「SATORUがグループに残した優しさを感じてる」新体制初リリース&ライブに向けた過去と未来への思い
2021年8月より3人体制になったTHE BEAT GARDENが新体制になってから初のシングル『ROMANCE』を11月29日にリリース。4人最後のライブの日から、ファンクラブ設立やYouTubeでの発信の強化など、様々な動きを見せてきた彼ら。今の3人のモチベーションにある4人時代のこと、そして新たに前に進むためのサポートDJにkowta2を選んだ理由や、これからに向けての意気込みなど、最近の彼らの思いについて、U、REI、MASATOの3人にたっぷりと話を聞いた。コロナ禍を経て、そしてSATORUの卒業を経て、変化を求める姿勢と変わらないものを守り続ける意思が浮き彫りになった。
■3人体制になって数カ月経ちましたが、変わったことや3人になって改めて思うことはありますか?
REI 今回のリリースもそうですし、ツアーもそうですけど、ここまでの流れはSATORUさんも含めたチームで決めていたことではあったので、今はこれまで培ってきたものは何も変わらずに頑張っていきたいという思いですね。
MASATO SATORUとは同級生だったので、活動中もクラスメイトに近いような感覚でいたんですけど、本当に学校を卒業したみたいな感じです。寂しさはもちろんあって、でもこの状況を飲み込まないといけないっていう感覚。僕にとってもグループにとっても、彼のポジションは抜けてみて大きかったなって分かる部分も沢山あって。彼がいた4人がTHE BEAT GARDENだったし、でも今は3人でTHE BEAT GARDENだし。そのプラスワンを補うことに今は頑張ろうとはしてないですね。3人でできるTHE BEAT GARDENっていうのを楽しみにしながら、グループとしての活動を頑張っていこうという感じです。
U SATORUって元気で大雑把に見えがちなんですけど、4人でいる時は一番言いたいことを言えない子だったんですよ。言えないのか、わざと言わないのかは分かんないんですけど、いつもすごく言葉を丸くして優しく話をしてくれていたので。だからこそ、分かりづらい時もあったんですけど、本当に彼からトゲトゲしたものを感じたことがなくて。僕ら3人は、元々ソロでやろうと思っていた時に友達になって、一緒に音楽をやろうっていう順序でこのグループを組んでいるので、お互いに意見が合わなかったらみんな中々折れなかったし、SATORUがメンバーになる前はすごく喧嘩もしていたんです。それで今回、形としてはその時と同じ3人に戻る。SATORU加入前の感じに戻るのかなって思うところもあったんですけど、SATORUがやっていた優しく話を伝えるっていうのが今でも不思議とみんなの中で続いていて。みんな大人になったっていうのもあると思うんですけど、話す時に2人からの優しさをとても感じるんです。SATORUが何年一緒にいても気遣い続けていた、いい意味での名残が今でもTHE BEAT GARDENに残っているんです。あいつのおかげで、みんな意見は言うけど優しく伝えられるハイブリッドになりました。そういうのあるよね?
MASATO うん。すごく分かる。
■4人での最後のライブはいかがでしたか?
U 1曲1曲に対していろいろと感じる1日でした。“エピソード”っていう曲をやる前に、SATORUに前に出てきてもらってMCをしてもらったんです。僕がいつも一番泣くんですけど、その時にMASATOがもう泣いているのが見えて。REIは斜め上をまっすぐ見つめていたから大丈夫だって思ったんですけど、歌い始めたらREIも泣きそうになって、歌に詰まるところもあったり。それだけさらけ出していたというか、本音で向き合ってきたからこその4人の一番の本音が出たというか。ツアー中はやっぱり、「この後があるから走り切らないと」みたいなところがあったんですけど、走り切った最後の日、この4人では最後の“エピソード”だったので。
■MASATOさんはどうでしたか?
MASATO SATORUが最後のライブだということで、すごく意気込んで臨みましたね。SATORUが「音楽やっていてよかった」って、なんなら「やっぱり辞めないです」って思うくらい楽しかったって思って欲しかった。ツアーを成功させるっていう意味の意気込みもあったんですけど、心のどこかでは「SATORUと楽しくライブが出来れば、別に成功に終わらなくてもいいかな」って思えたツアーだったんです。“エピソード”は僕が作曲したんですけど、それまでは4人の歌がなかったんです。それをUさんが書いてくれた時、僕はすごく嬉しくて。その曲を4人でドームで歌うのが夢ではあったんですけど、それが叶わない悲しさというよりも、こんなに大事な曲になったという嬉しさの方がすごく強かったです。あれは嬉し泣きでした。
REI 本当にこの日を終えると「4人のTHE BEAT GARDENじゃなくなるんだ」って思って、前日の晩から当日のことをすごく考えていて。でもMASATOさんも言っていましたけど、ファイナルだから成功させなきゃいけないとかっていう気持ちはそんなになくて。いい意味でどうでもよくなっていたんですよね。SATORUさんや僕らやBeemer(ファンの総称)、みんなが心で会話できて、本音でぶつかり合えていたら、それだけで成功なんじゃないかなって思って。だからすごく大きな会場ではなかったかもしれないけど、あの瞬間に観た景色っていうのは絶対に忘れないし、本当に良い空間だったなって改めて感じます。
■アーティストっていう意味でも、成功っていう形としての目的を越えて、気持ちが伝わるのを目指すっていうのが一番大切なところでもある気がします。4人での最後のライブの日、SATORUさんは明るくステージを去っていきましたが、あの後の楽屋ではどうだったんですか?
U 楽屋でも彼は達成感に満ち溢れていて。元々音楽をやっていなかった彼が、これまでの期間僕らと一緒に走ってきて、自分がTHE BEAT GARDENの後ろでDJとして居られる意味みたいなのをたくさん探し歩いて、あの日に辿り着いたと思うんです。だから、それを最後までやり遂げたんだっていう感じがありました。
■ライブはBeemerからの反響も大きかったと思います。
U めちゃめちゃ届きましたね。ビートの中でもSATORUが一番に好きだった子たちがライブのことを言い続けてくれたりしていて、すごいありがたいことだなと思います。友達のSATORUをこんなにアーティストとして好きになってくれて、人として愛してくれたっていう。ライブも特別な空気感があったんですけど、それがいい意味で今はプレッシャーになっていて。あのライブは越えていきたいので、今はその気持ちですごい頑張れます。
■そのライブを経て新体制になり、ファンクラブを設立されましたね。前から考えていたことだったんですか?
U 一昨年の夏くらいから話は出ていて、本当は去年できる予定だったんです。でもコロナ禍があったり、SATORUのこともあったので、まずはちゃんとSATORUの卒業までみんなで走っていきたいって思って、このタイミングになりました。
■Beemerもすごく喜んだんじゃないですか?
MASATO めちゃくちゃ喜んでくれましたね。デビューから5年経っているので、もうファンクラブがあってもおかしくなかったですし、僕たちも待望でした。
■Twitterに投稿されていた予告動画がすごい面白くて。MASATOさんの歯科検診の真似が上手い!(笑)
U あれすごいですよね。(笑) 僕がMASATOに歯医者を紹介したんですけど、そこの歯医者さんがすごい上手い先生なんです。それで、僕がその歯医者に行くと先生が、「MASATO君が施術後に毎回、毎回、すごく感想を伝えてくれるんだよね」って言っていて。毎回「素晴らしい!」って褒めちぎっているみたいで。(笑) ちょうどそれと同じ時期に、あの動画の打ち合わせがあったんです。
MASATO めちゃくちゃ素晴らしいんですよ!あの歯医者さん。
U 歯医者の感想は聞いてないから。(笑)
■(笑) ファンクラブができた一方で、最近はYouTubeのShortsも積極的に投稿していますよね。外にもこまめに発信しようっていう動きなんですか?
U “遠距離恋愛”っていう曲があって、ノンタイアップの曲なんですけど、日に日にYouTubeの再生数が伸びていて。コメント欄にBeemerじゃない人たちが遠距離恋愛の経験談を書いたりしているんですよ。そういうのって僕らにとって初めての経験で。自然発生的にそういう動きになったので、もっと曲を知ってもらおうと思ってShortsを始めました。ファンクラブもできたので、尚更外にも向けて発信していこうっていう考えです。
■新しいアー写なんですけど、アーティスト写真としては珍しい構図だなと思いました。「過去と未来と現在を見ているのかな?」って、勝手に思ったりもしたんですけど、なにかを表していたりするんですか?
U おお!そう言われるとそう見えてきますね。(笑) これは参考にした写真があって、西海岸系の外国人の方が撮っているものなんですけど、すごい自然なんだけど格好いい写真があって。それは6人くらいで写っているんですけど、それぞれみんな全然違うところを向いていて、さらに一匹犬も抱かれて写っていて。だから「僕が飼っているチワワも入れたい」って言ったんですけど、それは即却下されましたね……。(笑) それをリファレンスにして、3人とも自然に動きながら撮ったアー写なんです。
■新曲“ROMANCE”ですが、まずジャケットが目を引きますね。
U 鶴田一郎さんという作家さんが描いていて。ノエビアっていうコスメの広告を11年間担当された方なんですけど、ちょっとレトロ感もあって、洗練されていてっていうニュアンスをイメージしていたら、レーベルの方から提案してくださって。作品集の中からダメ元でお願いしてみようって言っていたら、許可が出たので、今回使わせていただきました。サブスクとかのアイコンでも目をひきますよね。
■アレンジにはESME MORIさんが参加しています。これはどういった経緯で?
REI 僕が普段から聴いているアーティストのトラックをよく作られている方で。今回のテーマとして、過去と未来の共存みたいなのを上手くトラックで表現したいと思っていたので、アーバンなトラックが得意なESMEさんにお願いしたら、いいものになるんじゃないかと思って声をかけさせていただきました。
■懐かしさもありつつ、洗練された楽曲に仕上がっていますね。
REI 「ビートの歌モノ感を大切にしつつ、トラックには新しさがあって欲しい」みたいなのは、リモートでお話しながら伝えて、細かく一緒にやらせていただいて。すごく勉強になりました。