今まで私の曲を聴いたことがない人たちにも聴いていただける機会になれば嬉しい。
山本彩が3ヶ⽉連続配信リリースの第2弾として、『ブルースター』を3月27日に配信リリース。今作はTOKYO MX /MBS/BS朝⽇アニメ「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」のエンディングテーマとなっている。⼭本彩がヒロイン ネフィの⼼情に寄り添って書き下ろしたバラードで、編曲は多くのヒットソングを⽣み出す杉⼭勝彦を筆頭に迎え、美しく儚く仕上がった⼀曲となっている。今回は今作の制作についてや、現在行われているホールツアーについて、5月から行われるアジアツアーへの意気込みなど、いろいろと話を訊いた。
■今回の新曲は、TV アニメ「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」のエンディングテーマとなっていますが、今作はいつ頃から制作を始められたのですか?
山本 このお話をいただいたのが去年の5月頃だったので、そこから作り始めて9月頃にレコーディングをした感じです。
■今回の制作にあたり原作を読まれたと思いますが、作品を読んだ感想はいかがでしたか?
山本 率直にすごく面白いと思いました。ラブコメなのでラブの要素もあるし、コメディの要素もあるんですけど、困難に立ち向かう場面では勇気をもらったり、いろいろな要素がたくさん詰まっている物語だと感じました。読み始めたらすごく夢中になっていて、気がついたら読み終えていたっていうくらい、すごく没入感のある作品でした。
■今作はヒロインのネフィの心情に寄り添って書き下ろされたとの事ですが、制作は作詞からですか?それとも作曲からですか?
山本 今回は作曲から始めましたね。
■作曲に関してはいつもギターを使って制作されているのでしょうか?
山本 そうですね。ギターで作曲しました。
■今作の作詞にあたり、大切にしたモチーフなどはありますか?
山本 今回は「ネフィの目線で歌詞を書いていただきたい」と依頼を受けたので、それをベースに作品を読ませていただいて、物語が進むうちに、最初は閉ざされていたネフィの心がだんだんと開いていく様を歌詞で表現できたらいいなと思って書き始めて、ネフィと主人公ザガンの関係性は「深い愛でつながっている」というところだと思ったので、曲名にもなっている“ブルースター”という花の花言葉の「信じ合う心」「幸福な愛」という意味とぴったりだなと思って、このタイトルにして歌詞が完成しました。
■なるほど。ちなみに作詞をする際のインプットなどはどのように行っているのでしょうか?
山本 本などを読んだ時に初めて見る言葉などがあったら、辞書で意味を調べてメモをしておいたり、あとは「なにかヒントにならないかな?」と辞書を適当に開いてみて、ちょうどそこに書いてあった単語を使って歌詞を書いてみたりもします。
■そうなんですね。ちなみに作詞するのは普段からそうやって歌詞を書き溜めておく感じなんですか?それとも「今日は作詞をするぞ」と決めて歌詞を書き始めるんですか?
山本 リリースが決まっていて制作に入る場合は、そうやって決めて作詞に取り掛かることが多いかもしれないですけど、そうじゃない場合は、さっきみたいな感じで書き溜めておくことの方が多いですね。
■山本さんは作曲もされますが、曲の方のインプットなどはいかがですか?
山本 やっぱりいろいろな曲を聴いたりとか、他のアーティストさんのライブを観に行ったりとかもしますし、あとは映画のサントラ盤も好きでよく聴いています。映画を観る時も、どういうシーンの時にどういう音が鳴っているか、どういうメロディが合うのかにも注目して観ています。
■確かにそういう視点で映画を観ると、また違った感覚で音楽を楽しめる気がしますね。
山本 でも映画はやっぱり音の重要性が高いと思うので、そういうところから学ぶことが多いですね。
■今作のレコーディングで気をつけたことや、苦労したことなどを教えてください。
山本 今回の曲は1曲の中でもキーの高低差が割と激しくて、Aメロが低いのに対して、Bメロからサビで結構上がっていくので、音域とアレンジの広さが歌ってみて大変だったなって思いました。でもそのおかげでよりこの曲のダイナミクスが表せているのかなと思います。
■今作“ブルースター”の聴きどころや注目ポイントを教えてください。
山本 私が個人的に気に入っているのは、Dメロの「ほらもう夜が明ける」のところで、楽曲の中でも一番ピークで高まるところだし、そこの私の開いた歌声もポイントなので、ぜひ注目して聴いてみて欲しいです。
■歌詞の中に「癒えない傷でも ⼀⼈の寂しさに⽐べれば なんてことない」とありますが、山本さんはソロで一人になってからだいぶ経ちますが、寂しいと感じることはありますか?
山本 もう最近はなくなりましたね。(笑) でも最初の頃はだいぶ孤独でしたよ。グループからソロになったという物理的な孤独もそうだし、周りにサポートしてくれているバンドメンバーやスタッフさんたちがたくさんいるんだけど、これまで長年一緒にやってきた人たちではなかったので、そこでまた一から人間関係を築いていかないとっていう意味での「一人ぼっち感」が当時はありましたね。今はグループ時代にメンバーと作っていった絆みたいなものを、バンドメンバーの人たちやスタッフさんたちと作れていると感じているので、だいぶ孤独感はなくなってきた気がします。
■またグループでの活動やユニット、バンドなどをやってみたいと思ったりもしますか?
山本 思いますね。もともとバンドをやられていてソロになるパターンって結構あると思うんですけど、椎名林檎さんみたいにソロでやられているのに、東京事変を組まれたりもしているので、そういうのもすごくいいなと思います。「一人の孤独を分かち合いたくて東京事変を組んだ」みたいな一節を見たことがあって。自分も元々バンドが好きだし、昔バンドをやっていたこともあったので、そういうのもまたやってみたいなっていう気持ちもあります。
■現在はホールツアーを回られていますが、ツアーの手応えはいかがですか?
山本 結構いい感じじゃないかなと思います。割と今回は自分がやりたいこととか、こういうふうに見せたいというものを、準備の段階から取り入れていただいていて、だいぶ実現して形にしていただいているので、すごく自分のやりたいことが詰まったライブになっています。みんなにも喜んでいただいていて、感想にしても、ライブ中のリアクションにしても、すごく盛り上がってくださっているので、いいライブができているなっていう手応えを感じています。
■昨年はライブハウスツアーを回られていましたが、ライブハウスでのライブとホール公演とでは、ライブをやる感覚や心持ちは違いますか?
山本 全然違いますね。ライブハウスは物理的な距離の近さがメンタル的な距離の近さにも比例するっていうか。個人の感覚的なものかも知れないんですけど、そういうイメージがあるので、割と勢いでいけるというか、「考えるな感じろ」じゃないですけど、音で乗り切れる感じがあるんですけど、ホール公演は一定の距離は保ちつつも、見せるものは見せないといけないし、一緒に作るところは一緒に作らないといけないので、結構別物な感じがします。
■山本さんご自身はどちらの公演の方が向いているとかありますか?
山本 う〜ん……ライブハウスはライブハウスの楽しさがあるんですけど、今回のホールでのお客さんのリアクションとかを見ていると、こういったパフォーマンス重視というか、見せるライブがみんな好きなのかなって思ったし、大事にしていきたいなって思いました。
■5月からはソロ活動後初となるアジアツアーも始まりますが、意気込みも含めてどんなライブになりそうですか?
山本 ソロでは初めての海外ライブなので、自己紹介的な謙虚な気持ちもありますし、せっかく海外に行くからには、今の自分とこれまでの自分を全部ひっくるめて、何か爪痕を残して来たいなという思いもあります。