Wakana VANITYMIX 2020 SPRING PICK UP INTERVIEW

Wakana『magic moment』

自身の持つ唯一無二な歌声を武器にWakanaの二年目が開花していく

昨冬シングルにてソロデビュー。以降も昨春のファーストアルバム発表を始め、全国ライブツアーの成功や新EPリリース等、精力的に活動中のWakana。彼女の昨年の活躍は自身の歌唱の幅や表現力を高め、更なる自己の開花とその確立の昇華へと繋がった。それを立証する今回のセカンドアルバム『magic moment』は、昨年を経たが故の自身の歌唱の確立や独自性のアップ、その自負と自覚が溢れた1枚。今後彼女の更なる飛躍へと向かわせるエポックな作品と言える。

■昨年のデビュー以降、早くもセカンドアルバムのリリースと、かなりハイペースな活動とお見受けしますが、ご自身的にはいかがですか?

Wakana 実はこのハイペースぶりには自分自身でも驚いていて。(笑)でもそのおかげもあり、曲も増え、ライブでのラインナップも充実し出しましたからね。私自身もうたう歌がより選べるようになって嬉しいですね。ライブに来てくださるみなさまにとっても、「今日は何が聴けるんだろう?」と楽しみが増えてくれたら。

■確かに内容や主旨、会場によって歌う曲を選べるのは今後の強みに繋がりそうですもんね。

Wakana その時々に合わせてうたう歌を変えていくのは、自身の新鮮さや贅沢さも含め、非常に重要になっていきそうですから。特に今作ではこれまでライブをやってきた中で必要に感じていた曲も入れられたし。

■その「必要に感じていた曲」とは?

Wakana アップテンポの曲ですね。今作でその辺りの曲が増えたのはそれもあってのことなんです。

■それらも加わると更にライブでメリハリやコントラスト、物語づけが出来るようになりますもんね。

Wakana そうなんです。あとお客さんとの一体化や、より一緒にライブを作り上げたり、育めたりも、もっと出来るようになったら良いなと。

■加えて今作は、より自分の歌唱の自覚や確立を感じました。それまでの曲の種類に合わせての歌唱から、Wakanaさんの元々の歌唱の特性を活かしながら、曲毎の世界観を更に演出できるようになったというか…。

Wakana ありがとうございます。嬉しいです。まさにその通りで。各曲に自分が染まるのではなく、各楽曲をWakana色に染めたい。その気概が増したし、そこへの欲は更に明確になってきました。どうしたら良いかや、どうしたいのか、自分がみなさんに何を求められているのかを考える機会がこの1年でグンと増え、それらを踏まえた上で、今作の制作にあたりました。

■ちなみに自分がみなさんに何を求められているのかを、Wakanaさんはどう捉えておられますか?

Wakana そこも当初は分からずに手探りで歌っていました。でもこの1年、ライブや作品を通して、更には今までの作品や音源を聴き直すことで、今なんとなく掴んできたような気持ちです。それを言葉で表すのはかなり難しくて…。

■私もそこがWakanaさんのストロングポイントだし、独特性だと感じていました。私も説明が難しいですが、独特のノスタルジックさや郷愁性を擁し、遠い記憶を呼び覚ませてくれるような…無国籍な歌声というか…。

Wakana それすごく嬉しい表現です!着飾らず嘘をつかず、そのまま私の歌声で歌う。難しく色々考えていたけど結局、もしかしたらそこなのかもしれないなと、改めて考えるようになりました。

■その「着飾らず嘘をつかず、そのまま私の歌声で歌う」が、今作ではまさに確立した印象があります。

Wakana Kalafinaの頃も含め、これまでは歌い手的な意識がずっとあったんです。だけどソロになったことにより、「アーティストへと変化していかなくちゃいけないな…」との自覚が芽生え始めて。それはすなわち、自分がどうしたいかにもつながっていたことで。それと同時に、その自分がやりたいことが、必ずしもみなさんが求めていることとはイコールではないことにも気づいたんです。その結論には自分でもなんだか一周回った感があって。でも今回はその一周回ったことによって、清々しい気分がすごくしたんです。逆にみなさんの私への想いも汲みつつ、「次はもっとこうしよう!!」との気概も新たに芽生えたし。

■もう次ですか?(笑)

Wakana 新作を出したばかりなのになんとも気が早いですよね。(笑) と言うのも、雄大で永遠性のあるスケールの大きな歌が多い印象を自分では今作には抱いていて。対して今後はもっと狭く細い、それこそもっとピンポイントなテーマに沿って歌詞を書いたり歌ったりしてもいいんじゃないか?って。それにより、私自身も更に出てくるでしょうし。それを経ることによって、今はまだ見えていないものでも、いづれは見えてきたら嬉しいですね。

■今回も意外なタイプ且つ新境地的な楽曲として“where”がありましたが、この曲にしても、今までのように「えっ!?これがWakanaさん!?」って印象とまではいかなく、逆に「Wakanaさんが歌うこういったタイプの曲」との感想でした。いわゆる新しさは感じるんだけど、そこに違和感がないというか…。

Wakana その感想は嬉しいです。“where”は特に言葉のフックをすごく利かせなくちゃいけないんじゃないか…との迷いもありましたが、自分の中でもこれまであまり出してこなかった低音域を出すことにより、私の持つある成分が引き出された感じがありましたから。