w-inds. VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

w-inds.『Get Down』

■それがプレッシャーになったりはしないんですか?

橘 ありますよ。もっといい曲作んなきゃっていうのが、プレッシャーになったりはするんですけど、それぐらいのほうがいいんですよ。自分で自分の首を絞めている感じが。越えなくてもいいと思っていたら、いまの知識や、いまの機材や、いまの環境でずっと作るけど、もっとよくするためにはどうしたらいいかって考えたら、いろんなことを調べたり、人に聞いたり、海外のトラックメーカーがどういう機材を使っているかを調べたりしますからね。そういうのを調べて、自分で試して、その繰り返しです。曲を作ったあとは1ヵ月間くらいそのトレーニング期間になるんですよ。いろんなものを買って、機材も全部新しくして、前よりいい音にするにはどうしたらいいかを調べて、よくなったら制作に入る。その繰り返しです。そんなことやっていたら、とうとう家の電源まで改造するようになっちゃって。(笑) 踏み入ってはいけない領域までいってしまいました。

■こだわりが増えていく感じなんでしょうかね…?

橘 あんまり好きじゃないんですけどね、もので変わるのって。いちばんはセンスだと思うので。でもセンスではどうにもならない歌の音質とか、そういうのは絶対にあるので。自分の曲と、海外のグラミー賞を取っている人たちの音質を比べると、もう雲泥の差で。この環境じゃもう無理だってなるので、テクニックだけではない部分を一生懸命調べて……。

緒方 電源でカバーするわけだ。

橘 そう。(笑)

■それでいい音が出せるなら試してみたいですよね。

橘 そうなんですよ!やりたいんですよ、それで解決できるのであれば。

■そういう慶太さんの姿、お2人にはどう映っているんでしょうか?

千葉 慶太の自宅でレコーディングしているんですけど、歌のレコーディングが終わっても、慶太は作業しているんですよ。その姿を見て、「これでいいのだろうか…」と。(笑)

橘 あはははは。

千葉 メインボーカルが歌って、人の歌まで録って、録った音を編集して……他の大人たちはこれでいいのだろうか?と。「慶太、あとは俺たちに任せてくれ!」ぐらいのことは言えないのかと。それでも慶太がやりたいって言うなら仕方ないですけどね…。

■慶太さんはどうなんですか?

橘 いや、僕はやりたくないですね…。

■あはははは。やりたい人なんだと思っていました。(笑)

 全然!歌まで録ったりしたくないですもん。でも結局面倒くさいじゃないですか。誰かにお願いして、年上の人だったら年下の俺が意見したらきっとムカつくんだろうとか、そういうことをいろいろ考慮したうえで、じゃあ自分でやるかって。(笑) 年上の人でもちゃんと意見が言えたり、方向性が合っていたらいいんですけど、なかなかいないんですよね。でも1回言ってほしいですね、「慶太、俺に任せろ!」と。そのあとめっちゃ意見言いますけど。(笑)

■そうなると面倒だから自分で、ってなっちゃいますよね。

橘 そうなんです。そのほうが早いんですよ。例えば出来上がってきたとき、すぐに直したい箇所が山ほどあるわけですよ。それを文章に起こすわけじゃないですか、人に伝えるっていうことは。だから自分でやったほうが早いなって。(笑)

緒方 慶太くんのセンスは慶太くんにしかないからね。

■龍一さんには慶太さんのそういう姿はどう映っていますか?

緒方 慶太くんはね、めっちゃいいですね、本当に。僕、好きなアーティストの新譜を聴くのがすごく好きなんですよ。新譜なんだけど、どこか聴き馴染みのある音、みたいな。そういうすごくいい曲をいつも作ってくれていると思いますよ。

橘 ワムって、ボーカルのジョージ・マイケルが曲を作っていて、それをギターのアンドリュー・リッジリーがいつも「いいね」って言ってくれていたらしいんですよ。でもジョージがソロで出すとき、その「いいね」がなくなっちゃったから、とたんに曲が作れなくなっちゃったって。いま「めっちゃいい」って言われて、僕もこの「いいね」がなくなったら曲作れなくなるかもって。(笑)

■「いいね」って大きいですよね。

橘 周りに高めてくれる人がいるっていうのは大きいですよね。僕、ブルーノ・マーズとかの曲を作っている、ステレオタイプスが好きなんですけど、その人たちのセッションって、音を爆音で鳴らしてみんなで「イェーイ!」ってずっと言ってるだけなんですよ。誰かがピアノ弾いて「イェーイ!」、ドンドンドン「イェーイ!」、で、本当にいいときは「(大きい声で)イェーイ!」で、それが採用になるんです。曲を作らない人がひとりいるんですけど、その人がジャッジで、みんなが「(大きい声で)イェーイ!」ってなったら、次にいくっていう。

緒方 ジャッジが「イェーイ!」って言わないとダメなんだ。

橘 そう。それを観たとき、あ、自分に足りないものはこれだって。(笑)

■じゃあ、次からはそのスタイルで。(笑)

橘 「イェーイ!」ジャッジはリーダーでって、全然「イェーイ」のキャラじゃないですけど…。

緒方 じゃあ俺がジャッジか。

(しばらく3人で「イェーイ!」を言い合う)

 次それやりたいですね。また違った雰囲気の曲ができそうですよね。

■楽しみにしています。

橘 がんばります、「イェーイ!」

緒方 「イェーイ!

千葉 「イェーイ!」

■最後におひとりずつ、あらためて今作の聴きどころを含め、メッセージをお願いします。

緒方 今回は慶太くんと一緒にJUNEくんとOkabeさんが作ってくれて、アーティストの方々との融合もまた新しいサウンドメイキングになったと思うので、コラボレーション的な音の鳴り方を楽しんでほしいなと思います……。(小さい声で)「イェーイ!」

橘 久しぶりのシングルでお待たせしましたという気持ちが強いんですけど、想像以上のものができたかなと。自分の頭の中にあるレベルを越えたものができたと思うので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。あ、「イェーイ!」(笑)

千葉 みなさんを盛り上げられるような、ハイになる楽曲に仕上がりました。これを聴いて素晴らしい夏にしてくれたら嬉しいです。踊りましょう。「イェーイ!」(笑)

Interview&Text:藤坂綾

PROFILE
橘 慶太、千葉 涼平、緒方 龍一からなる3人組ダンスボーカルユニット。2000年11月から毎週日曜日、代々木公園や渋谷の路上でストリートパフォーマンスを開始。口コミで瞬く間にその旋風は拡がりを見せ、デビュー直前には渋谷ホコ天に8,000人を動員。そして満を持して2001年3月14日にシングル『Forever Memories』でデビュー。同年リリースした1stアルバム『w-inds.〜1st message〜』はオリコンチャート1位を記録。これまでに日本レコード大賞 金賞7回、最優秀作品賞1回を受賞、NHK紅白歌合戦には6回出場と、実力・人気を不動のものとした。シングル作品はオリコンチャートTOP10入り記録を39作連続更新中。デビュー15周年を経て、2017年からは橘慶太によるセルフプロデュースを本格化。作詞・作曲・編曲のみならずトラックダウンやミックス作業までも手掛け、音楽性を追求するとともに制作形態も躍進を遂げている。
https://www.w-inds.tv/

RELEASE
『Get Down』

w-inds.『Get Down』

初回盤(CD+DVD)
PCCA-04808
¥1,500(tax in)

w-inds.『Get Down』

通常版(CD)
PCCA-04809
¥1,200(tax in)

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