WEBER VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

10年の歩みを抱き未来へ勝負を挑むニューアルバム『10→1』で見せる覚悟と強さ。

WEBERが結成日である6月13日に、10周年を記念するニューアルバム『10→1』(読み:じゅういち)をリリース。山あり谷ありの活動の中で10周年を迎え、3人体制となって歩み続けるWEBER。Taka.がメインコンポーザーを務めた今作には、グループの「これまで」と「これから」を感じさせる楽曲たちが集まった。今回は作曲や制作時のエピソードに触れながら、Taka.、Hayato、little Skeetの3人から熱い言葉を聞く。

■YouTubeのVlog『「愛」と「チョコ」は濃ければ濃いほど良いってわけ』は、めちゃくちゃ笑いました。あれ溶けないんですよね?

little Skeet そうなんですよ!あれは衝撃でしたね。(笑)

■これまでやってきた中で、キツかった企画はありますか?

Hayato バンジージャンプですね。あとはダイオウグソクムシを食べたりもして。ゲンゴロウは……確か持ってきたゲストの方が食べました。「僕が食ったんだから食ってくださいよ!」みたいな感じで無茶ぶりして。(笑) なんかいろんな経験をさせてもらっています。

Taka. この10年間、音楽以外の活動もいろんなことをやってきたんですけど、4人でやっていた時は、ツアーファイナルにひとりが怪我して出られなかったりとか、言えないような事件もたくさんあったり。今まで精一杯走ってきて「もう30歳か……」と思う反面、音楽だけじゃなくて、「YouTubeとかいろんなものが活発に動いている世の中にどうやって溶け込んで行こうか」っていうことに苦しんでる最中だと思います。ただ、それを笑いながら楽しめるようになったのはいろんな経験ができたからかな。

■その一環でバンジージャンプをしたり?

Hayato 極寒の東京湾で釣りをしたりもしました。結局1匹も釣れねぇの。(笑) 「おっ、釣れた!!」と思ったら3センチくらいの魚だったり。「どこの稚魚釣ってん?」って。(笑)

Taka. あれは季節が悪かったね。僕も「釣れた!!」って思ったら根掛りしてたり。(笑)

Hayato まぁ10年ですからね……いろいろとやらせていただきましたね。テレビにも出させてもらったり、そういうこともありましたし。

Taka. 振り返るとたくさんあるよね。「一番綺麗な景色を見られた」って瞬間もあったし。コロナ禍はいろんな人が「辞めるか、続けるか」という選択を迫られた時期だと思うんですけど、自分たちもそのタイミングで4人の内のひとりが「自分の夢を追いたい」と、グループを離れることになりました。

■コロナ禍で活動を休止したり、グループから離れるアーティストは結構多かったですよね。

Taka. そして3人になった時、「このままやるか、やらないか」という話をして、3人の想いは「やっぱりWEBERとしてこの形で続けていきたいし、苦しいこともいつか笑えるように乗り越えていきたい」でした。メンバーが減ったりもして不安になることも多いけど、自分たちが良いと思うものをちゃんと出せる環境を自分たちで作れたことは、すごく有難いなと改めて感じます。

■WEBERの存在はファンの方たちにとっても大きいですもんね。

Taka. みんながどういう風に音楽を聴いてくれているかはわからないんですけど、僕が好きな安全地帯だったり、尾崎豊さんだったりって、いい意味で「依存していない」んですよね。WEBERもそういう風になりたいと思っています。あくまで「生活が良くなるためのツールとして、WEBERが存在できたらいいな」というのがどこかにあって。それでコンセプトにも「演出家」という言葉を使わせて貰っています。

■脚本家ではなく演出家なんですね?

Taka. 脚本まで行くとおこがましいというか、「決まった未来以外の未来もあるよね」っていう、ある種の提案ができたらいいなと思っていて。だから「演出家」っていう言葉を使わせてもらったんですけど、自分の人生をより良くするために僕らが存在したいなって思う所があります。

■インテリアみたいな感じですね。置物とか、お花とか。

Taka. 逃げ道は必要だもんね。このアルバムでいうと“ディア”とかが近いと思うんですけど、逃げ道を作ることを続けていれば、何かが変わりそうな気もするし。現実的には何かが伴っていなくても夢を終えていることもあるし、この10年の中で出来ることが増えていって、だから続けてしまう選択も出てきちゃうし。難しい所だと思うんですが、僕らは限界までチャレンジしたいなっていうことでやらせてもらっています。歳を取って、腰が曲がって、フラフラになってもライブをやっているっていうのもカッコいいですよね。(笑)

■そういえばプロフィールによるとHayatoさんは4オクターブも声が出るんですよね。すごいです!音大の声楽科でもなかなかいないですよ。

Hayato 今は出るかわかんないです……。(笑) でも、いわゆるハイトーンボイスで有名な人よりは高いんじゃないかなってくらいは出ます。さすがにホイッスルボイスは出ませんが。

Taka. Hayatoの声は本当に使い勝手が良くて、有難いです。

Hayato 「使い勝手」って、もっと言い方選べよお前。(笑) 1個の音声ソフトとして扱われているみたい。(笑)

Taka. でも、すごく綺麗な声なんですよ。高い声が出るだけじゃなくて、そこにちゃんと気持ちが乗っかっていて。グッと力入れて高い声を出していますって感じじゃなくて、自然に出てくるので聴き苦しくないんです。そういう所をすごいって思ったり、思っていなかったり。

■思っていなかったり……?

Hayato (Taka.は)ツンデレなんですよね~。(笑)

■今のはデレツンでしたね。(笑) 今作のアルバム『10→1』は、ロマン編、ヒーリング編、オーバーヒート編となっていますが、収録曲が1曲ずつ違うんですね。若干この表題にピンと来てないところがあるのですが……?

Taka. シンプルに通常盤A・通常盤B・通常盤Cの言い換えです。(笑) 「そういうよくあるのってつまんねぇな」って思って。(笑)

Hayato 「何が初回限定やねん、全然初回限定ちゃうやないかい!」みたいなこともよくありますしね。(笑)

Taka. “もう一度…”、“ディア”、“未完成”は、2023年1月から3ヵ月連続リリースさせてもらいました。“もう一度…”は、そのまま「ロマン」。かつて見て来た良い景色をもう一度、「ファンとの約束を叶えるためにもう一度夢を追いかけます」って曲なので、「まぁロマンだよね。じゃあロマン編で良くね?」って話になって。(笑)

■確かにそれは「ロマン」になりますね。

Taka. “ディア”は、とあるゲームに出てくる小回復の魔法がタイトルの元ネタになっています。飼い主が毎晩疲れて帰って来た時のペットの気持ちを歌った曲ですね。旅行に行ったりして疲れを一気に癒すことはできないけど、毎日あなたの側にいて、「明日もちょっとだけ頑張ろう」って気持ちになれる、ちっちゃい回復ができたらいいなと思って書いたので、「ヒーリング編」です。

■なるほど。ゲームの魔法の呪文が元ネタというのは予想外でした。

Taka. “未完成”は、とにかく暑苦しいことが言いたくて。僕は歌詞を書く時に、結構皮肉っぽいことを考えちゃうんですよ。人の揚げ足を取ったり、人の不幸が好きだったり、偉人の名言とかも「あなただから言えるよね?」みたいなことを思ったり。なので、ただの慰めや応援の言葉を言われても、自分だったらあんまり響かないなと思っていて。だから、「走ったって意味が無いとまでは言わないけど」というような歌詞が出てきます。起き上がる強さの方を掴み取ろうよって。これはまさしく僕らの今の心情に合った歌だったので、「オーバーヒート(熱血)篇にしようか」ということになりました。

■最後の曲以外、曲順も変わらないのはなぜですか?

Taka. 最後の1曲でアルバム全体が決まる気がしたからです。最後の曲が流れて来た時に、「あなたはどんな気持ちでこのアルバムのストーリーを作りますか?」っていう所で、意味合いが変わってくるんじゃないかなと思って。まぁ、「ただの通常盤A、B、Cって言いたくねぇよ!」って所が大きいですね。(笑)

Hayato このアルバムの脚本家は聴いてくださる人たちで、僕たちの楽曲は「その人の日常を少しでも彩れればいいな」っていう気持ちがあります。なので、コンセプト通りですね。

■私も偉人の名言に鼻白んでしまうタイプなので“未完成”がすごくよく響きました。(笑) “ディア”は可愛かったです。猫ちゃんですね、猫ちゃんってこういう気持ちなんでしょうか?

Taka. どうなんですかねぇ?何も考えていないと思いますよ。(笑) 僕らが勝手に都合がいい
ように解釈しているだけだって最近考えるんですよ。喋れる人間が近くにいたら、絶対ケンカするだろうってこともいっぱいあるじゃないですか。でもワンちゃんや猫ちゃんは寄り添ってくれて、自分の気持ちを察してくれたように「ヘッヘッヘッ」ってしてくれてね。「可愛いね~」ってやっているうちに、心が満たされたりとかも実際にあったもんね。

■みなさんペットを飼っていらっしゃいますか?

Hayato 僕は犬を飼っています。ポメラニアンで性格は気まぐれです。(笑) 気まぐれなんですけど、凹んだ時には絶対に隣にいるんですよ。普段はエサと散歩のことしか考えていないのに、「なんでこういう時だけ隣にいてくれるんだ」って。そういう所が「可愛いね~」ってなっちゃうんですよね。(笑)

■あざといですね〜。(笑)

Taka. 多分向こうはよくわかっているんですよ。でもそれで救われることがいっぱいあったりするからね。人間は頭がいいから考えすぎちゃうんですよね。僕は実家に犬が2匹います。ずっと犬家系で、ちっちゃい頃からずっと飼っています。

■でも曲は猫なんですね?

Taka. 良い意味で気まぐれの象徴だと思うので。あと、猫だとなんか重くないし。(笑)

Hayato 楽曲のテーマを話した時に、配信ジャケットみたいなものをイメージして、3人の意見が合ったのが「猫」だったんです。「じゃあ猫の目線で曲を書くか」となって。

Taka. あと、Skeetが猫をテーマにした映画をちょうど観ていたんだよね。

little Skeet 『泣きたい私は猫をかぶる』って映画です。「打ち合わせをやる前に各々で曲のことを考えて、それを持ち寄ろう」ということになったんですけど、その時に「映画の主題歌みたいな……」という話もあって、じゃあ何か映画でも観てみようかなと思い、『泣きたい私は猫をかぶる』を観ました。それにすごく感化されて、「猫を被る」とのダブルミーニングで……って話をしたら、「猫イイじゃん!」ってなりました。それで、ちょうど僕とTaka.が共通してやっていたゲームの回復魔法が「ディア」だったんだよね。(笑)

■身近なものから入っていったんですね。“2年後の君へ”も、サウンドのレトロな雰囲気が素敵でした。

Taka. これは僕が作曲からアレンジまでやっています。“僕であるために”以外は全部僕が書いている曲で、“10→1”と“第二章”は共作させてもらったものです。ただ、基本的には作曲には関わっている感じです。“2年後の君へ”は、2017年頃にちょっとずつ曲を作るようになったあたりにデモを作っていて、「いいじゃん」となり、WEBERの曲になりました。

Hayato 元々はソロ曲の予定だったんだよね。

Taka. 2017年頃にアレンジをお願いした時には、4つ打ちのダンスボーカルという雰囲気で、もっとキラキラした印象のちょっとメジャー感があるようなイメージの音源に仕上がっていたんですけど、28歳くらいの時に「今“2年後の君へ”を歌うなら、どんな感じに作ろうか……」と思い始めて、今回のニューアルバムへの収録が決まった時には「以前の音源のままでは入れたくな
い」という話をして。「じゃあもう改めてレコーディングから何から全部やろう」って事になり、結果、あんな感じになりました。

■穏やかですごく良かったです。

Taka. 今持っている知識のアウトプットに使ったみたいな感じもあります。知識を詰め込めると思ってやってみたのですごく楽しかったです。疲れたけど。(笑)

■今作はいろんな音がするのが良いですね。表題曲の“10→1”は壮大なサウンドが素敵でした。

Taka. これは頭の中であらかじめサビが決まっていたのでサビだけ打ち込んで、「楽器はこんな感じが良いです」、「大地を感じるような感じで……」と希望を出したところ、アレンジの人がストリングス系が得意だったので、最初のデモの段階ですごいものが来ました。展開などはお任せして、作詞と作曲を一緒にやらせてもらったんですけど、いろいろやりとりした結果、納期ギリギリに上がって、レコーディングはデモが来てからすぐ2日後に。(笑) めっちゃ詰め込んだ感があります。

■曲を聴いた時に、大地と風と光を感じたのですが、意識されていたんですね。個人的なベストソングは“未完成”だったんです。MVに映っている子供たちは役者さんですか?

Taka. 役者ではなく、実際の野球チームの子供たちなんです。MVに出演してもらう野球チームを探していた時、知り合いの方の協力で栃木のいろんな野球チームから集まってもらったんですけど、まぁ可愛いですよね、みんな。(笑)

■あの主人公のメガネの男の子、絶妙ですよね!

Hayato ほんとにあれね、役者さんじゃないのよね。(笑)

Taka. そうなんです。だから「エラーして!」なんて言われたこともないから「え?いいの?」みたいになっちゃって。(笑) でも上手くエラーできないと監督が「オイ!ココ(足の間)通せばいいんだよ!」みたいに怒るんですよ。それに戸惑っていて。(笑) ちょっと嫌になっちゃった子もいました……。

Hayato 大人の闇を感じたでしょうね。(笑)

Taka. Skeetとかは子供が大好きなんで楽しかっただろうね。

Hayato Skeetは子供3人くらいにずっと囲まれていました。脚に抱きつかれたりね。

■Skeetさんは子供に好かれそうなお顔してますもん。(笑)

little Skeet 休憩時間に子供たちとキャッチボールをしていたら、Taka.もHayatoも来て一緒にやって、休憩時間って言いつつみんな結構本気でした。(笑)

Hayato 言ってなかったけど、僕は撮影が終わった後3日間筋肉痛で……。(笑) もう太ももがね……ちっちゃい子やから球が下の方に来て、しゃがむ仕草が入るんですよ。それで痛うて痛うて……。歳を感じた、シンプルに。(笑)