■なるほど。(笑) そしてもう1曲の表題曲は“アレグロめいてるランナップ”ですが、こちらの曲を初めて聴いた時はいかがでしたか?
松田 この曲はものすごく今歌いたい歌詞だったので、感謝が溢れました。この歌詞にあるようなことを個人で言葉にして伝えるのってなかなか難しいし、「変に考えさせちゃうかな?」とも思うので、こうやってまっすぐに曲で伝えられるのが嬉しかったです。今まで10年間やってきたこのタイミングだったからこそ、歌わせてもらえてよかったなと思います。大切に歌詞を汲み取りながら歌っています。
三品 初めて聴いた時に、めっちゃ好きだなと思いました。私は必死に生きているアイドルが好きというのもあって、自分の好み的にも、泥臭い感情とかを燃やしているような歌詞が好きだったし、想いを素直に乗せて歌える曲だなと思いました。
廣川 最初に聴いた時は、すごく熱いけど綺麗だなと思いました。それこそ夏フェスで歌っているような光景が見えてくるような楽曲だし、本当に嘘がない曲だなと思って。今まで歌ってきた曲が嘘だったというわけではないんですけど、ここまで自分そのままの感情で歌える曲ってこれまでなかったかなと思います。すごく言葉自体はお洒落な言い回しだったりするんですけど、すごくストレートなので気持ちが乗るし、今のアイドルシーンではすごく珍しい曲なのかなと感じました。私たちの曲は、かわいいがベースにあって、そのかわいい楽曲たちの中にこの曲があることによって、ライブでも締まった感じを演出できるし、すごくいい影響を与えてくれる1曲だなと思います。
小玉 この“アレグロめいてるランナップ”は、私たちの「こういう曲が歌いたい、欲しい」という意見を聞いていただいて、作っていただいた楽曲なので、より自分たちの感情が乗る曲ですし、ソロで繋いでいってから4人で歌うサビだったり、二人づつ歌ってラスサビにいく感じとか、歌詞割りも曲もダンスも全部が良くて、今の私たちだからこそ歌える曲だなと思いました。
■こちらも歌詞にちなんで、これからの11年目に向けて、もっと加速していきたいことを教えてください。
廣川 私、カメラが趣味だったはずなんですけど、最近はえらい放置してしまっていて……。(笑) 元々はCanonユーザーだったんですけど、お仕事でFUJIFILMとか、Nikonとか、いろいろなカメラを使わせていただく機会があって、それぞれの良さを知ってしまったら、なおさらいろいろなことに気持ちが分散してしまって、「どうしよう?」と思っていたタイミングで、ハーフフィルムのカメラにもハマってしまって。もう自分がなにで撮りたいのかがわからなくなってしまったんです……。それで迷走しちゃって、今はちょっとゆっくり歩いている感じになってきちゃったので、またそれを加速させていきたいです。カメラが好きなのはずっと変わらずで、一眼で撮るのも、スマホで撮るのもこだわりはめっちゃ強くて、色味にもとんでもなくこだわっていたりするので、そこへの愛は変わっていないんですけど、ちゃんとカメラを使って撮るということへの愛を加速させたいですね。
小玉 私が加速させたいのはツッコミの技術です。(笑) 他人にツッコまれたりする機会は結構あるんですけど、他のメンバーがボケたり、変なことを言ったりしていて、ツッコミたいタイミングでも、上手く言葉が出てこないんですよ……。上手くツッコミができなくて、素早さが大事なタイミングでも、それについていけないのが悩みなので、これからはもっと素早くツッコめるように、もっとメンバーをいじれるように、ツッコミの技術を加速させたいです。(笑)
■反射神経を磨くのと、言葉のボキャブラリーを増やす努力ですね。(笑)
松田 私はアイドルになる前からダンスを習っていて、わーすたになってからも、初めはダンスメンバーとして指導したりもしていたんです。でも4人になってからは歌うパートが増えたりもして、今もまんべんなく歌割りをいただいているので、年々歌うことがすごく楽しいなと思えてきて。この前の生誕ライブの時には、ほぼ歌うだけのライブをやったんですけど、その時もすごく楽しくて。今までさんざん踊ってきたので、これからは好きを伸ばしたいなと思ったので、これまでもYouTubeに「歌ってみた」の動画を投稿してきたんですけど、これからもいろいろな曲を歌う機会を増やしていけたらいいなと思ったので、それを加速していきたいです。歌う人として、表現力のスキルもずっと加速させていたいなと思いました。
三品 私は朝起きるまでの時間を早くしたいと思っていまして……。アラームが鳴ってから身体が起き上がるまでの時間をもっと短縮したいんです。(笑)
■今はどれくらいかかっているんですか?
三品 今は15分くらいです。(笑) 2分おきにアラームが鳴るように設定していて、その間にもスヌーズ機能で鳴るので、めちゃくちゃ鳴りまくるんですよ。ただ、アラームを止めるのが早すぎて、鳴っているのが脳まで届いていないみたいで……脊髄で止めているので。(笑)
■なるほど。(笑) それが脳に届くまでに15分かかっているんですね。
三品 そうなんですよ。加速というよりも、むしろアラームを止めるまでの時間を減速できたらいいんですけど……。(笑) 音が鳴る前のバイブの段階で止めている時もあるので。(笑)
■それはすごいですね。(笑)
小玉 私もたまにホテルで同じ部屋になることがあるんですけど、本当に「ピッ…」と音が鳴る瞬間に消えていました。(笑)
■ちなみに今作のレコーディングを振り返ってみて、苦労した点や、自分なりに工夫して上手くできた点があったら教えてください。
小玉 “アレグロめいてるランナップ”の方なんですけど、私は声質的にも、歌い方的にも、どうしてもやわらかく、優しくなってしまいがちなんですけど、熱く、力強く歌詞を届けるような歌い方が苦手なので苦戦しました。でもこの曲の世界観を大事にしたかったので、いつもはあまりしない歌い方で頑張って歌いました。この声質を活かしながらも、ちゃんと力強く聴こえるように歌うのが大変でした。
廣川 私も“アレグロめいてるランナップ”で、曲の歌い出しとサビの一番最後を任されたんですけど、歌い出しは物語の始まり感を意識していて、あまり暗くなりすぎないような歌い方をして、それを結構自分の中で意識するのが難しかったんですけど、「この10年間歩んできたストーリーが見えたらいいな」と思いながら歌いました。サビの最後は短いフレーズで、音的にもずっしりと低い音程なので、リーダーとしての威厳みたいなものを見せられたらいいなというのを意識して歌いました。
松田 私は“Sweet Fancy Chu-n”の方なんですけど、ポップでかわいい曲なので、私のキャラ的にもあまり縛りはないなと思っていたんですけど、今回は結構オーダーがたくさんあって、「何歳くらいの感じで歌って」とか、「もっとかわいくぶりっ子な感じで」とか。でもこの曲は、ただかわいく歌うだけではダメだなと思ったので、自分の中のこだわりで歌うのを意識しました。基本的に私は子音が弱くなりがちなんです。この曲はこれから出会っていく人たちに向けたような歌詞だったので、言葉がより聴こえやすいように心がけて歌いました。でもそれが楽しかったので、すごく印象に残っています。
三品 私も“Sweet Fancy Chu-n”は、かわいさの中にもキラッとパキッとする感じのイメージで歌っているのと、Dメロの「この声がどこまででも 響いて」のところのロングトーンは「響けーーーっ!」と思って歌いました。(笑)
■今作は2曲ともMVを制作されていて、両方ともタイでのロケ撮影でしたが、見どころや注目ポイントを教えてください。
廣川 “Sweet Fancy Chu-n”の方は、メンバーのかわいい顔の瞬間がギュッと凝縮されているようなMVになっていて、これまで「世界標準(The World Standard)」というのがグループとしてのキーワードとしてあったんですけど、MV撮影で海外に行ったことは今までなかったので、海外で撮影できたことが本当に嬉しいし、今まで10年間やってきて、11年目のタイミングでまた新しい景色が見られたような感覚になりました。
小玉 “Sweet Fancy Chu-n”のMVは、メンバーがただ素でタイを楽しんでいる瞬間ももちろんあるんですけど、喜怒哀楽というか、楽しいだけじゃなくて、拗ねていたり、景色を眺めて黄昏れていたり、寝ていたりとか、いろいろな表情が見られる映像になっていて、本当に彼女に振り回されているみたいな気持ちになれるようなMVになっています。これまで10年間やってきたけど、あんまり見せていないような表情もあるし、私も今まで見たことがないようなメンバーの表情もあったので、すごくドキドキしながら見られる作品になったと思います。
■ちなみに最後の方でみなさんが一緒に踊っているシーンで、建物の外で撮影されているのは、ああいうセットを組んだ感じなんですか?それともあんな色合いの建物が街中にあるんですか?
廣川 あの色の建物がありました。あの色のホテルがあって、その駐車場で踊っているんですけど、すごく不思議な感じでした。向かい側の景色と全然違っていて、嘘みたいな景色ですよね。(笑)
三品 あそこだけちょっと異空間でしたね。
松田 なんかアートがコンセプトのホテルみたいでした。
■なるほど。そういうところが実際にあったんですね。(笑)
三品 “アレグロめいてるランナップ”のMVの方は、長回しの撮影で、ワンカットっぽいんですけど、2本の映像を繋いでいる感じなんです。“Sweet Fancy Chu-n”の方はソロカットが多いのに対して、それとは対象的に一人づつ入ってきて、4人になってからはずっと4人の映像になっていて、わーすたがわーすたとしてそこに存在しているみたいな感じがして、そんな空気感が曲の熱さともリンクしていて、より温かい映像になっているなと思います。すごくいい作品になったと思います。
■結構長回しの撮影だと、誰かが間違えたら最初から撮り直しだし、街中での撮影だったので不意に誰かが映り込んでしまってもNGだし、すごく大変な撮影じゃなかったですか?
三品 結構入念な場当たりもしたし、朝一のあまり人がいない時間帯を狙っての撮影だったので、意外とスムーズに撮影はできました。NGではなかったんですけど、やっぱり誰もいないわけではないので、通る人を待ったりする時間はありましたけどね。一人すっごくゆっくり歩かれている方がいて、それをみんなでずっと見守ったりしていましたね。(笑)
松田 “アレグロめいてるランナップ”のMVは、最初の一人づつ入って来るところのシーンで、すごくメンバーの表情が素だったりして、普段のわーすたの雰囲気がナチュラルに見られる感じがエモーショナルだなと感じました。それに、タイの街並みだったり、トゥクトゥクにも乗ったし、建物の中に入ってからは階段を登ったり、みんなで屋上を走ったりとか、いろいろな場所をいろいろな速度で歩いたり走ったりしていて、今まで10年間やって来た私たちの道のりを思わせるような感じがしました。出来上がったMVをいただいて最初に観た時に、今までの思い出と一緒に浸る時間があったので、すごくエモいMVになったと思いますし、いろいろな楽しみ方ができる作品だなと思います。ワンカットみたいなMVって、今までやったことがなかったし、疾走感もあって、最後まで繋いでいく感じにも胸が熱くなりました。
■すごくタイミングも難しそうな撮影ですよね。加速していくところはみんなで走り出すのを合わせないといけないし。
松田 何回か撮ったんですけど、進み過ぎとか、もうちょっと早く歩かないと間に合わないとかもあったから、それを合わせるのがちょっと難しかったですね。
■しかもトゥクトゥクの速度によっても左右されたりしますもんね。自分たちで調整できないところは難しいですよね。
松田 実はちょうどトゥクトゥクを降りたタイミングで一回映像が切れているんです。(笑)
■あぁ!そのタイミングで2本の映像を繋いでいるんですね。それでは最後に、今年も11月にわーすた主催のフェス『にゃんぽこらフェス』が開催されますが、それに向けての意気込みと、読者に向けてのメッセージをお願いします。
松田 今回のシングルができて、またわーすたの幅が広がったと思いますので、たくさんの方に聴いてもらえたらと思います。『にゃんぽこらフェス』に関しては、去年からまた1年経ったので、他のアイドルさんたちも楽しみに思ってくれていたらいいなと思います。前回が初めての開催だったので、今年はよりいいフェスにしたいと思います。でも私たちもあんまり構え過ぎずに、「みんな楽しんでいってください」というウェルカム体制で楽しめたらと思います。秋からはわーすたのツアーも始まるので、単独公演も大切にしながらライブを楽しんでいければいいなと思います。
三品 『にゃんぽこらフェス』は、本当にいろいろなアイドルさんが出演してくれるありがたみを前回すごく感じたし、自分たちのフェスですごくしっかりといいライブをしてもらえるのって、観ていてもすごく嬉しかったですし、ありがたいなと思いました。今年の2回目もすごくいいフェスになったら嬉しいなと思います。「わーすたがやっているフェス、楽しかったな」と、出演してくれたアイドルさんにも、来てくれたみんなにも、そう思って帰ってもらいたいです。
■10年もやっていると、共演するアイドルの中には「わーすたに憧れてアイドルになりました」みたいな子もいたりするんじゃないですか?
三品 ありがたいことにそう言ってくれる人もいるので、恥ずかしいことがないように気を引き締めて頑張りたいなと思います!
廣川 こういうフェスとかって、すごく空気感が大事だと思っていて。「このイベントの高揚感はいつもすごいな」と感じるイベントもあるので、私たちのフェスもそういったイベントになっていってくれたらいいなと思います。私たちのワクワクした気持ちとか、緊張感もあっていいと思うし、このイベントに向けての私たちの熱量がお客さんにも伝わったら嬉しいし、そういった気持ちが届いたらいいなと思います。「『にゃんぽこらフェス』は、すごくいい空気感だな」と思ってもらえるようなフェスにしたいと思います。それに、普段わーすたを見ない方たちにも見ていただけるいい機会だと思うので、そういった意味でも、今回リリースするこの2曲も含めて、わーすたの世界観を存分に届けられる自分たちでいたいなと思います。
小玉 去年初めて主催フェスをやって、自分たちで考えた『にゃんぽこらフェス』という名前と世界観でセットも作っていただいたんです。他のアイドルさんたちも、わーすたっぽい世界観の中でライブしてくださっている姿も見れて、すごく不思議な気持ちになったのと同時に、すごく嬉しい気持ちにもなったので、今年も出演してくれるアイドルさんたちには感謝を忘れずに、楽しいイベントを作れたらいいなと思います。他にも単独ツアーだったり、男子限定ライブや、女子限定ライブもありますし、今年だけでもまだまだ楽しいライブやイベントがたくさんあるので、ひとつひとつ大事に頑張っていきたいなと思います。
Interview & Text:土谷拓史
PROFILE
2015年に結成のデジタルネイティブ世代アイドル。グループ名は「The World Standard」の略。現在まで、13か国の国でライブ出演するなど世界に照準を合わせ活動している。アニメ「アイドルタイムプリパラ」「キラッとプリ☆チャン」など、多数のアニメの楽曲を担当。2019年10月にわーすた初となる生バンドでのフリーライブを代々木公園野外ステージにて実施し、3000人以上のファンを集めた。LINE CUBE SHIBUYA・豊洲 PIT・TOKYO DOME CITY HALLなど、多数の会場でワンマンライブを開催。
https://wa-suta.world/
RELEASE
『Sweet Fancy Chu-n / アレグロめいてるランナップ』

初回生産限定盤 Type-A(CD+BD)
AVCD-39683/B
¥2,500(tax in)

通常盤 Type-A(CD)
AVCD-39685
¥1,300(tax in)

イベント会場限定版 Type-A
AVC1-39687
¥1,100(tax in)
『アレグロめいてるランナップ / Sweet Fancy Chu-n』

初回生産限定盤 Type-B(CD+BD)
AVCD-39684/B
¥2,500(tax in)

通常盤 Type-B(CD)
AVCD-39686
¥1,300(tax in)

イベント会場限定版 Type-B
AVC1-39688
¥1,100(tax in)
avex trax / iDOL Street
9月24日 ON SALE