reGretGirl『SUMMER ONEMAN LIVE 2024“ひとりだと思わないためのホール編”』ライブレポート@昭和女子大学人見記念講堂

そばに立って歌い誰も置いて行かないことを誓った「ひとりだと思わないための」自身初ホール公演。

reGretGirlが8月29日(木)に『SUMMER ONEMAN LIVE 2024“ひとりだと思わないためのホール編”』を東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催した。2021年にメジャーデビューを果たし、2024年には全国17会場を巡るツアーを開催していたreGretGirl。この8月には『SUMMER ONEMAN LIVE 2024』と題し、大阪と東京でライブを行った。なお、今回の昭和女子大学人見記念講堂でのライブは、バンドとして初のホール公演となる。

開演時間を過ぎ、暗くなった会場を見下ろすスクリーンには、スマホの縦長画面に記録されたたくさんの「思い出」が映し出される。砂浜での花火、ひまわり畑、飛行機から見下ろす夜景、遠くに海を臨む路面電車……数々の記憶が映像となってコラージュされ、画面を埋めつくしたその時、ふと全てが掻き消えてスクリーンの向こうに3人のシルエットが映った。“帰り道”で幕を開けたライブは“ブロッサム”に続き、夏の終わりのライブ会場に春の景色を作る。桜色のライトの中に手拍子が響く、柔らかなひととき。かと思えば3曲目にはピンスポットを浴びた平部雅洋(Vo&Gt)のシャウト「どうして今日なんだ」からスタートする“12月29日”がドロップされ、季節は一気に冬まで飛ぶ。年末の空気を纏う物哀しいラブソングは重く鋭いバンドサウンドに溶け込み、艶やかなロックナンバーへ様変わりした。

「改めまして『SUMMER ONEMAN LIVE 2024“ひとりだと思わないためのホール編”』にお集まりのみなさま、我々がreGretGirlです!よろしくお願いいたします!」オープニングを終えて集まったファンへ感謝の挨拶を贈った平部。この日は九州地方に接近した台風の影響から、悪天候の中でのライブとなった。初のホールワンマンということで気合いを入れて作ってもらったと語る衣装のジャケットを「途中で脱いでもいいって言われたから……」と早くも脱いだ平部に、十九川宗裕(Ba)は「途中でとは言いつつだいぶ序盤やな」と苦笑い。「ホールめっちゃ広いけど、僕は全員の隣ででっかい声で歌うつもりでここに来たので、最後まで楽しんで行ってください」ここからバンドは“純ラブ”、“バブルス”、“Shunari”、“(L)ONLY”を立て続けに披露。時に花火めいた、時にバブリーな瞬きの中でreGretGirlは肩を並べ躍動する。歌い終え、この夏のトピックとして、平部は弟がハワイで結婚式を挙げたことを発表し、会場が温かい拍手に包まれる。肝心の式の感想だが、結婚式の思い出よりもハワイそのものの思い出が勝ったようだ。そんなエピソードの後、平部に「将司さんの声を聞くとみんなにいいことが訪れるとの噂がありまして」と紹介され、前田将司(Dr)はのんびりした口調であいさつ。この夏のトピックとしては、特に意味は無いが「日焼けしないこと」を目標に暮らし、見事に達成したことを自慢げに語った。ちなみに開演前、スクリーンに時折映り込んでは消えていった味があるタッチのメンバー3人の似顔絵は前田の筆によるもので、公演当日の昼に急遽描いたのだという。MCを終え、「みなさん、明日のシフトは大丈夫ですか?」と歌い出される“インスタント”は「都合の良い関係」を歌う楽曲。サポートKey.重永亮介も腕を振り上げ、会場を煽って盛り上げる。

“サムデイルーザー”と“グッドバイ”では、ハンドマイクでステージ上を縦横無尽に駆け回る平部。客席にも降りて足取り軽やかに一階席を一周した後も、ファンの顔をひとりひとり眺めて指さし、ピースサインを突き上げて、十九川の肩を掴み絡む。歌い終えた平部は2階席から上がった「こっち(2階)にも来て!」との声に、当初は2階まで巡る構想もあったと明かす。しかしそのプランを実行するには、一時的ながら完全に平部が会場から消えてしまうことになるため、ナシになったとのこと。明るい時間が過ぎ去ると、“デイドリーム”では舞台上にスクリーンが降り、逆光となった窓辺で物思いに耽るひとりの女性が映し出される。二人分の鍵、二人分のコップ、「二人の生活」の匂いとその終わりを感じさせる断片的な映像の数々。歌詞を畳みかける楽曲の終盤では、女性の様々な表情や仕草が刹那に浮かんでは消えて行く。前曲の響きがまだ残る中、スマホの着信音に呼ばれて窓辺のソファで目覚めた映像の中の女性。“白昼夢から覚めて”が静かに歌われる中、スクリーンの中では彼女が身支度を整えて部屋を出て行く様子が描かれる。映像の終盤、前曲では二つだった彼女の部屋の私物はひとつに減っていた。

続く“イズミフチュウ”で映るのは、平部たちの出身地である大阪・和泉府中駅周辺の様子だ。大阪出身のreGretGirlは、東京に来て3年。故郷から離れて想いが薄れることを恐れていたと話す平部だが、離れて初めて良さがわかる部分もあるのが故郷でもある。次々と切り替わる景色は東京のファンにとって見知らぬものであるはずなのに、どこか不思議な懐かしさがあった。そこから台詞を語るような口ぶりで“月の色”に流れ込み、バンドは真っ白な満月を背負う。感情に揺れ動き不安定だった歌い出しも、やがて大きなサウンドに包み込まれていく。この4曲でホール公演ならではの映像演出を使ったバラードパートを終えたバンドはどこか満足げ。リハーサルでは映像を眺めながら歌ったらしく、特に“イズミフチュウ”は故郷の風景が映ることから涙が出たそうだ。そして“デイドリーム”と“白昼夢から覚めて”で映る部屋は、曰く「ガチで」平部の自室とのこと。各々から沸き上がる驚きの声に、「いい経験させてもらいました。(笑)」と平部は楽しそうだ。ここで大阪・東京と集まってくれたファンへの感謝、そして悪天候のために会場まで来ることができなかったファンへの想いを語り、「距離はいつも(ライブハウス)より遠いかもしれないけど、みんなの隣で歌ってるから!」「本気、まだまだ出して行きたいと思うんですけど、いいですか~?」との言葉と共に、怒涛のアップナンバーパートへ。「ここにいる、おまえら全員、カワイイ!」の台詞で“KAWAII”を歌い上げ、さらにアップテンポな“ルート26”、そして“ピアス”へと続く。

会場が熱に溺れる中、平部は今回のライブが「ひとりだと思わないためのもの」だと話す。見ているだけで胸が苦しくなることも多い世の中、生きることも、生き続けることも大変だ。「それでも生きるってことをし続けたいと思うし、みんなにもし続けてほしいと思ってる」「上手く笑えない日も、悩みを打ち明けられない日も、おれの胸だったらいつだって貸してやるから、いつまでも一緒にいような」公演中、何度も繰り返されてきた「一緒にいよう」という言葉。再びのそれと共に歌い出される“tear”は、このライブのタイトルを象徴する楽曲だ。平部が綴り切々と歌う真っ直ぐな言葉の中、飛び出した銀のテープが客席に降り注ぐ。たくさんの恋の始まりと終わりを繰り返しながら、reGretGirlが本当に歌いたいことは何か。“tear”でそれを考えさせながら、ライブ本編は過ぎて行った。

舞い散った銀テープを分け合う暫しの間の後、沸き起こったアンコール。それに呼ばれてひとり舞台に戻った平部は、先んじて行われた大阪ライブでもアンコールまで少しの間があったことに触れ、その際は銀テープの分け合いが行われていることを知らずに「アンコール遅いぞ!」と言ってしまったことを反省した。そんな平部は今年、弾き語りに力を入れているそうだ。アコースティックギターを抱え、「あの子に振り向いてほしいと思ってんのに、振り向いてもらえないんですよね。そんな不器用な僕のラブソングを歌います」と紹介されたのは“ダレヨリ”だ。バンドがいないシンプルなサウンドの中、その歌詞はこれまでよりも私的なものに、そして赤裸々に響く。歌い終えて「アンコール、ずっと僕だけやったらどうする?」なんておどけた平部は、そんなわけにもいかないのでバンドメンバーを舞台に呼び込む。そして堂々とカンペを読みながら、12月から開催される『reGretGirl presents. LOVE × CALL TOUR 2024-2025』の最終公演が、2025年1月9日(木)に東京・Zepp DiverCityでワンマンとして行われることを発表した。共にライブを創り上げたいアーティストに「ラブコール」を送るため、対バンで行われるこのツアー。最終公演がワンマンになるのは、2025年でバンドの10周年を迎えることを記念して会場のファンに「ラブコール」を送る、との意味があるそうだ。

さらに、reGretGirlは9月4日(水)にデジタルシングル『ロスタイム』をリリースすると発表。「新曲だからノリ方とかわからんと思いますけど、ついてきてください。」その言葉と共に披露された“ロスタイム”は、疾走するバンドサウンドの中、愛する人を失った絶望を受け入れられずにもがき苦しむ心情を歌い上げたナンバー。ラストのサビは平部と十九川の声の重なりが心地よく、スタジオ版が楽しみな仕上がりだ。「次が最後の曲です!」「え~?!」のやりとりを2~3回繰り返し、ラストナンバーでは交通機関の乱れなどから会場まで辿り着けなかったファンのため、Instagramでのライブ配信をスタート。「みんな歌えると思うんで、歌ってくれる?」と訊ね、喉を振り絞る観客たちの歌声と大歓声の中で“ホワイトアウト”が駆け抜けた。「マジでありがとうな!イヤなこととかめんどいこととかいっぱいあると思うけど、ずっとreGretGirlが一緒にいるからな!」そんな言葉と共にライブは幕を下ろすかと思いきや、「予定外だけどもう1曲やろうか!」の叫びと共に“soak”を披露。最高潮の盛り上がりを見せるまま、2時間半の幸福な時間は過ぎて行った。「ずっと愛してるから、僕たちのこと一生愛してください!」そう言って深く頭を下げ、タオルやピック、ドラムスティックなどをオーディエンスへ投げ渡しながら舞台を去っていくメンバーたち。最後まで残った平部は「最後にこれあげるわ」と何かを手に持ってステージ中央に立ち、その手を開いてキュートな投げキッスをみんなに贈った。

Text:安藤さやか
Photo:ひの

https://www.regretgirl.com

『SUMMER ONEMAN LIVE 2024“ひとりだと思わないためのホール編”@昭和女子大学人見記念講堂 セットリスト
01. 帰り道
02. ブロッサム
03. 12月29日
04. 純ラブ
05. バブルス
06. Shunari
07. (L)ONLY
08. インスタント
09. サムデイルーザー
10. グッドバイ
11. デイドリーム
12. 白昼夢から覚めて
13. イズミフチュウ
14. 月の色
15. KAWAII
16. ルート26
17. ピアス
18. tear

ENCORE
01. ダレヨリ
02. ロスタイム
03. ホワイトアウト
04. soak


RELEASE
『ロスタイム』

デジタル配信リリース
https://rgg.lnk.to/losstime

日本コロムビア
9月4日 ON SALE

LIVE
・ツアー情報
『reGretGirl presents LOVE × CALL TOUR 2024-2025』
12月1日(日) 福岡・DRUM LOGOS
12月6日(金) 北海道・PENNY LANE 24
12月7日(土) 北海道・CASINO DRIVE
12月10日(火) 愛知・Zepp Nagoya
12月12日(木) 大阪・Zepp Namba
※対バンあり

・ツアーファイナル
『reGretGirl presents. LOVE × CALL TOUR 2024-2025 FINAL – 10th Anniversary ONEMAN LIVE -』
2025年1月9日(木) 東京・Zepp DiverCity (TOKYO)
※ワンマン公演

【チケット情報】
・ファミリーマート先行
価格:4,400円(税込・ドリンク代別)
受付期間:9月23日(月・祝) 23:59まで
https://w.pia.jp/t/regretgirl-lxc24-25/