE上で歌詞を出し合って作っていきました。
■この曲には途中で学校のチャイムの音が入っていましたけど、学生時代を思い出して作った感じですか?
U よく僕らは「男子高校生みたい」と言われることもありましたし、今回はアルバムを通して、全部の曲をシングルのつもりで作りました。これが世に出た時に、どうやって一曲一曲が生きて歩いていくのかを考えて、この“フレンズ”という曲は、「卒業シーズンとか、クラス替えとかのタイミングで聴いてもらいたいよね」と、スタッフとも話していて。KAIがまだ学生というのもありますけどね。
■この曲はKAIさんが作曲で、怜さんが編曲でしたが、どんなイメージで作りましたか?
怜 この曲はKAIとコライトする時に、7割くらいのトラックを作ったんです。元々メンバーのことを歌う曲ということだったんですけど、メンバーも友達だし、もっと視野を広げて、友達の曲ということで作り始めたんです。なので、温かみみたいなものを意識しながらも、ちゃんと歌詞とメロディが際立つように、音を入れすぎないように気をつけました。チャイムの音とかはスタッフさんからのアイデアでしたけど、それを入れることによって、友達との思い出にフォーカスしたサウンドになるんじゃないかなと思いました。このサウンドを聴いただけでも、「友達のことを歌った曲なんだろうな」と思ってもらえたらいいなと思って作りました。
■そして最後は“世界線〜ラブ☆ピース〜”ですが、過去曲の“Don’t think, feel.”みたいなロックンロールな曲は久しぶりですよね。そしてハイトーンのKAIさんがいるメリットを最大限に活かした楽曲で、めっちゃカッコ良かったです!この曲もUさんが作詞・作曲ですが、どんなイメージで?
U この曲はアルバムの最後の方に出来た曲なんですけど、アルバム制作に入る前は、先ほど言っていただいたみたいに、“Happy Ender”みたいなEDRというか、ロックでカッコいい曲をやりたいというのを、メンバーたち4人からは感じていたんですけど、アルバム制作が始まって最初に出したのが、平成キャッチーな感じの“恋ってスタディ?”だったので、それでも「カッコいい!」となってくれたのには感謝だったんですけど、やっぱりめっちゃロックでカッコいい曲はやりたいよね、ということで作りました。それで、サビはデュエットにして、ツインボーカルみたいな感じで、他のメンバーたちもラップで入ってくるような曲にしました。歌詞はやっぱり平成感を出したくて、いたずらっぽく書きました。(笑)
■新メンバーのお二人は、この曲を聴いてみていかがでしたか?
KAI なんだか盛りだくさんな感じで、ライブ映えする曲だろうなと思いました。“恋ってスタディ?”とかもそうなんですけど、カッコいいノリの掛け声という感じがします。「サ・ケ・ビ・タ・イ!」のところとか、ライブハウスでやったらすごいだろうなと想像しちゃいますね。早くライブでやるのが楽しみです。
kowta2 この曲は、僕の一番の推し曲でして、まさにロックな曲だし、早くみんなで叫びたいですね。実はこの曲は僕もレコーディングに参加していて、「レッツラゴー!」とか、「いーや〜さーさー!」とかも言っているので。(笑)
U あとはAメロに入る前の左右に音が回っている「うぉーーーい!」という叫び声もkowta2です。(笑)
■kowta2さん大活躍な曲ですね!(笑)
U トラックダウンの時に、「kowta2の声をちょっと下げてください」と言ったら、kowta2が嫌な顔してました。(笑)
■確かに最後の「いーや〜さーさー!」はすごく小さくて、「誰の声なのかな……?」と気になっていました。(笑) 今作のアルバムリリースに次いで、全国ライブハウスツアー「OVER,ANDER,AROUND」の開催も発表されましたが、今回のツアータイトルに込めた想いは?
U 「超えて、その側に」という意味なんですけど、この5人体制になって、ファンのみんなからすると「これからきっと新しいところを目指していくんだろうな」と思っていると思うんですが、「今までの3人体制の頃を超える」という表現が合っているかわからないですけど、それと地続きではあるんですが、それを超えるつもりでやりますし、「それでもあなたの側にいます」というメッセージも込めています。
■ツアーに向けての意気込みをそれぞれ聞かせてください。
怜 今ちょうどリリースイベントのフリーライブもやっていて、新曲たちを引っ提げて全国を回らせていただいているんですけど、アルバムをリリースできるタイミングってなかなかないので、すごく一曲一曲大事にしたものをライブで披露させてもらっています。そんな中でも、“恋ってスタディ?”とかを聴いて、「なんか面白い歌を歌っているお兄ちゃんたちだな」みたいな感じで、新しく興味を持ってくれる人たちがたくさんいるので、ちょっとでも気になってくれた人たちが、今回のツアーにも遊びに来てくれたら嬉しいなと思います。また、Instagramを始めとしたSNSでも、メンバーそれぞれがいろいろと発信していて、僕はラップとかも披露しているので、個人個人の色も感じてもらえたら嬉しいです。
昌斗 今回のツアーで、僕がずっと遊びに行っていた横浜BayHallでライブができるのも嬉しいですし、今作アルバムの楽曲が出来上がってみて、今までにあった曲たちのちょうど間みたいな曲がたくさん増えたので、もうセットリストを組んでみたんですけど、すごくバランスが良いので、実際にライブをやってみてどうなるのか、今からワクワクしています。みんながいてこそライブは完成するので、それを想像しながら作ってきたので、どういう画になってくれるのかすごく楽しみにしています。
kowta2 この5人でライブハウスでのライブは初めてなので、すごく楽しみです。それに僕とKAI二人でのライブもいろいろとやってきたので、きっとそれで成長もしていると思うし、ただでさえこの3人とは十年以上の経験の差があるので、頑張りたいです。僕はMCが苦手なので、それもこのツアーを通して克服したいです。前回のツアーではまだサポートだったので、話す機会がなかったんですが、今回は気合いれて喋ります!(笑)
KAI 僕は前回のワンマンライブ「Authentic」が出来なくて、悔しかった気持ちがずっと残っていたので、それを今回のアルバムのツアーで、全国いろいろなところでライブが出来てリベンジできるのが嬉しいです。新しく入ったという気持ちはだいぶ馴染んできたところはありますけど、僕が入ってから新しくファンになってくれた方や、今回のリリースイベントで新しく知ってくれた方たちと一緒に、これからもっともっと盛り上げていけたらいいなと思います。ぜひお待ちしております!
U 今回のツアーで行くところは、新しい地域もありますし、新しい会場もありますし、規模も大きくなっているので、それは本当にみなさんのおかげだと思っています。ありがとうございます。ここからはTHE BEAT GARDENがSNSなどで、「何かをきっかけにバズるかもしれない」ということを続けていきたいと思っていますし、ありがたいことにドラマのタイアップなどもたくさんいただけているので、これからも頑張っていくんですけど、僕は近い未来で、THE BEAT GARDENがもっと世に知られる瞬間が来る予感がしているし、今作のアルバムも絶対にそういった作品になったと思っているので、時間がどれだけかかるかわからないですが、今回のライブハウスツアーも、遠い未来からしたら、「あの規模でTHE BEAT GARDENのライブを見れていたなんてスゲーな!」と言われるくらいのライブにしたいと思っています。今のリリースイベントのフリーライブでは、途中おちゃらけてやったりもしていて、それも等身大なんですけど、今回のツアーでは、みなさんにちゃんと驚いてもらえるように準備していきたいと思います。あとはメンバーそれぞれにフォーカスした見せ場も作りますので、みなさんの推しメンバーを応援しやすいと思います。まさに推し活ツアーです。(笑) よろしくお願いします!
Interview & Text:土谷拓史
PROFILE
作詞・作曲を自ら行うグループ。2016年7月に1st single『Never End』で UNIVERSAL SIGMAよりメジャーデビュー。2021年8月にリリースした3rd album『余光』は、Billboard JAPAN週間アルバムセールスチャート“Top Albums Sales”にて、自己最高位となる3位を記録した。2022年8月には、テレビ朝日系ドラマ「六本木クラス」の挿入歌『Start Over』をリリースし、配信チャート23冠を獲得。現在までに『Start Over』の総ストリーミング数は1億回を記録している。2024年2月には、福士蒼汰さん主演ABCテレビ・テレビ朝日系列ドラマ「アイのない恋人たち」の主題歌となる『present』をリリース。4月には、自身最大規模のZepp DiverCityTOKYOで単独公演を開催し、満員御礼で完売公演となった。同年7月9日に最新曲『わたし』を配信リリース。桜田ひよりさん主演カンテレ・フジテレビ系火ドラ★イレブン「あの子の子ども」主題歌を担当。2025年に新メンバーを追加することを発表。これまでサポートメンバーとして活動していた kowta2が正式メンバーとなり、また新たにヴォーカルKAIを迎え入れ、今年3月26日には、新体制1枚目となるシングル『Happy Ender』をリリース。8月27日には、新体制として初のアルバム『MADE IN DAMAGE』をリリース。9月6日からは、全国ツアー『THE BEAT GARDEN one man live tour 2025「OVER,ANDER,AROUND」』を開催する。
https://thebeatgarden.com/
RELEASE
『MADE IN DAMAGE』

初回生産限定盤(CD+DVD)
UMCK-7278
¥7,480(tax in)

通常盤(CD)
UMCK-1779
¥3,300(tax in)
UNIVERSAL SIGMA
8月27日 ON SALE
LIVE
『THE BEAT GARDEN one man live tour 2025「OVER,ANDER,AROUND」』
9月6日(土)神奈川・横浜BayHall
9月13日(土)熊本・B.9 V2
9月14日(日)福岡・DRUM Be-1
9月27日(土)宮城・仙台MACANA
9月28日(日)福島・郡山 Hip Shot Japan
10月4日(土)埼玉・HEAVEN’SROCKさいたま新都心
10月18日(土)香川・高松DIME
10月19日(日)岡山・岡山YEBISU YA PRO
11月2日(日)長野・長野ライブハウスJ
11月22日(土)滋賀・U☆STONE
11月23日(日)愛知・Electric Lady Land
12月6日(土)大阪・BIGCAT
https://thebeatgarden.com/over_ander_around/