ツーマンツアーファイナル、でんぱ組.incとともに繰り広げた熱い一夜。
Wiennersが7月から行っているツーマンツアー『TREASURE TOUR 2022』のファイナル公演が9月30日(金)にSpotify O-EASTにて行われた。この日に対バン相手としてWiennersが選んだのはでんぱ組.inc。玉屋2060%(Vo&Gt)が2012年より、でんぱ組.incに度々楽曲を提供しているなど、長く親交のある2組だ。そんな彼らが対バンするのは実に4年ぶりとなった本公演。「マジで夢みたいでしょ！」と感激した玉屋は「大事な時はでんぱ組にエネルギーをもらってます、今日はそのエネルギーを何倍返しにもしていかないとなって」と意気込み、でんぱ組.incのメンバーも藤咲彩音がWiennersへの愛を語り対バンへの喜びを爆発させたり、相沢梨紗は「アイドルの中ででんぱ組が一番玉屋さんの曲を上手く歌える自信がある」と宣言するなど、互いの存在の大きさを思わせる発言も。ジャンルは違えど、どこか似た前向きさや勢いのある彼らのシナジーが発揮されたライブとなった。
定刻過ぎ、SEを合図に登場し、玉屋が10年前に初めて彼女たちに書き下ろした“でんぱれーどJAPAN”で勢いよくステージをスタートさせたでんぱ組.inc。ユーモアもありつつエレガントな“でんぱーりーナイト”、力強い歌唱と迫力で圧倒する“衝動的S/K/S/D”へと、曲調の七変化に応じて自在に表情を操りながら、大胆な振り付けと幅広い声色で怒涛の展開を見せる。玉屋が作詞・作曲・編曲のいずれか、または全てで関わっている楽曲のみでセットリストを組んだという、でんぱ組.incにとってはライブ定番曲を集めたようなアッパー揃いのこの日。アイドルでありながらもパワフルで雄々しい歌声も得意とするでんぱ組.incの熱量を、玉屋カラーのシンセフレーズを用いたバンドサウンドに乗せて全力のパフォーマンスで伝えていく。
玉屋が作詞も手がけた“アイノカタチ”では、規模の大きい愛を感じさせる歌詞に一斉に拳が上がり、温かい一体感に包まれる。ライブでは初お披露目となった新曲“でんぱっていこーぜ!!”では、この日欠席となった鹿目凛と愛川こずえの歌割りを袖でカバーしていた古川未鈴もステージに登場、7人でキャッチーなメロディを歌い、軽快なロックチューンとともにカラフルに彩った。藤咲の「明日の事は忘れろー！仕事なんてどうでもいいー！」という威勢のいい掛け声によって更に会場の熱を上げ、続いたのは“千秋万歳！電波一座！”。ここまで全て玉屋の関わってきた楽曲、その多くが作曲を務めた曲だが、目まぐるしい展開をする楽曲のアイデアとアプローチの多様さ、そしてそれらを表情豊かに歌い踊るでんぱ組.incのフィジカルの強さには改めて驚かされる。リボンを使って華やかに見せた“でんでんぱっしょん”でステージを終えた彼女たち。フルスロットルで会場を盛り上げ、Wiennersへと繋げた。
十二分に温まった会場にWiennersが姿を現すと、「オタクもキッズもお前の好きなように楽しめ！全員ぶち上げてやるから覚悟しとけよー！」という玉屋の言葉を皮切りに“MONSTER”、“GOD SAVE THE MUSIC”で早くも開場は熱狂に揺れる。アサミサエ(Vo&Key&Sampler)と玉屋のダブルボーカルの掛け合いが楽曲をキャッチーかつパワフルに仕立てた。シンセフレーズがサイケデリックに響いた“TRADITIONAL”では、熱烈でありながらボーカルを引き立てるKOZO(Dr)のドラム、地を這うような重い低音を奏でる∴560∵(Ba&Cho)のベースを中心に疾走していく。
「今日は週末！わくわくするね、1週間お疲れ。音楽の処方箋を出すので、用法容量を守ってぶちあがってください！」と、労いを含んだ煽りの後に続くのは、アサミサエがメインボーカルを務める“Magic Bullet Music”。軽快に繰り出される言葉遊びのようなフレーズとともに優しい歌詞を奏でる。アサミサエの可愛らしい声色とこぶしやラップまで歌いのける多才さは、熱のほとばしるWiennersのサウンドに開放感を与えるようだ。先日リリースしたばかりのアルバム『TREASURE』もアサミサエの歌声の魅力をこれまで以上に感じさせるものであったが、ライブでもまた同様であった。
日本らしさとロックを大胆に混ぜた“SHINOBI TOP SECRET”、ギターソロとエフェクティブな効果音の混ざる間奏が目まぐるしい“ブライトライト”の後、“FACTION”での変拍子やビビッドな照明で会場をカオスな空気で飲み込むと、ライブは雰囲気を変えていく。玉屋がギターを置き、アサミサエとともにハンドマイクで歌ったのは、ラップ調の“ASTRO BOY (Black Hole ver.)”。その流れを汲むような“BIG BANG”では、アサミサエの早口でスキルフルなラップが光り、オーディエンスはゆったりと身体を動かす。
この日のライブでゲームチェンジャーのような存在感を担っていたアサミサエの見せ場は続き、“日本中 I WANT YOU”ではキュートな歌声とオーディエンスへのレスポンスでオーディエンスを釘付けに。でんぱ組.incファンをはじめサイリウムを持ち合わせている面々が一斉に青いサイリウムを光らせるなど、この日ならではの光景も見ることができた。
ツアーを振り返るMCの後、「全国に響くようにでっかいリズム鳴らしましょうよ！」との言葉をきっかけにクラップが鳴り響くと、様々な民族音楽の融合を思わせる“HORO NOVA AZIO”へ。強固な一体感を生み出していく。“LIFE IS MY LANGUAGE”、“真理の風”で白熱した演奏を届けると、「このツアーとアルバムで俺たちが見つけた宝物っていうのは、生きているということを感じさせたエンタメの力でした」と玉屋。そして来年のイベントやツアーの開催を示唆すると、「みんな力を貸してね。みんなは目撃者じゃなくて当事者だから！」と呼びかける。“BRAVES”で疾走感を感じさせ、“UNITY”、“よろこびのうた”とラストスパートを駆け抜けると、底抜けに明るい“SOLAR KIDS”を熱く奏でてステージを締めくくった。
アンコールではでんぱ組.incとともに、彼女たちの楽曲“サクラあっぱれーしょん”、Wiennersの楽曲“GOD SAVE THE MUSIC”を披露。そのまま再び“よろこびのうた”を終え、写真を撮って終了かと思ったライブであったが、再びWiennersが姿を現した。「呼ばれてないけど出てきた！これだけはやらせてくれ、この日のための曲だろ」と“Idol”を披露。スピード感のある曲調に乗せ、まだまだ出し足りないと言わんばかりにエネルギーを放出する。
そして颯爽とステージから捌けたWiennersだったが、突然の“Idol”に感化されたのか、いつまでも鳴りやまない拍手。「せっかくカッコよく帰ったのに！」と言いながらも再登場を果たした彼らは、“Cult pop suicide”を披露。でんぱ組.incとWienners、そしてオーディエンスのエネルギーがぶつかり合って、愛と熱量を生んだ熱烈な一夜だった。
Text：村上麗奈
Photo：かい
Wienners Official HP：https://wienners.net
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『TREASURE TOUR 2022』＠Spotify O-EAST セットリスト
でんぱ組inc.
01. でんぱれーどJAPAN
02. でんぱーりーナイト
03. 衝動的S/K/S/D
04. アイノカタチ
05. でんぱってこーぜ!!
06. 千秋万歳！電波一座！
07. プレシャスサマー！
08. でんでんぱっしょん -intro. Long-
Wienners
01. MONSTER
02. GOD SAVE THE MUSIC
03. TRADITIONAL
04. Magic Bullet Music
05. SHINOBI TOP SECRET
06. ブライトライト
07. FACTION
08. ASTRO BOY (Black Hole ver.)
09. BIG BANG
10. 日本中 I WANT YOU
11. HORO NOVA AZIO
12. LIFE IS MY LANGUAGE
13. 真理の風
14. BRAVES
15. UNITY
16. よろこびのうた
17. SOLAR KIDS
ENCORE
01. サクラあっぱれーしょん（コラボ）
02. GOD SAVE THE MUSIC（コラボ）
03. よろこびのうた
04. Idol
05. Cult pop suicide
LIVE
■コンセプトワンマンツアー
・Wienners「春雷行脚」
2022年10月24日(月) 名古屋Tokuzo
2022年10月25日(火) 京都磔磔
2022年10月29日(土) 新宿BLAZE
https://wienners.net
■東名阪2MAN SHOW
・Wienners × SPARK!!SOUND!!SHOW!!『びりびり！』
11/8(火) 渋谷近未来会館
11/10(木) 名古屋RAD HALL
11/11(金) 大阪Music Club JANUS
https://wienners.net
