『ユイカ』 LIVE「Sanvitalia」ライブレポート@東京国際フォーラム ホールA

夢の舞台で力強く歌う「人生」の歌。

活動5周年を迎えた『ユイカ』が、9月21日(月・祝)に東京国際フォーラム ホールAで単独ライブを開催した。ライブタイトルになっている「Sanvitalia(サンビタリア)」は、ヒマワリに似た小さな花。生憎台風が接近して荒天の雨模様となったシルバーウィークの中日。それでも会場にはたくさんのファンが押し寄せ、ライブの開始を今か今かと待っていた。開演時間を過ぎ、歓声が上がる中でスクリーンに咲く花。それが夏の女神めいたメインビジュアルへと変わり、時計の秒針と学校のチャイムの音に変わっていく。夏空を背にした教室。そこに白いワンピースを纏った『ユイカ』が現れ、会場は大きな拍手に包まれた。

スポットライトを浴びながら爪弾かれ始める“好きだから。”は、バンドの力を借りて両片思いの甘酸っぱさがムスクのようにふわりと香る。夏の終わりに似合う“そばにいて。”は、ドラムとベースの絡み合いが印象的だ。恋から友情の歌へ、『ユイカ』の「愛」は形を変える。「みなさんこんばんは『ユイカ』です!ようこそ「Sanvitalia」へ!台風どんぴしゃだけど、今日は最後まで楽しんでいきましょう!」そう話す『ユイカ』曰く、今回のライブのテーマは「今までの『ユイカ』と、これからの『ユイカ』をどんなものにしたいかみなさんに伝えたい」とのこと。そのまま彼女は、眩い青色がステージを包み手拍子とシンガロングを誘う“ひそかな願い。”、ギターを降ろしてハンドマイクを持ち“わがまま。”と続ける。そして“一途な女の子。”、“序章。”で歌声を遊ばせ、転換でスクリーンに映るのは、これまでの『ユイカ』の歩みだ。「諦める理由が欲しくて始めた音楽が、気づけば諦められない理由になっていった」の言葉が胸に刺さる一瞬。1stライブからの歩みも懐かしさを誘う。

「全員私が今日、連れていく。みんなが知っている『ユイカ』も、みんなが知らない『ユイカ』も、全部私だから。今日、貴方にSanvitaliaの花言葉を贈ります。『私を見つめて』」赤と黒のドレスでイメージを一転させ、再登場した『ユイカ』は、“運命の人”で光の網に絡め取られれば、“嘘”でバンドメンバーを紹介し、“私のまま”を続けていく。桜想”になると、ステージ背後の幕が上がり、『ユイカ』はそこに現れたグランドピアノに指を滑らせる。弦楽四重奏の音色に歌声が力を帯びて、背後には無数の星が煌めいた。

ピチカートの中でドレスの裾を揺らし、階段に腰掛けて“イマジナリーフレンド”や“残酷になりますように”を歌えば、弦楽とバンドが協演するパートへ。それを経て、爽やかなイエローのブラウスとパンツスタイルに着替えた『ユイカ』は、「みんなまだまだ盛り上がっていくぞー!」と叫び、“おくすり”、“ローズヒップティー”、“恋泥棒。”と続けていく。「S・O・S!」のダンスを観客に呼びかける“さんかくゲーム”では、恋愛ゲーム風のアニメーションがポップに流れる中、ハンドマイクで歩き回り、時に座り込んで駆ける『ユイカ』。会場も大盛り上がりでホールを揺らす。

息切れ気味の『ユイカ』がMCのためにマイクを持つと、「頑張れ!」の声が飛ぶ。「みんな今日は足元が悪い中、来てくれてありがとう!」と感謝した彼女は、本公演がU-NEXTで独占配信されること、そして1stライブも配信されることを明かした。大歓声の中、「次の曲は『人生とは』と考える機会があった時、『選択していくこと』が人生だなと思った。その道を選んだのは自分だから、後から振り返った時、選んできた道を愛おしく思えると良い」と話す。そして降り注ぐロックバラードを浴び、真っすぐな言葉が胸に浸み込む“私が選んだもの”を歌い上げた。立ちのぼる光を集めて、光の花が回転する中で、かつて抱いた決意を歌う“紺色に憧れて”、マーチ調のドラムの中、どこまでも歩いていける歌声で伸びやかに“ラストティーン”をドロップ。

そして先日リリースしたEPの中から「みなさんの声があってこそ完成する曲」だという“翠色に贈る”で大合唱を抱き、次の曲“ぜーんぶまちがえてね!”は撮影OKに。視線をさまざまなところに送り、軽く手を振る『ユイカ』は、ほんの少し恥ずかしそうにも見えた。おどけたポーズで「ありがとー!」と〆た後、“青春は見えない”ではタオルを振り回し、大ホールの床が揺れる。そして最後の曲はファンに「なんだと思う?」と問うた後、「みんな不正解!まだ誰も聴いた事が無い新曲を歌います!」と、みんなを照らしたいとの気持ちを込めて、今日どうしてもやりたいと思って作った新曲“何者でもなかった私だから”でライブ本編を終えた。

少し長いアンコールを経て、あらためて現れたホーンセクションの豪勢な響きと共に再登場した、ゴージャスなドレス姿の『ユイカ』は、誰もが感嘆の声を上げる光の雨の中で、“17さいのうた。”を熱唱。かつての自分が未来の自分へと書いた詞が、今の自分に歌われることによって、色合いと意味合いを変えていく。これ以上ない美しさで歌い終えると、『ユイカ』はバンドのみんなもジャケットを着てフォーマルな雰囲気になっていることを話す。そして6/8拍子の優雅なメロディの中、ドレスを膨らませて“生きましょうね”を踊る。11人ものサウンドを背負ってもその透明な声は強い。“すないぱー。”になると、ドレスの裾を持ち上げて階段を駆け下り、勢いよく観客席へと走って行く『ユイカ』。ステージではジャケット姿のバンドメンバーが遊び、飛び散る銀色のテープとライトが束の間のショウを彩った。

Wアンコールに呼ばれて感謝の言葉を贈った『ユイカ』は、「こんなに長いライブに付き合ってくれてありがとうございます」と、3時間にも及ぶライブへまずは感謝する。「もうやる曲が無いです……」と言いつつ、彼女はせっかく夢で目標でもあった場所でやるから、こんな大切な日に歌いたい曲、との理由で再び“好きだから。”を歌う。ひとりでギターを弾き始め、初めて顔出しをして少し恥ずかしそうにはにかんでいた少女が、立派な「大人」、そして「アーティスト」となって、大きな会場で人々を沸かせるこの瞬間。それは何よりも尊く、「成長」という単純な言葉では片付けられない感動があった。「今日はありがとうございました!『ユイカ』でした!」ライブ終了後には、自身最多・最大規模となる全国ホールツアー『ユイカ』TOUR「Anemone」の開催と、オフィシャルファンクラブの開設、さらに新曲“何者でもなかった私だから”が、アニメ「私をセンターにすると誓いますか?」のOPに決定したことを告知。『ユイカ』の歌声はますます大きく広がって、さまざまな場所で響いていくことだろう。

Text:安藤さやか
Photo:高田 梓

『ユイカ』LIVE「Sanvitalia」@東京国際フォーラム ホールA セットリスト
01.好きだから。
02.そばにいて。
03.ひそかな願い。
04.わがまま。
05.一途な女の子。
06.序章。
07.運命の人
08.嘘
09.私のまま
10.桜想
11.イマジナリーフレンド
12.残酷になりますように
13.おくすり
14.ローズヒップティー
15.恋泥棒。
16.さんかくゲーム
17.私が選んだもの
18.紺色に憧れて
19.ラストティーン
20.翠色に贈る
21.ぜーんぶまちがえてね!
22.青春は見えない
23.何者でもなかった私だから

ENCORE
01.17さいのうた。
02.生きましょうね
03.すないぱー。

W ENCORE
01.好きだから。