ZAQ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

“マイナーピース”は「下剋上」と「駆け引き」の両方を合わせた、まさに「集大成」っていう感じです。

シンガーソングライターの ZAQが、2月28日にニューシングル『マイナーピース』をリリース。待望のニューシングルはTVアニメ「ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season」のオープニングテーマとなっている。今回の主題歌となる“マイナーピース”はロックジャズ。1・2期の主題歌を担当してきたZAQならではのギミックなども随所に仕掛けられている楽曲となった。そんな今作の制作についてや、ZAQの日(3月9日)に行われるセルフカバーライブに向けての意気込みなど、いろいろと話を訊いた。

■まずはZAQさん自身のことをお聞きできればと思います。ZAQさんはいろいろな活動をされていますが、ご自身に書いた曲と、他の方や作品に向けて書いた曲ではどちらが多いですか?

ZAQ 圧倒的に提供曲の方が多いですね。

■ZAQさんはアニメに関わるお仕事が多いと思いますが、昔からアニメがお好きだったのでしょうか?

ZAQ それが私は鹿児島県の田舎の出身で、BSでやっていた衛星アニメ劇場とか、子供劇場みたいなアニメしかやっていなくて、実はアニメはあんまり通ってこなかったんです。なので、上京してから目覚めた感じなんです。(笑)

■ちなみにその目覚めるきっかけになったアニメや、影響を受けたアニメ作品はなんですか?

ZAQ その時代はまだDVDレンタルが全盛の頃で、めちゃくちゃハマってDVDを借りまくったのは「サムライチャンプルー」とか、「BLACK LAGOON」ですね。そういう悪者が活躍するアニメが大好きで。「バカとテストと召喚獣」通称「バカテス」とかもよく観ていました。でもそこからはいろいろなジャンルのアニメをたくさん観ました。「エウレカセブン」とかも毎週観ていたし。

■音楽に関して影響を受けたアーティストや作品などはありますか?

ZAQ 姉が洋楽好きだった影響で、子供の頃からHIP HOPとかR&Bをよく聴いていました。当時はP!NKとか、アリシア・キーズとか、ホイットニー・ヒューストンとか、クリスティーナ・アギレラが好きでよく聴いていましたね。男性アーティストだと50セントとか、エミネムとか、HIP HOPばっかり聴いていました。

■邦楽はあまり聴いてこなかったんですか?

ZAQ そうなんですよ。洋楽ばっかり聴いていて、学校でも浮いている感じの子だったので、友達と話すきっかけのためにモー娘。とか、倖田來未さんとか、初期のEXILEさんとかは聴きました。(笑) あとはうちのクラスではaikoさんがめちゃくちゃ流行っていましたね。

■なるほど。なかなかその頃から洋楽を聴いている子は少なそうですよね。(笑)

ZAQ 友達に「エミネムとか聴いているんだ」って言ったら、「何それ?」みたいな感じで……。(笑) 「彼の書く歌詞がすごくいいんだよ!世の中を憂いて世間に問題提起しているんだよ!」って言っても、「はて……?」みたいな感じでしたし。(笑)

■それはなかなか理解されないですよね。(笑) あとはピアノもやられていたんですよね?

ZAQ ピアノは3歳からずっと習っていて、音楽大学出身でピアノ専攻だったので、22歳まではずっとやっていました。あとは吹奏楽部にも入っていたので、クラシックの素養はありますね。コンサートに行った数でいうと、クラシックのコンサートが一番多いと思います。いつもどれだけ寝ないかが勝負でしたけどね。(笑)

■今作のニューシングルは、TV アニメ「ようこそ実力至上主義の教室へ」との3度目のタッグですが、これまで担当されてきた作品から3度目のオファーをいただいた時はどんなお気持ちでしたか?

ZAQ 3期もやりたいな、ともちろん思っていましたが、やっぱり主題歌って重要だし、楽曲でバズらせたいっていうのも昨今のアニメ的にはあるだろうし、オファーしていただけるかすごくドキドキしていましたが、「3期もお願いします」と言われた時は、「よかった!3期もやらせてもらえるんだ!」と、本当に安心しました。

■でもこのアニメは1期と2期の間がすごく空いていたので、2期の主題歌のお話が来た時はいかがでしたか?

ZAQ 1期が終わってから、ずっとこの作品のファンの人たちからも「2期やってほしい」という声が多かったのですが、2期のお話をいただいた時は「2期やるんだ!?」という気持ちの方が大きくて、びっくりしました。でも2期を担当させていただけたのもすごく嬉しかったです。

■ちなみにこちらは3期のストーリーや内容を事前に読まれてから、それに沿って制作された感じなのでしょうか?

ZAQ それが、「今回は原作の何巻から何巻までの予定です」としか聞かされていなかったので、2期の続きの部分から原作を読んでいって制作を進めていった感じでした。

■1期の“カーストルーム”、2期の“Dance In The Game”の歌詞にも蝶が登場していて、今作にも蝶が登場しますが、この蝶は何かをイメージしている感じですか?

ZAQ 1期の時は蝶を象徴的なものにするつもりではなかったのですが、2期にも登場させた時に、作品のファンの方から「また蝶出てきた、1期と繋がってる!」と、すごく喜んでもらえたのが嬉しかったので、じゃあ3期でも頭サビに持ってきて「繋がっている作品」ということを表現できたらと思って、今回も登場させました。楽曲的には1期は堀北をイメージしていたんですが、1期のラストシーンを受けて2期から綾小路への印象も変わったので、2期からは綾小路に変わった感じですね。

■2期の“Dance In The Game”にも「白黒」という言葉が出てきていましたが、今作でも「白黒」は重要なテーマになっていると感じました。今作を作詞する上で工夫した点や、苦労した点などを教えてください。

ZAQ この曲を作詞する苦労はほとんどなくて。(笑) この作品の物語が私はすごく大好きで、他のアニソンでは供給できないなにかがあるんですよ。私には「よう実」(「ようこそ実力至上主義の教室へ」)でしか表現できない語彙があって、それをたくさん使えるので、全然苦労とかなくて。物語が好き過ぎて「こういうこと言いたい」、「ああいうこと言いたい」がいっぱいあり過ぎて、いくらでも書けるなって感じでした。(笑)

■それはすごいですね!

ZAQ テーマとしては、1期の“カーストルーム”は「下剋上」をテーマにしていて、2期の“Dance In The Game”は「駆け引き」がテーマで、今回の“マイナーピース”はその両方を合わせた感じなんです。なので、昔の歌詞からセンテンスを引っ張ってきたりもしているので、まさに「集大成」っていう感じです。

■ZAQさんの歌詞を見ていて、すごくインテリジェンスだと感じるのですが、作詞をされる際のインプットなどはどういったものからされるのでしょうか?

ZAQ インテリぶりたい時はインテリぶった本とかを読んだりします。「よう実」はその作品自体も、化かし合いというか、騙し合いみたいな、人狼ゲームのような人と人との心理戦みたいな要素を含んでいるので、「原作に出てくるこういうワード使いたいな」ってよく思いますね。あとは「よう実」を読んだ人の感想とか、考察とかからアイデアやインスピレーションをもらうことも多いかもしれない。私自体はめっちゃIQ低いので……。(笑)

■なるほど。(笑) 今作は横文字とか聴き馴染みのない言葉が多かったので、いつも難しい本とかを読んでいるのかと思いました。

ZAQ でもいろいろな映画とか、漫画とか、ゲームとか、本とか、SNSとか、いろいろな人の言葉を見て響きがいいものとか、カッコいい言葉とかを引っ張ってきてメモをしたりしていますよ。今回も「マイナーピース」とか、「ストラテジィ」とか、「オーバーチュア」とか。「オーバーチュア」は音楽用語ですけど、いろいろな用語とか、カタカナとか、四字熟語とか、「こんな言葉聞いたことない」みたいな言葉をメモって、いつか使おうと思ってスマホの中にいっぱいそういうワードが入っているんです。

■普段からそうやっていろいろなところで作詞のためにアンテナを張っているんですね。

ZAQ そうですね。「なにか使えるのないかな?」っていつもキョロキョロしています。(笑) 渋谷の広告とかもめっちゃ見ますよ。「これパワーワードだなぁ」と思ったり、「でもちょっとスベってるなぁ」みたいなのもあったり。(笑) 私は雑踏やうるさい場所が大好きで、そういう場所っていろいろと情報が飛び交っているから楽しいです。すごく参考になるし。

■曲のお話もお聞きできればと思います。1期の“カーストルーム”と2期の“Dance In The Game”の曲調は、それぞれイメージが違っていましたが、今回の“マイナーピース”はロックジャズとのことで、いつも曲調のイメージなどはどうやって決めていく感じでなのでしょうか?

ZAQ 「よう実」に関しては、ベースを絶対にジャズにするって決めていて、1期目はアシッドジャズで、ソリッドなジャズテイストを入れるのを意識して作って、2期目はラテンジャズで、ノリとかはグルーヴィーなんですけど、コードとかピアノのリフとかはジャズテイストにしていて。今回は「どういうジャズにしようか?」と考えた時に、1期では全く見えなかった主人公の綾小路の腹の内がどんどん明かされてきて、彼の心にある狂気が表に出始めてきたのが3期だったので、ちょっと狂ったようなサウンドにしたいなと思って、ビート感はちょっとハイテンションなロックジャズにしました。

■今作の“マイナーピース”のMVは、先ほどお話にも出た「白黒」がテーマになっていると思いますが、ぜひ注目して欲しいポイントがあったら教えてください。

ZAQ 今作のタイトルの「マイナーピース」とか、歌詞に出てくる「Zugzwang」って言葉は実はチェスの用語なので、チェスをテーマにしたいなと思って。あとは「ピアノも弾きたい」と監督さんに相談したところ、いろいろと企画を考えてくれて、「チェスの駒を人間にみたてて踊りながら戦う」というストーリーで、ZAQがそれをフィクサーのようにニヤリとしながら眺めているというMVになりました。(笑) 撮影したのは千葉の美術館のような場所で、そこにグランドピアノを入れてもらって、激しくピアノを弾き狂っているZAQを見せられたらいいなと思いました。ダンサーさんとの撮影は久しぶりだったんですけど、「最後ZAQさんも一緒に踊ってみます?」と言われて……。私ダンスとかが本当に苦手だし、踊るのは全くダメで、運動神経が昔からないんです。リズムゲームとかも全く出来なくて。(笑) なので、カッコつけて座っていました。

■ちなみにZAQさんは、「ようこそ実力至上主義の教室へ」に登場するキャラクターの中では誰が一番好きですか?もしくは自分に一番近いと思うキャラクターは誰ですか?

ZAQ えー!好きなキャラクターは2期のボスだった龍園翔が一番好きで、たかをくくっている天才が落ちぶれる時が好きなんです。(笑) 自分に近いキャラは誰だろう……?私は腹黒くないしなぁ。アホアホキャラだから……須藤健かな!愚直でパワープレイの自由人だから。(笑)