■楽曲の話に戻りますが、私が『渚にキッス』を「アイドルソングっぽい」と感じたのは、歌詞が女性視点だからというところもあるんです。なんで女性視点にしたのでしょうか?
シンノスケ 僕の曲は女性視点の曲がめっちゃ多いんです。“さよなら涙”でも「私」と言ったりしているんですけど、男性視点の曲を男性が歌うよりも、逆の方が面白いなと思うし、それで言うと、女性アイドルの曲も男性視点の曲が多いですよね?想像しやすいのかもしれませんね。男が「僕」と言うと、もう「僕」でしかないけど、女性が「僕」と言ったり、男性が「私」と言ったりすることで、想像力が広がるのかなと思いました。
■確かにそう感じますね。ヒナさんは女性視点の曲を歌うのは得意ですか?
ヒナ 多分、得意なんですかね?(笑) でも僕自身は歌詞の視点によって歌い方を変えることはないです。マイクの前に立った時の曲のアプローチって、僕がこう思っていても、聴いている第三者とのすり合わせがあるじゃないですか。多分、僕が思う「女性」として歌っても、女性にはなっていないというか、僕の曲じゃなくなるんです。だから、特に振り分けることはなく、今後もやっていくのかなという感じです。
■そういえば、この前の東京初ワンマンライブのお客様の男女比は1:1ほどの印象でしたね。
ヒナ 確かにそうです。だいぶ昔とは変わりましたね。昔はやっぱり女の子の方が多かったイメージでしたが、最近は先輩バンドとか、僕らが高校時代に聴いていたバンドと一緒にやることが増えて、その層というか、そのお客さんが付き始めてから、ガラっと変わったような気がします。
■それもひとつ曲が増えてきたことで変わって来たところだと思います。ところで、関東出身のインタビュアーのイメージするビーチは九十九里浜だったり、東京湾だったりするのですが、曲の中の海はもっとキラキラしていました。やっぱり(ジ・エンプティの地元である)福岡の海を想像して作られているのでしょうか?
シンノスケ 捉え方はいろいろあって、全部正解だと思うんですけど、一応作っている時は、朝方とか、夕方ぐらいの、夏の一番涼しいあたりを想像していました。でも全然、疾走感とか、爽快な感じでいうと、もうめちゃくちゃ天気が良くて、日中の夏みたいなイメージでも大丈夫です。
■それがやっぱり歌詞に出るんですよ。4分間は一瞬でした。最近の曲にしたらちょっと長尺ですが、敢えてそう作られたんですか?
シンノスケ 現代のJ-POPは展開が多いものがトレンドな気がしているんです。めちゃくちゃ売れているバンドとか、アーティストさんとかも、Aメロ、Bメロ、サビという構成なんですが、僕はCメロが好きなんです。そして最後にもう1個、Dメロという新しい展開をつけるのも必要だなと思っていたので、自然と長くなっちゃったところはあります。意図的でもあり、自然にそうなったような気もします。
■ジ・エンプティの曲としては長い方ですよね?
シンノスケ 確かに長いですね。4分は長いです。3分半でも長い方かな。
■歌詞の短さに反して、曲はちょっと長くて、ちょっと不思議な長さでした。
シンノスケ でも構成はみんなでスタジオに入りながら結構変えました。最初の構成から変えて、変えて、みたいな。セクションを入れ替えて間奏をなくしたりとか、めっちゃ試行錯誤したので、これはもう完全に編曲のおかげです。
■誰のパートが一番変わりましたか?
シンノスケ 楽器的には全部変わったんですけど、やっていること自体はあんまり変わっていなくて。でも2番のBメロのところは最後の最後に遊びだして、「サンバっぽいリズムで夏を醸しだそうや」ということになりました。(笑) それはレコーディング当日に僕が言い出して、それで歌ってもらって……みたいな感じでした。
■いいセクションでした。初めて聴いた時、「ベースに暴れどころがあるな」と思ったんです。(笑)
ケンノスケ この曲はシンノスケから送られて来た時から「俺がしたいこと詰め込みまくれるいい曲だな」と思って。俺がこの地球上で最高のベースをつける自信がありました。(笑)
シンノスケ 僕は曲を作る時に、ベースも考えたり考えなかったりするんですけど、自分が考えていたベースラインがあったとして、それと結構いい勝負をすることが多かったんです。でも、今回に至っては予想を超えてきました。僕の想定していたベースラインの何十倍もいいものを作ってくれたから、「お前ようこれ作ったね!」みたいになりました。
ケンノスケ 2番のBメロのところとか、聴いた事もないリズムだったので、あんまり馴染みがないから鬼練習しています。こういうジャズみたいな曲もプライベートではよく聴いていて。なるほどな、諦めたくないなと思って、ちゃんと弾くつもりです。多分この曲は、少しぐらいは動くかも。でも結構冷静にやれるかもしれません。
■そうですよね。結構難しいですよね。ちなみにこのイントロは一瞬で、アウトロやソロがちょっと長めなのはこだわりポイントですか?
シンノスケ そうです。やっぱりそれもライブのことを想像していたら、急にバッと始まる方がいいなと思ったんです。でも間奏ではちゃんとやりたいメロディがあったので、しっかりと入れてみました。
■みなさんの“渚にキッス”のお気に入りフレーズはありますか?
ケンノスケ 「余計な言葉より 素直で寡黙がいい」という所が一番好きです。最初に歌詞を見た時から「これいいな。言ってくれてありがとう」と思いました。
ヒナ 僕はAメロがめっちゃ好きです。なんかスピッツっぽくないですか?スピッツのメロディにありそうな感じで、草野マサムネさんが降りて来そうな感じなので、この部分は何回か録り直して、「これが僕のマサムネさんだ」という歌い方で歌いました。ちょっとした裏話です。(笑)
タイキ 僕はDメロです。歌詞もいいんですけど、メロディがめっちゃ好きです。宙に浮きそうな感じのメロディでフワフワできます。
■Dメロいいですよね!そこだけなんだか別の世界観が入って来た感じもして。
シンノスケ ここは元々、全く別の曲だったんです。このフレーズがサビの曲があって、それを改造していったらこうなったんです。最初はこのDメロは入っていなくて、でもこの曲を作るにあたって、この(元々あった)メロディを使わないと、一生このメロディを使うことがなさそうだなと思って、絶対に入れようと思いました。展開を多くしたかったので、ちょうどよかったんです。
■そんなシンノスケさんがお気に入りなのは、そこになるんですか?
シンノスケ そうですね。でもこの曲全体を通して見ると「あなたは私の夏」というところがすごく好きです。
■自分のパートで聴いてほしいところはどこですか?
ヒナ 僕はAメロを聴いてほしいですけど、曲全体が最高なので、どことは言わず、全部聴きこんでほしいです。
タイキ さっき言っていたビートを変えたところです。面白いことをしているので、しっかり聴いてください。いっぱい手を動かしているので。(笑)
シンノスケ 僕は2番でギター的にはあんまり面白いことはしていないんですが、リズム隊がすごくカッコイイから、ぜひ耳を傾けてほしいです。
ケンノスケ ベースは最初ちょっとウォーキングっぽいことしているんですが、それも結構悩んでいて。でもなんか「俺、いけるかも」と思って、弾いてみたらカッコイイものができました。悩んでいた時間を打破できたなと思いました。
■この曲を聴いた時、リードベース、ベースギターの曲なのかな?と思ったんです。ベースが目立ちますよね。
ケンノスケ もちろん目立とうと思ってやっちゃうからなぁ。(笑)
■サウンドバランスはどう考えているんですか?
ケンノスケ さっきはふざけたんですけど、サウンドバランスはちゃんと考えてやっています。ちゃんと考えた上で、「ここはいけそうだな」という時や、「ここぞ!」という時は前に出るようにしています。
■普通はボーカルが目立ちたがりなことが多いですが。(笑)
ヒナ どうなんでしょうね。(笑) もともとジ・エンプティはボーカルを探していたバンドだったので、僕は後ろから支えています。
■こうしてお話をしていると、このバンドはドラマーが一番大人しいのかな?と感じます。
シンノスケ いや、でも本当は一番目立ちたい人じゃない?実は一番カッコつけているんですよ。(笑)
ケンノスケ 今日は恥ずかしがって喋らんだけです。(笑)
タイキ (笑)
■シンノスケさんはどうですか?
シンノスケ 僕は目立ちたがりなのかなぁ……?でも中学校では指揮者をしたり、高校では応援団にも入っていたので、目立ちたがりかもしれません。(笑) ただ、音楽ではあんまりギターヒーローみたいなものに憧れてギターを始めたわけじゃないので、ライブとかでギターソロが始まる前に、「ギター!シンノスケ!」みたいな感じで言われると、逆に恥ずかしくて……。頑張って弾くんですけど、ミスるんですよね。(笑)
ヒナ あれ、恥ずかしかったの?!(笑) 確かに振った時に限って全然前に出て来ない時があるよね。
シンノスケ なんかもう恥ずかしいんですよ、ギターソロが。長岡亮介さんが好きでギターを始めたんですが、ちょこちょこっとやって「聴いた?今の」みたいな感じのギターが好きなんです。だから、もうちょびっとでいいんですよ、ギターに関しては。
■そんな感じでジ・エンプティをやっているのも不思議な感じですね。(笑) それではみなさん、夏曲にちなんで、今年の夏に楽しみにしていることはなんですか?
シンノスケ 「(初出演の)京都大作戦」ですね。
ケンノスケ 伝説が生まれやすい場所ですよね。やっぱり記憶に残るし。バンドとしてはやっぱりそれかな。
■そうですよね。大きいフェスですよね。プライベートでは?
シンノスケ この曲のリリースがめっちゃ楽しみです!
ケンノスケ 夏に友達の子供が生まれるんですよ。それが楽しみです。
ヒナ 今年は海に行きたいと思っています。タイミングが合わず去年は行けなかったので。今年はちょっと綺麗な海ではっちゃけたいなと。(笑)
タイキ 僕はバーベキューかな。キャンプとか、海とかも。パーティー系は全部やりたいです。
■それでは最後に、匂わせる範囲でいいので、今年ファンのみなさまに楽しみにしていてほしいことを教えてください。
シンノスケ きっと曲はいっぱい出ます!
ケンノスケ 匂わせか~。勝手になんか言っておいて、有言実行するのもいいかもしれませんね。紅白に出る予定は特に無いけど、「大晦日を楽しみにしていてください」みたいな。(笑)
シンノスケ 「ゲリラライブをやります!」って言っちゃう?!
ケンノスケ それ言っちゃおうか!
■言っちゃったらゲリラじゃなくなっちゃいますよね。(笑)
ヒナ 期待していてほしいことといえば、今年もライブがたくさんあると思うので、いろんな場所でみんなと会えたらいいなと思っています!
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
福岡県久留米発、4 人組青春ロックバンド。メンバーは、ハルモトヒナ (Vo)、トクナガシンノスケ (Gt)、クガケンノスケ (Ba)、カワカミタイキ (Dr)。2019年に中学の友達同士で結成し、福岡県久留米市を拠点に精力的に活動を行っている。2022年に1stシングル「テイクミーアウト」、2ndシングル「青春」をリリース。2023年12月に「神様からの贈物 e.p.」をリリースし、東名阪福でリリースツアーを敢行。2024年4月に配信シングル「ウルトラロマンティック」をリリース。10月に2nd EP「革命 e.p.」をリリースし、全国12ヶ所にて「革命ツアー2024」を敢行。2025年5月に配信シングル「輝き」をリリースし、東名阪福で「シャイニングツアー2025」を開催。8月にEP「覚醒少女 e.p.」をリリースし、全国21ヶ所にて「覚醒少女ツアー2025」を開催した。2026年2月1日に福岡BEAT STATIONにて、単独公演 「FROM WEST POINT」を開催。3月に配信シングル「桜ハナビラ」をリリースし、東名阪福で「SAKURA TOUR 2026」を敢行。7月8日には自身初のサマーソング「渚にキッス」をリリース。ありのままを綴ったまっすぐな歌詞と、圧倒的なライブパフォーマンスで未来を明るく照らし出してくれる。若者たちの心を掴む、新世代の青春応援歌。
https://the-empty.com/
RELEASE
『渚にキッス』

配信デシタルリリース
https://theempty.lnk.to/nagisaniKISS
No Big Deal Records
7月8日 ON SALE
LIVE
ジ・エンプティ × Brown Basket
『UNDER GRAPH TOUR』
・7月20日(月) 福岡 久留米ウエポン ※2MAN公演
・7月21日(火) 広島 尾道B×B w/kobore
・7月27日(月) 東京 高田馬場CLUB PHASE w/THE FOREVER YOUNG
・8月5日(水) 愛知 上前津Club Zion w/カライドスコープ
・8月6日(木) 京都 京都MUSE w/HERO COMPLEX






