飽くなき探求心のもと生まれた史上最強のダンスナンバー
1年4ヵ月ぶり、41枚目となるシングル『Get Down』をリリースするw-inds.。常に変化し続ける彼らの成長はとどまることを知らず、リリース毎に研ぎ澄まされていく特異なセンスには驚かされるばかり。ストイックに音を探求し、常に越えていくという勇気と自信のもと生み出された今作について、橘慶太、緒方龍一、千葉涼平の3人に話を訊いた。
■慶太さんがプロデュースされるようになってから、気持ちや意識の点で変わってきたところはありますか?
緒方 それはもう……。
橘 それはもう……。
緒方 全然違いますね。
橘 僕はまったく真逆の意見を言おうと思ったんですけど。(笑)
緒方 パフォーマンスも音楽性もその都度、その都度、少しずつ変化してきている中で、僕はいまがw-inds.の第3期のような気がしています。慶太くんは常に変化することを望んでいるし、変化することを恐れない姿勢でいつも活動しているから、変わんないって思っているのかもしれない、もしかしたら。
■あー、なるほど。 涼平さんは?
千葉 全然変わりましたね。
橘 変わった系か~!取り残された気分。(笑)
千葉 変わり過ぎて訳わかんないっていう。(笑)
■具体的に言うとどんなところが変わりましたか?
千葉 楽曲の存在が近くなった気がします。
■あ、なるほど。
千葉 人によりますけど、作家さんとそんなに接する機会ってあんまりないんですね。そういう意味で、いまはずっと一緒にやってきたメンバーがやってくれているし、音楽は自分たちの活動の中でいちばん大事な部分なので、それがメンバーから生み出されているということは、気持ちとしても、意識としても、いままでとは全然違ってきたと思います。
■では、慶太さんは?
橘 変わりましたね~。(笑)
緒方 流されてる!流されてる!流されてるよ、慶太くん。
橘 すみません。僕は本当に変わんないっていう感覚のほうが強いですね。やりたいこと、やっていることがずっと一貫してある中で、龍一くんが言ったように、新しいことにチャレンジするとか、常にそういう気持ちではいるので、そういう意味では変わらないって思っているのかもしれないですね。
緒方 むしろ変わらないことのほうが怖いというか。
橘 僕、「現状維持は退化と一緒だ」って言葉が昔から好きで、時代が変わっていく中で現状維持していると、時代と離れて退化していく。だから成長してやっと現状維持になるっていうことなんですけど、そこを越えないと成長にはならないと思っているので、常にチャレンジはしたいなと思っているんです。
■現状に満足することなく、常に変化、成長を目指していると?
橘 一瞬は満足するんですけどね、出来たときとかは達成感があるし。でもそこから足りない部分を新たに見つけたりすると、やっぱり上にいきたいなって、そういう気持ちが生まれますね。
■今作は、前作“Dirty Talk”を経て、さらにそこから進化されて、ここ最近は音楽に貪欲になっているような気がするし、それはやっぱり慶太さんが携わるようになったことが大きな要因なのかなと思ったんです。
橘 自由度が増したっていうのは大きいですよね。思ったことをカタチにできる力というのは昔よりついてきたので、そういう意味でも少しずつ個々の力はついてきたなって。
■今回はどういうサウンドを意識されたんでしょうか?
橘 いろんな楽曲を作っていたし、曲を提供してもらうのもいいんじゃないかってことで、曲を集めたりといろんなパターンがあったんですけど、久しぶりのシングルということで、ダンスというスタイルを思い切り出せる楽曲を、いまあらためてもう一度っていうところですね。トレンドである低音が強いトラップの成分と、誰にでもわかりやすいダンスミュージックを掛け合わせて作りたいなって。
■曲があがってきたときのメンバーの感想は?
緒方 飽きさせないための要素がトラックに散りばめられていて、曲の展開がおもしろいなって。もうあっという間に聴き終えちゃいました。JUNEとのつきあいはいつからだっけ?
橘 “FLY HIGH”からかな。
緒方 “FLY HIGH”か。そこからずっとお世話になっていて、歌もうまいし、センスもいいし、「このトラックにこのトップラインきたかー!」って感じでしたね。メロディの運びが気持ちよくて、トラックと掛け合っていく感じ、明るさと暗さが入り混じっていく感じがすごくおもしろいなって。でも、この曲に決まるまでに結構長かったんだよね。
橘 長かったね。
緒方 慶太くん20曲くらい作っていたよね?
■そんなにですか?
橘 作りましたね。僕らももう大人なんですけど、僕らよりもっと大人の方々が、なかなかいいって言ってくれなくて。(笑)
緒方 ダメになった曲も新しい表現として伝わるような楽曲だったんですけど、もっと新しくしようよってね。そういう意味では、この曲調はいままであまりなくて、“Forever Memories”みたいな、ちょっと切なくて哀愁がある感じ。そういうのが得意というか、個人的にも好きで、“Time Has Gone”とか、胸にグッとくる音色、歌詞、メロディみたいなものがw-inds.の作風として多い中、ここまでエッジーでゴリゴリした、とんがっている楽曲は少なかったと思うんですよね。そういう意味ではすごく新しいと思うし、w-inds.としてはめずらしいサウンドだと思います。
■涼平さんはいかがですか?
千葉 ここまでゴリゴリの楽曲ってなかったんで新鮮だったし、前回のシングルから1年4ヵ月経っているんですけど、ある意味ファンの人が待っている楽曲になったんじゃないかなって。
橘 結構イケイケのダンスナンバーが人気なんですよ。(笑)
千葉 だから、そこにこの楽曲がきたらハマるだろうなって。
■意外な気もするけど、こうくるかっていう、喜びやうれしさもあるんじゃないかと思います。
千葉 確かに。すごく意外だとは思うんですよ、まさかこうくるとは思っていないだろうなって。でもそこでハイになれる、そういう曲だと思いますね。
■20曲ほど作られたということですが、他はどのような曲だったんですか?
橘 世界的トレンドのトラックが多くて、ここまで音数が多くなかったり、音数が少ないんだけどR&B寄り、HipHop寄りに聴こえるものだったり、やっぱりダンスミュージックが多かったですね。で、その中でもいい感じの曲は人にあげたりして。(笑)
■いずれ自分たちの楽曲として、っていう気持ちはないんですか?
橘 僕、時間が経つとやりたくなくなっちゃうんですよね。常に新しいいまの能力でやりたいというか。いまの自分が作るからこそのものをやりたいと思っていて。よく言われますよ、「なんであげるの?」って。(笑) でもまたできるからいいでしょって。
■それが常に変化していきたいっていうところにもつながっているんでしょうね。
橘 根拠はないんですけど、半年後のほうが絶対いい曲作れるしって思っちゃうんですよね。
■素晴らしい!
橘 いまの曲よりいい曲が作れるからいいんじゃないかなって気持ちになっちゃう。たまに後悔しますけどね、あの曲やっぱりよかったなって。(笑) でも、それを越えなくちゃいけない自分への課題もあるんで。それが作れないんだったら、もう辞めたほうがいいくらいの気持ちです。
■越えられる自信ももちろんあると?
橘 そう思っています。越えられないと思ったら本当に辞めると思います。