BMK VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

『だって今日まで恋煩い』

「日本一逆風に強い」、3rdシングル『だって今日まで恋煩い』は様々な初挑戦で表現の幅を広げた一作。

5人組ボーイズグループ、BMKが3rdシングル『だって今日まで恋煩い』をリリース。プロデュースを手がけたのは“グッバイ宣言”などを代表曲に持つボカロP・Chinozo。今までのBMKには見られなかったようなキュートな一面も見ることができるキャッチーな楽曲となっている。本インタビューでは、さまざまな初挑戦を試みた楽曲制作についての思いを中心に訊きながら、サブリード曲“Monster G”にまつわる質問や、レコーディング前の曲の覚え方など、多岐に渡り、中原聡太、米谷恭輔、三隅一輝、松岡拳紀介、佐藤匠、5人にたっぷりと話を訊いた。個性豊かなメンバーの考えの違いやチームとして高め合う姿が垣間見れる、和気あいあいとしたインタビューになった。

■“だって今日まで恋煩い”は、プロデュースがボカロPのChinozoさんですね。Chinozoさんの楽曲を歌うと決定した時はどういうお気持ちでしたか?

松岡 とにかく嬉しかったですね。ボカロPさんにプロデュースしていただくっていう驚きもありました。

中原 Chinozoさんのボカロの楽曲自体は聴いたことはあるんですけど、自分たちの声が入った時に「どういう曲の仕上がりになるんだろう?」っていうのはデモをいただいた時から思っていて。すごく楽しみであり、不安でもありました。

■デモ曲のボーカルはボーカロイドだったんですか?

中原 そうですね。ボーカロイドでした。

米谷 僕たちが歌ってどのくらい可愛く歌えるのかっていう。本当にデモ曲がもう作品として完成していたんですよ。

佐藤 カップリングで発売したいくらいしっくりきていたので。なので、あえてそれに縛られないで、自分の癖をたくさん出して歌ったりしましたね。

■既に作品になっているデモ曲を自分たちのボーカルで壊すところから始めるというか?

佐藤 そうですね。それでChinozoさんに返して、歌割りを決めていただいたんです。めちゃめちゃ怖かったんですよ。

■Chinozoさんが決めた歌割りだったんですね。歌割りを見てみていかがでしたか?

佐藤 今まで自分たちが担っていたパートじゃないところを担当している感じがして。僕たちの声だけを聴いてパート割りをやるってなった時に、普段と全然違うパート割りをしてくださるんだって驚きました。いいところは米谷が全部持って行ったんですけど……。(笑)

■そうなんですね。(笑)

米谷 実力ね。

三隅 実力って言われるともう何も返せない。(笑)

佐藤 実力で持っていかれるなと思ったので、僕はもう個性で勝負していきました。でも個性だけでは生きられない時代になってきましたよ、技術力もないと。

松岡 生きにくい時代ですね。(笑)

米谷 歌はあえて無機質な感じであったり、逆に感情を出してとか、いろんなパターンで録ったので、完成するまでどのテイクが使われているかもわからなかったんです。完成したものを聴いて僕らも驚きました。

■面白い作り方ですね。できあがったものを聴いて、三隅さんはいかがでした?

三隅 めちゃくちゃ素敵でした。自分たちの楽曲なんですけど、何回も聴いちゃうくらい大好きで。1回聴いただけで耳から離れないというか、「すっ」と入ってくる楽しい楽曲になったと思います。自分たちの声が乗ったことによってより愛着が生まれて、今とっても好きな曲です。

■いろんなテイクを録ったという話もありましたけど、これまでの楽曲よりもカッコつけない、ラフな感じが声に出ているような気がしたんです。他の曲とは曲調も大きく違うと思うんですが、「特にこういうことを考えて歌った」などありますか?

松岡 実力者に訊きますか!(笑)

米谷 (笑) 今までの楽曲とは違った、独特のリズム感だったり、ボーカロイドならではの音域の上げ下げがすごく印象的だなと仮歌の時から感じていて。淡々と歌っているだけで似合う曲でもあるし、あんまり感情を入れすぎるとくどくなりすぎちゃうと思って、いい意味で淡々と歌いながら、人間の温度感っていうんですかね、聴き流して心地いい感じの力加減で歌うようにレコーディングの時は意識しました。

佐藤 いいかお前ら!メモしたか?!

松岡 勉強になりました。(笑)

■イラストのMVも可愛らしいですね。

中原 個人的に好きなのは、実際のダンスにもあるんですけど、1サビの終わりで1人ずつポーズを取っていくんですけど、米ちゃんだけ間違えるんですよ。そこのアニメーションがめちゃくちゃ可愛いなと思って。そこがお気に入りですね。そういうところも忠実に再現してくださっているので、愛を感じました。

三隅 このMVは楽しんで見れますね。今までは僕たちがリップシンクしたり、踊ったりっていう形で、もちろんそれも楽しくやらせてもらったんですけど、どうしてもカッコつけなきゃいけないじゃないですか。ちょっとこっぱずかしさがあるんですよね。やっている時は楽しいんですけど、できあがったものを見れば見るほど恥ずかしさが込みあげてきて。でも今回はイラストなので、「楽曲楽しい!」っていう思いで見られるっていう。実写だと自分たちのパフォーマンスのよさを知ってもらえるっていうのもありますし、イラストだと先入観なしにいろんな方に見ていただけるっていうメリットがあるので、どっちもいいなと思いつつ、個人的には今回のイラストのMVはすごく好きです。

■再生回数もすごく伸びていますよね。反響は感じますか?

米谷 YouTubeの再生回数で日々実感しているんですけど、他にもLINE MUSICでキャンペーンをさせてもらった時に、LINE MUSICのリアルタイムランキングで常に10位入りをさせてもらったりとか、TikTokも踊ってみた動画だけじゃなくて、この楽曲を使って「モテるために必要なこと」を説明する動画とかを「壱の巻」「弍の巻」っていう歌詞に合わせて作ってくださったりとかして。そういう広まり方をしているのは今回が初めてに近いので、すごく実感していますね。

佐藤 ライブで初披露した時はめちゃくちゃ緊張したんですよ。僕たち自身、今まで「逆境を跳ね返す」って言ってメジャーデビューしてきたのに、恋愛にうつつを抜かすのはどうなんだっていう。(笑) でもいざ披露すると、みんな初めて僕たちにキュンキュンした顔をしてくれて。こういうのもいいんだっていう気持ちになれたのが、すごく嬉しかったですね。グループの幅が広がったなっていう感じがしました。

■“だって今日まで恋煩い”を初めて聴いた時、みなさんのキャラクターととても似合っていると思ったので、不安があったという話は意外でした。カップリングの“Monster G”はまた雰囲気がガラッと変わりますね。どういう意識で歌いましたか?

松岡 僕はこのまんまって感じですかね。(笑) 僕たちのデビュー曲が“モンスターフライト”、次が“Beat Monster”で、モンスター3部作の最後だったので、比較的今までのBMKだよねっていう曲で。「ジーニアス」って「天才」っていう意味なんですけど、レコーディングしてくださる方とかに「ジーニアスだねぇ!」って言われて嬉しかったですね。「いろんなジーニアスがいるよ」っていう曲なので、ジーニアスっぽい感じで歌いました。だけど、それが具体的になにかはよく分かりません。(笑)

■(笑) 気持ちから作ったと?

松岡 はい。「俺はジーニアスだ!」っていう気持ちはあります。

米谷 結構繰り返すフレーズがたくさんあるので、そこは単調にならないようにしました。歌詞カードを見ると遊び心もあったりして、でもメッセージ性の深いものとかもあったりするので、ライブでやっていても熱い気持ちに持っていけるし、すごくバランスの取れた曲で素敵だなって思います。

佐藤 今までより歌詞が選抜の部分がたくさんあって。サビもユニゾンじゃなくて選抜って書かれていたので、全部録っていいところを取るっていう感じでした。恨みっこなしで頑張りましたね。

■この曲のお気に入りの部分はありますか?

三隅 僕は頭の部分が特に好きですね。同じ文字を繰り返す感じとか。僕はいつも楽曲を頂いたら、「近しい楽曲ないかな?」というのを探して聴いてみて、自分の中に落とし込んで、「じゃあ自分がこの曲を歌う時はどうする」っていうのを考えてレコーディングに入ることが多いんです。今回もいくつか見つけた曲を聴きこんで、「こういう感じかな」って解釈してレコーディングに挑んだので、特に聴きこんだサビと頭の入りは好きですね。

■いつも「雰囲気が似てるな」っていう曲を探していらっしゃるんですか?

三隅 そうですね。特にやったことのないような、それこそ“だって今日まで恋煩い”もそうです。でもメンバーに訊いたら、訊いた分だけレコーディング前の聴き込み方はあると思います。

■是非みなさんにも訊いてみたいです。

佐藤 僕はインストがすごく好きなので、リズムとかを聴くことが多いです。“Monster G”は、結構リズムよくいかないとユニゾンが合わないんですよね。そこをはっきり合わせなきゃいけないので、ずっとドラムの音を聴いて、「伸ばしはここまで」とか、そういうのを考えて。あとは楽器を味方にする。「ここで盛り上がってきているから気持ちを上げる」とか、きっかけをしっかりとどの楽曲にも作っていくと、どんなに気分が落ちていたりとか、ライブの中盤で疲れていたりとかしても、その楽曲に助けられて気分が戻りますね。やだー、本格的な話しちゃった!(笑)

■松岡さんはいかがですか?

松岡 僕は仮歌をいただいた時に、「自分の好きなアーティストとかが歌ったらどうなるんだろう?」みたいなイメージはしています。

■三隅さんと近いですね。

松岡 そうですね。「そのアーティストが歌ったらこうなるのかな」みたいな。それに近づけるようにできればっていうことは思っています。中々できないんですけどね。

中原 僕と松岡がラップパートを担当することが多いので、僕は今まで培ったものをよりレベルの高いものにできたらなって思いながらレコーディングしています。あとは1人ずつ歌っていくパートは、自分1人で完成させるっていうより、みんなで歌い繋げていくっていうのを意識するようになりましたね。自分のフレーズだけで完結っていうんじゃなくて、次の人に渡すっていう意識を強めています。

米谷 僕は楽曲を覚える時に、歌詞カードを見ながらとかじゃなくて、部屋でずっとかけっぱなしにしています。シャワーの時とかでも、耳で馴染ませる感じで覚えて、レコーディング当日の30分前くらいに発声しながら歌詞カード見て、伸ばすところとかを覚えていくっていうスタイルでずっとやっています。最初からずっと覚えていくと自分の主観でしか歌詞とかメロディを捉えられないので、当日の新鮮な気持ちのまま、歌を邪魔しないようにっていうのが個人的なこだわりです。