■この曲で描かれている二人はどういう関係なのでしょうか?
有華 必ずしも恋愛関係とは限らないんです。両親でも、友達でも全然いいですし。確かに恋愛をモチーフにして書いたんですけど、別に「これで聴いてください」というのは特にないんです。でも、「愛と呼ぶにはさ 恋と呼ぶにはさ とても悲しすぎるの」という所には、確かに消え去っていない気持ちがあって。そこから書いた歌詞ではあります。
■この曲はどうして「カフェオレ」でも「サイダー」でもなく、「レモネード」なのでしょう?
有華 レモネードって、甘い飲み物かと思いきや、レモンの酸っぱさがあるじゃないですか。だからこう、まだ酸っぱさが残っているというか、そういう意味合いから“レモネード”にしました。カフェオレじゃ苦みは少しあるけどまろやかすぎますね。(笑)
■有華さんにとって、恋って酸っぱいんですか?
有華 いや、酸っぱいでしょ!(笑) でも苦くもあるし、なんて言うんだろう……もちろん甘さもあるし、でもどっちかっていうと、苦しくなったり。それが苦さに例えられるのかもしれないですけど、いいことだけじゃない、やっぱり苦しくもある、というのを出せたらいいなと思いました。私はこの曲は、女性の方から振っていると考えているんです。にもかかわらず、想いが残っているから、この人はもう早く次に進みたいんですよね。もう次に進みたいんですけど、進めない……というのを表現しているので、それが伝わったら嬉しいです。
■伝わっていると思います。そしてこの曲のもっと具体性を増したものが“嫌いになれたら”だと感じました。“レモネード”は関係性がふわふわしていますが、こちらは同棲していたんだろうなと。
有華 そうですね。家を出て行かれてすぐに感じている気持ちをイメージして書いた曲です。一緒に住んでいた場所から男の人だけが出ていくという設定で、その情景が浮かぶような歌詞にしています。
■「女の恋は上書き保存」などとよく言われますが、この曲くらい想っていても、いつかは忘れちゃうんでしょうか?
有華 そうですね。(笑) 前の恋を忘れる方法は、私的には一択で、「次の恋をするしかない!」と思っているんです。前の人への気持ちが消えるぐらい違う恋をするしかない。まぁそれは人それぞれですけどね。
■上書き保存がいいですね。(笑) でも曲は基本的に「名前をつけて保存」じゃないですか。曲に込められている感情が時間とともに変化していくことはあるのでしょうか?
有華 いや、私は最初に作った感情をそのまま歌うタイプです。多分これから何十年と歌っていっても、曲を作った時の気持ちに戻って歌うんだろうなと思います。
■それでは、曲は「名前をつけて保存」で、自身の恋愛は「上書き保存」タイプなんですね。(笑) それにしてもこんなにたくさんの素敵な恋の歌はいつ思いつくんですか?
有華 私は恋愛が大好きなんですよ!(笑) 自分がするだけじゃなくて、友達とする恋バナも大好きなんです。
■恋愛リアリティショーも?
有華 そうそう!恋リアを見るのも大好きです。だって、恋って何よりの人生勉強だと思っているんです。人との接し方もそうだし、どういう言葉で気持ちを伝えたらいいかとか、全てを学べると思っているから。恋愛の中で失敗することも大事だし、とっても興味があるので、それが曲の中にも出ているのかなと思います。
■そして“うたでつなごう”ですが、この曲が一番ストレートに感じました。
有華 そうですね。やっぱり「歌で繋がったからこその縁だよな」というのがあって。これは今までライブだけでやっていた楽曲なんですけど、やっと音源化できるので、アルバムの最後にこの曲を入れることによって、「あなたと私はライブで会えなくても繋がっているよ」ということが伝えられたらいいなと思います。
■「歌で誰かと繋がっている」と感じた、初めての経験はいつですか?
有華 私は幼少期から「気づけば歌っていた」みたいなタイプなんです。それで家族ともいろいろとコミュニケーションが取れたし、友達とも、歌が好きな子といろんな歌真似とかして友情関係を築いてきたというのがあるし、今までの人生はほとんど音楽で繋がっているんじゃないかなと考えています。この曲はコロナ禍の時に「みんなと会えなくて……」というところから生まれた曲なので、その時期っぽい曲でもありますね。
■この曲も「節目の曲」という感じがしましたが、“またね”もリリースの季節にぴったりな、節目っぽい曲になりましたね。
有華 そうですね。最初は卒業シーズンだし、卒業の歌を書こうという気持ちだったんですけど、学生だけじゃなくて、社会人になる時や、人生が終わる時、いろんな別れの時の歌になりました。そういう時って「さよならバイバイ、もう会えない」みたいに思いがちだけど、私は「さよなら」という言葉がすごく嫌いで、「また会おうね」という方が気が楽なんです。そういうような曲になればいいなと思って書きました。
■ここで歌われている「君」にはモデルがいるんですか?もしくは自分自身のことですか?
有華 自分自身のことです。自分の中にもうひとりの自分がいるような感覚があって、落ち込みそうになった時なんかに囁いてくれる、そういう存在がいてくれるから今の自分があると思っています。だけど、もしかしたら聴く方によっては、「君」が親友だったり、家族とかだったりしたらいいなという気持ちですね。
■お話の通り、“またね”は有華さん自身の歌であるような印象が強かったです。内側に向けた歌というイメージもありました。
有華 そうですね。2番の部分はすごく「有華ちゃんのことだろうな」と思ってもらえるんじゃないかな。ファンの方って、私のこと一番わかっているじゃないですか。だから、この歌詞から「あの時もしかしてこう思っていたのかな」とか思い描いてもらってもいいし、私もこういう、あんまり人に言いたくない部分をみんなに伝えることによって、誰かが心を開いてくれたらいいなと考えています。
■ありがとうございます。さて、今年もこれからツアーやイベントが予定されておりますが、ファンの方に楽しみにしていてほしいことはありますか?
有華 やっぱり“うたでつなごう”もそうですけど、歌は人の心を動かすパワーがあると思います。だから、もちろん歌で繋がりたいのが一番ですが、ライブやイベントでこうやって会える機会は「当たり前」じゃないと思っているので、サインをしている時の会話とかから私もいっぱいパワーをもらえたらいいな。
■ニューアルバムはどんなふうに楽しんでほしいですか?
有華 今作は「部屋に飾れるように」という意味合いをもって、ジャケットをレコード盤ぐらいのサイズにしたんです。このアルバム自体を「あの時いっぱい聴いたなぁ」みたいな思い出にするのもいいし、ジャケットを飾っておくことで「頑張ろう!」と思ってもらえるものになるのもいいですし。このアルバムが何かその人にとっての支えになってくれたらいいなと思っています。
■考えようによっては、これが30代初めてのアルバムになりますね。ということで、30代で何か達成したいことはありますか?
有華 「より多くの人に聴いてもらいたい」と常日頃から思っているので、もっともっと私の楽曲をたくさんの人に聴いてもらって、ライブができる場所もどんどん広げていって、年齢のせいにして夢を諦めたり、環境のせいで諦めたりしている人が私を見て、「私も頑張ろう!」と思ってもらえるようなアーティストになりたいです。音楽をリリースできるだけでも有難くて、力を貸してくれる人たちがいることもすごく有難いと思っています。そういう時間が長く続けばいいなって。これからも楽しんで音楽ができれば一番です。
■音楽以外のことについてはいかがでしょうか?
有華 そうですね。30代は家族の時間をたくさん取りたいです。というのも、20代の時も家族の時間をいっぱい取っていたんですけど、なんとなく「自分の親が歳を重ねているな」と感じる瞬間がとっても増えてきたので……。一緒に過ごせる時間は家族と過ごしていきたいなと思っています。あとは、ひとり旅をしてみたいです。
■ひとり旅はちょっと意外かもしれません。
有華 私、ひとりで何かするのが苦手なんです。なので、なるべく国外とかにひとりで行ってみたいんです。これって「できないと自分で思い込んでること」なんですよ。「私はひとりだとなにもできない!」って。でも、もしそこでちゃんと自分で調べて、何かをやり遂げられたら、何か変わって、また自信がつくんじゃないかなと。
■有華さんはそういうの全然できるタイプだと思っていました。ひとりで旅行に行って、現地でたくさん友達を作っていそう。(笑)
有華 本当ですか?!私、ひとりで旅行に行って、現地で友達を作ることが一番できないんです。「迷惑かけちゃうかな?」とか思っちゃって苦手だし、大勢の人がいる場所とかも実は苦手で……。めっちゃ社交的に見えて、そうじゃない部分もあります。でも、ひとり旅とかそういう今まで自分ができないと思い込んでいたものにぜひ挑戦してみたいですね。
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
幼少期からピアノ、合唱を始める。 大阪出身、18歳からシンガーソングライターとして活動中。Instagramに写真や動画を公開した事により、 インフルエンサーからのフォローや 大好きなお喋りと容姿のギャップが共感を得て、 現在までに同性を中心に約21,5万人(※2025.3月現在)、TikTokでは84万人のフォロワー数を獲得。他SNSのフォロワーを合わせると120万人以上の登録者数を記録。アーティストからのフォローや交流に加え、 著名スポーツ選手やインスタグラマーからのフォローや対談など 様々の分野で活躍する人たちからも支持されている。2022年2〜4月で3ヶ月連続デジタルリリースを配信し、3曲目となった4月リリースの配信シングル『Partner』は、ストリーミング総再生7,000万回、ミュージックビデオ再生1,400万回、SNS総再生回数15億回、LINEリアルタイムランキング1位を記録し、SNSで大きな話題となった。2022年9月にリリースした『Bestie』はわずか1ヶ月でストリーミング再生回数累計100万回を突破した。2023年1月18日、メジャーデビューデジタルシングル『Baby you』をリリース。ビルボードが発表した「TikTok Weekly Top20」で1位を獲得し、TikTok上半期トレンド大賞2023ミュージック部門にて受賞。国内のみに止まらず世界の8カ国のバイラルチャートでトップ10入りを果たしている。SNS上の楽曲の再生数は80億回を突破しストリーミングで5,000万回を突破している。同年10月にはメジャー1stフルアルバム『messy bag』をリリース。2024年には間髪あけずにデジタルシングルをリリース。また、他アーティストへの楽曲提供など、活動の幅を広げている。
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RELEASE
『my space my time』

通常盤(CD)
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COCP-42470
¥5,500(tax in)
日本コロムビア
3月19日 ON SALE