ミイナ・オカベ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

日本語はホームを感じさせるような温かさを感じる言語。

コペンハーゲンを拠点に活動するシンガーソングライター、ミイナ・オカベ。デンマークと日本をルーツに持つ彼女が、初となる日本独自EP『Flashback EP』をリリース。本作には、フジテレビ系月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』の主題歌“Flashback feat. Daichi Yamamoto”をはじめ、インスタグラムのリールによって世界的に話題となった“Every Second”など、全6曲が収録されている。
今回は来日中のミイナ・オカベにインタビューを決行。先日開催された、彼女にとって初の日本ステージとなった『Local Green Festivalʼ23』の感想から、EPの制作について、日本語という言語について感じることなど、話を伺った。

■まずは2023年9月に初の日本でのイベント『Local Green Festivalʼ23』に出演した感想を教えてください。

ミイナ すごく素晴らしい経験でした。初めての日本でのショーだったのですごく嬉しかったですし、ライブをするために日本に来ることがずっと夢だったので、それが叶って嬉しいです。歌っている時に、みなさんが一緒に歌ってくれたのも嬉しかったです。またすぐに日本でライブをやりたいと思っています。

■ライブをしていて、日本ならではのお客さんの反応や、会場の空気感を感じることもありましたか?

ミイナ 感じました。日本のみなさんはすごく音楽に耳を傾けて聴いてくださって、すごくリスペクトを感じました。場所やライブによってもお客さんの反応は全く違うのですが、例えばデンマークのフェスだと、みんなすごく酔っぱらっておしゃべりしながら楽しんでいたりするんです。もちろんそこでもリスペクトは感じますし、どちらの楽しみ方も良いのですが、こんなにも違うんだなと。バイブスの違いをすごく感じましたね。

■今回のEPについても伺いたいと思います。EPの表題曲である“Flashback feat. Daichi Yamamoto”は、ラッパーのDaichi Yamamotoさんを迎えた楽曲ですが、彼との制作はいかがでしたか?

ミイナ 日本人のプロデューサーやアーティストと作業したのは初めてのことだったので、素晴らしい経験になりました。プロデューサーの小袋成彬さんとDaichiさんの2人とも本当に素晴らしい方々ですごく楽しかったですし、自分にとって新鮮な曲になりました。

■“Flashback feat. Daichi Yamamoto”は日本のドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』の主題歌になっていますが、それについてはどんな思いがありますか?

ミイナ 月9というものがどれだけ大きなものかというのも母から聞いていたので、この機会をいただけたと聞いた時は信じられなかったです。母にも伝えたらすごく驚いていました。(笑) 日本語で書かれたオリジナル曲は初めてでしたが、やってみたかったことのひとつでもあったので、とても嬉しくて。ドラマの終わりに自分の歌声が流れてきて、やっと現実になった感じがしましたし、すごく嬉しかったです。本当にありがたい機会をいただけたなと思います。

■今まで日本の映画やドラマには親しまれてきたのでしょうか?

ミイナ 子供の頃は毎週土曜日に日本語の学校に通っていたので、そこで日本の映画やテレビ番組は観ていました。『千と千尋の神隠し』や『となりのトトロ』、『アンパンマン』や『ドラえもん』などです。『アンパンマン』はさすがにもう観ていないですけど、スタジオジブリの作品は大人になってからも観たりしています。

■ミイナさんにとって日本はルーツの国のひとつだと思いますが、日本語を見聞きする中で感じる日本語の魅力や、今回日本語で歌ってみて感じた特徴などはありますか?

ミイナ 母親が日本人ということもあって、自分にとって日本語はホームを感じさせるような言語なんです。なので、例えば海外にいる時に日本語が聞こえてきたりすると、すごく温かさを感じたり、ホーム感を覚えたりもします。それはデンマークの言語も同じです。そのサウンドが自分にとってはそういう存在なんですよね。でも音楽的に言うと、話す日本語と歌う日本語はまた少し違うんです。歌う場合は、どの部分を強調して歌うのかといったことをいろいろと試しながら慣れていかないといけないので、話す時とは少しマインドセットが違うなと感じました。今回の“Flashback feat. Daichi Yamamoto”は日本語で書かれたオリジナル曲としては初めての楽曲だったのですが、ドラマの話をいただいたことも含めて、自分にとっては挑戦だったので、発音も完璧にしたいと思っていました。フジテレビの方やDaichiさんなどにも満足していただけるような、ハッピーになってもらえるような完璧なものを目指しました。自分も半分日本人なので、この曲を完璧に歌えるようにすることは大きな意味があることでしたし、すごく楽しいチャレンジでした。

■日本語で歌うにあたって、特別な練習などは行ったのでしょうか?

ミイナ 今回はスピード感のある制作だったので、考えすぎる時間がいい意味でなかったんです。なので、特別な練習はあまりしていなくて。曲としてもジャジーな感じでしたし、即興的に自分のやり方で歌ってみたり、アドリブを入れたり、メロディーを自分なりにアレンジしてみたりしながら、直感をちゃんと捉えられた曲になったと思います。トレーニングをしすぎていないことが逆によかったのかなと思います。

■今回のEPには、世界的にトレンドとなった“Every Second”も収録されています。ミイナさんはこの楽曲の世界的なバズをどのように受け止めていますか?

ミイナ すごく予想外のことだったので、ありがたいの一言に尽きます。“Every Second”の動画がインスタのリールでここまで広がったことによって、他の自分の音楽も発見してもらえたので、SNSにも感謝しています。

■“Flashback feat. Daichi Yamamoto”や、“Every Second”の他に、今回のEPや9月にリリースしたアルバム『Better Days』の収録曲の中で、ミイナさんが特に印象深く感じている曲はありますか?

ミイナ 今までの全ての楽曲が、自分の正直な気持ちを歌詞に書いたものですし、パーソナルなものなので思い出はあるのですが、特にアルバムに収録されている“Let Me Down”という曲は特別な曲のひとつだと思います。この曲は自分が高校生の時に書いてSoundCloudにアップした曲なんです。まだレーベルと契約する前だったので、すごくわくわくしながら「将来音楽でやっていけたらいいな」とか、「音楽を仕事にして世界を周れたらいいな」とか思っていて。この曲を聴くと、今でもその時の気持ちを思い出すので、“Let Me Down”は特別な曲だと思います。